ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.5(2014/06/07〜08) D

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(Update:2014/06/12)

 

【稜線へ】

それでは肩の小屋から稜線に向けて出発します。

 

ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版(別ウインドウ)

肩の小屋より稜線方面の概要は、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版 をご覧ください。なお、ツアーコースの状況については、ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 をご覧下さい。

 

雪解けで肩の小屋から直登は不能に 夏の登山道方面へお願いします
(ハイマツ帯・雷鳥保護のため)

左の画像は肩の小屋から稜線方面を見たところですが、ご覧のように、ルート上はハイマツ帯が完全に横たわるようになって来ましたので、右の画像の通り、夏の登山道から登るようお願いいたします。

ハイマツ帯など高山植物の保護と、ハイマツ帯に生息する雷鳥の保護にご協力ください。

 

昨年の肩の小屋〜山頂の登山道@(同時期の3週間前)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2013/05/15・18・19) C
今週の肩の小屋〜山頂の登山道@
昨年より3週間遅い雪解け

この付近は肩の小屋から稜線までの区間を3分の1程度進んだあたり。大雪渓付近など肩の小屋より標高が若干低い箇所では、昨年より積雪量が少ない状態が見られましたが、肩の小屋付近から積雪量が多くなってきます。それと同様に、稜線へ登山道でも同じ傾向が見られます。

左の画像は昨年同時期の3週間前のもの。右の今週の画像よりも登山道の積雪量は多く見られますが、画像の右下にある岩はすでに現れています。そのため、今年は昨年よりも3週間近く雪解けが遅いことがわかります。

 

昨年の肩の小屋〜山頂の登山道A(同時期の2週間前)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2013/05/24〜26) D
今週の肩の小屋〜山頂の登山道A
昨年より2週間遅い雪解け

こちらは肩の小屋から稜線までのちょうど中間付近。左の画像は昨年同時期より2週間早いもの。すでに右の今週の画像よりも積雪量が少ない状況が見られます。こちらの状況からも、昨年より2週間以上遅い雪解けとなっています。

 

先週の大雪渓から稜線ルート − △ルートがかろうじて可能
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2014/05/31〜06/01) C
今週の大雪渓から稜線ルート − 先週の△ルートは登行不能
○ルートに戻るには一旦下る必要があるため初めから○へ

いつも速報でお伝えする大雪渓から稜線へのアクセスルートです。左は先週のもので、先週の段階では△ルートはかろうじて進むことができました。しかし、今週になると、右の画像のように雪解けが進んで、ハイマツ帯や岩場に閉ざされて、進むことができなくなります。

この×ルートで問題なのは、ご覧のようにハイマツ帯がへの字(逆U字型)になっていて、行き止まりになった時には、周囲をハイマツ帯に囲まれてしまい、○ルートに戻るには、一旦下らなければならないところです。しかし、一旦登ったものを下るのは億劫なもので、多くの方はハイマツ帯を強行してしまいます。

すでに申し上げてますが、ハイマツ帯は雷鳥の住処となっていて、これからは抱卵期を迎えて雷鳥には重要な時期となります。不用意にハイマツ帯に進入せずに済むよう、はじめから○ルートで進むようお願いいたします。

 

濃霧の日 − 雷鳥の出番

さて、その雷鳥ですが、今日のような濃霧の日は、出番登場とばかりにあちこちで姿を見かけます。

 

ハイマツ帯のあちこちから姿をあらわす − ハイマツ帯への進入は極力避けるようお願いします

オスとメスのペアが仲良く歩き回る様子や、オス同士の縄張り争いで飛び回る姿も良く見られます。おそらく雷鳥が飛んでいる様子は、この時期しか目にすることはほとんどないかと思います。

雷鳥の姿をなかなかご覧になれないという方も多いかと思いますが、実際には登山道周辺などあちこちに生息していて、岩場やハイマツ帯の中にひっそりと身を隠しています。また、冬場は雪に穴を掘って住処としていますが、残雪期になると雪が硬くなり穴を掘ることができませんので、現在は雪渓の中に住処を作ることはありません。残雪期の住処はハイマツ帯となりますので、ハイマツ帯への進入は極力避けるようお願いいたします。

 

アルペンレーサーも稜線へ − 「夏スキーは毎年来てますが、稜線は初めて」

バックカントリースキーヤーであれば、ザックを背負い、シールかもしくは、スキー板をザックに固定して登るのが一般的なスタイルです。しかし、こちらの3人は完全に夏スキー仕様。「夏のノリクラは毎年来てますが、稜線は初めてなので来てみました。」とのこと...

