ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.2(2015/05/15〜17) D

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(Update:2015/05/21)

 

【5月17日(日)、快晴の朝は冷え込み、春山バス始発便は凍結運休】

快晴の観光センター前駐車場

取材一日目の5月15日(金)、二日目の16日(土)は、あいにくの天候でしたが、最終日の17日(日)はようやく天候が回復しました。

 

綺麗な青空 出発の準備があちこちで

6時の気温は5℃、昨晩は冷え込みましたが、日が高くなって暖かさを感じるようになってきました。6時の観光センター前駐車場には約40台ほどのマイカーがお越しになり、乗鞍岳春山バス始発便に乗車するために出発の準備があちこちで始まります。

 

桜やスモモはすでに葉桜 − 例年より1週間早い

左は観光センター隣の自然保護センターの桜、そして、右はスモモの木。どちらも先週満開となり、1週間経過して完全に葉桜になりました。例年より1週間以上早い状態です。また、今年のすもも祭りは来週5月24日(日)です。自然相手のことですから致し方ありませんが、すももの満開に合わせて開催することは難しいところです。

 

三本滝レストハウス前駐車場 昨晩は冷え込んで霜柱

さて、観光センターから7km登ったところにある三本滝レストハウス前駐車場。7時の時点で40台ほどがお越しになり、アスファルト部分はほぼ満車。気温は7℃ですが、駐車場周辺ではご覧のように霜柱が見られ、夜間は氷点下に達したものと推測できます。

また、岐阜県側の畳平では、早朝の気温はマイナス4℃まで冷え込みました。ただ、乗鞍スカイラインは路面凍結などなく7時に通常開門して、シャトルバスはAダイヤで運行が始まりました。

 

バス停には誰一人いません 春山バス − 路面凍結のため始発便は運休

いつもなら7時過ぎにはバス停に列ができ始めるものの、今日は誰一人いません。路面凍結のため、始発便の運休が決まりました。

 

雪解け水が凍って全面結氷 バス会社の方 − 「こんな状態ですから申し訳ありません〜」

岐阜県側の乗鞍スカイラインでは路面凍結はなく通行可能であるのに、県道乗鞍岳線では路面凍結するのか疑問をお持ちにかもしれませんが、道路わきの雪壁からの雪解け水が道路に流れ出し、それが夜間に凍結するためです。もう少し雪解けが進んで側溝が出てくれば、雪解け水が側溝に流れ落ちますが、県道乗鞍岳線は現在冬季閉鎖中であり、現時点での一般車両の通行を想定していませんので、7月の開通までに自然融雪することを織り込んだ除雪しか行われていません。

 

運休なら歩いて行くしかない!

始発便の運休が決まると、スキーヤー・ボーダーの方々は、かもしかゲレンデからツアーコース方面へと登り始めます。おそらく、夏のシャトルバスが運休になっても、同じように自力で登ろうとされる方はかなり少ないと思いますが、今回は半数以上の方は登って行ったようです。

春山バスが運行される前の4月中は、スキー場の営業が終了し、すべて自力でツアーコースを歩いて位ヶ原・大雪渓方面に向かっていました。これしか上部に向かう手段がありませんので特別なことではありませんでした。ですから、春山バスが動かなければ、第一選択として自力で歩くという事になるわけです。

厳冬期のツアーコースの登行について、1〜4月の速報をご覧になれば、「歩くのが当たり前」という世界だという事がお分かりになるかと思います(速報バックナンバー:2015年1月2015年2月2015年3月2015年4月

 

春山バスの運行開始を待ちます 路面凍結が解消され、2便から運行開始

ツアーコース方面へ登る方がいる反面、運行開始を待つ方もいらっしゃいます。「若い方と違って体力ありませんから、時間が遅くなっても春山バスを利用したいと思って待っています。」雪のないかもしかゲレンデを登り、さらにツアーコース入口急斜面はクマザサを藪漕ぎしなければならず、必要以上に体力を消耗してしまいます。

そして、日差しが強くなり、9時過ぎには凍結箇所も解消し、乗鞍岳春山バスは2便から運行が始まりました。

 

雪景色の中を行く乗鞍岳春山バス

今日の春山バス2便は三本滝1台+観光センター4台の合計5台で240名の方を乗せて雪壁の続く県道乗鞍岳線を進みます。今日は本当にきれいな青空が広がり、空の青と雪の白のコントラストが車窓いっぱいに広がります。

 

位ヶ原山荘に到着 今日も安全運転で春山バスを運行します

春山バスが到着した10時過ぎの位ヶ原山荘の気温は10℃、ひんやりとした空気が漂っています。5人の運転手さんはこの路線を何年も運行されているベテランの方ばかり。三本滝から位ヶ原山荘までは冬季閉鎖中の路線ですからカーブミラーやガードロープなどの安全設備がまだ整っていませんが、事故なく安全な運行を継続されています。

また、冬季閉鎖中の道路では通行に特別な許可が必要であり、一般車両の通行ができません。車両にはバス・タクシーなどの自動車のほか、自転車も含まれますのでご注意ください。

 

一斉に山頂方面へ 蟻の行列のごとく...

