ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.1(2012/05/12〜15) D

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(Update:2012/05/17)

 

【5月13日(日)、位ヶ原山荘前 春山バス到着】

まぶしい朝日 快晴無風 − 山肌は赤く染まる

日付が変わって5月13日(日)。午前5時の位ヶ原山荘はまぶしい朝日の差し込む快晴の朝を迎えます。昨日は終日冷たい空気に包まれ、冬に逆戻りしたような気候でしたが、5時の時点の気温は3℃。日の出直後から日差しの暖かさを十分感じられ、穏やかな一日が始まろうとしています。赤く染まる白肌が今日一日を活気付けてくれます。

 

力強い太陽 青と白のコントラストが冴え渡る

時間と共に日差しの強さがしっかりとしてきます。それに呼応するようにノリクラの峰々を真っ白に輝き始め、青と白のコントラストが冴え渡ります。7時の気温は6℃。位ヶ原山荘までの路面状況に問題となるところがなく、乗鞍岳春山バスは通常通り始発便からの運行が開始されます。

この一週間は冷え込んだ日が続き、路面凍結で始発便が運休される日が見られました。また、5月15日(火)からは、岐阜県側の乗鞍スカイラインの冬季閉鎖が解除され、シャトルバスの運行が始まります。夜間早朝の路面凍結は乗鞍スカイラインでも同様に見られ、始発便のダイヤが春山バスよりも一時間ほど早いこともあって、5月中の早い時間帯のシャトルバスは、運休が余儀なくされるケースが多々あります。

 

春山バス始発便到着

そして、春山バス始発便がほぼ予定通りの8時50分に位ヶ原山荘に到着します。

 

春山バス到着と同時ににぎやかな雰囲気に

それまでの小鳥のさえずりが静かに行き渡る静寂な雰囲気から、春山バス到着と同時ににぎやかな空気に包まれます。

 

屋根板へ − この晴天に気分は高揚!

しっかりとした日差しが差し込んでいますから、気温以上の暖かさ・暑さを感じる状況。昨日の真冬並みの寒さからは想像できないほど。位ヶ原山荘から屋根板の入口に向かうわずか数十メートルの区間から眺められるこの景色は、訪れた方をいざなうように聳え立ち、「山頂まで行ってみるぞ!」と、気分を高揚させてくれるものです。

 

絶好なコンディション − 迷うことなく山頂目指して!

通勤ラッシュのごとく、一斉に屋根板を登って行く様子は、先に行く方の足跡を追うように長い列がつながって行きます。今日のような絶好なコンディションですから、何も迷うことなく、頂上目指して行くしかないといっても良いでしょう...

 

大黒岳・富士見沢方面の雄大なロケーション 等高線のような縞模様 −自然の織り成す光景

屋根板を登るにつれて、大黒岳・富士見沢方面の雄大なロケーションが間近に迫ってきます。その雪肌を良く見ると、黄砂で汚れた春雪と真っ白な新雪で織り成す縞模様がまるで等高線のごとく、くっきりと浮かび上がっています。自然の描く風景の不思議さを改めて認識させられます。こんな雪の表面のちょっとした変化も、春の季節とまだまだ降雪が見られる冬の残るこの時期ならではの光景といえるでしょう。

 

【肩の小屋】

ここからは肩の小屋周辺の様子をお伝えします。

 

昨年の肩の小屋周辺
2011ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2011/05/14〜15) F
今週の肩の小屋周辺
昨年よりも多い積雪量、例年並
昨年の肩の小屋東側
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) F
今週の肩の小屋東側
昨年よりも多い積雪量、例年並

肩の小屋周辺は昨年と比べるとかなり積雪量が多いように感じられますが、例年と比べて昨年の積雪量が少ない状況でした。今年の積雪量は一昨年とほぼ同じ状況で、例年並といえるでしょう。

 

昨年の肩の小屋西側
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) F
今週の肩の小屋西側
昨年よりも多い積雪量、例年並

西側の屋根周辺の積雪も、昨年とかなりの違いがありますが、こちらも一昨年とほぼ同じで例年並み。この時期は屋根とほぼ同じ高さまで積雪があります。

 