今日は天候も穏やかで、過ごしやすい状況だったため、手ぶらでも問題ありませんでしたが、次回からはある程度の装備をお願いします...
しかし、稜線で休むメンバーは権現ヶ池が携えるエメラルドグリーンの雪解け水に感動し、「次の夏合宿は、剣ヶ峰山頂登山も計画しようよ!」という声も上がるほどで、このように普段のトレーニングとは志向を変えた取り組みは、色々な意味で有意義なことだと思います。

 

濃霧の中から山麓の様子が見え隠れ

ほとんど濃霧の一日でしたが、時折、山麓の位ヶ原の様子が見え隠れします。

 

濃霧で先が見えない

しっかり見渡せると滑走ルートが確認できますが、一旦、濃霧に覆われてしまうと、どの方向へ向かったらよいか不明瞭になってきます。

 

今シーズンを締めくくるラストラン

今日は今シーズン最後の バックカントリーにお越しになりました。そして、これが最後の滑走...濃霧が覆われる中、シーズン最後を締めくくるターンを刻むことができましたでしょうか?

 

【稜線】

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。

 

無風状態のため濃霧が解消されない

稜線の気温は8℃、霧が全く動かない無風状態のため寒さはありません。先ほどまで薄日がさす状況もほとんどなくなり、暑さが解消されて程よい感覚です。

 

昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) D
先週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2014/05/31〜06/01) C
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2012年に次いで多い積雪量

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年よりも明らかに積雪量が多いことがわかります。過去に遡って見ると、先週の段階では2009年までの5年間の中で最も多い状態でしたが、今週はやや雪解けが進んで2012年に次いで多い状態です。

 

昨年の権現ヶ池
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) D
今週の権現ヶ池
2010年に次いで多い積雪量
昨年の朝日岳
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) D
今週の朝日岳
2010年に次いで多い積雪量

上段は御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)で下段は朝日岳です。権現ヶ池については、6月第1週目の先週の段階では、2012年に次いで多い状態でしたが、過去4年間の6月第2週目は2012年よりも2010年の方が多い状態となったため、6月第2週目の今週は、2010年に次いで多い状態となっています。また、朝日岳も2010年に次いで多い状態です。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

昨年の蚕玉岳山頂付近
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) E
先週の蚕玉岳山頂付近
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2014/05/31〜06/01) C
今週の蚕玉岳山頂付近
過去5年間で最も多い積雪量

蚕玉岳山頂は、先週より高さで50センチ以上の雪解けが見られますが、先週と同様、積雪量は過去5年間で最も多い状態が続いています。

 

稜線直下 − 岩場の帯が出現(バーンが広大で滑走上問題はない)

稜線直下は雪解けが進んで、ご覧のように岩場の帯が出現しました。ただ、バーンそのものがかなり広大なため、滑走上問題となる様子はありません。

 

バーンコンディションはまだ良好

この数日は雨に見舞われたものの、雨水が激しく流れてできる縦溝はほとんどなく、滑りにくいコンディションではありません。

 

昨年の位ヶ原
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) E
今週の位ヶ原
2012年に次いで多い積雪量
昨年の剣ヶ峰直下の岩
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) E
今週の剣ヶ峰直下の岩
2010年に次いで多い積雪量

上段は稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原。今週は雪解けが進んで、ハイマツ帯が織り成す唐草模様がはっきりしてきました。昨年よりも積雪量の多い状態となっていますが、例年と比べると積雪量の多かった2012年に次いで多い状態です。

下段の剣ヶ峰直下の岩付近は、昨年よりも積雪量が多いことは一目瞭然ですが、例年と比べると積雪量の多かった2010年に次いで多い状態です。

 

唐松模様に雲海が浮かぶ幻想的な絶景

14時位まで濃霧に覆われていたものの、次第に霧が抜けてご覧のような見事なロケーションが広がります。唐松模様の位ヶ原の上空には重厚な雲海が横たわり、幻想的な光景に向けてターンを繰り返します。

 

