ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.7(2007/06/23〜24) D
【稜線を目指して】
肩の小屋を後にして、稜線を目指して行きます。
肩の小屋から宇宙線観測所のある室堂ヶ原の東端を進んで、朝日岳の山裾に差し掛かると、ご覧のように雪がなくなります。この付近に関しては先週とあまり変わりはありません。
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先週はしっかりと積雪がありました 2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.6(2007/06/16〜17)D |
今週はご覧のように完全に雪解けしています |
ここは肩の小屋から稜線の行程の3分の1程度進んだあたりです。左の画像は先週のもの。先週はこの画像の位置から50メートルほど下部まで積雪がありました。今週はご覧の通り、この周辺は完全に雪解けが終わっています。
積雪はここから − 昨年より4週間遅い雪解け |
先ほどの箇所から50メートルほど登ると積雪が始まります。先週の積雪の位置から100メートル登っています。先週の段階で昨年と比べて4週間遅い状況でしたが、今週も同じく昨年より4週間遅い状況で、今週、極端に雪解けが進んだ感じがありますが、スピードは例年並といったところのようです。
ハイマツ帯の中のつぼみを見つけて... | 無理なく登れる山はノリクラくらいしかない |
登山道の傍らのハイマツ帯の中につぼみをつけた木を見つけ、「これなんでしょうか?」とおっしゃる方がいらっしゃいました。三日前にもお越しになったそうで、そのときは濃霧がひどくて、蚕玉岳から先が全く見えない状態だったため、そこから引き返してきたものの、今朝天候が回復して、今日しかないと思い立って、再度お越しになったとの事。
70歳を過ぎてから登山を始められ、「初心者の私でも無理なく登山ができる山はノリクラくらいしかなく、足の動くうちは何度でもノリクラに来たい」と、おっしゃってました。
ノリクラは3000メートル級の山でありながら、初めての方でも気軽に楽しめるところが魅力の一つであると思います。ちなみにハイマツの中に見つけられたつぼみはキバナシャクナゲです。遠景の景色を楽しむのと同時に、このような高山植物の変化も十二分に楽しんでください。
雪よりも砂利の方が歩きやすいのはもっともなこと... | でもその結果踏み固めた部分が広がってしまう |
今日の雪は踏み抜くほどのやわらかさは無く、歩きにくいということはありませんが、やはり、地面の方を選んでしまうのが人間の性(さが)です。しかし、本来の登山道は雪のところにあり、ここは登山道の外になります。岩場の上なら問題はないと思うのですが、特にここは多くの人が歩き、登山道の周辺の地面まで踏み固めてしまうと、周辺の高山植物の生育域がどんどん無くなっていってしまいます。したがって、登山道など多くの人が歩く場所こそ、足場に注意を払う必要があります。
ルートを雪の方へ変更 |
そんなお話しをさせてもらったところ、「なるほど〜」と、雪上を登って行かれました。
一番狭いところで10メートル | 魔利支天岳 − 昨年より4週間遅い雪解け |
左の画像は大雪渓からのルートに合流する手前付近です。先週はほとんど感じませんでしたが、かなり横幅が狭まってきました。一番狭いところで10メートルほどです。
右の魔利支天岳は先週と比べて大きな変化はありません。先週と同様、昨年より4週間ほど遅い雪解けです。
大雪渓からの合流地点 |
大雪渓と分断されつつあります − 昨年より2週間遅いペース |
稜線が見え始めると大雪渓からのルートと合流します。先週までは問題になりませんでしたが、雪解けが進んで大雪渓と分断されつつあります。状況としては昨年よりも2週間遅い雪解けです。
【稜線】
蚕玉岳〜朝日岳稜線 − 昨年より2週間遅い雪解け |
蚕玉岳〜朝日岳稜線は、先週から頭を出し始めた岩がかなり広がっています。先週は昨年より3週間ほど遅い雪解けが、今週は2週間ほどになっています。
横幅は20〜30メートル | 長さは200メートル以上 |
岩の頭は、先週は幅が2〜3メートル、長さは30メートルほどでしたが、今週は横幅は20〜30メートルになり、縦の長さは200メートルはあるのではないかと思います。
和気藹々と途中で休憩 |
先ほど出会った方々が休憩されています。話を少しお聞きすると、会社の関係で集まったメンバーで、中には今日始めて顔をあわせた人もいるとか...「それって、合コンの登山版ですか?」とちょっと茶化したところ。「そんなもんです!」と、笑いながら答えてくれました。
登って行くそれぞれのお姿を拝見していると、まるでピンクのワゴン車の出てくるテレビ番組のよう...今後、きっといい思い出になるヒトコマを撮影させていただきました。
権現ヶ池 − 昨年より1週間遅い雪解け | 朝日岳 −昨年より3週間遅い雪解け |
権現ヶ池、朝日岳ともに雪解けが目立ちます。先週はどちらも昨年よりも4〜5週間も遅い状態でしたが、権現ヶ池では昨年より1週間、朝日岳は3週間になっていています。
このエリアだけでなく、だんだん昨年との差が小さくなってきています。
蚕玉岳〜朝日岳稜線 − 昨年より4週間遅い雪解け |
蚕玉岳〜朝日岳の稜線は、特に手前の朝日岳寄りの雪解けが目立ちますが、それでも先週とほぼ同様の昨年より4週間遅い雪解けです。
稜線付近には西に傾きかけた太陽から気持ちのよい光線が降り注ぎます。
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