ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.6(2012/06/15〜17) @

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(Update:2012/06/21)

 

通常、週末に取材に訪れますが、今回は一日前倒しして、6月15日(金)から6月17日(日)に訪れました。

先週末は梅雨入り初日で芳しくない天候でしたが、その後は梅雨の中休みの天候が続きました。そして、取材一日目の6月15日(金)も青空の朝を迎えます。その青空には筋状の雲がたなびきます。乗鞍スカイラインからは穂高連峰や傘ヶ岳がはっきりと浮かび、高い山の頂に残る残雪さえなければ、まるで秋の光景かと見間違えてしまうほどです。畳平に到着すると空の青さがさらに輝き、上空をイワヒバリが激しく行き交う様子を見ると、季節がさらに次のステップへ移っている感じがうかがえます。平日とあって人出が少なく、今日もあちらこちらで雷鳥の姿を多く見かけます。体感的な気温では、暑くもなく寒くもなく、そして、時間と共に雲量が多くなって日差しもなく、本当に過ごしやすい状況。午後になると、稜線上の風もやや冷たさを感じるようになり、濃霧に見舞われる時間帯のほうがなくなってきました。

取材二日目の6月16日(土)は、昨晩からの小雨がまとまった降り方を見せるようになって来ました。雨の降り方は乗鞍スカイイランの雨量規制値に達するものではないものの、3.5kmポスト付近の法面崩落の工事を実施する都合から終日通行止めとなりました。そのため、今日の入山は長野県側の乗鞍岳春山バスを利用しましたが、雨はさらにひどくなり、春山バス始発便が出発する頃には屋外に出るのも億劫になるほどの状況。そして、春山バスが到着した9時の大雪渓は濃霧と小雨の状況で、思ったほどのひどさはなかったものの、時間とともに暴風に近い悪天候となりました。結局、この日は天候の回復を見ないどころか、さらにひどくなるばかりの一日でした。

そして、取材三日目の6月17日(日)は、昨日から降り続く雨が7時頃になってようやく上がってきました。しかし、昨晩の激しい降り方で、乗鞍スカイラインは24時間雨量規制のため通行止め、そして、県道乗鞍岳線も同様に雨量規制値を超えたため、乗鞍岳は春山バスは始発便が運休となりました。その後、青空が広がり始めて、第2便から運行開始が決まった春山バスを待つ乗鞍高原は、しっかりとした暑さを覚える状況で、季節はもう夏を迎えようとしています。春山バス第2便が到着した大雪渓は激しく雲が流れ、山頂付近だけすっぽりと雲に覆われていますが、それも次第に抜けて行きます。それでも稜線上はかなりの強風で、帽子が吹き飛ばされたり、四つん這いになりながら稜線を目指す様子もありました。しっかりと、雲が抜けたのは春山バス下り最終便が出発する間際で、先週と同様、もう少し早く天候が回復してくれたらと思った一日でした。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月15日(金)、ほおのき平駐車場】       【乗鞍スカイライン】
Page-2 : 【畳平に到着】       【畳平周辺】       【肩の小屋へ】
Page-3 : 【大雪渓下部】       【肩の小屋】
Page-4 : 【稜線へ】       【稜線】
Page-5 : 【頂上小屋、雷鳥の訪問】       【剣ヶ峰〜蚕玉岳】       【春山バスの通る雪の壁】
Page-6 : 【6月17日(日)、春山バス始発便が運休】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>
参考情報 : 【大雪渓から稜線へルート − 直登ルートにはもう雪がありません、環境保護のため迂回してください】(Page-4)

●参考資料●
(周辺地図) − ノリクラ ガイドマップ (春〜夏スキー 大雪渓・山頂版)      ノリクラ ガイドマップ (県道乗鞍岳線カーブ番号版)
(乗鞍スカイラインシャトルバス) − 2012シーズン版 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報
(乗鞍岳春山バス) − お知らせ−2012年GW期間から6月末までの位ヶ原山荘(大雪渓)行きのバス(春山バス)の運行について(2012/03/29)