いつもは強風が吹きぬけるものの、穏やかな陽気に肩の小屋前で休憩

大雪渓や位ヶ原山荘から山頂方面(剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳)に向かう場合、稜線に向かって直登するよりも、一旦、肩の小屋まで登り、そこから夏道(登山道)沿いに登って行くほうが、体力的にも楽に登ることができるため、今日も肩の小屋周辺ではたくさんの方が一休みされています。

ただ、いつもなら、絶えず強風が吹きぬけるエリアであるため、このようにのんびりと過ごすことができる天候条件はなかなかないと言えます。ちなみに、肩の小屋の営業は例年7月からです。

 

気の趣くままに好きな場所でお昼休み

今日は肩の小屋周辺だけでなく、気分の趣くまま、好きな場所に腰掛けてお昼休みをゆっくりと過ごされる様子があちこちで見られました。穏やかな春スキーの楽しみといえば、ゆっくりとお昼休みを過ごすことも一要素であるのでしょう。

 

【稜線目指して】

それでは肩の小屋から稜線目指して出発です。

 

昨年肩の小屋〜山頂の登山道
2011ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2011/05/14〜15) G
今週の肩の小屋〜山頂の登山道付近
登山道は完全に雪に閉ざされる。例年並

昨年は雪解けが進んでハイマツ帯が多くなり、、夏道以外の場所を歩くことがままならない状態でした。しかし、今年はご覧のように真っ白な状況。もっともこの状況の方が例年並と言えます。そのまままっすぐ朝日岳目指して歩いて行きます。

 

風紋(シュカブラ)があちこちで 締まったバーンでツボ足でも踏み抜かない

ツアーコースなどでは見られなかった風紋(シュカブラ)があちこちで見られます。厳冬期には歩くことも困難なほどの大きな風紋ができます。この時期になると、新雪がほとんどなくなりますので、風紋ができなくなりますが、今週は冷え込んだ日が多く、ゴールデンウィーク後半から降雪に見舞われたこともあって、小さめな風紋ではありますが見られました。

今日は強い日差しで、バーンが緩んできていますが、それでもグサグサになるほどではなく、ツボ足でも踏み抜くことはありませんでした。

 

摩利支天岳

稜線に向けてしばらく登ると眼下には摩利支天岳を望むことができます。

 

昨年の摩利支天岳あ
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) G
一昨年の摩利支天岳
2010ノリクラ 雪渓カレンダーVol.5(2010/06/12〜13) C

こちらはは2010年と2011年の摩利支天岳の様子。積雪量の少なかった昨年よりも明らかに多いことがわかります。一昨年とほぼ同じ状況から例年並といえるでしょう。

 

徐々に勾配は強くなる

肩の小屋方面登り始め、稜線に近づくにつれて勾配は徐々に強くなって行きます。

 

今年からシールで登るようにしました ようやくシールの感覚に慣れてきました

「今までスキーをザックに背負ってスノーシューでやってきましたが、今年からシールで登るようにしました。ようやくシールの感覚に慣れて、すごく楽に登ることができるようようになりました。」と、おっしゃるこの方。勾配が強くなるにつれて、シールのグリップが効きにくくなり、踵に力を入れるようにするとグリップがよくなることをお伝えすると、「あっ、ちょっとわかってきた〜」と、すいすいと先に進んで行かれました。

 

新しい新雪と古い春雪とが混ざって、シールが効きにくい所も

新しい新雪と古い春雪とが混ざり、さらにフィルムパックが始まった午後になると、場所によってシールがかなり効きにくいところがあります。

 

足元ばかりに気を取られ

滑らないよう一歩一歩の足元ばかりに気を取られ、眼下にすばらしいロケーションが広がっていることすら気付きません。

 

振り返ってみると。「わぁ〜!!」と...

稜線まであと少しですが、先を急ぐ足を止めて、振り返ってみることをお勧めすると。「わぁ〜!!」と、思わず声を上げてしまいます。この光景に巡り合えるには、もちろん、ここまで苦労して登ってこなければなりませんが、それと同時に、今日のように天候に恵まれなければならないわけで、冬に逆戻りした昨日のような極寒のノリクラが続いても、今日のようなノリクラに一回でも巡り合えば、これまでの悪天候続きのことなど忘れてしまうんですね。 Next


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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