ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.14(2007/08/11〜13) @

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(Update:2007/08/16)

 

【大雪渓】

日本全国で「猛暑日」という新しいキーワードが飛び交う天候が続くお盆休みが始まりました。大きな太平洋高気圧がドカンと張り出し、ここ数日間は天気予報をまったく気にする必要のない日が続きました。今年は梅雨明けが極端に遅れ、関東甲信地方では8月1日になってから梅雨明けしました。「梅雨明け十日」という言葉のとおり梅雨明け後10日程度は安定した天候が続くと言われ、まさにその気象状態が今回のお盆前半にピッタリ当てはまりました。例年、お盆の時期は高気圧に覆われて朝から強い日差しに覆われ、真っ青な夏空が広がりますが、午後になると天候が急変して曇や雨、ひどい場合は雷雨というのが一日の天候のシナリオです。しかし、今年は午後になって若干雲が広がるものの、それ以上の天候の悪化はなく、一年を通してみてもこれだけ安定した天候が連日続くことは今回の数日間くらいしかないのではと思います。
また、それと同時にこれまで最高気温が20℃を超えることのなかった大雪渓でも、気温・日差し・そよ吹く風が完全に夏モードに移り変わった様子を肌で捕らえることができます。

梅雨明けが遅れたことによる影響は人出にも大きな関連をもたらしています。例年、梅雨明けは7月20日前後で、お盆までの間に週末が2〜3回ほどあってそこでノリクラに訪れる方が多いものの、今回は梅雨明け後からお盆までの間に週末が1回しかなく、おそらくほとんどの観光客がお盆にシフトした感じが見受けられます。それがシャトルバスの乗客数に反映されていて、お盆休みの始まった11日(土)は1270名でしたが、12日(日)は9時便が9台運行される状況で2000名となり、これまでの最高乗客数1979名を更新して2000名の大台を超えました。さらに13日(月)に至ってはご来光便が5台と夜明け前からハイテンションな状態で始まり、前日に記録した最高乗客数をさらに更新して2030名となりました。そしてUターンラッシュの始まった14日(火)は1937名と若干の減少を見せたものの、賑わいは続きました。

シャトルバスを利用した観光客や登山客は多かったものの、大雪渓を訪れるスキーヤー・ボーダーはいつもの週末とそれほど変わりのない状況で、自転車のヒルクライムに訪れる方も11日(土)と12日(日)は大雪渓を通過して行く姿が頻繁に見られたものの、13日(月)、14日(火)は少なめでした。

大雪渓は若干雪解けが早くなり、雪渓下部で昨年より1週間早く、中段は昨年並み、上部は上端部分は昨年並みで下端部分が3週間早い状況です。

取材に訪れた11日(土)から13日(月)の天候は、前述のとおりおおむね快晴ですが、11日(土)は15時すぎから雨が降りましたが、12日(日)・13日(月)は午後になってもほとんど雲のない状態でした。今回はそんな三日間の様子をお伝えいたします。なお、いつもお伝えしている畳平のお花畑の様子は割愛させていただきます。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【8月11日(土)、観光センター】     【シャトルバス、大雪渓へ】    【大雪渓に到着】
Page-1 : 【グリーンサポートスタッフ − 大雪渓でのマナー】
Page-2 : 【雪渓下部 T】
Page-3 : 【雪渓下部 U】    【ヒルクライム】
Page-4 : 【雪渓下部 U】    【雪渓中段】
Page-5 : 【高山植物】
Page-6 : 【8月12日(日)、観光センター − お盆のシャトルバスの状況】
Page-7 : 【ノリクラを駆け上がる人たち】
Page-8 : 【雪渓上部 T】
Page-9 : 【雪渓上部 U − モーグルコース】     【昨年の今ごろは?】     <編集後記>

  

 

 

【8月11日(土)、観光センター】

7時前の観光センター前駐車場

今日からお盆シーズンが始まりました。ぐずついた天候ばかりが続いていた今までがまるでうそのように晴れ上がっています。まだ、お盆シーズン初日とあって、画像ではほとんど満車に近い状態ですが、7時前とあって、まだまだ余裕があります。それでもシャトルバスに乗車しようとする方々があわただしく準備される様子があちこちで繰り広げられています。

 

時刻は6時50分。7時のシャトルバスを待つ停留所前です。日差しはどんどん強くなって行きますが、まだ、ひんやりとした空気が残っていて、シャトルバスを待つ方々は長袖の格好が多い状態です。

 

バス到着時刻が近づくと列はどんどん伸びて行きます

バスの到着する時刻が近づくにつれて乗車しようとする方が続々と訪れて、乗車待ちの列はどんどん伸びて行きます。

 

今日は事前に改札を始めます

いつもならバスが到着した段階で改札を始めますが、この人数ですからバスの到着前から改札を始めます。7時便は早朝から行動を開始する登山客が中心でしたが、さすがにお盆シーズンを迎えて家族連れや観光客の姿が圧倒的に増えてきました。

 