 

【6月15日(金)、ほおのき平駐車場】

ほおのき駐車場

こちらは早朝6時30分のほおのき平駐車場。

 

梅雨の中休みの晴天

このところ、週末になると天気が悪く、週が開けてからは再び天候が回復するパターンとなっています。今週はまさにその通りで、月曜日から梅雨の中休みが続いていてます。そして、本日、6月15日(金)も綺麗な青空の朝から始まります。

どうやら、梅雨の中休みも今日までのようで、週末を迎える明日からは、再び梅雨本来の天候となりそうです。

 

気温14℃、筋状の雲がたなびく 猫岳はやや霞んでいるあああ

6時の気温は14℃。上空には筋状の薄い雲がたなびくものの、ほおのき平駐車場から望む猫岳もはっきりと確認できます。先週も同じ画像をご紹介し、猫岳の山腹に乗鞍スカイラインが横切っている様子もはっきりしていました。しかし、今日は若干霞んでいます。

こちらから乗鞍スカイラインが確認できるということは、乗鞍スカイラインからもほおのき平駐車場が確認できるはずです。乗鞍スカイラインから見るほおのき平ら駐車場の画像は、この後の 【乗鞍スカイライン】のコーナーの中 でご紹介します。

 

畳平の天候 − 気温3℃はほぼ例年なみ 平日のため、毎時一便

今朝の畳平の天候は晴。気温3℃、視界は良好です。5月末までは朝6時の畳平の気温が氷点下となることも多いようですが、6月になれば氷点下を記録する日も少なくなり、3℃という気温はほぼ例年並みです。

そして、今日のシャトルバスの運行は晴天時のAダイヤ。ただし、平日ですから一時間に一便の運行です。乗鞍スカイラインシャトルバスは、あかんだな駐車場→平湯温泉→ほおのき平駐車場→畳平 という路線です。土日祝日は一時間に二便ですが、そのうち毎時25分発の便はほおのき平から畳平への便です。そのため、土日祝日に乗鞍スカイラインシャトルバスをご利用の場合、ほおのき平駐車場のほうが乗り換え駐車場よりも便利です。

 

平日でもまずまずの人出

平日ですが、梅雨の中休みとあって、バス乗り場にはまずまずの人出が見られます。

 

トランクの小さい車両もあります トランクが一杯になったら車内持込へ

以前にもご紹介いたしましたが、乗鞍スカイラインシャトルバスの一部の車両では、トランクが極端に小さいタイプがあります。今日のような平日で利用者の少ない場合は、あまり問題ありませんが、週末など利用者の多い場合は、スキー・ボードを車内に持ち込む場合もあります。

 

それでは、いつものように畳平に向けて出発です。

 

【乗鞍スカイライン】

平湯峠 − この先マイカー規制

ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。ほおのき平駐車場から6kmほどのところにある平湯ゲート。乗鞍スカイラインはここから始まります。道路左側に平湯ゲート詰所があり係員が許可車両のチェックなどを行っています。この先はマイカー規制となっていて、バス・タクシー・自転車と特別に許可された車両のみの通行となっています。

平湯峠(平湯ゲート)周辺には、マイカーの駐車場がありますが、シャトルバスの停留所はありません。そのため、ほおのき平駐車場か、平湯温泉にあるアカンダナ駐車場でシャトルバスに乗り換えてください。乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場は、2012シーズン版乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 をご覧ください。

 

昨年の平湯峠付近
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @

今週の平湯峠付近
徐々に新緑の芽吹きが

標高1684mの平湯峠ゲートから乗鞍スカイラインを進みます。先週までは、芽吹き状況が昨年よりも遅い様子が見られました。しかし、今週になって少し芽吹きのスピードが上がってきているようです。しかし、それでも昨年と比べるとまだまだ遅い状況が見られます。