今日は春山バス始発便が運休だったため、予定よりも2時間近く遅い出発となりました。そのため、皆さん一斉に山頂方面に向けて歩いて行きます。まるで蟻の行列のごとく、一本のラインができていて、大雪渓から山頂までのルートをあえて画像上に線引きしなくても、どのルートで歩けばよいか一目瞭然な状態です。

 

雪解けともに岩場やハイマツ帯が多くなる
=高山植物・雷鳥保護のため進入は回避してください=
休憩はご覧のように雪の上でお願いいたします

さて、雪解けともに、岩場やハイマツ帯が多くなってきました。速報でも申し上げているように、岩場に自生する植物はすべて高山植物で雷鳥のエサとなり、ハイマツ帯は雷鳥の住処となります。これからの雷鳥は、つがい形成、産卵・托卵期を迎える重要な時期を迎えますので、岩場やハイマツ帯への進入は回避されるようお願いいたします。また、休憩の際も雪の上でお願いいたします。

 

適度に緩んで春スキーらしいバーン

適度に緩んで春スキーらしいバーンとなり、中には歓喜をあげながら滑走するスキーヤーの様子も見られ、思うままのターンを繰り返していました。

 

爽やかな風が全身を吹き抜ける感覚が心地よい

登り続けていても、今日は一向に汗が出ません。ひんやりとした爽やかな空気に包まれ、そんな風が全身を吹き抜ける感覚がたまらなく心地よいものです。

 

穏やかな稜線 − お昼休みをゆっくり過ごす

稜線の気温は8℃、昨日・一昨日のような強風はなく、のんびりと遠方の穂高の山並みを眺めながらお昼休みを取る様子が見られます。登ってきた苦労はもう完全に忘れています。

 

ドロップイン − このロケーションに溶け込む

登るのも楽しい、滑るのも楽しい、そして、このロケーションを眺めるのも楽しい。今日は春スキーならではの楽しさを十二分に味わうことのできた一日でした。

 

【昨年の今ごろは?】

2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2014/05/15・17・18) @

ノリクラは岐阜県と長野県にまたがっていて、両県から2本の自動車道が山頂近くの畳平まで伸びています。(岐阜県側:乗鞍スカイライン、長野県側:県道乗鞍岳線、通称:エコーライン)

毎年5月15日は岐阜県側の乗鞍スカイラインの開通日。それにあわせて、シャトルバスの出発式(乗鞍登山バス出発式)と、乗鞍岳山開き祭が行われます。平日にもかかわらず欠かさず、毎年この行事を楽しみにして参加される観光客の方もたくさんいらっしゃいます。昨年は乗鞍スカイラインが40周年を迎え、今年はノリクラを含めた中部山岳国立公園の指定から80周年を迎える記念の年となり、グリーンシーズンの開幕最初の行事が乗鞍スカイライン開通となります。

5月15日(木)は、朝一番は青空がのぞいたものの、ほおのき平駐車場で出発式が開始された8時40分ごろには小雨が降り始めます。しかし、畳平での乗鞍岳山開き祭が始まると雲間に青空がのぞき、メインイベントの樽開きのタイミングには日差しも差し込んで、きれいな青空が上空を包みます。しかし、山開き祭が終わると同時に再び濃霧が流れ込んで一気に視界が奪われ、午後にはしっかりとした雨模様となってしまいました。

5月17日(土)は、昨晩の嵐が収まり、きれいな青空の朝を迎えます。昨晩は三本滝あたりでも降雪が見られ、開通したばかりの乗鞍スカイラインは吹き溜まりで60センチも積もって午前中は通行止め。午後になっても稜線付近は足早に雲が流れますが、透明感のある空に遠景の山並みがくっきりと映えて厳冬期並みの美しさです。また、除雪は大雪渓まで進んで、もっとも高い雪の壁のある4号カーブ付近は最大11メートルにも及ぶ高さがあり、春山バスの大雪渓への延長運行が待ち遠しいところです。

また、ツアーコースでの下山滑走は、入口急斜面上端で積雪が分断され、ツアーコースを熟知している方以外は滑走困難な状況でした。

 

<編集後記>

「ネットでの情報発信の難しさ...」

乗鞍スカイラインがオープンし、山頂へ向かう登山者がこれまで以上に多くなってくることと思います。「乗鞍=観光登山」というイメージがあるのか、5〜6月の残雪期でもスニーカーでお越しになる方もいらっしゃいます。ですから山頂まで到達できずに断念される方が多いのですが、「こんなに雪が多いとは思いませんでした」と、おっしゃる方に毎年遭遇しています。「バスで行ける山だから、それほどでもない山だろう。」という先入観があるのか調査せずにお越しになるケースが非常に多いようです。

登山や観光に出かける方の中には、インターネットで事前に調べてからお越しになる方も多いかと思います。ネットがこれだけ普及しているのだから、事前に下調べして当然だろうと思うものの、実際にはそうでない状況が見られます。昨今、スマートホンがかなり浸透していますが、それでも普及率は6割程度(総務省 平成26年度 情報通信白書  主な情報通信機器の普及状況(世帯)より)、従来型の携帯電話は根強い人気があることから、ネットを情報収集における日常の媒体として利用していない方がある程度いらっしゃることが推測されます。

情報を正しく発信するという事は大事ですが、手元まで正しく伝えることができるかというと、それはかなり難しいことです。従来の雑誌・新聞といった媒体は、自分に興味のないところでもページをめくるたびに否が応でも目にする機会があって、それが目に留まって新たな世界が広がるものですが、ネットで検索サイトを利用する場合は、完全に自分の意向に沿ったものしか出てきません。

そのため、「バスでも行ける山だから雪なんてない!」と先入観を持ってしまうと、検索すらされないため、ネットでの情報発信や情報の使い方は非常に難しいと痛感します。

 

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