ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.15(2011/08/18〜19) A
【大雪渓に到着】
濃霧が続く大雪渓入口の気温は12℃。周期的にまとまった雨脚と強風に見舞われる状況です。
シャトルバスを下車して、これから山頂方面に向かおうというこちらのご家族。長袖のアウターを着ていても、寒さがその表情から感じ取られます。各地で猛暑が続く中、しまいこんだ冬物を、わざわざノリクラのために引っ張り出すのは、それだけでも汗の吹き出る大仕事ですから、「ノリクラは寒い!」と、わかっていても、どうもそこまで踏み切れないものです。
とりあえず肩の小屋までは... | 登山道入口へ |
「いや〜、この天候ですから、とりあえず肩の小屋まで行って、状況判断します...」と、おっしゃって登山道入口へと向かいます。
同じ国内でも、雨が降っている箇所があれば、晴れている箇所もあるように、各地で寒暖の差があります。その違いは、一般の方が考えている以上で、実際、この日の松本市街地の最高気温は33℃ですが、正午の大雪渓では12℃しかありません。同じ市内で実に20度以上の寒暖の差になります。
これだけ気温が異なると、完全に季節が違うと認識する必要があり、身にまとうものが、夏用では対応できないことが想像できるかと思います。
先々週に引き続き、今回もノリクラキャンプにお越しになったレーシングキャンプも大雪渓に到着し、濃霧の中、練習バーンに向かいます。さて、今日はどんな練習が行われるのでしょうか...
【雪渓下部 T】
ここからは雪渓下部の様子をお伝えします。
昨年の大雪渓入口 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2010/08/21〜22) A ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.14(2011/08/11〜13) A ↓ |
こちらの三枚の画像は雪渓下部の全容を撮影したもの。先週と比べると左側の4分の1程度が消滅していることがわかります。大きさはほぼ昨年並みです。
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昨年の大雪渓入口 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2010/08/21〜22) A |
今週の大雪渓入口 雪解けペースが若干遅くなる |
こちらの画像は、雪渓下端から入口方面を撮影したもの。雪渓下端から大雪渓入口まで距離は68メートルで、先週の73メートルよりも小さくなっています。それは、雪解けにより雪渓下端部分が左方向に移動したことに起因します。昨年は74メートルでしたので、雪解けペースが若干遅くなってきているのかもしれません。
下端部分にはは車道沿いの入口付近より一段上に上がった帯状に広がる平坦な岩場があり、その横幅は約19メートルで、昨年と同一の長さとなっています。
こちらはスキーヤー専用道のウラジロナナカマド。
先週から実の先端が星型に窪んで赤く変化するようになって来ました。今週は大きな変化はなく、昨年並みの推移です。
登山道入口 | 車道との幅は45メートル − 昨年並み |
大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。登山道付近の雪渓と車道との幅は45メートルほどで、昨年46メートルとほぼ同じです。先週までは昨年よりも遅い雪解け推移を見せていましたが、今週は昨年並みとなっています。
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昨年の登山道入口付近 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.15(2010/08/21〜22) A |
登山道入口付近から雪渓下部の右端部分の様子を比較しても、ほとんど昨年と同じ状況であることがわかります。
大雪渓から肩の小屋に向かう登山道は、ブルーベリーの仲間であるクロマメノキが、たくさんの花をつける様子が見られます。
開花とともに、蝶や蜂などたくさんの昆虫が花から花へと、忙しそうに飛び交う様子があります。おそらく、こちらはサザナミナミシャク。蛾の仲間です。中部山岳地帯の亜高山から高山帯にかけて生息する「高山蛾」で、ノリクラでは見かけることの多い蛾ですが、他の山岳地帯では、生息数が激減しているとのことです。
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先週の雪渓下部 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.14(2011/08/11〜13) B |
今週の雪渓下部 −左側が完全に雪解け 長さ42メートル×横幅42メートル − ほぼ昨年並み |
先週から今週にかけての雪渓下部の様子をご覧いただくとお分かりのように、左側が完全に雪解けで消滅していることがわかります。例年、この時期の雪渓下部は、このような雪解け推移を見せます。
今週の雪渓下部の大きさは、長さ42メートル×横幅42メートルです。正面から見ると、横幅のほうが長く見えますが、いわゆる目の錯覚によるもので、上空から雪渓を真上から観察すれば、おそらく正方形に近い状態で見られるはずです。また、縦横の長さからの雪解け推移は、ほぼ昨年並みです。
先週まで滑走するスキーヤーが訪れた二本のモーグルコース。コブのラインが何とか確認できる程度に残っています。
コース上には岩の頭が多くなり、滑走できない状況です。また、右側(北側)のラインは、スタート部分が雪解けでなくなっています。雪渓下部は、ご覧のように積雪はあるものの、滑走できるだけの長さがなく、今シーズンは滑走できないと考えられます。(→ Next)
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