滑りはじめから3分の1地点− 滑走部分が若干狭くなるが問題ない

稜線から県道乗鞍岳線までの区間の約3分の1程度の箇所ですが、雪解けで両側のハイマツ帯が幅広くなって、滑走部分が狭くなってきました。ただし、狭くなったといっても横幅は30〜50メートルもありますから、滑走上の問題は全くありません。

 

稜線からの滑走エリアの全景
終盤でバーン表面の細かなピッチが気になる

稜線からの滑走エリアの全景です。画像ではあまり良くわかりませんが、滑走エリア終盤までやってくると、バーン表面の細かなピッチがやや気になるようになって来ました。表面での再氷結が起こるためですが、この現象が見られるようになると、春スキーから夏スキーへとシーズンが移り変わる時期にさしかかりつつあります。

 

県道乗鞍岳線

稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。

 

切り通しは2.9メートル
例年よりやや多い積雪量

切り通しの高さは2.9メートル。昨年は2.4メートル、2012年は3.4メートル、2011年は2メートル、2010年は2.5メートルで、例年よりやや多い積雪量になっています。

 

【昨年の今ごろは?】

2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2013/06/08〜09) @

今回の取材一日目の6月8日は、東海地方・関東甲信地方の梅雨入り平年日。ところが各地では夏日・真夏日が毎日続き、梅雨の中休みを越えて、空梅雨の連日となっています。

取材一日目の6月8日(土)は、その前日からの状況をお伝えしなければなりません。前日の6月7日(金)は、午後から各地で不安定な天候を見せ、局地的な雷雨に見舞われた地域もありました。ノリクラでも午後から雹(ひょう)が降って雷鳴がとどろき、位ヶ原山荘付近では路面が白くなるほどの状況となりました。
翌朝はきれいな青空が広がり、富士見岳の山肌がうっすらと雪化粧が施される様子もあり、路面凍結で運行が心配された乗鞍岳春山バスも始発便から運行されました。しかし、位ヶ原から大雪渓にかけては路肩に降雪が残る状況。岐阜県側の乗鞍スカイラインは凍結通行止めが11時30分まで続きました。
天候は午後から霧が立ちこめ、暑かったり寒かったりとめまぐるしく変化したものの、それ以上の天候の変化はなく、一日を通してみると、まずまずの天候だったように思います。

取材二日目の6月9日(日)も、きれいな青空の朝から始まります。昨日は積雪凍結通行止めだった乗鞍スカイラインも問題なく予定通り7時から開門され、ほおのき平から畳平へ向かうシャトルバスも始発便から通常運行されました。一日を通した天候は少し淡い青空で穏やかな弱い風が続き、暑くもなく寒くもない気候が続き、梅雨の様相などまったく感じさせない一日でした。

大雪渓・稜線付近の積雪量は、全体的に昨年・例年より少なく、1〜2週間程度雪解けが早い状態です。また、比較的気温が低めの日が多かったことや降雪に見舞われたこともあって、先週と比べて、雪解けはやや少なめだったと思います。

 

<編集後記>

「ヒトの踏み跡は必ずしも正しい道しるべとは限らない...」

過去を学んで過ちを繰り返さない...これが歴史を学ぶ重要なポイントでしょう。日々の生活の中でも、絶えず正しい方向に進んで順風満帆の人生を送っている方は、少ないのではないでしょうか?パチンコで勝った時だけはヒトに言うものの、「貯金」をしに行った時のことは、多くは語らないでしょう。

ヒトの歩いた道は本当に正しい方向であるのか...その時代は正しくても、後世になると正しくなくなる場合だってあります。

雪の上を歩くときも同じ。
雪のない誘導ロープで完全に囲まれた登山道を確実に歩いていれば、人生が保障されたレールを歩くようなものですが、雪の上になると状況が異なってきます。特に雪解け期だと、そのときは正しいルートであっても、数日後にはハイマツが出てしまい、正しいルートでなくなることはよく見られる光景です。踏み跡があるからといって、正しいルートであるかどうかは、その時点の状況をよく見て判断して下さい。

ルートを間違えてハイマツの上を歩いたからといって、遭難などの危険に直結することはないでしょう。しかし、多くの方が踏み跡を道しるべにハイマツの上を踏み歩けば、多数のダメージを受けることになります。

ルート選択はご自身の体力やクレパスなどの危険性だけでなく、自然への配慮も考慮していただき、雪解け期のこの時期は、特に注意を払って下さるとありがたいと思っています。

 

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