ノリクラ 雪渓カレンダー

プレリリース版Vol.1(2010/03/27) D

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(Update:2010/04/01)

 

【位ヶ原】

位ヶ原 − 雪の閉ざされた世界

ツアーコースを越えて位ヶ原に進むと、森林限界より上部に位置するため、木々の分布がかなりまばらとなります。グリーンシーズンの場合、ハイマツが一面を覆い、ダケカンバやウラジロナナカマドの木々が所々に分布していますが、いずれも人の背丈程度しかないものが大半で、ご覧のように完全に雪に閉ざされた世界となります。

 

視界低下で方向が分からず − 位ヶ原は好天時と悪天候時ではまるで別世界

そのため、ツアーコースとは異なって、今日のように視界の低下したコンディションでは、どちらの方角に進めばよいか、全くわからない状況となります。

もちろん、晴れた日は剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳から続く大雪渓と、摩利支天岳・富士見岳が聳え立ち、遠景には穂高連邦や八ヶ岳・南アルプスなどがくっきりと望むことができ、迷うことなど想像できないダイナミックな光景が広がります。

位ヶ原は好天時と悪天候時とは別世界となる点は注意が必要です。

 

ツアーコースまで引き返す

位ヶ原から屋根板を経由して位ヶ原山荘に向かう方々も、地図を取り出して方向を確認するものの、現在地を把握することすら困難な状況です。この場合、そのまま引き返すしかありません。

また、今日以上に視界が悪く、完全なホワイトアウト状態の時もあります。もちろん、最初から視界が悪ければ、立ち入ることはないものの、天候の急変で、位ヶ原に取り残されることもありますので、それに対応した装備などを準備することも必要でしょう。

 

【雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2009 ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.1(2009/03/28〜29) B

今週の大雪渓入口
昨年とほぼ同じか、やや少ない

こちらは大雪渓入口付近。左の画像は昨年同時期の様子、右の画像は今回のものです。昨年と比べてほぼ同じか、やや少ない状況であることが分かります。ツアーコースなどでは、3月下旬ごろに積雪量のピークを迎え、その後は徐々に減少して行きます。しかし、上部エリアの大雪渓付近は、まだこれから積雪量が増えて行き、ピークに達するのは、例年、ゴールデンウィークごろです。

 

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。

 

トイレ小屋(手前)と避難小屋(奥)は冬季閉鎖中 −しかし 風雪をしのぐことのできる数少ない場所

二枚の画像とも、手前がトイレ小屋で奥が避難小屋です。冬季は閉鎖されていて利用はできませんが、建物の周囲は雪の壁ができていて、絶えず西からの強風にさらされるこのエリアでは、風雪をしのぐことができる数少ない場所です。

避難小屋に至っては、建物周囲はほとんど積雪がないほどです。

 

激しく行き交う雲間に一瞬の青空 − その時バーンの表情が浮かび上がる

上空を激しく雲が流れて行くその合間に太陽が一瞬顔を覗かせます。光が差し込んだ位ヶ原や大雪渓のバーンをよく見ると、その状態が一様でないことが分かります。

風当たりの強いところはテカテカと光るアイスバーンに、そして、雪付きの良い場所は細かな風紋が...雲の動きを手に取ることができるこのエリアは、光のグラデーションが演じる様子を間近に体験できる一方、自分の居場所さえかき消してしまう恐ろしい状況の二面性を持っています。

 

<編集後記>

今回より2010シーズン ノリクラ雪渓カレンダー プレリリース版の掲載を開始することとなりました。例年通り、プレリリース版の連載はゴールデンウィークまで継続する予定ですが、編集作業の都合から、取材は土曜日に限定して実施する予定です。そのため、例年のプレリリース版よりも情報量が少ない場合もありますが、何卒、ご理解のほどよろしくお願いいたします。(正式版開始時点での対応に関しては、別途ご連絡いたします。)

乗鞍大雪渓WebSite は2000年に開設し、今シーズンで10年目を迎えました。開設当初はマイカー規制以前のため、山麓よりも大雪渓に滞在する時間のほうが圧倒的に長く、マイカー以外のアクセス手段を考えることすらしなかったように思います。また、当時も畳平へ向かう路線バスは存在していましたが、ハイシーズンはマイカーによる渋滞のため、時間通りに到着することなど到底できない状況でした。

渋滞に阻まれてヘアピンカーブを曲がりきれない路線バスが右往左往していたマイカー規制前の状態から、現在では、そのバスがアクセス手段の大きな役割を担うようになり、さらにマイカー規制以降、登山やヒルクライムなどに目を向け始めた方々が徐々に増えて、ノリクラに訪れる方々の変化を肌で感じることができた10年でもありました。

そして、新たな節目を迎えて、さらに次のノリクラを見つづけて行きたいと思います。

 

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