ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.6(2014/06/14〜15) @

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(Update:2014/06/19)

 

例年なら、6月中旬ともなると、春スキーの雰囲気に加えて、夏スキーという雰囲気の両方を感じさせるようになってきます。それは天候などの状況とともに、訪れる方々の様相から感じ取ることができます。また、春スキーのシーズンとしてはそろそろ終りに近づき、バックカントリースキーヤーの方々にとっては、ゲレンデのスキーシーズンが終盤に差し掛かった頃のような感覚でしょうか...でも、今年は山頂付近の積雪量が多く、春スキーが終盤に差し掛かっている様子をまだ感じさせません。

6月14日(土)は、寒気が流れ込んで冷え込んだ一日となりました。午前中は濃霧と霧雨で、乗鞍岳春山バス始発便から降り立ったスキーヤー・ボーダーの方々も、冷たい雨にかなり辛そうな状況。そのため、一斉に避難小屋へ逃げ込んで、定員オーバーのすし詰め状態です。厳冬期と異なり、軽装でお越しの方も多かったため、想像以上の低い気温は耐え難いところがありました。午後になって天候は回復傾向となり、時折、山頂方面が確認できるようなってきます。しかし、しっかりと回復したのは15時以降で、もう少し早く天候が回復してくれたらと悔やむところです。

6月15日(日)は、昨日とは打って変わって雲ひとつない快晴の朝を迎えます。若干冷え込んだ空気に包まれ、日差しが高くなっても暑さをほとんど感じない状態が続きます。大雪渓では、いつものように一斉に稜線目指して登る光景が見られるものの、大雪渓下部では、スコップで作ったモーグルコースを何度も繰り返す様子があって、春山のバックカントリースキーヤーと夏のモーグラーがそれぞれの楽しみ方で過ごされていました。そして、午後になると、青空にモクモクと夏の雲がわき始め、そんなところからも、季節は夏へと移りつつあると感じられます。 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月14日(土)、観光センター前駐車場】       【乗鞍岳春山バス、大雪渓へ】
Page-2 : 【春山バス、大雪渓に到着】       【大雪渓下部】
Page-3 : 【6月15日(日)、ほおのき平駐車場】       【乗鞍スカイラインを行く】
Page-4 : 【畳平に到着、畳平周辺】       【肩の小屋へ】       【肩の小屋】
Page-5 : 【稜線へ】       【稜線】
Page-6 : 【剣ヶ峰〜蚕玉岳】       【乗鞍岳頂上小屋、今シーズンの営業が始まる】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>
 
●参考資料●
(乗鞍岳春山バス) − 2014シーズン 乗鞍岳春山バス(乗鞍高原〜位ヶ原山荘・大雪渓)の運行について
(ツアーコース概要) − ノリクラガイドマップ(冬〜春スキー版)
(位ヶ原・大雪渓・山頂方面 概要) − ノリクラガイドマップ(春〜夏スキー山頂版)
(大雪渓〜位ヶ原山荘) − 大雪渓から位ヶ原山荘への下山滑走ルート(滑走可能時期:6月中旬まで)   (Page-2)

 

【6月14日(土)、観光センター前駐車場】

前夜の観光センター前駐車場

こちらは日付が今日に変わる前の観光センター前駐車場。怪しげに濃淡のある雲が足早に流れて行きます。

 

満月の夜 − 足早に流れる不気味な雲が

今日は満月。雲が抜けると足元に影を落とすほどの明るい夜空ですが、厚く黒い雲が流れてくると、一転して暗黒の世界へ急展開します。不気味な雰囲気の夜が日付が変わっても流れて行きます。

 

翌朝の観光センター前駐車場

そして、一夜明けた乗鞍高原は、頭上に青空が広がる朝を迎えます。気温は9℃、長袖でないと肌寒さを感じる状況です。

 

