ノリクラ 雪渓カレンダー
 
プレリリース版 Vol.5(2012/04/21) D

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(Update:2012/04/26)

 

【ツアーコース U − 位ヶ原急斜面】

ツアーコース − 位ヶ原急斜面

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2011ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.5(2011/04/23) C

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2012/04/14) D

今週の位ヶ原急斜面
先週より40センチ減少、昨年より70センチ多い

位ヶ原急斜面の積雪は先週より40センチ少なく、昨年と比べて70センチ多い状況です。

 

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.4(2012/04/14) D
今週の位ヶ原急斜面
ブッシュの大きさに注目 − 積雪量は減少傾向に転じる

ツアーコース位ヶ原急斜面の積雪状況は、見た目にはほとんど変化がありません。しかし、ご覧のように先週の画像と比較すると、ブッシュの量が少しずつ増えていて、これまでは増加をたどっていた積雪量は、減少傾向へと転じていることがわかります。

 

ブッシュが完全に埋まったのは、3月下旬〜4月上旬の大雪で

今シーズンは雪不足が懸念され、ツアーコース位ヶ原急斜面では、3月中旬頃まではブッシュが点在する様子があったほどです。しかし、3月下旬から4月上旬のまとまった降雪により、ようやくブッシュが埋まりました。

 

穏やかな天候が続く

いつもなら、午後になると上部エリアから戻ってくる方々が増えてきますが、今日は穏やかな天候が続き、午後になってもツアーコースに戻ってくる方がほとんどいません。

肩の小屋方面から下山してきたこちらの方。「飛騨方面は厚い雲に覆われていますよ。風向きが変わってくるとその雲がこちらにやってくるかもしれませんね。」と、おっしゃっていました。普段の肩の小屋付近は絶えず西風が踏み抜ける箇所で、大雪渓に向けて激しく雲や霧が流れ込んでいます。今日は風向きがいつもと違っているため、飛騨方面からの雲の流れ込みがありません。もし、風向きが戻ると、大雪渓・位ヶ原周辺は一気に雲や霧に包まれてホワイトアウトになります。

ゲレンデでホワイトアウトになった経験をお持ちの方も多いかと思います。しかし、バックカントリーでのホワイトアウトは本当に恐怖です。

 

【位ヶ原】

位ヶ原 − 森林限界を超えて木々が少なくなる

ツアーコース位ヶ原急斜面を登りきって森林限界を超えると、位ヶ原の台地に到達します。この先は極端に木々が少なくなり、目標物がなくなってきます。

 

二週間前の位ヶ原7号カーブ
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2012/04/07) D
今週の位ヶ原7号カーブ
積雪量は10センチ程度減少

二週間前の画像と比較すると、10センチ程度積雪量が減少しています。位ヶ原一帯は西寄り、又は北寄りの強風が絶えず吹きぬけるため、厳冬期の乾いた雪では積雪量が増加せず、春先になってようやく積雪量が増えてきます。この先も、降雪があれば増加することが期待できます。

 

気温8℃ − 位ヶ原も緩んだ雪質に

13時の位ヶ原の気温は8℃。締まった雪質の位ヶ原も、今日ばかりは緩んだ春雪になっています。

 

変幻自在に流れ行く雲 − 穏やかな雰囲気は久しぶり

午後になって流れ始めた雲が、真っ青な空のキャンパスに浮かんでいます。変幻自在に流れ行く様子は穏やかな雰囲気に包まれています。冬から春へと季節は着実にシフトしています。今日は雲が南から北へと流れて行きます。これは一年を通してみても様子も珍しいことです。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

一昨年の大雪渓入口
2010ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.5(2010/04/24) D

昨年の大雪渓入口
2011ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.4(2011/04/16) D

今週の大雪渓入口
過去5年間でもっとも多い積雪量

こちらは大雪渓入口付近。左上の画像は一昨年同時期の様子、右上の画像は昨年の様子です。今週は例年以上の積雪量であることがわかります。過去5年間を振り返っても、今週が一番の積雪量です。

 

トイレ小屋付近

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。

 

トイレ小屋 避難小屋

左の画像のトイレ小屋では屋根近くまで積雪があります。こちらも例年よりも多い積雪です。また、右の画像の避難小屋はほとんど積雪がありません。避難小屋周辺に積雪がないのは風向きの影響と考えられますが、これは毎年同じ傾向です。

 

剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線 − 無数のシュプールが刻まれる

午後から天候がやや悪化するとの天気予報でしたが、終日穏やかな状況。バーンも緩んで風もほとんどなく、多くの方が剣ヶ峰山頂を目指されたようです。剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)の稜線からは無数のシュプールが刻まれ、歓声を上げながら滑り降りるスキーヤーの姿もありました。

 

青と白しかない世界

青と白しかない世界...こんな光景も雪解けとともに、空気感とか感じる雰囲気が穏やかにそして柔らかくなってくることでしょう。

 

<編集後記>

今週末からゴールデンウィークに突入します。そして、4月28日(土)より乗鞍岳春山バスの運行開始が予定され、標高2350メートルの位ヶ原山荘まで、バスに揺られて容易に到達することができるようになります。

多くの方は、位ヶ原山荘から剣ヶ峰山頂まで、3時間前後程度で到達されているようですから、ツアーコースから登ってくる場合と比べるとかなりの時間短縮が図れ、春山バスの運行が始まらないとノリクラ入りしないという方も多くいらっしゃるようです。

白一面だった厳冬期と異なり、これからの時期は雪解けが進んでハイマツ帯が析出し始めます。ハイマツをはじめとした高山植物は厳しい環境のため成長が遅く、足を踏み入れてダメージを与えないようにしなければならないことはご承知のことと思います。
しかし、ハイマツ帯に侵入してはいけない理由はもうひとつあります。

厳冬期のライチョウは位ヶ原など亜高山帯に下り、雪に穴を掘って生活しています。しかし、これからのシーズンは高山帯に移動し、ハイマツの下で巣を作るようになってきます。

毎年、5月〜6月頃になると、春山バスでやってきたスキーヤー・ボーダーの方々が、肩の小屋から朝日岳周辺をむやみやたらにハイマツ帯を直登する姿を見ます。本来なら、グリーンサポートスタッフなどによるロープ規制がほしいところですが、現実的には難しいところがあります。

この時期のライチョウは、ツガイ形成・巣作りに勤しみ、一年のうちでもっとも重要な時期でもあります。そのため、スキーヤー・ボーダーの方々が各自で認識をもって行動してほしいと思います。特に気をつけなければならないのは、雪渓を直登したものの、途中で雪渓が途絶えて、岩稜やハイマツ帯に侵入してしまった場合などです。夏道や雪渓部分だけを登って行ける箇所を見定めてルートファインティングしてください。

ここ最近、報道では自然界でトキの雛が生まれた話題で持ちきりです。トキの事例でもお分かりのとおり、一旦、絶滅させてしまった種を人工的に繁殖させて自然界に戻すことは非常に大変なことです。幸い、ライチョウはまだ絶滅していません。しかし、今のうちに手を打たないと、トキと同じ道をたどってしまいます。


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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