 

電線は管理事務所まで − 畳平まで行ってません 北アルプスの山並み

平湯峠ゲートを通過して2kmポスト付近。このあたりから北アルプスの山々の頂が周囲の山よりも背が高くなってきます。「周囲の山」とは言うものの、焼岳なども含まれるため、周囲の山そのものも北アルプスの山であることは間違いありません。

そして、左の画像に電線が懸架されている様子があります。この電線は3kmポスト付近にある乗鞍スカイライン管理事務所(夫婦松駐車場)まで達しています。別の言い方をすれば、それより先には電線がありません。つまり、畳平には電気や供給はなく、畳平バスターミナルなどの各施設は自家発電で電力をまかなっています。

また、畳平の電話などの通信設備も以前は無線電話でしたが、最近は携帯電話網を利用しているようで、畳平バスターミナルには携帯電話の基地局が設置されています(ドコモ・AU)。また、この基地局の電力も自家発電のため、乗鞍スカイラインが冬季閉鎖を迎えると、畳平周辺では携帯電話が利用できなくなります。そのため、厳冬期に畳平周辺に入山される方はご注意ください。

その場合、岐阜県側の乗鞍スカイライン側よりも長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)方面に移動したほうが通信状況がよいようです。ただし、記事編集時点での情報ですので、電話会社の都合などにより、今後、変更される可能性もありますのでご注意ください。

 

昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) @

今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
残雪がほとんどなくなる − 昨年とほぼ同じ推移

マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ、標高は2050メートルの4kmポスト付近の様子。これまでは、昨年よりも積雪量の少ない傾向を示し、先週あたりから昨年とほぼ同じ推移を示すようになって来ました。そして、今週はほとんど残雪がなくなってしまいました。ほぼ昨年と同じ推移です。

 

4kmポスト手前の展望台 傘ヶ岳がくっきりと

こちらは4kmポスト手前にある展望台。シャトルバスに乗車した場合は、ここに降り立つことができませんが、タクシーや自転車でお越しになれば、ここからの眺めを楽しむことができます。

今日は傘ヶ岳から穂高の山並みまでがはっきりと楽しむことができます。このように山並みを一望できる箇所が、乗鞍スカイライン沿線には随所にあります。展望台に立つことができなくとも、背の高いシャトルバスの車窓からなら、十分な眺望が得られると思います。

 

まるで秋空のような光景

くっきりと冴え渡る空気に絵筆を思う存分振るった雲が青空一面に広がります。この画像では、左のダケカンバに芽吹きが見られ、右側には遠景の山並みには残雪が見られます。

もし、ダケカンバが黄色く紅葉したとすれば、まさに三段紅葉と呼べるような光景となり、今日の空は秋を感じさせる高い空でした。

 

昨年の猫の小屋跡地 
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @
先週の猫の小屋跡地
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) @

今週の猫の小屋跡地
2008年とほぼ同じ積雪量

さらに進んで、標高2200メートル、7kmポスト付近の猫の小屋跡地。先週の画像と比べるとかなり雪解けが進んでいることがわかります。しかし、この数年の同一週に周辺の雪解けが完了しています。積雪量の多かった2008年については、今週と同じように積雪が残り、過去5年間では、2008年とほぼ同じ積雪量です。

 

森林限界を超えて この付近から残雪が見られる

標高2300メートルの8kmポスト付近に到達すると森林限界に近づいてきます。この付近から周辺の斜面に残雪が見られるようになってきます。

 

猫岳山腹を横切る乗鞍スカイライン(9〜10kmポスト)

そして、こちらは猫岳の山腹を横切る部分。この画像は乗鞍スカイラインを畳平方面から平湯峠方面(南から北方面)に向かって撮影しています。位置としては9kmポストと10kmポストの中間付近です。

 