出発の準備 スキーとスコップ − 夏スキーならではの組み合わせ

昨日の山頂方面はお昼前後から霰や雪の降る状況で、岐阜県側の乗鞍スカイラインは、午後から降雪のため通行止めとなりました。しかし、今日は積雪凍結はなく、いつもどおり7時から通行可能となりました。また、観光センター前駐車場より出発する 長野県側の乗鞍岳春山バスも、始発便から運行が開始されます。

始発便に乗車しようとする方々の準備が駐車場のあちこちで始まっています。すでに停留所にスキー道具を置いている方もいらっしゃいます。その道具を良く見ると、スキー板とストックのほか、作業用のスコップが何本か見られます。「スキーとスコップ」という組み合わせは、夏スキーのシーズンにならないとお目にかかることはできないでしょう。

 

春山バスは大雪渓運行 − バスを降りたら目の前が大雪渓

そして、いつものように春山バスの乗車券販売が始まります。今日は姪っ子さんをお連れのコブの管理人。「春山バスが大雪渓まで運行されるようになると、バスを降りたら雪渓が目の前なので、本当に便利ですよね。」小さな姪っ子さんをお連れなので、なおさら実感されているようです。

もちろん、今日も姪っ子さんのために、コブ作りに励みます!

 

観光センタ周辺はレンゲツツジが

先週に引き続き、観光センター周辺はレンゲツツジに彩られています。

 

一の瀬園地のレンゲツツジ群生地 − 見頃を迎えた

こちらは、観光センターから南へ2kmほどのところにある一の瀬園地のレンゲツツジ群落。先週はまだつぼみでしたが、ご覧のように見頃を迎え、沿道を朱色一色に染めています。

 

観光センター売店

話は観光センターに戻って、こちらは観光センター内の売店。

 

朝7時から営業 今日も手作りおにぎりが

入口には「朝7時から営業」と表示されています。「昨年から、朝7時から営業するようにやってみました。1年やってみて順調にできるようになり、今年からはしっかりと掲示するようにしました。」

乗鞍高原一帯には、コンビニなどの朝早く営業している店舗はなく、これまででも、シャトルバスの早い便に乗車する方々は不便がありました。特に朝早くの便に乗車される方には、山頂方面での昼食用におにぎりが人気で、今日もカウンターに手作りのおにぎりが並べられていました。

 

乗鞍岳春山バス始発便が到着

山頂方面は雲に飲み込まれ、その様子は全くうかがうことができません。朝の畳平は濃霧でマイナス1℃とのことでしたので、あまり天候は芳しくないようです。また、春山バスの早朝パトロールでも、大雪渓付近は濃霧・霧雨だったとのことで、出発の準備をしながらも、山頂方面の空ばかりが気になるスキーヤーの様子があちこちで見られました。

 

西の空には虹のアーチ − 今日の天候は良くなって行くのか...

しばらくすると、山頂方面に虹のアーチがかかっている様子に気付きます。さて、この虹、今日の天候を保障してくれるものなのでしょうか?

 

【乗鞍岳春山バス、大雪渓へ】

新緑の回廊 − ウワズミザクラ

ここからは、大雪渓に向かうまでの沿道の様子をお伝えします。こちらはウワミズザクラ。先週もお伝えした花ですが、今週もその様子を楽しめます。

 

白い葉 − マタタビ

良く見ると、花ではなく葉が白くなっている木を見つけることができます。こちらはマタタビ。「猫にマタタビ」で有名な木です。

 

三本滝レストハウス前駐車場

こちらは観光センターから7km先の三本滝レストハウス前駐車場。観光センターとは対照的に数えるほどしかクルマはありません。大雪渓・肩の小屋口までの往復券の場合、観光センターから乗車しても、三本滝から乗車しても料金は変わりません(2014シーズンは大人2500円)。

ツアーコースで三本滝レストハウスまで下山滑走できた5月中下旬までは、こちらの駐車場のほうが利用者数が多かったものの、それ以降は往復料金が同一ということもあって、観光センター前駐車場の方に集まってきます。

