ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.17(2014/08/30〜31) E

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(Update:2014/09/04)

 

【8月31日(日)、大会直前のヒルクライム、今日も熊出没】

体感的に寒い朝を迎える

取材2日目の8月31日(日)の様子をお伝えします。
夜明け直後の早朝5時は曇り空でした。気温は13℃とそれほど低いわけではありませんが体感的にはやや寒く、フリースなどの厚手の長袖が必要なほどで、8月とは思えない朝を迎えました。

こちらは6時のシャトルバス始発便の様子。昨日よりも人出は多いものの、それでも8月の週末としては少なめでした。

 

「今日は畳平往復3本がノルマ」 − 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍まであと1週間

9月7日(日)開催の自転車ヒルクライムレース 「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」まで 残りあと1週間となり、今日は最後の週末。そのため、出場される選手は最後の追い込みトレーニングにお越しになります。

「今日は3人で畳平往復を3本こなす予定です。」
今日は息子さんと一緒にお越しになり、来週の大会には一緒に出場されますが、年齢制限で今年はまだショートコースにしか出場できないとのこと...ショートコースの大会レコード更新を期待したいところですね。

次第に綺麗な青空が ひんやりとした空気は相変わらず続く

観光センター周辺では、左の画像のとおり、きれいな青空が広がり始め、出発するヒルクライマーが少しずつ多くなってきます。しっかりとした日差しが差し込むようになっても、気温の上昇は少なく、8時の時点で15℃と、夜明け直後とほとんど変わりません。ひんやりとした空気の流れに日差しの暖かさ・暑さは全く感じられません。

 

かもしかゲレンデ付近から濃霧

三本滝ゲートを通過してかもしかゲレンデ付近からいきなり濃霧の中。シャトルバスもヘッドライトを点灯するほどの状況。しかし、今回の濃霧は場所によって濃淡の差が大きく、数百メートル進むと山頂付近まではっきり確認できるようになったかと思うと、さらに進むと夕方の薄暮を思わせるほど薄暗い状況が繰り返され、湧き上がる雲海の中に翻弄されている状況でした。

 

本番モードで疾走するヒルクライマー 峠越えを目指すサイクリスト

ほぼ「本番モード」で疾走して行くヒルクライマーもお越しになれば、日本一標高の高い車道を峠越えするサイクリストもやってきます。どちらも坂を制覇するという気持ちは共通するもの...

 

位ヶ原山荘

そして、観光センターから15km、標高2350メートルにある位ヶ原山荘。いつもなら多くのヒルクライマーが立ち寄る様子が見られますが、今日は皆無...おそらく、大半の方が大会に向けてのトレーニングにお越しになっていますので、「途中下車」せずにゴール地点まで走り続けているものと考えられます。

 

少しずつ霧が抜け始める

全日本マウンテンサイクリングin乗鞍では、位ヶ原山荘がチェックポイント(CP、給水ポイント)になっています。また、天候・気象状況も位ヶ原山荘が境目になっていて、今回も位ヶ原山荘より先では濃霧が徐々に薄くなってきました。

 

山麓から湧き上がる雲と山頂からの吹き降ろしの風がせめぎあう

大雪渓付近到達すると、山麓から湧き上がる雲を見て取れるようになります。右の画像では雲の上端付近にちょうど位ヶ原山荘があり、ご覧のようにそれより上部では雲が全くない状況となっています。位ヶ原山荘を過ぎてから濃霧が薄くなってきたことと合点します。また、どうしてこの場所に雲がとどまっているかというと、山麓から山肌を湧き上がってくる雲に対して、山頂方面から吹き降ろす風がぶつかって、雲を押し下げようという力が働いているからです。

そんな自然の現象を間近に眺められるダイナミックさがノリクラには存在します。

 

大雪渓付近は視界が開ける

そのため、大雪渓付近ではご覧のように視界に全く問題のない状況。中腹に流れる雲に遮られ濃霧に満たされた山麓では、視界良好の山頂の状況など想像にも及ばないことでしょう。

