ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.9(2012/07/06〜07) E

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(Update:2012/07/12)

 

【畳平、お花畑】

ここからは畳平のお花畑の様子をお伝えします。

 

入口付近の雪の壁

畳平バスターミナルからお花畑へ降りる入口階段付近は、ご覧のようにまだ雪の壁があります。

 

入口付近のお花畑 − 雪解けが進んでハクサンイチゲの新芽

また、階段上にも積雪箇所がありますので、スリップ転倒には注意が必要です。それでも入口付近でも雪解けが進み、ご覧のようにハクサンイチゲの新芽が見られるようになって来ました。

先週のこの付近は、まだ完全に雪の中でしたので、一週間で一気に成長が進んでいることがわかります。

 

周回コース分岐点

入口からさらに周回コースを進んで行きます。

 

周回コース分岐点付近 − ハクサンイチゲにつぼみはまだ

先週のお花畑は、ハクサンイチゲの新芽が出始めて、つぼみの見られるものは、雪解けが早期に終わった周回コースの奥でちらほら見られる程度でした。周回コースの雪解けはお花畑奥の西側から、お花畑手前の東側に向かって進みますから、お花畑奥のほうが生育が早い傾向が見られます。

この付近は周回コースの分岐点付近で、お花畑の中でも雪解けの比較的遅い箇所。そのため、先週よりも若干生育していますが、それでもハクサンイチゲにつぼみはまだ見られません。

 

周回コース中間付近

さらに奥のほうへ(西のほうへ)進んで行くと...

 

ハナゴケ

他の高山植物が生い茂ると、その存在がわからなくなりますが、地表が薄い緑に点在する様子が見られます。こちらのハナゴケは菌類と藻類が共生している地衣植物。菌類が植物としての構造体を形成し、そこに共生する藻類が光合成によりエネルギーを生産することで両者の関係が成り立っています。

ハナゴケのほか、岩に地図のような絵柄を作るチズゴケも地衣植物として有名で、ノリクラでも各所でチズゴケの模様を見つけることができます。

 

お花畑は雪解け水と雨水が大量に流れ込む

ハナゴケは比較的湿り気の多く、明るい場所で自生します。ご覧のようにお花畑は雪解け水や雨水がかなり流れ込んでいます。このような場所は雪田と呼ばれる場所で、湿り気を好む高山植物が多く自生します。

 

周遊コース中間〜折り返し地点間 − ハクサンイチゲのつぼみ、一部開花も

周遊コースをさらに奥のほうへ進むと、ハクサンイチゲにもつぼみが見られるようになり、開花しているものも確認できます。例年、この時期にはハクサンイチゲが満開を迎えるところですが、今年はかなり遅い状況が見られます。

 

そして、周回コースの落ち返し地点付近まで到達すると。

 

周回コース折り返し地点付近 - ハクサンイチゲが開花、例年より一週間程度遅い

開花しているハクサンイチゲが数多く見られます。それでもすべての株で満開になっているわけではなく、例年よりも一週程度遅い状況です。

 

ショウジョウバカマ 遅いながらもシーズンは着実に始まる

ハクサンイチゲ以外にもショウジョウバカマなどの高山植物も見られるようになって来ました。遅いながらもちゃんとお花畑のシーズンが始まっています。

 

【昨年の今ごろは?】

2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2011/07/07〜09) @

県道乗鞍岳線の三本滝ゲートの先で、法面土砂崩れが発生したことから、7月5日(火)より通行止めとなりました。そのため、この週は取材も乗鞍スカイラインからの入山となりました。

7月7日(木)は、小雨の降る朝を迎えます。長野県側の県道乗鞍岳線の通行止めが続いていることもあって、今日は乗鞍スカイラインからのアクセスです。畳平の8時前には少し青空がのぞき、天候の回復が期待されたものの、霧雨から次第に雨脚が強くなり、10時の肩の小屋付近では横殴りの雨。前を向いて歩くことが困難なほどです。この天候のため、肩の小屋に訪れる登山の方はほとんどなく、スタッフの方も普段はできない料理の練習をされる様子もあります。春の竹林では雨が降ると一気にたけのこが伸びますが、大雪渓のバーンも今日のように雨が降ると、たけのこ状の氷柱があちこちにできます。また、雨に加えて、終始濃霧に包まれ、今日はほとんど取材にならない一日となりました。

