ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.18(2012/09/08〜09) G

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(Update:2012/09/13)

 

【紅葉情報− 位ヶ原山荘付近(標高2350m付近)】
★まだ始まっていません(例年の見頃 :9月下旬〜10月上旬)★

位ヶ原山荘周辺

位ヶ原山荘付近が森林限界となっていて、大雪渓・位ヶ原エリアと同様、この付近まではダケカンバとウラジロナナカマドの2種類で紅葉が形成されています。

 

屋根板・富士見沢

葉の色合いが少しずつ薄くなり、先週よりも黄色の部分(ダケカンバ)がめだってきましたが、本格的な紅葉はまだまだです。

 

【紅葉情報−冷泉小屋〜魔利支天付近(標高2220〜2000m付近)】

★まだ始まっていません(例年の見頃 :9月下旬〜10月上旬)★

冷泉 − まだ変化はない

中腹の冷泉小屋から摩利支天付近はダケカンバ、ウラジロナナカマド以外の広葉樹が増えてきて、彩りにバリエーションが見られるようになってきます。

こちらは冷泉周辺、まだ、色合いの変化はほとんど感じられません。

 

昨年の冷泉 − 昨年のほうがやや早い
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2011/09/08〜09) E

こちらは昨年同時期の様子。わずかではありますが、少し変化が始まっていることがわかります。

 

冷泉小屋〜魔利支天中間地点(28号カーブ)

冷泉小屋と魔利支天バス停の中間付近にあり荒田橋(あれたばし)を少し下ったあたりの28号カーブ付近。

 

ウラジロナナカマド − 部分的に紅葉

部分的にウラジロナナカマドの紅葉が見られる状態が点在しています。

 

昨年の冷泉小屋〜魔利支天中間地点(28号カーブ) − 昨年のほうがやや早い
2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2011/09/08〜09) E

こちらは昨年同時期の28号カーブ付近。今週よりも明らかに紅葉が始まっている様子が見られ、中腹エリアは昨年よりも進捗が遅いことがわかります。

 

摩利支天上の直線 ダケカンバの黄色
摩利支天上29号カーブ付近 ウラジロナナカマドの赤

この付近の本格的な紅葉は10月上旬〜中旬と考えられ、また、霜枯れの影響を受けないエリアですから、毎年ほぼ安定して綺麗な紅葉を見せてくれます。

 

【昨年の今ごろは?】

2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2011/09/08〜09) @

9月8日(木)は、青空に鰯雲の広がる朝を迎えます。これだけでもう秋の気配となっていますが、朝の冷え込みは、それまでとは全く異なったもので、油断して薄着で就寝すれば確実に風邪を引いてしまうほど。しかし、この寒さは昨日が一番で、9月7日(水)は畳平で初霜が観測され、98年以来、最も早い記録なりました。
天候はさらによくなり、ほぼ快晴といった大雪渓が迎えてくれます。さわやかに空気が吹き抜けて行き、汗というものを完全に忘れてしまった状況。まさに登山日和の一日です。また、大雪渓エリアでは、雪渓下部と雪渓上部右側の雪解けが完了し、急斜面の続く雪渓上部左側では、常連の方々が、どこまでも続く青空に向かって滑り抜き、まさに「天空の秋スキー」といった趣を演出されていました。この天候は終日続き、またとない一日を送ることができました。

9月9日(金)は、昨日の晴天とは裏腹に、周期的に雨の降る朝を迎えます。それも一時間おきに降ったりやんだりを繰り返す状況。その後、山麓は天候が回復してくるものの、上部エリアは濃霧と細かな雨の降り続く天候で、お昼近くになると風も強くなってきます。このため、乗鞍スカイラインは、シャトルバス・タクシーなどの自動車の通行は可能でも、自転車の通行は見合わせられる状況でした。この天候も、午後には雨はやんで、14時30分ごろから霧も抜けて行きました。

紅葉は、大雪渓・位ヶ原などの上部エリアではあまり変化がないものの、冷泉小屋から摩利支天に掛けての中腹では、昨年よりも早い推移が見られます。

 

<編集後記>

「沿道の山野草...」

ノリクラ雪渓カレンダーでは、【大雪渓までの沿道の風景】のコーナーで、県道乗鞍岳線(エコーライン)の山野草を取り上げています。

 

アラゲハンゴンソウ
=駆除すべき外来種=
クサフジ
=近種のオオバクサフジは隣県のレッドリストで絶滅に指定=

およそ2ページにわたって毎週お届けしているコーナーですが、山野草・高山植物の分野は、興味のある人とない人が極端に分かれるところです。そのため、興味のある人はどんどん掘り下げて知識を広げようとする反面、興味のない人は、録画したビデオのCMを飛ばすような感覚しかないと考えられます。

しかし、大雪渓・山頂へ通うための沿道に、どのような展開があるのかというところに注目してもらいたいと思って連載しています。

【左の画像 − アラゲハンゴンソウ(荒毛)】
アラゲハンゴンソウは増殖の強い外来植物で、外来種が勢力を拡大することで在来種が根絶されることが懸念されています。そして、この近種のオオハンゴンソウの繁殖は各地で問題視されていて、入山者の多い上高地などでは、外来種の侵入に特に神経を尖らせているところです。しかし、8月下旬にオオハンゴンソウが上高地で初めて発見され、地元新聞でも大きく取り上げられました。(参考 : 9月7日付 信濃毎日新聞 「特定外来生物の「オオハンゴウソウ」、上高地で初確認 」)

【右の画像 − クサフジ(草藤)】
こちらは普通に見られる山野草です。葉の数がもう少し少ないツルフジバカマ(蔓藤袴)。葉が大きいオオバクサフジ(大葉草藤)などの仲間が存在しています。長野県の隣県である富山県が8月31日に発表した「改訂版レッドデータブックとやまの発刊について」では、平成14年の前回改定から新たに絶滅が確認された種は18種あり、そのなかにオオバクサフジ(大葉草藤)が含まれています。(参考 : 9月10日付 読売新聞「富山県の野生生物、新たに18種の絶滅を確認」)
なお、長野県のレッドデータブックにはクサフジ・オオバクサフジの掲載はありません。

単なる沿道の山野草ですが、その中には旺盛な繁殖力で在来種に猛威を振るう植物から、絶滅という言葉が近くまで忍び寄っている様子など、様々なドラマがあり、環境への関心を少しでも寄せてもらいたいと感じています。

 

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