ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.15(2007/08/17〜19) D

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(Update:2007/08/23)

 

【高山植物】

高山植物はピークを迎えて紹介しきれないほどの状態になっています。

 

ウサギギク(花) 中央の頭花の外周部分が小さいもの(左)、大きいもの(右)

今、黄色の花の中で一番元気がよいのはこちらのウサギギク。野原に咲く野菊と同じようなスタイルのこの高山植物は、見るからにキク科の花(キクの仲間の花)であることは誰でもお分かりかと思います。

右の画像をご覧になるとお分かりかと思いますが、花弁(はなびら)の中心箇所の外周部分が小さいものと大きいものの2種類があることがわかります。

 

頭花は外周から咲き始める
=マルハナバチも外周部分に停まります=

通常なら、この中央の部分は雌しべと雄しべの集まりのように考えますが、キク科の植物はこの中央部分にたくさんの花の集合体を持っています。この集合体のことを頭状花序といい、中央の一つ一つの花が筒状花と呼ばれる小さな花弁を持っています。

この部分の花は外周部分から順番に咲き始めるため、前述のウサギギクのように咲き始めて間もない頃は頭花部分の外周部分が小さく、ある程度時間が経過したものは次々に開花が始まって外周部分が大きくなるわけです。したがって、長い期間中、ウサギギクを楽しむことができると同時に、受粉の時期も長く取ることができ、植物の中でもキク科がもっとも進化した植物だといわれています。
そして、こちらの画像のように高山植物の受粉にはなくてはならないマルハナバチは外周部分の開花したところに停まるところも見逃してはいけません。

頭花の一つ一つが花で筒状花という花弁を持つとなれば、普段見ている花びらはガクのようなものなのかと思いますが、こちらは舌状花と呼ばれ、紫外線下では頭花以上に反射してまぶしく写り、虫のやってくるのを待ちます。

 

シナノオトギリ(花)

こちらはシナノオトギリ。

数個のつぼみをつけて、一番高い頂につく花から開花を始めています。今後順番に咲き始め、シナノオトギリも花期を長く楽しめる高山植物です。

 

エゾシオガマ(花) オヤマリンドウ(つぼみ)

ウサギギクやシナノオトギリのような目立つ花ばかりではありません。左のエゾシオガマはヨツバシオガマのような派手さはありませんので、見逃していらっしゃる方も多いかと思いますが、一度見つけることができれば、結構いろんなところで咲いていることがわかります。

そして、エゾシオガマと同様、結構な背丈があるものの、さらに目立たないのがオヤマリンドウ。時期としてはつぼみよりももっと手前の段階と言ったところでしょうか?秋口になると紫色の花をつけますが、つぼみの状態でほとんど開花しない高山植物です。花期になりましたら、再びご紹介いたします。

クロマメノキ(花)

こちらはクロマメノキ。ほかの高山植物の紹介の都合から、ちょっと花期が遅れてしまいましたが、まだ何個か花がついています。

 

ガクが裂けている 前年枝の先端に花が咲く

クロマメノキと対比させられるのは同じくブルーベリーの仲間のクロウスゴ。どちらもよく似ていてなかなか判別が難しい高山植物です。一番わかりやすいのが果がなったときで、果の底が臼状にへこんだんだものがクロウスゴであることは誰でもお分かりかと思います。

さて花のほうですが、左の画像のようにガクが裂けているのが大きな特徴です。さらに右の画像のように花は前年枝の先端につくのも特徴です。ちなみにクロウスゴはガクは裂けずに花をぐるっと取り囲み、今年枝に花がつくのが特徴です。

クロウスゴの花の様子は、 2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.10(2007/07/14〜15)C をご覧ください。

 

チングルマ(果)

こちらは先週満開の様子をお伝えしたチングルマ。ご覧のようにすっかり綿毛になっています。

花柱は花の時期よりもさらに伸びてきれいな風車になって行く

一部、花弁の残っているチングルマがあります。ご覧のように風車になる中心の花柱が花の時期よりさらに伸びて、花弁よりも長くなっていることがわかります。この後、きれいな風車になって行きます。

 

ノリクラ雪渓カレンダーVol.12(2007/07/28〜29)D できれいな大輪を紹介したシナノキンバイ。ご覧のように大きな実ができています。そして実の下に残っているのは大輪の名残。3週間しか経過していないのに大きく様変わりしています。この大輪の花ははなびらではなくガクです。

 

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