ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.9(2007/07/07〜08) F

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(Update:2007/07/12)

 

【肩の小屋から富士見岳】

さて、今週に入って雪解けが進んだ畳平のお花畑に行くため、肩の小屋から富士見岳を経由して畳平に向かいますが、その道中でであった方々を紹介いたします。

分岐点−左が肩の小屋、右がコロナ観測所

大雪渓全景 − 昨年と比べて1週間遅い雪解け

こちらは肩の小屋とコロナ観測所へ向かう道路の分岐点。右の画像の大雪渓全景は昨年と比べて1週間遅い雪解け。朝日岳直下もかなり縮小し、蚕玉岳〜朝日岳稜線付近は完全に雪解けが終わっています。また、先週までは滑走できた剣ヶ峰〜蚕玉岳の稜線付近は、稜線の直下で雪が途切れ、さらに少し下の沢筋が一番くびれていた箇所は完全に雪渓が切れています。

 

なかなか雲の途切れない中、ようやく大雪渓全景の撮影を済ませたところでお会いした方は、実は今回で3回目のご登場です。Websiteで高山植物を予習して畳平のお花畑に行ったものの、さっぱり...とおっしゃり、「先週のハイマツの実の記事を見て、今日もう一度見てみたら、実際その通りで、ノリクラに何度も通ってはいるものの、見ているようで見ていないということを痛感しました。」と、おっしゃっていました。

今シーズンはこれでノリクラを最後にしようと思っていらっしゃったようですが、これからもお花畑など定期的に通ってみようかなぁと、少しばかりお考えが変わってきたとのことでした。ぜひ、これからのシーズンもノリクラにお越しください。お待ちしております。

肩の小屋・コロナ観測所の分岐点では...

 

図鑑を片手に ハイマツのマツボックリを見て

図鑑を片手にハイマツを一生懸命観察していらっしゃる方がいます。普通に歩くだけでもいたるところにハイマツや高山植物に出会うことができますが、いざそれがどんな植物なのか、図鑑で調べるのも大変で、ハイマツ帯の傍らで見つけたマツボックリを見て、「ハイマツも同じようなマツボックリができるんですね」と、図鑑にはなかなか載っていない事実も現地で確認できることもしばしばです。

 

ハイマツ帯の中にキバナシャクナゲのつぼみ

キバナシャクナゲがハイマツ帯に寄り添うように分布している様子はよく知られていることですが、単に花が咲いている...としか感じなければ、そんなことも思いつかないかもしれません。

 

イワウメ(花)

分岐点の10メートル四方くらいの中でも、いろんな高山植物を見つけることができます。

そんな自分なりの発見をカメラに収めれば、その高山植物を絶対に忘れることはないでしょう。

目指すは富士見岳 山頂は剣ヶ峰に匹敵する展望

そして分岐点から富士見岳の頂上に向かいます。剣ヶ峰への登山を終えた方は富士見岳の裾野を横切るコロナ観測所・肩の小屋の専用道で畳平へ戻りますが、少し余力があるのであれば、富士見岳を経由して畳平に戻るものよいかと思います。専用道からのアプローチはものの10分程度で、剣ヶ峰山頂からのパノラマに匹敵する展望が開けています。

 

ノリクラには昨年の9月からお越しになり、山登りはまだまだ初心者というこちらの方々。昨年9月の畳平の隣の魔王岳をはじめ、先月は大黒岳、そして、今回は富士見岳と月に一度のペースでノリクラのピークを登ります。山に登る以前は10年以上もダイビングを行い、年齢的にも海は危ないということと、山の魅力を教えてもらう機会もあって、登山をはじめられたとのことですが、季節ごとに移り行く山の変化にすぐに取り付かれて、こんなに面白いものはないと、目を輝かせながら、山の魅力・ノリクラの魅力を語ってくださいました。

登山道脇に雷鳥

さて、富士見岳山頂から降りる途中で、こんな光景を見つけました。登山道脇にいるのは雷鳥...

 

砂浴び

羽に付く寄生虫を払いのけるため、砂浴びをしています。寄生虫がよほど心地悪いのか、こちらの様子をなどお構いなく、一心不乱で後ろ足で砂巻き上げ、羽を地面にこすり付けています。

こんな間近で見かけることはそんなにありません。この時期になると雛が孵りはじめるため、巣を守るために人間の意識を自分に向けさせるための擬傷行為かと思いましたが、雷鳥の調査をする方にお聞きすると、「彼らはそんなに頭はよくないですよ」とのこと。

これからの時期、雌鳥が雛を連れて歩く光景を目にすることがありますが、雛がはぐれても気づかないという話を耳にすることがあります。確かにそんなに頭はよくないのかもしれませんね。

 

何も山頂を目指すだけが山登りではありません

こちらの方は仙台から毎年ノリクラにお越しになり、今回は一週間の滞在とのこと。かつてはスキーで指導員をされていて、今はもうその資格も返上してノリクラを歩くことが何よりの楽しみ。どうしてノリクラなのかとたずねると「南アルプス・中央アルプスはもちろんのこと、北には笠ヶ岳から、立山、そして水晶まで、これだけの展望を持つ山はなかなかない」とおっしゃっていました。

今回は乗鞍高原からシャトルバスで畳平に降り立ち、そこから肩の小屋まで往復して再び畳平に戻るというコース。「なにも山頂を目指すだけが山登りではありません。今回のように雷鳥を見つけたり、傍らに咲く高山植物を見ながらその風景を楽しむことも登山です。」と...

そして、スキーの資格を返上されたことも「何かをはじめるには何かを捨てなければならず、山を見つめなおすよいきっかけ...」。なるほど〜。その言葉には重みがしっかりとつまっています。

 

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