ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.4(2013/06/01〜02) E

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(Update:2013/06/06)

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

昨年の蚕玉岳山頂付近
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/06/02〜03) D
今週の蚕玉岳山頂付近
昨年より2週間早い雪解け

蚕玉岳山頂付近は、昨年より2週間早い雪解けで、例年より1〜2週間早い雪解けです。二つの画像で同じ岩を赤丸で指し示しています。昨年の場合は、赤丸の岩のすぐ下まで積雪がありましたが、今週の画像では、赤丸の岩のさらに下方まで雪解けが進んでいることがわかります。

 

蚕玉岳直下からの尾根部分の雪解けが激しい
(画像左端)
横幅95メートル − まだまだ十分な広さ

左の画像の左端に映る蚕玉岳直下からの尾根部分の雪解けが激しく、かなり砂地が出ていてバーンの横幅が狭くなってきました。それでもまだ横幅は95メートルあって、滑走にはまったく問題となる点はありません。

稜線から県道乗鞍岳線と交差する地点までが滑走エリアですが、そこまで約1kmのロングランが始まります。

 

柔らかい雪質でもプツプツと感じる−バーンが荒れる兆候
=滑りやすい雪質はGWから梅雨入り前まで=

雪質もご覧の通りの柔らかさです。ただ、所々でプツプツと滑走面に当たるものがあって、バーン表面に再氷結した感触が少しずつ見られるようになって来ました。今後、降雨が多くなると、再氷結でバーンが荒れてきます。さらに降雨が多くなってくると、縦溝が走るようになってきますので、春スキーとしての滑りやすい雪質は、ゴールデンウィークから梅雨入り前までと考えられます。

 

昨年の位ヶ原
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/06/02〜03) D
今週の位ヶ原
車道より山麓は2週間早く、山頂側は3週間早い雪解け
昨年の剣ヶ峰直下の岩
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/06/02〜03) D
今週の剣ヶ峰直下の岩
昨年よりも2〜3週間ほど早い雪解け
=先週よりも雪解けスピードが早まっている=

上段は稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原。車道より山頂側(画像下半分)は昨年より3週間早い雪解けで、山麓寄り部分(画像上半分)は昨年より2週間早い状況。例年と比べても、山頂側(画像下半分)は例年より2週間程度早く、山麓側(画像上半分)は例年より1週間早い状態です。

下段の剣ヶ峰直下の岩付近は、昨年より2〜3週間早い例年よりも3週間程度は早い雪解けです。

上段・下段ともに先週と比べて、雪解けのスピードが早まっている傾向が見られます。

 

このまま滑り続ける

このままストレートに位ヶ原目指して滑り降りて行けば、県道乗鞍岳線と交差する地点まで滑走することが可能です。

 

青線:1kmのロングラン  緑線:大雪渓方面へ進路変更(但し雪解けで次週は滑走困難)

また、この地点から大雪渓方面へとルートを左に変更することも可能です。青線は稜線からストレートに滑走して1kmのロングランが楽しめるルート。緑線が大雪渓方面へ進路を変更するルートです。

右の画像で横方向から下へ滑り降りていますが、先週までは、ハイマツ帯の一部がまだ雪に埋まっていたため、さらにその先まで横移動が可能でした。また、この箇所も次週末にはかなり雪解けが進むと考えられますので、こちらから大雪渓方面への滑り込みはそろそろ困難な時期となるはずです。

 

3分の1地点分断箇所(斜面から緩斜面へ)− 横幅35メートル

稜線から県道乗鞍岳線との合流地点までの区間を3分の1程度滑走したところ。急斜面から緩斜面に変化する部分です。雪解けが進んで6月中下旬ごろになるとこの付近は左右から岩場やハイマツ帯が延びて来て滑走エリアが上部と下部に分断されて滑走できなくなります。

横幅は35メートルと先週とほぼ同じですが、そろそろ、岩の頭などが現れるかもしれません。

 

縦溝が発生し始める
今後バーンコンディションは悪化へ

現時点では滑走に影響は見られませんが、縦溝が少しずつ発生している様子が見られます。今後、さらに縦溝が大きくなって、滑りにくい状態へと変化します。

 

全景 −全体的に昨年より2週間早い雪解け

稜線からの滑走エリア周辺は、全体的には昨年よりも2週間ほど早い雪解けです。

 

県道乗鞍岳線

稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。

 

切り通しは2.5メートル
=過去5年間で最低の積雪量=

切り通しの高さは2.5メートル。昨年は4.2メートルもあって3週間早い雪解けです。また、例年は3〜4メートル程度の積雪量があり、雪の少なかった2011年でも2.7メートルでしたので、過去5年間で最低の積雪量です。