 

雲間に青空 モクモクとしたダイナミックな雲

周辺の雲の隙間には青空が広がり、そここにはモクモクとした夏雲が横たわっています。ヒルクライムの足をとめて、ダイナミックな雲の動きにカメラを取り出します。このようにどんな風景にめぐり合えるのかわかりませんので、その「一瞬」に出会ったときに備えて、ぜひともカメラやスマホがご持参されたほうがよいでしょう。

 

ホシガラスは忙しそうにハイマツの実を集める − 季節はもう秋へ

そして、こんな「一瞬」は、秋を代表する光景の一つとも言えるでしょう。

ハイマツの実が熟成するこの時期。ホシガラスたちは冬への備えに大忙しです。よく観察していると、ハイマツの実(マツボックリ)をもぎりとって、中から実を掘り出して頬の袋に溜め込みます。これを越冬する山麓へ運んで地中に埋めて保管します。これからしばらくの間は、ハイマツ帯を忙しそうに往復する様子が続くことでしょう。

ホシガラスたちにこんな行動が始まると、季節は完全にもう秋です。

「ウォームアップのつもりで、平湯から登ってきました。」
(矢部周作選手)
今日は数多くの選手が最終調整にお越しになっていました

そんなホシガラスの様子を観察していると、後から声を掛けて下さるヒルクライマーの姿があります。

「ウォームアップのつもりで、今日は平湯から登ってきました。」と、おっしゃるのは矢部周作選手。
今年7月の岐阜県側でのヒルクライムレース「第11回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム」では総合優勝を果たしました。もちろん、来週の全日本マウンテンサイクリングにも出場予定で、今日は最終調整にお越しになっています。(参照 :7月6日開催の第11回乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムの様子

今日は大会前の最後の日曜日ということもあって、多くの選手が最終調整にお越しになっていました。まるで大会のリハーサルではないのかと思うような場面もありました。

 

秋になっても滑走できるから「秋スキー」

「夏スキー」という言葉がありますが、夏スキーの終りはどこにあるのでしょうか?おそらく、雪解けが進んで滑走できなくなれば、自然と夏スキーは終了するものです。しかし、ノリクラでは季節的に秋に入っても滑走できますから、ある時点から「秋スキー」と呼んでもおかしくない状況となります。

目の前にはモクモクとした夏雲が広がるものの、空気感はすでに秋...

 

今日も熊出没 − グリーンサポートスタッフが監視

連日、熊の目撃情報があり、今日も畳平周辺では多数の目撃情報がありました。そして、夕方近くになって大雪渓でも出没し、グリーンサポートスタッフが監視を始めます。

 

ハクサンボウフウを食べるツキノワグマ

よく見ると、クマの口がやや白くなっていますね。手前のハクサンボウフウの花を食べています。クマはセリ科の植物が好物といわれていて、今日もハクサンボウフウの咲いている場所へ次から次へと移動します。

 

人のいないエリアへ追いやって安全確保

しかし、やはり気がかりなのは、人のいるエリアに入ってくること。そのため、今日もグリーンサポートスタッフが登山道の北側の人のいないエリアへ追いやっていました。

今年はクマの出没が例年以上に多い状況が続いています。高山植物の植生が復活したことが要因の一つと考えられますが、今夏の異常気象が何らかの影響を与えているのかもしれません。

また、熊の出没のたびに人の入山を規制してクマの行動範囲を広げてしまうことよりも、人のエリアに入ってこないような対策が必要なのだと思います。

 

【昨年の今ごろは?】

2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2013/08/24〜25)

今回は台風15号の到来で悪天候に見舞われた週末となってしまいました。先週に引き続き、週末に悪天候となる周期に陥ってしまっています。通常、週末の取材ですが、今回は9月1日(日)に第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍開催のため、1日前倒しして取材を実施しております。

