ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.7(2012/06/22〜23) @

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(Update:2012/06/28)

 

今回は、6月23日(土)〜24日(日)に第7回乗鞍天空マラソンが開催される都合から、一日前倒しして、ノリクラ雪渓カレンダーの取材を行いました。

取材一日目の6月22日(金)は、昨晩の大雨が早朝までに収まり、若干小雨の残る朝を迎えます。乗鞍スカイラインでは降り始めからの雨量が60mmを超え、今後も雨が降り続く状況なら、通行見合わせとなるほどでしたが、通常通り7時に開門されました。しかし、上部の畳平は天候の回復が遅れて、濃霧が続いています。畳平の濃霧が抜け始めるのが10時過ぎてから、そして、しっかりとした天候の回復を感じさせるのはお昼頃で、夕方には綺麗な青空に恵まれ、夏至を迎えたノリクラでは日が傾きだしても、時間が止まったかのように、いつまでもきらびやかな斜光に包まれた夕刻が続きました。

取材二日目の6月23日(土)は、少しばかり青空に薄いベールのかかる朝を迎えます。観光センター前駐車場や三本滝レストハウス前駐車場は天空マラソン開催のため、一部利用制限が行われていることもあって、観光センター前駐車場は早朝から満車に近い状態。今シーズン最後の春スキーにお越しになった方々も多く、今日の乗鞍岳春山バス始発便は3台運行され、大雪渓に向かいます。春山バスの車窓からは、雲海に浮かぶ南アルプスや穂高の山並みが映え、薄曇の天候ながらもなかなかの眺望を楽しむことができます。そして、到着した大雪渓・肩の小屋口バス停から見る山頂方面は、この一週間で激しく雪解けし、訪れたスキーヤー・ボーダーも驚きの様子を見せていました。また、次の週末から営業を再開する肩の小屋では、スタッフが泊り込みで小屋開けの準備を行っていました。

6月24日(日)は、晴〜雲の天候でしたが、穂高の山並みがくっきりと眺められるまずまずの状況の中で、第7回乗鞍天空マラソンが開催されました。昨年よりも200名ほど多い1978名のエントリー数となりました。第7回乗鞍天空マラソンの特集は、7月上旬に掲載を予定しておりますので、今しばらくお待ちください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月22日(金)、ほおのき平駐車場】       【乗鞍スカイライン】
Page-2 : 【畳平周辺】       【肩の小屋へ】
Page-3 : 【大雪渓下部】       【肩の小屋、今シーズンの営業開始に向けて】
Page-4 : 【稜線へ】       【稜線】
Page-5 : 【剣ヶ峰〜蚕玉岳】       【春山バスの通る雪の壁】
Page-6 : 【6月23日(日)、そろそろ春スキーシーズンも終盤】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>
参考情報 : 【剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳方面を目指すスキーヤー・ボーダーの方々へ − 大雪渓・肩の小屋方面から稜線への登行ルートについて】(Page-4)

●参考資料●
(周辺地図) − ノリクラ ガイドマップ (春〜夏スキー 大雪渓・山頂版)      ノリクラ ガイドマップ (県道乗鞍岳線カーブ番号版)
(乗鞍スカイラインシャトルバス) − 2012シーズン版 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報
(乗鞍岳春山バス) − お知らせ−2012年GW期間から6月末までの位ヶ原山荘(大雪渓)行きのバス(春山バス)の運行について(2012/03/29)

 

【6月22日(金)、ほおのき平駐車場】

ほおのき平駐車場

こちらは早朝6時30分のほおのき平駐車場。

 

気温14℃ − 昨晩の大雨が収まる

気温は14℃、昨晩の激しい雨は早朝には小雨まで収まり、現在はほとんど止んだ状態です。今日は平日ということと、天候が芳しくないこともあって、駐車場はほとんど車がありません。

 

乗鞍スカイラインは雨量規制ぎりぎりまで降雨が続いた

昨晩の雨は23時ごろから降り始め、夜中の2時前後には激しい降り方を見せ、早朝5時ごろになってようやく雨脚が弱くなりました。乗鞍スカイラインでは降り始めからの雨量が60mmを超え、このまま雨が降り続けば、24時間連続雨量規制値の70mmを超えてしまう状況でしたが、雨が収まったこともあって、今日は通常通り7時に開門が決まりました。

 

