ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2008/06/28〜29) A

Top-page > Index > Page: 1  2  3  4  5  6

(Update:2008/07/03)

 

【畳平】

エア台を作るスコップ − でも硫安の使用は厳禁です

畳平に到着すれば雪渓に向かう準備を行いますが、今日は鶴ヶ池大雪渓に向かうモーグラーの方々が大半で、トランクから出てくるものの中にはモーグラー必須のスコップなども多く見かけられます。

キッカーやエア台の表面を固めるためにスノーセメント(硫安)を使用することが山麓のゲレンデではごく普通に見受けられます。毎週お越しになる常連の方々はすでにご承知のことですが、ここでは硫安の使用は厳禁です。もともと肥料として使用される硫安を散布することでこれまで高山植物しか育つことのできなかった土壌の栄養状態が良くなり、山麓の植物が繁殖し、それに伴って高山植物が生育できなくなる恐れがあるからです。

硫安をまいてエア台を崩れにくくするのではなく、こまめにエア台を整備するように心がけてください。真夏にエア台の練習ができる恩恵はこのような特殊な環境だからこそだと認識してください。

 

鶴ヶ池大雪渓、ハイマツ状況を見て納得 − 高山植物の保護はここを訪れるすべてのスキーヤーに求められます

前頁の通り、車窓からは鶴ヶ池大雪渓の様子をしっかり確認することができます。本日夕方に閉鎖されることに決まり、もう一日伸ばして日曜日まで滑られたらという思いも当初はありましたが、車窓から確認した鶴ヶ池大雪渓のハイマツ帯の状況を見てどのモーグラーも納得されたようです。滑走エリアそのものはまだ十分な状態ですが、そこに向かうまでの区間に出現し始めたハイマツ帯の保護の重要性の認識は、ここを訪れるスキーヤー全てに求められます。

 

いつも以上に恵比寿岳が良く見える

今日は朝からきれいな青空に包まれ、少しばかり上層の筋状の雲が絵筆をふるいます。そして、いつも以上に畳平の西側にそびえる恵比寿岳が間近に感じられます。

 

取り壊し作業直前の乗鞍山荘 新館
2007ノリクラ雪渓カレンダーVol.5(2008/06/14〜15)A
本日の乗鞍山荘 新館
もう2階部分はなく、後ろの恵比寿岳が良く見えます

それもそのはず。先週までは存在していた乗鞍山荘 新館の取り壊しが本格的に始まりました。左の画像は先々週のもので、まだ大半が残されていましたが、ご覧のように2階部分はほぼ完全になくなり、1階部分も大半がなくなっています。そのため、後方の恵比寿岳が良く見えるわけです。

 

乗鞍山荘 新館 解体作業(本日夕方) 今日の作業で1階部分もほとんどなくなりました

そして、本日も解体作業が進められ、ご覧のように夕方には1階の玄関部分のみとなってしまいました。解体は粉塵が舞い上がることを防止するために散水しながらの作業ですが、散水に使用する水は、下界の植物の繁殖による高山植物の影響を懸念して、種子や胞子などの混入が懸念される川の水などは使用せず、異物が除去された水道水を使用するなど徹底した環境保護の下で作業が進められているとのことです。

 

旧館は昨年撤去され、残るは給水タンクのみ

新館の北側(右側)にあった旧陸軍の航空研究所の建物を利用した旧館はすでに昨年取り壊しが完了し、残されたのは大きな給水タンクのみとなってしまいました。この旧館が取り壊されたことで、今春の畳平駐車場の積雪量が例年よりも多くなったとのことですので、新館がなくなることによりさらに風向きが変わり、さらに積雪量が増えるかもしれません。

  

 

【畳平周辺】

不動岳とお花畑 鶴ヶ池

左の不動岳・お花畑は先週と比べてさほど変化はありませんが、右の鶴ヶ池では積雪の面積が少なくなってきていることがわかります。また、雪解けの終わった池の右側部分では緑が濃くなってきています。年によってはもうハクサンイチゲが咲き始める時期ですが、今年はまだその様子をうかがうことはできません。昨年は濃霧で撮影できませんでしたので、昨年との積雪量の比較はできません。

