ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.21(2014/09/27〜28) D

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(Update:2014/10/02)

 

【9月28日(日)は終日快晴、紅葉日和】

快晴

取材二日目の9月28日(日)は、昨日とは打って変わって、雲ひとつない快晴の朝を迎えます。早朝の気温は7℃ですが、それほどの寒さはありません。また、紅葉が見頃・ピークを迎え、観光センター前駐車場は6時の時点で満車になってしまう人出状況です。

さて、昨日9月27日(土)は、乗鞍岳から南へ25kmの位置にある御嶽山が噴火しました。紅葉シーズンを迎えて、火口付近には多くの登山者がいる中での噴火で、甚大な被害に見舞われました。御嶽山と同じく乗鞍岳も活火山で、山頂付近から臨むことのできる権現ヶ池は火口で、御嶽山と同じように火口近くまで人が立ち入っている状況です。先週の ノリクラ雪渓カレンダーVol.20 A でも、活火山について触れておりますが、その内容を再掲いたします。

 


【乗鞍岳と活火山】

乗鞍岳は複数の火山が集合した複合火山であり、128〜125万年前の千町火山体から始まり、その後、烏帽子火山体(32〜12万年前)、四ッ岳火山体(4万年前)、恵比須火山体(2万年前)、権現池・高天ヶ原火山体(10万年前以降)の5つに区分され、現在の形になったのは9000年前とのことです。主峰剣ヶ峰山頂付近にある権現ヶ池は、権現池・高天ヶ原火山体の火口で、畳平にある亀ヶ池は恵比須火山体の火口です。

火山噴火予知連絡会(※)では、「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定義し、2011年6月現在では110の火山が選定され、その中に乗鞍岳も含まれています。

また、火山噴火予知連絡会は、今後100年程度の中長期的な噴火の可能性及び社会的影響を踏まえ、火山防災のために監視・観測体制の充実などの必要がある火山として全国で47の火山を常時観測火山として選定していますが、乗鞍岳は過去100年程度以内に火山活動の高まりが認められる火山として選定され、監視活動が続けられています。

※火山噴火予知連絡会 − 火山噴火の予知・研究のための関係機関が集まり、観測データや情報の交換を行い、火山活動についての総合的判断を行う」ことを主目的として設置されている機関で、気象庁が事務局。

 

乗鞍岳は常時観測火山に選定 − 頂上付近を捉える監視カメラ

太古の昔、乗鞍岳の噴火で溶岩流が谷を埋めてできたのが乗鞍高原。山麓とは言えども、噴火とは無縁というわけではありません。

乗鞍岳は常時観測火山として選定されているため、観光センター駐車場内には頂上付近を捉える監視用カメラが設置されています。また、三本滝には地震計、GNSS(衛星測位システム)、傾斜計、空震計が設置されています。

 

シャトルバス − 普段の週末よりも人手は多い

今日は普段の週末よりも人出の多い状況が見られましたが、お盆や連休のような混雑には至りませんでした。ただ、ご来光バスは6台も運行されました。天候がよかったことと、ご来光バスの運行が今月(9月)で終了することから、多くの方がお越しになったものと考えられます。

また、ご来光バスに乗車された方の大半が、ご来光が終わってもそのまま現地に滞在され、引き続き、山頂登山や紅葉散策を楽しまれたようで、午前中の早い時間帯に戻ってこられる方は少なく、観光センター前駐車場の満車状態が続きました。そのため、新たにお越しの観光客には2km先の「すずらん橋駐車場」へ誘導された模様です。

 

鈴蘭橋
乗鞍高原の紅葉は10月中下旬が見頃

その「鈴蘭橋」からの眺めはご覧のとおり。山頂から手前の紅葉まで一望できるビューポイントで、紅葉の見頃は10月中下旬です。すでに若干色づき始めていますが、大雪渓・位ヶ原などの上部エリアのように一気に進むことはなく、おそらく、例年通りの時期に見頃となるはずです。

 

紅葉を眺めながら − 秋のヒルクライムもオススメ

今日は14℃前後。ご覧のとおり、日が高くなっても雲ひとつない快晴が続き、強い日差しをひんやりと流れる空気がクールダウンさせてくれて、ヒルクライムにはベストマッチ!今日は午前中だけで82台もの自転車がお越しになり、ヒルクライムは夏だけでなく、秋もオススメなシーズンです。

 

青・黄・赤の三原色 − 今日は今シーズン一番の紅葉日和!

