ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.16(2013/08/24〜25) A

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(Update:2013/08/29)

 

【8月25日(日)、観光センター前駐車場、今日は通行可】

翌日の観光センター前駐車場は雨

取材二日目の8月25日(日)。小雨が周期的に降ったり止んだりを繰り返す朝を迎えます。

 

やはり今日も人出は少なめ

夏休みも終盤となって来ましたので、例年なら家族連れの方々の姿をたくさん見かけるところですが、観光センター前駐車場はご覧の状況。24日(土)から25日(日)にかけて、西日本を中心に広い範囲で大雨となり、各地で被害も見られたほどですから、遠出を見合わせざるを得ない状況もあったものと考えられます。

 

シャトルバス乗車券販売所 7時便から運行開始

県道乗鞍岳線は昨日15時30分に開通しましたが、乗鞍スカイラインの開通は少し遅れて、本日6時30分からの通行できるようになりました。それにあわせて、シャトルバスは6時10分の始発便は運休となったものの、7時便からは通常通りの運行が始まる予定となりました。

 

いち早く出発したい登山者はタクシーを利用

しかし、登山の方などはいち早く出発したいというニーズがあります。今回のシャトルバス始発便は乗鞍スカイラインの通行止めにあわせて運休となりましたが、県道乗鞍岳線そのものは通行可能ですので、タクシーの利用が可能です。

今回のように、長野県側の県道乗鞍岳線が通行可能で、岐阜県側の乗鞍スカイラインが通行止めの場合、長野県側のシャトルバスは畳平に進入することができません。
そのため、長野県側のシャトルバスの運行は、畳平の手前の大雪渓・肩の小屋口バス停までの折り返し運行を実施する場合と、完全に運休となる場合があるようです。しかし、そのときの状況によって運行方法が異なるようですので、現地の係員にお問い合わせください。

 

シャトルバス7時便が到着

そして、7時になってシャトルバスの運行が始まります。今日は8時便が2台運行だった以外はすべて1台運行でした。

 

雲はどんどん低くなる

昨日は天候には問題はありませんでしたが通行止め。今日は通行可能ですが雲がどんどん低くなってくる生憎の状況。お盆期間中は完璧すぎる「高気圧週間」に恵まれ、その反動が1週間も経過してから訪れるなんて、皮肉としかいいようがありません。

 

【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 T】

善五郎の滝駐車場から かもしかゲレンデ

それでは、ここからはいつものように沿道の様子をお伝えします。右の画像は三本滝ゲート上のかもしかゲレンデ。

 

ヤナギラン − ほぼ満開

ヤナギランは先端部分まで咲きそろい、ほぼ満開に近い状態です。しばらく見頃が続くかと思います。

 

ウドの花 − 線香花火のよう これはまだ咲いていません

そして、こちらは線香花火のような可憐な花はウドの花。「ウドの大木」で良く知られていると思いますが、その大きな図体とは裏腹に花はミクロの世界といっても良いでしょう。実は右の画像のような状態は、すでに数週間前から見られましたが、実際にはこの状態では花が咲いたとはいえません。

 

これは咲いています 咲いたウドには虫たちが集まる

今週あたりになって、左の画像のようにようやく咲き始めました。しかし、咲いているか咲いていないかは、虫眼鏡で観察しないとほとんどわかりません。でも、そんな小さな変化でも虫たちは察知して、「咲いたウドの花」だけに集まっています。

 

カラマツ林 カラマツ − 実がたわわに

さて、休暇村から三本滝ゲートまでの区間はカラマツ林が鬱蒼と生い茂っています。そのカラマツを良く見てみると、ご覧のように実(マツボックリ、松かさ)がたわわにできています。

 

色の薄いマツボックリは今年生まれ
茶褐色のマツボックリは昨年生まれ
=マツボックリは2年掛けて成長=

さらにそのマツボックリの一つ一つを良く見てみると、茶褐色のものと、薄い色のものの2種類があることに気付きます。左上の茶褐色のマツボックリは昨年の物、そして、薄い色のものは今年の実です。カラマツに限らず、マツボックリは2年かけて成熟します。また、大雪渓や位ヶ原周辺のハイマツも2年で立派なマツボックリとなり、ホシガラスはハイマツのマツボックリが好物のようですが、2年もののマツボックリだけをちゃんと選んでもぎって行きます。

 

道端は単なる雑草ではありません

単なる道端の雑草ですが、何の変哲もありません。おそらく、道路に大きくはみ出していると草刈の運命にあうところでしょう。

 

ベニバナイチゴ − どんぐりの時期までは貴重な栄養源(クマなど)

雑草といってしまうとそれまでですが、実はれっきとした高山植物。

こちらはちょっと小さめですが、葉に隠れるように生り始めているのはベニバナイチゴ。ミズナラなどのドングリ類が実るまでは、このような果実類がツキノワグマの栄養源として欠かせない存在です。

 

クロウスゴ − ブルーベリーの一種で高山植物

こちらはクロウスゴ。実ができているばかりか、葉がすでに紅葉を始めています。クロウスゴはブルーベリーの仲間のうち、標高の高い場所に自生する高山植物です。

 

ゴゼンタチバナ

そして、ゴゼンタチバナも赤い実がたわわにでき始めました。まだ、8月だというのに季節を先取りする雰囲気です。季節は確実に秋へと進んでいる証拠でしょうか?

 

トリカブト

さて、こちらは先週もお伝えしたトリカブト。

 

5つのパーツで構成 ヤマトリカブト
上の萼に鼻のような突起(赤丸部分)

トリカブトは5つのパーツに分かれていて、一番上の僧帽型のパーツ、そして、真ん中の円形型の2枚のパーツ、そして、一番下には長舌型の2枚のパーツで、合計5枚のパーツで構成されています。これら5枚は花弁のように見えますが、花弁を包む萼(がく)と呼ばれる器官です。

トリカブトには色々な種類がありますが、一番上の僧帽型の萼に鼻のような突起があるのが確認できますので、こちらはヤマトリカブトであると考えられます。(赤丸部分)

 

本物の花弁は萼の内側に(赤丸部分) 外皮が紫に − 5つのパーツへと変化

独特な形の5つのパーツは先ほど申し上げたようにすべて萼。本物の花弁は左の画像で赤丸部分の奥に見られる器官で、詳細に見るためにはパーツをはずす必要がありますが、細長い構造になっていて、そこには蜜が溜め込まれています。一般的は距(きょ)と呼ばれる器官です。。

なお、右の画像はこれから咲き始めるトリカブトですが、つぼみの外皮がご覧のように紫色に変化していますね。このことからお分かりの通り、これは花を包み込むつぼみの外皮ですから、まさに萼であって、そのまま花(距)を包み込みながら独特の形状へと成長してゆきます。 Next

 

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