7時便、シャトルバス到着

6時55分。バスの到着と同時に改札を終えた乗客の方々が車内に流れ込んで行きます。

 

運転手さん − 「この3日間めちゃめちゃいい天気だよ!」

こちらの運転手さんも毎年シャトルバスを担当されていますが、今シーズン初めての再会です。ここ数日間は連日シャトルバスの運転を担当され、「この3日間くらいはめちゃめちゃよい天気が続いているよ!」とのこと。どっかりと夏の高気圧に覆われ、いよいよ夏本番です。

 

それでは今日も大雪渓に向けて出発です。

 

 

【シャトルバス、大雪渓へ】

連休初日ということもあって、休暇村や三本滝から乗車される方はまだありません。乗鞍高原から続いている晴天はこの先もずーっと続きます。

 

この時間帯はまだ日が真上まで来ていませんので、左の画像のようにかなり影ができています。これから日の出がどんどん遅れてきますから、この傾向はさらに続きます。特に今後車窓から紅葉の写真を撮影したい方などは、もう少し後の便にされたほうがよいでしょう。

車窓からはいつもと変わらぬ新緑のまぶしい光景が広がっています。沿道の山野草・高山植物もかなり多くなってきています。ノリウツギの白い花はまだたくさん花をつけていて、今週に入ってからヤナギランがピンクの花がちらほらとを確認できるようになって来ました。少し標高の高いところには沿道を縁取るようにミヤマアキノキリンソウが黄色く色づいてきています。

 

いつもなら位ヶ原山荘付近を境に天候に変化が見られることが多いのですが、今日は全くその気配はありません。右の画像は大雪渓入口から1kmほど下ったところにある宝徳霊神バス停があるヘアピンカーブ(5号カーブ)です。先週までしっかり積雪がありましたが、ご覧のようにようやく雪解けが終わろうとしています。大雪渓以外の場所でこれだけ遅くまで積雪が残ることはなかったのではないかと思います。

 

大雪渓に到着しても乗鞍高原と全く変わらない天候が続いています。

 

 

【大雪渓に到着】

シャトルバスを降りて...

大雪渓の積雪の状態は後ほどお伝えいたしますが、先週から雪渓上部がメインバーンになっています。

 

ザックに板を取り付けます

大雪渓入口から雪渓上部まではスキーヤー専用道を歩いて約15分ほど。板をそのまま担いで歩いても問題ありませんが、特に雪渓上部左側に向かうには途中にガレ場があり足元がよくありませんので、スキー板などをザックにつけて向かいます。

ザックのサイドに板をくくりつけるためのベルトがあるタイプのものを購入されるのがお勧めです。また、収納容量が小さいタイプのザックだと板を取り付けたときのバランスが悪いため、ある程度の大きさが必要となります。

 

準備ができたら皆さん出発です。

 

 

【グリーンサポートスタッフ  − 大雪渓でのマナー】

グリーンサポートスタッフの方々

こちらは先週もお伝えしたグリーンサポートスタッフの方々。

 

パトロール開始!

今日はこれから登山道を乗鞍高原に下る班と、画像の大雪渓周辺の登山道をに向かう班の二手に分かれてパトロールを行います。
グリーンサポートスタッフ(森林保護員)は、天然生林の植生荒廃などの状況把握や利用者へのマナー指導・啓蒙活動を行う方で、乗鞍一帯の国有林を管理する林野庁の中部森林局では管内の日本百名山(38座)を中心に利用者の多い地域で活動されています。

大雪渓から大きな木材を運び出す

一旦、登山道を登っていったグリーンサポートスタッフが大きな木材を大雪渓から運び出してきました。

 

絶対に高山植物の上に放置しないで!
(先週ボーダーが放置したパークの一部)

大雪渓周辺のチングルマが咲いているところに放置されていたとのこと。先週、スノーボーダーが雪渓上にパークを作っていましたが、その構造物の一部と考えられます。

どのような楽しみ方をされてもよいかと思いますが、自然環境へ影響の与えるような行為だけが絶対に行わないようお願いいたします。撤去されたグリーンサポートスタッフの話では高山植物の上におかれていたとのことで、当WebSiteで再三にわたり、高山植物の重要性を申し上げているにもかかわらず大変残念な行為です。

翌日のために、スキー板を置いて帰るスキーヤー・ボーダーもいらっしゃいますが、決して高山植物の自生する場所に置かないようにお願いいたします。特に、高山植物の上にスキー板を置き、さらにブルーシートで覆うことは、日照の少ないノリクラに自生する高山植物にとっては死活問題です。なお、構造物の長期間の放置は自然公園法に抵触する恐れがありますのでご注意ください。

大雪渓に訪れるスキーヤー・ボーダーは天候・気候などの自然環境に注意を払って雨具などの事前準備は当然のように行うと思いますが、高山植物や雷鳥など動植物の生態についてもある程度目を向け、事前に最低限の知識を持ち、それらに注意を払いながら行動することが求められているのです。

 

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