そして、紅葉は文句なくベストコンディション。青空に赤や黄色がくっきりと映えて、どこを撮影しても絵になる状況です。昨日よりもダケカンバの黄色が深まり、おそらく、昨日・本日あたりで一番のピークを迎えたと考えられます。エリアごとの紅葉情報はこのあとの6ページ目から掲載しております。

 

【9月28日(日)は終日快晴、登山日和・御岳の噴煙】

肩の小屋 山頂行ってきました!これから紅葉散策へ

こちらは剣ヶ峰登山の中継地点にある肩の小屋。今日もたくさんの方がお越しになっています。
朝早くから登山に向かったこちらの方。いつもは夏スキーに大雪渓にお越しになっていて、この後、今シーズン最後の夏スキーとのこと...でも、帰りは少し沿道を歩いて紅葉散策を楽しみ、最終バスで下山されるようで、今日のノリクラはいつも以上に動き回って楽しむだけの価値がある快晴の一日となったでしょう。

 

休憩の登山客でにぎわう 軽食コーナーは猫の手も借りたいほど
(今期の営業は10月5日ごろまで)

時刻は12時を回ったあたりで、下山の方も多くなって来る時間帯。うどんやコーヒーなどの軽食コーナーは猫の手も借りたいほどの忙しさ。夕方近くにはソフトクリームが売切れてしまうほどでした。なお、今シーズンの肩の小屋の営業は10月5日ごろまでです。

 

今年もまたお会いできました!

さて、山頂に向かう道中にも様々な方々にお会いすることができました。昨年も9月末にお越しになったこちらの方。ノリクラには7月の夏スキーでよくお越しになっていますが、今日はご両親と一緒に登山。ノリクラの登山は家族揃って登るには適した山であると言えます。

 

頂上小屋へのボッカ − いつも以上にたくさんの荷物を背負う

そして、大きな荷物を背負ったこちらの方。この先の頂上小屋へのボッカ。今日は2往復目とのことですが、いつも以上にたくさん背負いすぎて、なかなか先に進むことができません。やはり荷物を減らして、回数を増やしたほうがよさそうでした。頂上小屋は電気も水も全くなく、ノリクラの山小屋の中で唯一クルマでたどり着けない場所にあるため、すべて人手に頼るしか方法はありません。

 

稜線へ 何度も夏スキーに来ているのにシーズン最後でようやく初登頂

さらに進むと目の前に稜線が迫ってきました。左の画像に見えるピークを乗鞍岳の山頂と思ってしまいますが、こちらは乗鞍23峰の一つ、蚕玉岳の山頂です。目指す主峰 剣ヶ峰の山頂はさらに進んだところにあります。

そこでお会いしたのは昨日モーグルコースで滑走されていた方。昨日の帰り際に、「明日は誰も来なかったらスキーをせずに登山しようかと思っています。まだ、剣ヶ峰へ行ったことがありませんので...」と、おっしゃっていました。夏スキーで毎週のようにノリクラに通うスキーヤーでも、剣ヶ峰は一度も行ったことがないという方もたくさんいらっしゃいます。ノリクラを知るという意味からも一度は剣ヶ峰登山を体験されてもよいでしょう。

 

奥:主峰剣ヶ峰、手前:蚕玉岳 権現ヶ池 − 乗鞍の火口湖 

左の画像の手前のピークが蚕玉岳(こだまだけ、標高2979メートル)、その奥が主峰の剣ヶ峰(けんがみね、標高3026メートル)です。左の画像の稜線の反対側には乗鞍の火口、権現ヶ池(ごんげんがいけ)が空の青さを映し出しています。権現ヶ池の標高は2845メートルで、御岳の二の池(標高2905メートル)に次ぎ、国内二位の標高を誇る火口湖です。

ノリクラには数々の池がありますが、火口湖は権現ヶ池のほか、不消ヶ池(きえずがいけ)と亀ヶ池(かめがいけ)があります。

 

頂上小屋

先ほどのボッカはこちらの頂上小屋へ。今シーズンの営業は道路冬季閉鎖の10月末まで継続される予定です。

 

剣ヶ峰山頂 − 鳥居の前に3026mの三角点 のんびりとコーヒータイムを楽しむ

こちらが剣ヶ峰山頂、標高3026メートル。鳥居の前には標高3026メートルの三角点があります。今日はほぼ無風でのんびりとコーヒータイムを過ごす方々の様子も見られます。

 

山頂からは御嶽山の姿がはっきりと

乗鞍から御嶽山までは直線で約25km。剣ヶ峰山頂からはその姿がはっきりと確認できます。

 

複数の噴煙が上がる

昨日(9月27日)の噴火で、御嶽山の山頂付近には複数の噴煙が上がっています。噴煙はほぼ白色で、現時点では北風が吹いていますが、南風の場合はノリクラでも火山灰の影響が懸念されます。

 

乗鞍も活火山 − 日頃から注意は必要

乗鞍も活火山で、御嶽山と同様に常時観測火山でもあります。かつては休火山とか死火山という名称が使われましたが、長い歴史から考えると、それらが単に休んでいる火山にすぎず、それらがすべて活火山という言葉に統一されている経緯から考えると、これからは、台風や地震と同じように日頃から火山活動に注意を払うことが求められることでしょう。

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