ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.10(2014/07/11〜12) E

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(Update:2014/07/17)

 

【畳平、お花畑】

森林管理署パトロールセンター

ここからは、畳平のお花畑の様子をお届けしますが、ちょっとその前に森林管理署のパトロールセンターの様子をご覧いただきます。こちらの建物は、当時、高山植物の盗掘が問題となり始めた昭和39年に高山植物監視所として立てられたもので、乗鞍山荘がなくなってからは、畳平の施設の中でもかなり古い部類に属すると考えられます。

 

入口・テラスの床板張替え − 建築当時の板材かも

今日は入口とテラスの床板の一部張替え。もしかすると、この板材も50年の月日を見ているのかもしれません...

 

お花畑入口部分 − 積雪はほぼなくなる

話を本題に戻して、こちらは入口部分。遊歩道の積雪はなくなり、お花畑部分の雪もほぼ完全になくなりました。

 

ハクサンイチゲの芽吹き(入口部分) − 例年より遅い ショウジョウバカマがようやく咲く(入口部分) − 例年より遅い

所々で芽吹きが見られるのはハクサンイチゲ。そして、雪解けと共にいち早く咲くショウジョウバカマが、高さ5センチ程度とかなり小さい状態。ショウジョウバカマは成長と共にどんどん伸びて行き、種子ができる頃には30センチ以上にまで達しますから、高さ5センチ程度というのは、本当に咲き始めといったところです。

例年なら、入口付近でもハクサンイチゲが咲いている時期ですが、そのような様子はまだありません。

 

周回コース分岐点

こちらは周回コースの分岐部分。先週は左半分だけ一般開放されていましたが、今週は両方向の通行が可能です。

 

お花畑一帯は雪解け水が豊富

畳平お花畑周辺のを良く見ると、まだ、積雪が残っていて、お花畑一帯はいくつもの水の流れが見られます。

 

ハクサンイチゲなど雪田を好む高山植物が多く分布

このように雪の残る窪地状の場所を雪田(せつでん)と呼び、ハクサンイチゲをはじめ、水量の多い場所を好む高山植物がたくさん自生します。言い換えると、もっと環境の厳しい場所に自生する高山植物、たとえばコマクサなどはここには存在しないということです。お花畑といえども高山植物のデパートというわけではありません。

 

開花は周回コースの奥のほうから始まる

前回もお伝えしたように、畳平お花畑は周回コースの奥から順番に雪解けが始まりますので、開花も奥のほうから始まります。

 

折り返し地点 − ハクサンイチゲが咲き乱れる

こちらが周回コースの折り返し地点、一番奥になります。ご覧のようにハクサンイチゲが咲き乱れている様子がうかがえます。

 

ほぼ満開状態

入口付近では新芽が出たばかりの状態でしたが、こちらではほぼ満開...例年なら、入口付近でも右の画像のようなハクサンイチゲが見られて、お花畑全体がハクサンイチゲ一色に染まる光景が見られるほどです。

 

コイワカガミ ミネズオウ

ハクサンイチゲ以外に咲いている花は、コイワカガミ(左画像)や、ミネズオウ(右画像)などがあります。

 

花の大きさを比較(コイワカガミとミネズオウ)
ミネズオウの小ささがわかる

上記のように別々の画像を一緒に並べると、ほとんど同じ大きさの花と思ってしまいますが、こちらの画像を見るとコイワカガミに比べてミネズオウがかなり小さいことがわかります。パンフレットの写真だけでは、花の大きさがわからず、現地で思うように見つけられないこともしばしばです。

 

ミヤマキンバイ ミヤマクロユリ

そのほかに咲き始めたのが、ミヤマキンバイ(左画像)、ミヤマクロユリ(右画像)。ミヤマクロユリは咲き始めというより、まだつぼみです。

 

例年より2週間ほど遅い状況

現時点では、今年は例年よりも2週間前後は遅い状況かと思います。

 

【昨年の今ごろは?】

2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2013/07/13〜14)

今回は海の日を含めた三連休という方も多かったのではないでしょうか?
三連休にあわせるように1週間ほど前に梅雨が明けてくれたものの、この週末はまるで梅雨に逆戻りしたような悪天候に見舞われてしまいました。

取材一日目の7月13日(土)は、梅雨明け後から続いていた晴天が嘘のように消え去って、小雨の降りだす朝を迎えます。そして、大雪渓付近は強風濃霧に見舞われ、周期的に雨の降る状況で、梅雨明け前の先週の状況とほとんど変わりありません。そのため、避難小屋は絶えず満員電車のような混雑振り。また、長野県道乗鞍岳線の大雪渓〜畳平の通行止めが相変わらず続いているため、乗鞍高原からのシャトルバスを利用した登山者は積雪のある大雪渓からの入山となり、登り早くても下りで四苦八苦される状況でした。
畳平の天候は大雪渓よりもさらに厳しく、立っていられないほどの強風です。午後になっても天候は一向に変化を見せず、天候に恵まれない一日でした。

取材二日目の7月14日(日)も、昨日と同様の状況。大雪渓付近はほぼ終日濃霧で、周期的に雨に見舞われました。三連休中日とあって、人出は昨日よりも多く、シャトルバスの到着する大雪渓・肩の小屋口バス停は登山客や観光客でかなりの賑わいとなりました。ただ、畳平のような施設はないため、昨日と同じく避難小屋は常に満室状態で、大雪渓からの登山道は雪に覆われていて、登りも下りもかなり苦労される様子がありました。お昼近くになるとほとんど雨も止んで、路面も乾き始めましたので、このまま天候が回復すると思ったものの、午後から再び雨で、夕方には土砂降りとなって、生憎の天候で一日が終わりました。

 

<編集後記>

「ノリクラの常連になっていただく、大切にする...」

「ノリクラ、初めて来ました。メチャクチャ景色いいです!」というような書き込みがSNSなどでよく見られるかと思います。おそらく、晴れわたった風景には誰しも感動するものだと思います。そのため、当WebSiteでも、ノリクラをご存知ない方がお越しになる際に、有用な情報が得られるように心がけています。

少し話が異なりますが、入りやすい店舗と入りにくい店舗というのが街中には存在します。タイプとして、「入りやすくて便利だけど別にその店でなければならない理由はない」という店舗。それとは対比して「新規客の開拓には熱心ではないけど、常連客が出入りする店」など様々です。

ノリクラの場合、色々な見方ができると思いますが、初めてお越しになるケースに夏山登山の入門という目的が多々見られます。しかし、お越しになる理由をお聞きすると「この夏に富士山に登りたいから予行演習に...」と、おっしゃる方が結構いらっしゃいました。それに対比して、夏スキーやヒルクライムは、一般の方が挑戦するには敷居がやや高いものの、お越しになる方は、シーズンの間に何度もノリクラにやって来ます。

おそらく、ノリクラは他の高山に比べて、入山するという点では敷居は低いものの、その魅力に気付くようになるまでには、若干ギャップがあるのだと思います。

新規客を常連客にすることは、経営学の世界の話かもしれません。しかし、どんな側面においてもそれは重要なことで、自然の豊かさだけでなく、人が滞在するための利便性なども要因になるかもしれませんし、利便性が悪くても、多くの人に共感される大きな魅力があればよいのかもしれません。どちらが正しいのか、それはわかりません。

 

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