 

三本滝ゲートの先は冬季閉鎖 − 春山バスしか通行できない

三本滝レストハウス前にある三本滝ゲートから先は冬季閉鎖区間で、春山バスなどの一部の車両しか通行ができません。観光バスやタクシー、そして自転車も通行禁止です。こちらの画像は、標高1800メートル付近のかもしかゲレンデ周辺で、ダケカンバの緑がもう新緑のレベルを通り越して、夏の雰囲気さえ感じられます。

 

先週の2000メートル付近(29号カーブ)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2014/06/07〜08) @
今週の2000メートル付近(29号カーブ)
緑がはっきりとしてきた

しかし、標高2000メートルの摩利支天付近では、ようやく緑が濃くなり始めたばかり、先週の画像と比べても、本当に少しずつしか芽吹きがありません。

 

「新緑のパッチワーク」まであと一歩 ムラサキヤシオツツジがあちこちで

遠方の山肌を見ると、まだダケカンバの芽吹きがなく、もう少しすると、この山肌は「新緑のパッチワーク」が見事な出来栄えとなるはずです。そして、先週はほとんど見られなかったムラサキヤシオツツジがちらほらと確認できるようになって来ました。

 

先週の2200メートル付近(冷泉小屋上)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2014/06/07〜08) @
今週の2200メートル付近(冷泉小屋上)
新緑が芽吹き始める

標高2230メートルの冷泉小屋を過ぎた付近では、先週と比べるとかなり雪解けが進んで、その代わり、ぼんやりと緑が感じられるようになって来ました。

 

位ヶ原山荘

こちらは標高2350メートルの位ヶ原山荘。5月28日(水)までは、春山バスの終点が位ヶ原山荘でした。山頂からの春スキーを終えた方々が、春山バス下り便を待つ間、こちらで休憩するのが楽しみというスキーヤーも多く、春山バスが大雪渓・肩の小屋口まで延長運行されてからでも、上り便は大雪渓まで春山バスで行っても、位ヶ原山荘まで下山滑走して、休憩しながら下り便を待つという方もいらっしゃいます。(大雪渓から位ヶ原山荘までの下山滑走は、例年6月中下旬まで可能です。滑走ルートは2ページ目のこちらを参照してください。)

 

濃霧

位ヶ原山荘から先は周辺に濃霧が立ち込め始めました。

 

森林限界を超えて 5号カーブの雪の壁 −大雪渓→位ヶ原山荘滑走時に注意 

森林限界を超えて木々が少なくなり、目印に乏しい状況となります。視界は50メートル前後です。右の画像は宝徳霊神バス停付近の5号カーブ。ご覧のように高さ数メートルの切り通しの雪の壁になっています。大雪渓から位ヶ原山荘に下山滑走する際、この付近を通過しますので、誤って、雪の壁に近づかないよう注意が必要です。特に今日のような濃霧の場合は、周囲の状況が把握しにくいため、特に注意が必要です。

 

最も雪の壁が高い4号カーブ付近

この先は高い雪の壁が連続して続くようになります。その中で最も高いのは、大雪渓駐車場の手前数百メートルのところにある4号カーブ。

 

次の週末は乗鞍天空マラソンが行われます − 画像は昨年大会の様子(4号カーブ)
第8回乗鞍天空マラソン(2013/06/22〜23)

次の週末は第9回乗鞍天空マラソンが開催されます。こちらの画像は昨年大会の模様ですが、ご覧のように雪の壁の中を選手の方々が駆け抜けて行きます。雪の壁から流れる冷たい風が心地よいものです。

今年の大会もご覧のように多くの選手が雪の壁を楽しみにお越しになることと思います。

 

現在、高さは8.3メートル− 昨年よりも高い

現在、8.3メートルの高さがあって、昨年の6.5メートルを大幅に上回っています。バスより高い雪の壁を通過すれば大雪渓までもうすぐです。

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■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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