畳平の天候 今日のシャトルバスはBダイヤ

6時の畳平の天候は雨、気温は6℃です。表示の雨もこの後、すぐに収まったようです。そして、昨日の段階で80%の降水確率が発表されていたこともあり、今日の乗鞍スカイラインシャトルバスは降雨時のBダイヤです。

通常時のAダイヤには毎時一便の平日ダイヤと毎時二便の土日祝日ダイヤがあります。しかし、Bダイヤには平日・休日の区別はなく、一日でわずか6便しかありませんのでご注意ください。

 

昨晩から大雨洪水雷注意報が続く

昨晩から飛騨北部地域に大雨洪水雷注意報が発令され、ほおのき平バスターミナルには、始業開始と同時に注意報の掲示がなされました。乗鞍は岐阜と長野の両県にまたがっていますので、入山される際には、飛騨北部地域と乗鞍上高地地域の両方の天気予報・警報注意報を確認されることをお勧めします。

 

そして、定刻前にシャトルバス始発便が到着します。

 

乗鞍スカイラインが通行できればシャトルバスも運行

乗鞍スカイラインが通行可能であれば、よほどのことがない限り、シャトルバスが運休するということはありません。ただ、乗鞍スカイライン開門の一時間ほど前にならないと、開門するかどうかの可否がわかりませんので、今日のように24時間連続雨量規制値に達しそうな状況の場合は、開門決定がさらに遅れ気味になります。

 

それでは、いつものように畳平に向けて出発です。

 

【乗鞍スカイライン】

平湯峠 − この先マイカー規制

ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。ほおのき平駐車場から6kmほどのところにある平湯ゲート。乗鞍スカイラインはここから始まります。道路左側に平湯ゲート詰所があり係員が許可車両のチェックなどを行っています。この先はマイカー規制となっていて、バス・タクシー・自転車と特別に許可された車両のみの通行となっています。

平湯峠(平湯ゲート)周辺には、マイカーの駐車場がありますが、シャトルバスの停留所はありません。そのため、ほおのき平駐車場か、平湯温泉にあるアカンダナ駐車場でシャトルバスに乗り換えてください。乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場は、2012シーズン版乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 をご覧ください。

 

先週の平湯峠付近
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2012/06/16〜17) @

今週の平湯峠付近
かなり緑が濃くなる

標高1684mの平湯峠ゲートから乗鞍スカイラインを進みます。先週までは例年よりも緑の芽吹きが遅い状態が見られました。しかし、今週は緑の密度が明らかにしっかりとしてきた様子が見られます。

 

まとわりつく濃霧が抜け始める

山肌にまとわりつく濃霧が抜け始めてゆきます。何気ない風景ですが普段との違いを感じるように、常に目線をいろいろなものに向けることが大切です。

 

先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2012/06/16〜17) @

今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
残雪が完全になくなる

マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ、標高は2050メートルの4kmポスト付近の様子。今週は完全に積雪がなくなりました。昨年同時期の画像がありませんので、前年との比較はできませんが、ほぼ、例年並みの推移と考えられます。

 

木々の緑にはっきりとした濃淡が − 針葉樹と広葉樹が共に分布する境界域

木々の緑の濃淡が見られます。これも新緑の若い芽吹きがはっきりしてきた証拠でしょう。広葉樹が落葉した秋以降は、常緑の針葉樹しか葉を残しません。そして、春になって広葉樹の芽吹きが見られるようになりと、深い緑の針葉樹と若い緑の広葉樹が点在している様子がよくわかります。

また、別の見方をすると、標高の低いところに分布する広葉樹と標高の高いところに分布する針葉樹の両者の境界線に位置するエリアであることもここからわかります。

乗鞍スカイラインは、広葉樹が大部分を占める標高1648メートルの平湯峠から、標高2000メートル付近の両者が共存するエリア、そして、標高2400メートル付近の森林限界近くでは針葉樹が優勢となり、さらにその先の桔梗ヶ原ではハイマツ帯の広がる高山帯へと進んで畳平へ到着します。

一本の道路でこれだけ多彩な変化を見せるのは、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)と乗鞍スカイラインの二つ以外に該当する路線は数少ないと思います。また、県道乗鞍岳線の基点は、乗鞍高原よりもさらに山麓の国道158号線と合流する前川渡(まえかわど)です。標高1004メートルの前川渡から標高2715メートルの県境までの標高差は1711メートルで、一路線でこれだけの標高差を駆け上がる道路は、県道乗鞍岳線以外にはないはずです。

 

