ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.6(2013/06/15〜16) F

Top-page > Index > Page:   1  2  3  4  5  6  7

(Update:2013/06/20)

  

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線は、全体画像の「A」の部分です。

 

昨年の蚕玉岳山頂付近
2012ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2012/06/16〜17) D
先週の蚕玉岳山頂付近
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.5(2013/06/08〜09) E
今週の蚕玉岳山頂付近
昨年より1週間以上早い雪解け

稜線上の積雪は完全になくなりました。昨年と比べて1週間以上早い雪解けで、例年と比べても1〜2週間早い雪解けです。

時折、エゾゼミが鳴く声が聞こえます。梅雨が明けた7月中下旬以降の大雪渓では、強い日差しの照りつけるとき、その鳴き声や姿を見ることがありますが、6月でエゾゼミの鳴く声を耳にしたことは初めてです。

 

雪渓上端は稜線から30メートル下へ

雪渓の上端は稜線から完全に切り離されてしまい、稜線から30メートル下に移動しています。

 

雪渓上端部分の横幅は55メートル

雪渓の上端部分の横幅は先週の90メートルから大幅に縮小して55メートル。それでも滑走にはまったく問題ない広さです。左右からかなり雪解けが迫ってきている様子がうかがえます。

 

表面は細かなピッチ − スプーンカットの前兆 滑走しやすい柔らかな雪質

表面は少しずつ細かなピッチが発生してきて、今後、スプーンカットへと成長して行きます。しかし、バーンそのものはかなりやわらかめで、滑走しやすいコンディションです。

 

昨年の位ヶ原
2012ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2012/06/16〜17) D
今週の位ヶ原
昨年より1週間早い雪解け
昨年の剣ヶ峰直下の岩
2012ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2012/06/16〜17) D
今週の剣ヶ峰直下の岩
昨年より2週間早い雪解け

上段は稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原。先週までは車道より山頂側(画像下半分)が、車道より山麓側(画像上半分)のほうが雪解けの早い状況が見られました。しかし、今週はどちらも昨年より1週間早い状況で、昨年と比べて、山頂側・山麓側ともにほぼ同じ状態です。

下段の剣ヶ峰直下の岩付近は、おそらく昨年より2週間早く、例年よりも1〜2週間程度は早い雪解けです。

 

3分の1地点分断箇所(斜面から緩斜面へ)− 岩の頭がたくさん並ぶ

稜線から県道乗鞍岳線との合流地点までの区間を3分の1程度滑走したところ。急斜面から緩斜面に変化する部分です。雪解けが進んで6月中下旬ごろになるとこの付近は左右から岩場やハイマツ帯が延びて来て滑走エリアが上部と下部に分断されて滑走できなくなります。

今年は先週から岩の頭が出始めました。今週の状況としては昨年より2週間早く、例年より2週間早い状況です。岩はかなり大きくなり、横一列になってバーンを分断しようととしています。

 

全体画像 − まだ通過できそうに見えますが... 実際には3.5メートルほどしかありません
=次週末にはバーンが分断=

全体画像ではまだ岩の隙間があって、滑走できるように見えますが、実際に滑り降りられる部分は一箇所のみで、スキー2台分(約3.5メートル)の幅しかありません。したがって、次週末には完全にバーンが分断されることと思います。

 

岩場を過ぎれば広大なバーンが 下部はバーンの荒れが目立つ

その先は滑走広大なバーンが広がります。ただ、下部に行くにしたがってバーン表面の荒れが目立つようになってきます。バーンの荒れは、山麓に行くほどひどくなる傾向は、各所で見られ、特に大雪渓から位ヶ原山荘へ下山滑走する屋根板などでは、ひどく波打っています。

 

全景 − 全体的に昨年より1週間早い雪解け

稜線からの滑走エリア周辺は、全体的には昨年よりも1週間ほど早い雪解けです。

 

県道乗鞍岳線

稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。左方面が大雪渓駐車場で、右方面は最も雪の壁の高い4号カーブです。

 

切り通しは1.8メートル −昨年の半分程度の高さ

切り通しの高さは先週より60センチ減少して1.8メートル。昨年の3.4メートルの半分程度の積雪量です。2011年の1.7メートルとほぼ同じ高さですが、例年2メートル台を記録していますので、かなり少ない積雪量を示しています。

剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑走は、雪渓上端が稜線よりも30メートルも離れてしまい、次週末は稜線からさらに下方へと雪解けが進むため、雪渓に近づくことが困難になります。また、3分の1地点の岩場も、あと数日でバーンを分断するようになります。
そのため、この稜線からの滑走は今週で最後となります。

 