 

鶴ヶ池遊歩道の積雪はなくなりました 崩れやすい地質で度々修復

先週まで残っていた鶴ヶ池遊歩道の積雪はご覧のように完全になくなりました。この付近は土砂が流れやすいところで、右の画像の通り、盛り土をして修復されていますが、池側との段差は50センチ近くにもなっています。また、この先にある大黒岳はご来光スポットとしてよく知られていますが、大黒岳山頂へ向かう登山道は現在修復中での立ち入りは禁止されています。

 

お花畑 先週からあまり雪解けが進んでいない

こちらはお花畑を東の方角から見たところ。右の画像の通り、遊歩道の奥のほうは雪解けしていますが、そのエリアは先週とあまり大きく変わっていません。また、畳平駐車場に近い手前付近は左の画像の通り、ほぼ全面で積雪に覆われ、昨年以上に遅い状況です。今年は畳平駐車場で積雪が多かったことをお伝えしましたが、乗鞍山荘旧館がなくなったことにより風向きや風の強さの変化がこんな所にも現れているのかもしれません。

畳平駐車場からお花畑の遊歩道への立ち入りは禁止されていますが、不消ヶ池方面の横手道に関しては通行ができるようになりました。

 

【肩の小屋へ】

時間とともに少しずつ雲が増えてきますが、梅雨とは思えないきれいな青空が広がります。

 

日本百名山、最年少制覇目指してがんばります

四国からお越しになったこちらのご家族の方、毎週のように各地の山を登りつめて、小学3年生の娘さんは3歳の時から山登りを始めて、4歳で富士山に、そして冬場になると雪のない九州の山々でトレーニングを兼ねて山登りを続けられているとのこと、日本百名山を96座まで登頂し、全山制覇を目指して奮闘中です。

 

昨晩22時に高松から車を飛ばして来ました

現在、日本百名山制覇の最年少は小学6年生で、順調に行けば今夏中には記録を更新できるそうです。百名山の多くは中部以北に分布し、四国からの移動だけでも大変で、今回も昨晩22時に出発されてお越しになったとのこと。これまでに乗り潰してきた何台もの車は全て30万キロに達するものばかりで、最年少記録に挑むことは真似できないことと思いますが、それをサポートする両親の方の活動もなかなかの偉業とも感じさせられます。

 

分岐点−左が肩の小屋、右がコロナ観測所

こちらが肩の小屋とコロナ観測所の分岐点。

 

大雪渓 位ヶ原

左の画像のように高天ヶ原の沢筋はほとんど雪がなくなり、大雪渓エリア以外ではほとんど積雪が残っていない状態になっています。右の画像の位ヶ原についても同様で、それぞれの沢筋はかなり細くなってきました。大雪渓エリアも位ヶ原においても昨年と比べるとほとんど同じといえますが、箇所によっては若干積雪が多い状態です。

 

今回の肩の小屋専用道 − 左の壁は高さ2〜3メートル

肩の小屋への専用道は右の壁で雪解けが進んで道路の法面が見えてきましたが、左の壁は先週とほとんど変わらず高さ2〜3メートルです。昨年の同時期は70センチで、ここに関しては昨年よりも2週間以上遅い雪解けといえます。

2番目のトラバース箇所 雪渓下部に続く急斜面

こちらは2番目のトラバース箇所。こちらに関しても先週とあまり変わらない状況で、1メートルほどの高さがあります。したがって昨年よりも2週間ほど遅い状況となっています。ここから雪渓下部に続く急斜面は右の画像の通り、まだ十分な滑走エリアがあります。大雪渓・山頂エリアの急斜面は剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳の山頂や稜線からのバーンとこの2番目のトラバースからのバーンしかありません。稜線付近の状況については後述いたしますが、雪解けが進み、滑走できない状態に近くなってきていますので唯一残された急斜面です。 Next

 

<<Back | Next>>

Copyright (C)   乗鞍香辛料監視委員会