眼下には、ほおのき平スキー場とほおのき平駐車場

ここから山麓方面を見ると、ほおのき平スキー場のゲレンデが容易に確認でき、ゲレンデのベースに駐車場もあります。この駐車場がシャトルバス乗り換え駐車場のほおのき平駐車場です。

今朝、ほおのき平駐車場から望んだ猫岳 は、ちょうどこの付近だったわけです。この付近の標高は2450メートル。ほおのき平駐車場は1230メートルですから、その標高差は1200メートルにも達します。

 

昨年の烏帽子岳
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @

今週の烏帽子岳
2008年以降最も多い積雪量

昨年の四ッ岳カーブ
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @

今週の四ッ岳カーブ
2008年以降最も多い積雪量

上段は森林限界を超えて最初に見られる山は23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ標高2550m)。先週と同様、2008年以降もっとも多い積雪量が続いています。ただ、その差は徐々に少なくなって来ています。

下段はその先にある乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。こちらも烏帽子岳と同様で、先週と同様、2008年以降もっとも多い積雪量を示しています。

 

先週の四ッ岳カーブ
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) @
今週の四ッ岳カーブ
これまでよりも雪解けが進む
先週の四ッ岳カーブ
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) @
今週の四ッ岳カーブ
これまでよりも雪解けが進む

ご覧の画像は四ッ岳カーブ周辺を先週と比較したもの。この一週間の雪解けのスピードはこれまでよりも若干早い様子が見られます。そろそろ、積雪量が少なくなって来ているため、雪解けが早く感じられ、また今後は気温も上昇してくることも、雪解けスピードを加速させる要因にもなります。

 

土俵ヶ原 烏帽子岳 − 角度によって形が異なる

四ッ岳カーブを抜けて土俵ヶ原からさらに登ると、三角錐が綺麗な山が真正面に聳えます。こちらは烏帽子岳。前述の烏帽子岳と同じ山ですが、見る角度が違うと、形がこれだけ異なるものです。

最も「烏帽子」という名が付いているわけですから、前述の烏帽子岳 から見た角度ではなく、こちらから見た角度の山容から名づけられているようにも感じられます。しかし、もう少し南側に回って桔梗ヶ原方面から見た山容は、まさに烏帽子とうなづける形状をしていますので、烏帽子岳の正面は南面かもしれませんね。

四ッ岳 穂高の山並み

さらに進むと、手前から土俵ヶ原を裾野に携える四ッ岳、そして、その奥には穂高連峰の山並みが続きます。右の画像は穂高の山並みをアップにしたところですが、その手前に四ッ岳の山腹にしっかりと残雪が残る様子があり、その対岸には少しだけ筋状に残雪の残る山肌があります。

こちらの山は硫黄岳。乗鞍岳23峰のひとつです。この山そのものには硫黄が噴出している様子はありませんが、この山のすぐ西側には硫黄泉が噴出している場所があり、乗鞍高原温泉はこの付近から引湯しています(源泉名:湯川温泉)。

 

桔梗ヶ原 振り返れば穂高が聳える

さらに進んで桔梗ヶ原。先ほどの乗鞍高原温泉の源泉が近いこともあって、天候・風向きによって、硫黄の匂いが漂ってくる場合があります。

 

昨年の鶴ヶ池雪渓
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @
今週の鶴ヶ池雪渓
2008年以降最も多い積雪量

畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。鶴ヶ池雪渓の詳細については、ノリクラガイドマップ春〜夏スキー鶴ヶ池雪渓版 をご覧ください。

昨年は積雪量の少ないシーズンだったため、昨年よりもかなり多い様子が見られます。先週と同様、2008年以降、積雪量の一番多い積雪量が続いています。ただ、この一週間の雪解けは、それまでよりもスピードが上がってきているため、例年、6月末には滑走禁止の措置が取られますが、その滑走禁止の時期が大幅に伸びるような気配は感じられません。

 

畳平に到着

平湯峠から14.4km、国内の自動車道でもっとも高いところに位置する標高2702メートルの畳平に到着です。 Next

 

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