 

【昨年の今ごろは?】

2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2012/05/26〜27)

取材初日の6月2日(土)は、前日の霙(みぞれ)で通行止めなどが若干懸念されたものの、岐阜県側の乗鞍スカイラインは通常通りの運行が始まり、長野県側の乗鞍岳春山バスも始発便は連日位ヶ原山荘どまりであったものが、昨日から始発便も大雪渓・肩の小屋口まで延長運行ができるようになって、今日がはじめての週末を迎えました。天候は薄曇といったところで、柔らかい日差しが差し込み、暑くもなく寒くもなく、ハイクアップには程よい気候だったといえます。それまで静かだった大雪渓駐車場では春山バスが到着するとにぎやかな雰囲気に包まれ、春スキーの季節がさらに活気づく様子が感じられました。午後になって雲が厚くなるものの、天候の変化はそれほど感じられず、まずまずの一日だったといえるでしょう。

そして、取材二日目の6月3日(日)は、天気予報に反して綺麗に晴れ上がった朝を迎えます。朝日が高くなるにつれて蒸し暑さを覚えるほどですが、この天候も9時近くになると、雲が広がり始めて、10時には天気予報どおりに雨が降り始めました。この雨は山麓方面が中心で、山頂方面の畳平では一時間ほど後の11時になってから降り始めました。いつもなら、山頂方面のほうが天候が悪いことが多いものの、今日の雨の降り方は山頂と山麓方面が逆転したような状態でしたから、土砂降りの山麓から畳平へ訪れる観光客は少なく、畳平バスターミナルの従業員もあまりの少なさに首を傾げるほどでした。
また、岐阜県側の滑走指定地となっている鶴ヶ池雪渓は、6月になるとモーグラーを中心に多くのスキーヤー・ボーダーが訪れますが、山麓の天候から入山をあきらめた方もいらっしゃったようでした。そして、鶴ヶ池雪渓で滑走しているスキーヤー・ボーダーの方々も、小雨が降ったり止んだりと、撤収するタイミングに迷う状況でしたが、お昼過ぎまで果敢にコブの滑走を楽しまれる様子がありました。その間も山麓方面ではまとまった降り方が続き、今日はおかしな天候の一日となりました。

 

<編集後記>

「雨対策...」

冒頭でもお伝えしたように、今年は早々に梅雨入りしてしまい、これからしばらくは雨と仲良く過ごして行かなければなりません。雨に濡れないための対策をいくつかご紹介します。

<レインウェア・グローブなど>
色々な素材があるかと思いますが、登山やスキーなど雨の中でも動き続ける場合はゴアテックスなどの登山用レインウェア(合羽)をオススメします。ただし、登山靴とグローブに関しては、指など可動部分に負荷が掛かるため、長年使用するとゴアテックスがダメになってしまうようです。登山靴は靴紐が通る甲の部分を中心に撥水処理をして、さらにスパッツなどで靴全体を覆ってしまうのも効果的です。グローブは実際のところ高価なゴアテックス製よりも、ワークショップで市販される作業用ゴム手袋のほうがよいと思います。

レインウェアのゴアテックスも表面の撥水性が失われると、雨が浸透しやすくなってきますので、定期的に撥水処理を施すとよいと思います。特に袖の部分は浸みやすいので入念に行い、着用時も袖口・グローブの隙間からの浸透には注意を払います。
また、レインウェアーのポケットは雨が浸透することを念頭において、財布・携帯電話などはジップロックなど調理用のジッパのついた袋に収納してポケットに入れたほうがよいでしょう。最近の防水ファスナーのポケットであれば、問題は少ないかもしれません。

<ザック>
ザックカバーは必須ですが、ザック表面(外部)は濡れるものと考えたほうがよいでしょう。それよりも、ザック内に防水インナーバックが使用して、内容物が濡れないように考慮したほうが効果的です。ザックを新調するときは、ザックカバーとインナーバックをセットに購入するくらいの考えがあってもよいと思います。雨天時だけでなく通常時においても、すべてのものをインナーバックに納めてしまえば、山行から帰ってきたときもインナーバックこと取り出してしまえば、後始末もラクです。

<その他>
しっかりとした雨対策ができていれば、びしょぬれになっても、思った以上に辛くはないものです。梅雨明け後の夏スキーの時期になっても夕立などがありますので、どのシーズンでも雨対策は必須と考えらます。

雨とうまく付き合うことで、どんな天候でも楽しく過ごすことができ、また、雨の日だからこそ思わぬ発見ができるかもしれません。雨に濡れた新緑は最高に美しいものです...


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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