ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版 Vol.6(2007/04/21) C

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(Update:2007/04/26)

 

【濃霧の位ヶ原】

森林限界

樹林帯の中を進むツアーコースの先は、森林限界を超えて位ヶ原に進みます。ここはツアーコースの出口の位ヶ原に上がる急斜面。ツアーコース内の霧の状況とは比べ物にならないほど、ひどい濃霧になっています。

ツアーコース内は両側が樹林になっていて、視界が悪くても問題はありませんが、これより先は木々が極端に少なくなり、晴れた日は視界をさえぎるものがまったくなくなって、ロケーションのすばらしいエリアですが、濃霧の場合は、逆にそれが問題で、目印になるものが全くなくなります。

 

20〜30センチの新雪

今回はツアーコースを過ぎたあたりから、積雪量が増え始め、位ヶ原に上がる急斜面のところでは、ストックを突き刺すと、20〜30センチほどの新雪が積もっていることがわかります。

ただ、この雨のため、水分を含んだかなり重たい状態になっています。

 

次のダケカンバが見えません

ここから先は、視界が30メートルにも満たない状態になります。ご覧のように、遠方にあるダケカンバの林がかすんで見えない状態です。従って、自分の現在地や方角が全くわかりませんので、特別な装備を持ち、なおかつ、この先のルートを歩いた経験がない場合は、絶対に立ち入らないようお願いいたします。どちらか一つでも欠けていると、危険な状態に陥る可能性が高くなります。

この急斜面を登りきると位ヶ原です。

 

位ヶ原 ツアーコースの案内板

こちらが位ヶ原に入ってすぐのあたり。右の画像のようにダケカンバの枝に、大雪渓方面からツアーコースへ向かうための標識を見つけることができます。正しいルートをトレースしていることはわかりますが、この標識だけでは、どの方角に向かって進むのかわかりません。晴れている日など有視界の場合は、次の標識を目視することで、方角を定めることができるものの、この状態ではそれができないため、標識をたどって向かうことは不可能です。

 

ダケカンバ林 この真ん中を通って行く

先ほどのところから、若干、斜め左に向かって進むと、再び、ダケカンバの林が出てきます。プレリリース版Vol.5(2007/04/15) C で、同じ箇所を紹介しています。

もし、同じようにくっきりと晴れ上がっていれば、右の画像の鳥居のように左右に分かれた木々の間からは、肩の小屋付近をまっすぐ確認することができるはずで、この方角の通り進めば、間違いなく大雪渓に到着します。

 

まっすぐ直進 それでも曲がっていきます

ダケカンバの鳥居を通過するときの方角を維持しながら歩いたつもりでも、実際には地形の凹凸に影響され、まっすぐ歩くことはまずできません。何度も何度も振り返って、足跡が曲がっていないか方角をチェックします。どれだけ注意して歩いていても、必ず曲がっているものです。フィールドに出た場合、気候の変化や状況について感覚を研ぎ澄ましていく必要はありますが、こんな状況では、アテにならないと思ったほうが良いでしょう。
このような状況では、五感を研ぎ澄ますのではなく、人間の能力だけでは、「無理」ということをすばやく察知して、危険を回避しなければいけないという感覚を持つことのほうが重要でしょう。

位ヶ原でも、雪ではなく雨です。したがって、先ほどと同様、滑走するには苦労させられる、重い雪質です。

 

冬場は道路もなく、全く方角がわからない

このような濃霧は、この時期に特有のものではなく、夏場でも良くあります。ただ、夏場は雪が解けて地形がはっきりわかるようになり、さらに、車道がありますので、車道にたどり着くことができれば、間違いなく下山することが可能です。もっとも、雪解けが進めば、位ヶ原を縦横無尽に歩くことができなくなり、車道と登山道しか立ち入ることができませんので、この時期のような危険性は少ないと考えられます。

 

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