ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.2(2015/05/15〜17) C

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(Update:2015/05/21)

 

【稜線、縄張り争いの雷鳥】

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。

 

先週も同様のバーンでしたが、表面が冷えて固くなり、その下は柔らかい層が残っている状態になっていて、シールのグリップが効かず、かなり慎重に登っていらっしゃる様子が見られました。

 

夏の登山道が現れる − 6月中旬〜下旬並みの状況

そして、雪解けがかなり進んで、夏の登山道が部分的に見え始めています。昨年の6月中旬〜下旬に近い雪解け状態です。

 

昨年同時期の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) D
昨年同時期の3週間後の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.5(2014/06/07〜08) D
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
昨年よりも3週間早い雪解け

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。左上は昨年同時期の画像。そして、右上は今週と同じ積雪状態の昨年6月上旬の画像。そして、下段は今週の画像です。昨年よりも3週間早い雪解け状況です。

 

昨年同時期の権現ヶ池
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) D
昨年同時期の4週間後の権現ヶ池
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2014/06/14〜15) D
今週の権現ヶ池
昨年より1ヶ月も早い雪解け

こちらは御岳の二ノ池に次いで国内2番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)。先ほどの稜線部分の3枚と同様に、左上が昨年同時期の画像、右上が今週と同じ積雪状態の昨年6月上旬の画像。そして、下段は今週の画像です。昨年よりも1ヶ月も早い雪解けを示しています。

 

昨年同時期の朝日岳
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) D
昨年同時期の4週間後の朝日岳
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) D
今週の朝日岳
昨年より1ヶ月も早い雪解け

朝日岳も同様で、左上が昨年同時期の画像、右上が今週と同じ積雪状態の昨年6月上旬の画像。そして、下段は今週の画像です。昨年より1ヶ月早い雪解けを示しています。

 

すぐ傍らに雷鳥はいます

「雷鳥を見てみたい」と、おっしゃる方は多いかと思います。実は登っていらっしゃるすぐ傍らにその姿を発見できることがあります。

 

今日も縄張り争い

前の【稜線へ】のコーナーでもお伝えしたように、この時期はオス同士の縄張り争いの時期で、ご覧のような光景が頻繁に確認することができます。

 

すでに夏毛に変わっています

まだ、積雪のある時期ですから、雷鳥はまだ白い冬毛と想像されますが、実際はすでに夏毛に変わっています。

 

追われる雷鳥(左)、追う雷鳥(右) − どちらも足環がなく、昨年生まれた雷鳥かもしれません

つぶさに観察していると、執拗に相手を追い掛け回す様子が見られます。そして、どちらのオスにも足環がありません。ノリクラの雷鳥は足環によって全個体が識別されており、新しい個体には毎年足環がつけられますので、昨年生まれた雷鳥かもしれません。

また、ノリクラでは雷鳥の詳細な調査が継続されていることから、乗鞍岳の雷鳥の卵を人工ふ化する取り組みが計画され、国が雷鳥の飼育に初めて取り組む模様です。雷鳥は特別天然物であると同時に、絶滅危惧TB類(EN)にも指定されています。トキのように絶滅する前に対策を講じる必要があります。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳、県道乗鞍岳線の除雪】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

昨年同時期の蚕玉岳山頂付近
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2014/05/15・17・18) D
昨年同時期の3週間後の蚕玉岳山頂付近
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2014/06/07〜08) D
今週の蚕玉岳山頂付近
昨年より3週間早い雪解け

こちらは蚕玉岳山頂付近の様子。左上は昨年同時期の画像。そして、右上は今週と同じ積雪状態の昨年6月上旬の画像。そして、下段は今週の画像です。昨年と比べて1〜2メートルほど積雪が少なく、3週間ほど雪解けが早いことがわかります。

 

春山バス最終便に間に合うよう14:30には下山滑走開始を

午前中の雨は回復したものの、その後、稜線超えの強風が吹き抜ける状況。前のコーナーの蚕玉岳〜朝日岳稜線上よりも激しい状態です。

ここから位ヶ原山荘に向けて下山滑走を開始しますが、山頂・稜線から位ヶ原山荘まで20〜30分程度で下山滑走可能かと考えられます。ただし、今後はバーンの縦溝がひどくなり、滑走しにくい状態になりますので、もう少し時間がかかると予測されます。春山バス下り最終便が15時34分に位ヶ原山荘を出発しますから、逆算して行動すると、山頂付近からの滑走は14時30分くらいには開始したほうがよいでしょう。また、歩いて下山の場合はスキー・ボードより時間がかかりますので、どんなに遅くても14時には出発しなければならないでしょう。

なお、岐阜側の乗鞍スカイラインのシャトルバスで下山する場合は、畳平16時50分発が最終便です。山頂付近からの畳平への下山ルートとしては、一旦大雪渓付近まで滑り降りたら、大雪渓から摩利支天岳の斜面をコロナ観測所・肩の小屋分岐点まで登り、専用道路を歩いて畳平へ帰ります。大雪渓から畳平まで1時間以上かかりますので、山頂からの滑走は15時くらいには開始されたほうがよいでしょう。なお、除雪前の県道乗鞍岳線は、途中の富士見沢で急斜面トラバースが長いため危険があり、お勧めしません。

 

