ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.11(2013/07/20〜21) A

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(Update:2013/07/25)

 

【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 U】

緑の中に紅一点 ウラジロナナカマドの紅葉

落葉樹が芽吹きを始める6月は新緑の時期で、明るい緑が眩く輝いていました。そして、7月になると本格的な夏を迎えて、その新緑も針葉樹とほとんど変わらないほどの濃い緑へと変化しています。

そんな中、ご覧のようにすでに紅葉しているウラジロナナカマドがありました。(赤丸部分)

 

同一場所で同一時期に、過去にも紅葉があった
2011ノリクラ 雪渓カレンダーVol.11(2011/07/21〜22) @

この時期に部分的な紅葉を確認することは珍しいことではありません。注意して観察していると必ず見られます。こちらは2年前の同一時期の同じ場所の画像。ほぼ同じ位置に紅葉が見られます。

全く同じ枝ではありませんが、この周辺では部分的な紅葉が頻繁に発生するような条件が揃っているのかもしれませんね。

 

マタタビ
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.10(2013/07/13〜14) @
ミヤママタタビ
葉が赤くなる

さて、右の画像も「紅葉」...ではありません。左は普通のマタタビ、右はミヤママタタビ(マタタビ科マタタビ属)で、白ではなく赤くなります。マタタビの葉は初めは緑で、花期を迎えると白くなります。

「猫にマタタビ」というセリフは有名ですが、ミヤママタタビには猫を恍惚とさせる成分は含まれていないようです。

 

葉が白(赤)に変化するのは開花のサイン こちらは雄花 − マタタビは雌雄異株

葉の変化は、虫たちに花期を迎えたことを知らせるサインであるといわれています。そんな葉の下に隠れるようにミヤママタタビ(マタタビ)の花は咲いています。

ミヤママタタビ(マタタビ)は雌雄異株で、こちらは雄花です。また、受精した雌花は大きさは異なるもののキウイフルーツに似た実をつけます 。キウイフルーツもマタタビと同じ仲間です(マタタビ科マタタビ属)。

 

ニッコウキスゲ

こちらはニッコウキスゲ(日光黄菅(別名:禅庭花)、ユリ科ワスレグサ属)。先ほどのかもしかゲレンデにもたくさん咲いていた夏の高原を代表する高山植物です。

 

虫媒花は雄性先熟

ニッコウキスゲのような虫媒花(虫媒介で受粉する花)は、雄しべが先に成熟し、その後雌しべが成熟します。自家受粉を避けるための工夫と言えます(雄性先熟)。また、イネやカヤツリグサなどの風媒花は、雌性先熟で、受粉の形態によって雄しべ・雌しべの成熟する順番が異なることは興味深いところです。

 

クルマユリ こちらも雄性先熟

さて、こちらのクルマユリ(車百合、ユリ科ユリ属)。右の画像では、二輪咲く左側の雄しべはまだ葯(やく)に包まれていますが、右側は葯(やく)開いて花粉を放出した状態で、雌しべが先端部分が大きくなってきた様子が見られます。先ほどの「雄性先熟」の順番を踏襲しています。

 

ユリの仲間で輪生するのは
クルマユリ・タケシマユリ・クロユリ

ユリの仲間(ユリ科ユリ属)は、茎に対して葉が左右に交互に付くのが特徴ですが、クルマユリとタケシマユリだけは、ご覧のように葉が放射線状に輪生しています。クルマユリとまったく同じ形状の花にオニユリがありますが、こちらは他のユリと同じく、葉が互い違いについていますので、葉の付き方を見れば、クルマユリかオニユリかすぐにわかります。

なお、クルマユリの名前の由来は、花の形からではなく、車輪のような葉の付き方から命名されています。花の形から命名されるとオニユリもクルマユリになってしまいますね。

 

クロユリも輪生する
(ユリ科バイモ属)

ユリの仲間はユリ科ユリ属に属するものが大半で、葉が輪生するユリはクルマユリとタケシマユリだけという記述を見かけ、前述でもそのようにお伝えしました。しかし、ユリ科ユリ属に属さない他の種類にも「○○ユリ」と呼ばれるものがあり、ご覧のクロユリ(ユリ科バイモ属)もご覧のように輪生しますから、輪生するユリは3つとしてもよいのではと思います。

 

ヒルクライム − 夏雲に背中を押されて... ヒルクライマーが続々とやってくる

7月に入って県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が解除され、ヒルクライマーの季節がやってきました。ただ、週末ごとに天候が悪く、お越しになるヒルクライマーが少ない状況が続いていましたが、今週はきれいな青空に恵まれ、このタイミングを待っていたかのように、今回はたくさんのヒルクライマーが訪れました。

マイカー規制のため、バスとタクシー以外はほとんど自動車の通行はなく、ヒルクライムの聖地とも言われますが、今日はシャトルバスやタクシーよりも明らかに自転車のほうが多い状態でした。

 

「いつも見てるよ!」 「あぁ〜、キツイ!」

「あぁ〜、キツイ!」と、言いながらもめげずに登って行きます。このときの気温は20℃前後。木陰に差し掛かるとひんやりとした空気が流れています。

 

ヘアピンカーブをスタンディングで登りきる

急峻なヘアピンカーブを登り続けると、風景は少しずつ変化して行きます。

 

位ヶ原山荘

こちらは標高2350メートルの位ヶ原山荘。ヒルクライムの帰りに休憩に立ち寄る方も多く見られます。

 

この1週間でかなり残雪が少なくなってきた

この1週間でかなり残雪が少なくなってきました。積雪が多くて落石が道路に落下する危険から大雪渓より先で通行止めとなっていましたが、問題箇所の富士見沢では、地肌が現れるほどまで雪解けが進みました。

 

遠景の山並みもはっきり 南アルプスは水墨画の中に浮かぶ

遠景の山並みもはっきりと確認でき、南アルプスは水墨画の中に浮かんでいます。

 

昨年の11号カーブ、ツアーコース入口
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2012/07/21〜22) @
今週の11号カーブ、ツアーコース入口
昨年より1週間遅い雪解け
昨年の位ヶ原お花畑
2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2012/07/21〜22) @
今週の位ヶ原お花畑
昨年より1週間遅い雪解け

上段は位ヶ原山荘から1.5kmほど先にある11号カーブのツアーコース入口。昨年と比べて1週間近く遅い雪解けです。下段はさらに進んで7号カーブの位ヶ原お花畑。まだ全面積雪に覆われていて、高山植物の芽吹きは見られません。こちらも昨年より1週間遅い雪解けです。

 

秋のような筋状の雲が

上空には秋を思わせるような筋状の薄い雲がたなびき、日差しがあっても暑さを感じさせることはなく、ヒルクライムにはちょうどよいコンディションです。

 

5号カーブ 4号カーブ

位ヶ原周辺ではまだご覧のように雪の壁を見ることができます。今年は昨年よりも積雪量が多いため、もうしばらく見られるはずです。

 

穏やかな青空

穏やかな青空が広がる中、もう少しで大雪渓に到着です。 Next

 

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