取材一日目の8月30日(金)は、夜明け前から降り始めた雨が断続的に降り続きます。雲は足早に流れていて、上空には強い風が吹き続けている様子がわかります。そのため、岐阜県側の乗鞍スカイラインは強風のため通行止めとなり、シャトルバスは長野県側・岐阜県側共に運休。しかし、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)は通行可能なため、タクシーで大雪渓方面に向かう方がみられました。大雪渓付近は視界が50メートルに満たないほどの濃霧。風の強さは傘がなんとか使用できる程度でそれほど強いものではありません。そして、乗鞍スカイラインは13時15分に開通したものの、岐阜県側は依然として風速15メートルの強風で自転車は通行止め。県道乗鞍岳線から登ってきたヒルクライマーも県境に到達した瞬間に吹き飛ばされるほどの強風に見舞われ、午後になって、雨の時間帯が長くなり、手が悴んでブレーキが握れないヒルクライマーの姿もありました。

取材二日目の8月31日(土)は、台風15号は温帯低気圧に変わりましたが、その後も前線の活動を刺激して相変わらずの天候が続きます。昨日通行止めだった乗鞍スカイラインは今日は朝一番から通行可能ですが、強風が続いているため、自転車での通行はできない状態です。大雪渓付近の雨は周期的に強弱を繰り返し、昨日以上の強風が吹き続き、とても外に出られる状況ではありません。そのため、週末にもかかわらず、大雪渓にやってくるスキーヤー・ボーダーの姿はまばらでした。
午後からは第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の大会会場となっている観光センターに向かいます。13時から受付が開始され、出店ブースなどを見物する選手の方々でにぎわっていました。時折、まとまった雨降りとなる時間帯もあり、天候は相変わらずの状況の中、明日のレース開催が心配なところです。

そして、9月1日(日)は、第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍のレース当日。昨日と同様に大雪渓・県境付近は濃霧強風が続いていることから、ゴールを県境から位ヶ原山荘に引き下げての実施となり、ゴール地点変更は大会始まって以来のことと思います。レース中はほとんど雨もなく、また、自転車走行に支障となる風もありませんでした。また、ゴール変更に伴って大会運営に大きな問題が生じることもなく、無事に大会を終えることができました。

 

<編集後記>

「紅葉は始まりかけが美しい」

速報(2012/09/15) 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.20(2012/09/22〜23) D
=移り行く変化を楽しむ=

8月が終わって、ノリクラのグリーンシーズンもあと2ヶ月となってしまいました。振り返ってみると本当に早いものです。高山植物や山野草の季節も終りになると、見るものが乏しくなるように感じるのですが、それがそうでもないのが、やはりノリクラの懐の深いところと思うのです。

秋のノリクラを代表する風景は、やはり森林限界より上の紅葉ですが、紅葉が始まりだして9月下旬にピークを迎えるまでがもっとも楽しい時期です。多くの人は赤や黄色にしっかり染まった紅葉が一番と思うものでしょうけど、変化して行く過程も見逃せないと思います。特にウラジロナナカマドの緑の葉の中に黄色や紅色が現れ始めた状態は、クリスマスの飾りつけのような配色で、おそらくこれが楽しめるのは、ピークの時期よりも短いかもしれません。

さて、今年は8月の天候不順が紅葉にどのように影響を与えるか、若干気がかりな点がありますが、ノリクラ雪渓カレンダーでは例年同様に、9月から紅葉情報を掲載します。青々とした紅葉の気配すら感じさせない9月上旬から情報掲載を開始いたしますが、いち早くチェックしていただき、過去の紅葉情報と比較することで、今年の紅葉の始まりやピークの時期を、皆さんが独自で推測していただけることと思います。

紅葉情報は、当WebSiteのトップページの速報やノリクラ雪渓カレンダーのコーナーに掲載いたしますので、ぜひともチェックしてください。

 

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