横幅は130メートル以上

バーンは表面が締まっていて、その下が柔らかい状態。また、横幅は130メートル以上あって、どこでターンしても問題ありません。

 

昨年同時期の位ヶ原
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) D
昨年同時期の3週間後の位ヶ原
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.5(2014/06/07〜08) D
今週の位ヶ原
昨年より3週間早い雪解け

稜線付近からの位ヶ原。左上が昨年同時期の画像。右上が今週と同じ積雪状態の昨年6月上旬の画像。そして、下段は今週の画像です。今年は県道より山頂側の雪解けはそれほど激しくないものの、県道より山麓側の位ヶ原の雪解けが激しい様子が見られ、昨年より3週間早い雪解けです。

 

昨年同時期の剣ヶ峰直下の岩
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) D
今週の剣ヶ峰直下の岩
昨年より3週間早い雪解け

剣ヶ峰直下の岩付近も昨年の6月上旬並みの状況です。

 

3分の1地点
岩の頭が出て来た − 昨年より1ヶ月以上早い雪解け

稜線から県道乗鞍岳線までの区間の約3分の1程度まで滑り降りたところ。ご覧のようにバーン中央に岩の頭が出現しました。例年、6月中旬から下旬ごろになって表れるもので、今年は1ヶ月も早く出現しました。また、しばらくするとこの箇所でバーンが上下に分断されてしまいます。ちなみに、昨年はこの岩が出現したのは6月20日ごろで、その前に上端部分の雪がなくなり滑走できなくなりました。

 

滑走しやすいバーンだが、氷の塊がすでに発生 − 夏の雪渓に見られる現象

バーンは比較的柔らかめで滑走しやすい状態でしたが、表面に氷の塊が現れるようになってきました。夏の雪渓の状態にみられるもので、例年なら6月中旬以降に発生します。積雪量も雪の状態もすべて今年は1ヶ月も早い状況です。

 

稜線から約1km

稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。先週はこの地点まで除雪は実施されていませんでした。除雪の先端はこの先数十メートルのところまで達しています。

 

除雪の先端は大雪渓手前まで到達

こちらは大雪渓の手前、最も雪の壁が高い4号カーブですが、まだ道路のアスファルトまで除雪が達していません。

 

5号カーブの雪壁、高さ8メートル − 道路への転落注意(位ヶ原山荘への下山滑走時)

こちらはさらに手前の5号カーブ。すでにアスファルトまで除雪が終わっていて、高さは8メートルあります。山頂・大雪渓方面から位ヶ原山荘へ下山滑走するとき、この付近を通過しますので、道路への転落には注意してください。なお、5号カーブの場所は、ノリクラガイドマップ春スキー版 でご確認ください。

 

除雪箇所の手前にロープが設置されています − 濃霧時注意

また、安全対策のため、道路の除雪箇所手前にはロープが設置されています。濃霧など視界の悪いときは見落とさないようにしてください。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) C
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2015/05/09〜10) A
今週の大雪渓入口
昨年より2週間早い雪解け

こちらは大雪渓入口付近の様子。左上が昨年、右上先週の様子で、下が今週の画像。先週よりも50センチ少なく、昨年より1メートル少ない状態で、昨年より2週間ほど早い雪解けです。

 

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。

トイレ小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。なお、5月15日(金)より、肩の小屋・宇宙線観測所入口にある公衆トイレが利用可能になりましたので、そちらをご利用ください。

 

トイレの右下が白くなっていますが、雪解け水が夜間の冷え込みで凍結したものです。この付近は雪解け水が集まっていて、せせらぎに近い勢いの流れができていました。それにも関わらずご覧のとおり凍結しました。早朝の畳平の気温はマイナス4℃でしたが、もう少し冷え込んだのかもしれません。

 

モーグルコースの岩 − 大雪渓で最も早く現れる岩

岩場がゴツゴツとしている大雪渓も、厳冬期以降はすべてのものが雪に閉ざされてしまいます。春になって雪解けが進んで最初に姿をあらわすのが画像の中央に写るモーグルコースの岩です。そのためモーグルコースの岩は、大雪渓の積雪量・雪解け状況を最も早く観測できるバロメーターとなります。7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。

 

昨年同時期のモーグルコースの岩 − 昨年は通年出たまま
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) C
今週のモーグルコースの岩
ここだけ積雪量が昨年より多い − 例年との差も少ない

今週になって、右の画像のように姿を現し始めました。昨年同時期と比べると岩が小さく、昨年よりも雪解けが遅いことがわかります。他のエリアが軒並み1ヶ月近く早い雪解けを示す中、昨年よりも積雪量が多いのはこの箇所だけです。

例年、このモーグルコースの岩は厳冬期の3月(年によっては4月)に埋まりますが、昨年は一度も姿を消すことなく、また、今年は2月中に埋まってしまいました。そのため、昨年と今年では比較することに少し無理があるかもしれません。また、さらにさかのぼって出現時期をみると、2012・2011年は今年より1週間遅く、2010年は6月に入ってから岩の頭が見られ、2009年・2008年は今年より2週間ほど遅い雪解けで、他のエリアよりも違いが少ない状況です。このことから、他のエリアでは1ヶ月近く雪解けの早い状況ですが、モーグルコースの岩付近の積雪量は、例年との違いが少ないといえます。

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