7月8日(金)は、昨晩からの雨が止んで曇り空ですが、乗鞍スカイラインは連続雨量規制のため通行止め。天候は次第に回復傾向を見せ、10時頃には青空が広がるようになります。訪れたスキーヤー・ボーダーの方々もシャトルバスの運行開始を待つものの、一向にその気配はなく、ほおの木平バスターミナルには終日運休の掲示がされます。午後になると完全に青空となりますが、24時間累積雨量をもとに通行規制を実施するため、今回は終日通行止めという状況となってしまいました。また、長野県側の県道乗鞍岳線の復旧工事が夕方までに完了し、明日からの開通が決定しました。さらに、この日は、東海地方の梅雨明けが発表されました。昨年より9日早く、平年より13日も早い梅雨明けです。

そして、7月9日(土)は、やや雲の多い朝を迎えます。久しぶりに運行を再開した乗鞍高原〜畳平シャトルバスに、スキーヤーの方々が乗り込むところから今日一日が始まります。天候は次第に回復傾向となり、10時ごろにはモクモクとした入道雲が青い空にわき上がり、夏のノリクラの雰囲気が漂う大雪渓が見られます。バーンも緩んで夏スキー本番を迎え、それを裏付けるように、関東甲信地方にも梅雨明けが発表されました。昨年より8日早く、平年より12日も早い梅雨明けです。そして、岐阜県側の殿下平総合交流ターミナルでは、明日開催される 第8回 乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムの大会受付が行われました。

 

<編集後記>

「裾野が広がって行くこと。」

第9回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム(2012/07/08)
スタート直後のパレード区間(実業団E1・E2クラス)

国内自動車道最高標高地点を誇るノリクラの山岳道路を利用した自転車のヒルクライムレースは年に2回あり、そのうち、岐阜県側で開催される乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムが今回ありました。例年通り今回も取材に訪れたわけですが、回を重ねるごとに大会そのものが成長していく様子を肌で感じることができます。

「乗鞍スカイライン」という名を冠していることからわかるように、大会コースは乗鞍スカイラインを登って行くヒルクライムレースです。マイカー規制が実施されるまでの乗鞍スカイラインは自転車での通行が禁止されていましたが、マイカー規制実施と同時に自転車通行が解禁され、この大会はその翌年の2004年から開催されました。第一回大会の参加者はわずか184名で、ほとんど大会関係者しか参加していないような状況でした。良くも悪くも必ず比較される、国内のヒルクライムレースを代表する全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 とは、比べ物にはならないほど小さなものでした。

そして、今回は昨年の倍近い983名エントリー数となり、大会運営面でも安定した様子が見られるようになって来ました。

「自転車大会などイベント的な催し物で集客するのではなく、普段から観光客がやってくるような取り組みが必要。」という声もあります。しかし、このようなイベントを通して、裾野をさらに広げて行くことができるのではないかと思います。

県道乗鞍岳線(エコーライン)は、7月になると冬季閉鎖が解除され、週末になるとヒルクライマーが大雪渓前を途切れなく通過する様子が見られるようになります。その中には、8月末に開催される全日本マウンテンサイクリングin乗鞍に出場するためのトレーニングにお越しになる選手もいらっしゃいます。そして、「今シーズンのトレーニングは、マウンテン(全日本マウンテンサイクリングin乗鞍)に焦点を合わせて行っている」という話をお聞きすることが多々あります。

普段から多様な方にお越しいただくことも必要でしょう。でも、上記のように大会の時だけなく、そのトレーニングにもお越しいただけるようになると、色々な意味で裾野が広がってゆきます。乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムの平均勾配は7.2%で、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の6.1%を上回り、ヒルクライムのトレーニングとしても十分な規模があります。

今後は、「今年のトレーニングは、乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムに照準を合わせて...」という選手が多数現れるような大会になって行く様子を見守りたいと思います。

 

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