先週の猫の小屋跡地
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2012/06/16〜17) @

今週の猫の小屋跡地
2008年とほぼ同じ積雪量

さらに進んで、標高2200メートル、7kmポスト付近の猫の小屋跡地。3kmポスト付近と同様にこちらも積雪が完全になくなりました。昨年同時期の画像はありませんが、2009年・2008年も同時期に積雪がなくなり、この時期に積雪がなくなるのは例年並の状況です。

 

森林限界を超えて

標高2300メートルの8kmポスト付近に到達すると森林限界に近づいてきます。この付近に達するとご覧のようにひどい濃霧に見舞われてきました。そのため、これより上部の画像は、天候の回復した夕方のものを使用します。

 

ダイナミックに湧き上がる雲 − 乗鞍スカイラインから望む雲海は必見

もくもくと湧き上がる雲。夕方の斜光を浴びるとダイナミックさがさらに感じさせます。乗鞍スカイラインから望む雲海には一見する価値があります。そのため、長野県側の乗鞍高原で観光客を乗せたタクシーの運転手の中には、乗鞍高原から県道乗鞍岳線を経由して畳平を案内した後、この雲海を楽しんでもらうために、乗鞍スカイラインの途中までわざわざタクシーを走らせることもあるほどです。

 

昨年の烏帽子岳(同時期の一週間前)
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @

今週の烏帽子岳
2008年以降最も多い積雪量

昨年の四ッ岳カーブ(同時期の一週間前)
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @

今週の四ッ岳カーブ
2008年以降最も多い積雪量

上段は森林限界を超えて最初に見られる山は23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ標高2550m)。先週までは2008年以降最も積雪量の多い状態が続いていましたが、今週はかなり雪解けが進んで、例年と変わらない状態になってしまいました。

下段はその先にある乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。こちらもカーブ内側付近の雪解けが激しい状態が続いています。それでも、先週と同様、2008年以降もっとも多い積雪量を示しています。

 

先週の四ッ岳カーブ
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2012/06/16〜17) @
今週の四ッ岳カーブ
かなり雪解けが進む
先週の四ッ岳カーブ
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2012/06/16〜17) @
今週の四ッ岳カーブ
かなり雪解けが進む

ご覧の画像は四ッ岳カーブ周辺を先週と比較したもの。前述のとおり、カーブ内側を中心に激しく雪解けが進んでいます。四ッ岳カーブ付近の積雪が見られなくなる時期がそろそろ近づいててきているようです。

 

烏帽子岳(東側より) 烏帽子岳(南側より)

烏帽子岳の山容は見る角度によって大きく異なることを先週のノリクラ雪渓カレンダーでご紹介いたしました。左の画像は、先週もご紹介した土俵ヶ原から(東側)の様子。三角形の形状が少し横幅になっています。

そして、桔梗ヶ原側(南側)からみた烏帽子岳、まさに烏帽子の形になっていますね。

 

桔梗ヶ原 穂高連峰(桔梗ヶ原より)

さらに進んで桔梗ヶ原。申し分ない天候に照らされて、すべてのものがくっきりと浮かび上がっています。

 

四ッ岳の影が硫黄岳に伸びる − 夏至翌日、最も短い影

四ッ岳の山陰がとなりの硫黄岳へと伸びて行きます。まさに天然の日時計です。撮影した時刻は17時08分。今日は夏至を迎えた翌日ですから、同一時刻で見たとき、一年で最も日陰の短い日時計であると言えます。

乗鞍スカイラインが冬季閉鎖になる10月末は、17時にはもう真っ暗となり、シャトルバスの下り最終時刻も、10月は30〜60分も繰り上がるほどです。(曜日により異なります。)

 

昨年の鶴ヶ池雪渓(同時期の一週間前)
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2011/06/17〜18) @
今週の鶴ヶ池雪渓
2008年並みの積雪量

畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。鶴ヶ池雪渓の詳細については、ノリクラガイドマップ春〜夏スキー鶴ヶ池雪渓版 をご覧ください。

昨年は積雪量の少ないシーズンだったため、これまでは昨年よりもかなり多い様子が見られました。しかし、この一週間の雪解けが激しく、昨年とそれほど変わらない状況になってきました。そのため、2008年以降、積雪量の一番多い状態が続いていましたが、2008年並みとなっています。

 

畳平に到着

平湯峠から14.4km、国内の自動車道でもっとも高いところに位置する標高2702メートルの畳平に到着です。 Next

 

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