【昨年の今ごろは?】

2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2012/06/15〜17)

先週末は梅雨入り初日で芳しくない天候でしたが、その後は梅雨の中休みの天候が続きました。そして、取材一日目の6月15日(金)も青空の朝を迎えます。その青空には筋状の雲がたなびきます。乗鞍スカイラインからは穂高連峰や傘ヶ岳がはっきりと浮かび、高い山の頂に残る残雪さえなければ、まるで秋の光景かと見間違えてしまうほどです。畳平に到着すると空の青さがさらに輝き、上空をイワヒバリが激しく行き交う様子を見ると、季節がさらに次のステップへ移っている感じがうかがえます。平日とあって人出が少なく、今日もあちらこちらで雷鳥の姿を多く見かけます。体感的な気温では、暑くもなく寒くもなく、そして、時間と共に雲量が多くなって日差しもなく、本当に過ごしやすい状況。午後になると、稜線上の風もやや冷たさを感じるようになり、濃霧に見舞われる時間帯のほうがなくなってきました。

取材二日目の6月16日(土)は、昨晩からの小雨がまとまった降り方を見せるようになって来ました。雨の降り方は乗鞍スカイイランの雨量規制値に達するものではないものの、3.5kmポスト付近の法面崩落の工事を実施する都合から終日通行止めとなりました。そのため、今日の入山は長野県側の乗鞍岳春山バスを利用しましたが、雨はさらにひどくなり、春山バス始発便が出発する頃には屋外に出るのも億劫になるほどの状況。そして、春山バスが到着した9時の大雪渓は濃霧と小雨の状況で、思ったほどのひどさはなかったものの、時間とともに暴風に近い悪天候となりました。結局、この日は天候の回復を見ないどころか、さらにひどくなるばかりの一日でした。

そして、取材三日目の6月17日(日)は、昨日から降り続く雨が7時頃になってようやく上がってきました。しかし、昨晩の激しい降り方で、乗鞍スカイラインは24時間雨量規制のため通行止め、そして、県道乗鞍岳線も同様に雨量規制値を超えたため、乗鞍岳は春山バスは始発便が運休となりました。その後、青空が広がり始めて、第2便から運行開始が決まった春山バスを待つ乗鞍高原は、しっかりとした暑さを覚える状況で、季節はもう夏を迎えようとしています。春山バス第2便が到着した大雪渓は激しく雲が流れ、山頂付近だけすっぽりと雲に覆われていますが、それも次第に抜けて行きます。それでも稜線上はかなりの強風で、帽子が吹き飛ばされたり、四つん這いになりながら稜線を目指す様子もありました。しっかりと、雲が抜けたのは春山バス下り最終便が出発する間際で、先週と同様、もう少し早く天候が回復してくれたらと思った一日でした。

 

<編集後記>

「次週末は乗鞍天空マラソンが開催されます。」

公益財団法人 日本生産性本部が発表した2012年レジャー白書では、余暇活動の目的は、2012年調査では、「@ 心の安らぎを得ること」が1位(63.5%)、「A 健康や体力の向上を目指すこと」が2位(53.4%)に上がっています。さらに、今後10年間でどのような目的を得たいかという点では、「@ 心の安らぎを得ること」が現状より減少しているのに対して(−1.6%)、「A 健康や体力の向上を目指すこと」は増加していて(+8.6%)、健康増進に対する関心はこれからも増加する一方です。そして、今後10年間の目的で最もポイントを減少させているのは、「体を休めること」となっていて(−3.3%)、体を動かす健康志向の高まりがより一層強調させています。

また、同白書では2011年の余暇活動参加人口が全体的に減少する中で参加人口を増やしたものとして、「体操」(2710万人、前年比50万人増)と、「ジョギング、マラソン」(2590万人、前年比20万人増)を挙げていて、2010年はそれぞれランキング圏外でしたが、15位、17位まで躍進しています。

今年の天空マラソンの参加者数は、ついに2000名の大台に乗ったようです。ますます、カラダを動かし続けたい人、限界に挑戦したい人、普通のマラソン大会では体験できない絶景に触れたい人。様々なランナーが集まります。

乗鞍大雪渓WebSiteは、今回も大会取材を行います。(→ 昨年大会の模様は、こちらをご覧ください。
選手の皆さん...苦しい大会かもしれませんが、カメラの前だけは笑顔で走り抜けて下さい。WebSiteで皆さんの笑顔を見た次のランナーが、来年の出場エントリーにつながって行きますから...


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

Copyright (C)   乗鞍大雪渓WebSite

Top ||   <<Back  1  2  3  4  5  6  7  -  Next-Page (Vol.7) >>