ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2015/06/19〜20) @

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(Update:2015/06/28)

 

いよいよ、梅雨らしい天候になってきました。週末に限っては雨に見舞われなかった日々が続きましたので、本格的な雨降りはつらいものがあります。しかし、そんな状況も徐々に慣れてきて、梅雨の終わりに近づけば、さほど苦痛に感じなくなりますから不思議なものです。

さて、今回は6月21日(日)に第10回乗鞍天空マラソンが開催される都合から一日前倒しし、6月19日(金)〜20日(土)の様子をお伝えいたします。なお、第10回乗鞍天空マラソンの様子は、後日、特集を掲載する予定ですので、こちらもあわせてご覧ください。

6月19日(金)は、夜明けごろから雨が降り始めます。視界はそれほど悪くはありません。それでも、乗鞍スカイラインを登って行くと森林限界を超える手前の7kmポスト付近から濃霧に見舞われrます。雨は降ったりやんだりを繰り返すものの、激しい降り方はほとんどなく、レインウェアの表面が乾く時間帯もあるほどです。畳平から肩の小屋を経由して、朝日岳直下の積雪箇所の到達すると、雲は抜け始めて、一時的ではありますが、上空に太陽の輪郭が見えるようになります。ただ、今日は天候が回復することなく、午後になっても、降ったりやんだりを繰り返す梅雨らしい一日となりました。なお、畳平お花畑は、6月15日(月)に一般開放され、雪解けの早かった奥のほうでは、ハクサンイチゲが満開となり、ミヤマクロユリも早々に咲き始めています。

6月20日(土)は、鱗雲が広がる青空の朝を迎えますが、山頂方面は次第に厚い雲に包まれます。しかし、大雪渓はその雲の上に抜けて、不安定な天候という予報とは裏腹な快晴となります。しかし、それもものの1時間ほどで山麓から雲が沸き始め、まるで夏山のような天候変化です。春山バスで訪れるスキーヤーも、その大半が大雪渓で繰り返し滑る夏スキーの方々で、稜線まで登る山スキーヤーは少数派となってきました。午後からは乗鞍天空マラソンの受付会場の観光センターに向かいます。乗鞍高原は幾分どんよりとした天候を見せ、14時30分から降り始めた雨は夕立のような土砂降りに。その後、小康状態となりますが、夜半になっても断続的に雨が降り、明日の大会が気がかりな状況となってしまいました。

稜線・大雪渓の積雪状況は、ここ数週間は同じような傾向が続いていますが、全体的に雪解けスピードが遅くなっています。そのため、稜線方面からの滑走がかろうじて可能な状態が続き、特に朝日岳から大雪渓に滑り降りる部分は途切れることなく積雪が残っています。また、蚕玉岳からのバーンは先週の段階で途中でバーンが途切れていますので滑走はできませんが、上端の位置がそれほど下がっておらず、途中の途切れ箇所さえなければと悔やまれるところです。大雪渓付近も先週と変わらず昨年より1週間程度早い程度にとどまっていて、モーグルコースの岩付近は、昨年よりも多い様子を見せるほどです。そのため、夏スキーのメインステージである大雪渓においては、例年と遜色ない積雪量と考えて差し支えないレベルに落ち着いて来たといってよいでしょう。

それでは、2日間の様子をご覧ください。今回は1日目は岐阜県側の乗鞍スカイラインからの様子。2日目は長野県側の乗鞍岳春山バス(県道乗鞍岳線)からの様子をお伝えします。


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

◎ 今回の目次

Page-1 : 【6月19日(金)、ほおのき平駐車場】       【乗鞍スカイラインを行く】
Page-2 : 【畳平に到着、畳平周辺】       【畳平お花畑】       【肩の小屋へ】
Page-3 : 【肩の小屋】       【稜線へ】       【頂上小屋、越冬酒の搬出作業】       【剣ヶ峰〜蚕玉岳】
Page-4 : 【6月20日(土)、観光センター前駐車場】       【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景】
Page-5 : 【乗鞍岳春山バス、大雪渓に到着】       【大雪渓下部 T】       【大雪渓下部 U、大雪渓に集まるスキーヤー・ボーダー】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>
 
●参考資料●
(乗鞍岳春山バス) − 2015シーズン 乗鞍岳春山バス(乗鞍高原〜位ヶ原山荘・大雪渓)の運行について
(周辺地図) −  ノリクラ ガイドマップ (春〜夏スキー 大雪渓・山頂版) 
(各種情報) − 2015シーズンの道路交通・各施設の営業再開予定と乗鞍岳春山アクセス方法
(乗鞍天空マラソン関連) −  6月21日開催の第10回乗鞍天空マラソンに伴う通行規制

  

 

【6月19日(金)、ほおのき平駐車場】

ほおのき平駐車場

早朝6時のほおのき平駐車場。
岐阜県側のシャトルバス乗り換え駐車場は、かつては平湯温泉から車で約5分、徒歩で約8分のところにあるあかんだな駐車場(有料)も利用可能でした。しかし、最近はシャトルバスの始発が、あかんだな駐車場ではなく、平湯温泉からの運行となってしまいましたので、乗り換え駐車場としては、実質的にはこちらのほおのき平駐車場(無料)のみとなっています。

 

小雨の朝 猫岳がかろうじて見える

夜明けごろから降り始めた小雨が続く朝で、気温は14℃を示し寒くもなく暑くもない状況です。ご覧のように山間には雲が流れ込んでいて、水墨画を思わせるような光景。それでも、雲間から乗鞍スカイラインが横切る猫岳が確認できますので、それほど天候は悪い状態ではなさそうです。

 

閑散としたバスターミナル

今日はこの天候に加えて平日という事もあって、始発便を待つ方はゼロ...

 

畳平の天候 Bダイヤは1日6便しかない

6時の畳平の天候はやはり雨で気温プラス2℃。乗鞍スカイラインは通常通り7時に開門されますが、今日は濃霧で視界が悪いため、自転車の通行はできない状態です。今日のシャトルバスは降雨時のBダイヤで、1日に6便しかありません。Aダイヤには1時間に1便の平日ダイヤと1時間に2便の休日ダイヤがありますが、Bダイヤは平日・休日の区別はありません。前日の午後2時の時点の翌日6〜12時の降水確率が40%を超える場合はBダイヤが適用されます。

 

スキーセンターなどの奥にスキー場がある

駐車場隣にスキーセンターやペンションが立ち並んび、その奥にほおのき平スキー場があります。

 

コスモス園(見頃8月下旬〜9月上旬) 芽が出始める

先週もお伝えしたように8月下旬から9月下旬にかけて行われるコスモス園の種付けが行われ、ご覧のとおり、一部では芽が出始めてきました。

 

シャトルバス始発便 − 乗客ゼロ

さて、今日も定刻通りにシャトルバス始発便が到着します。しかし、ほおのき平駐車場からの乗客はゼロ...この天候では致し方ありません。

 

【乗鞍スカイラインを行く】

平湯峠−ここから乗鞍スカイライン、マイカー規制

それでは、ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。こちらは乗鞍スカイライン基点の平湯峠。ほおのき平駐車場から約6kmほど進んだ所にあり、この先は2003年からマイカー規制の対象区間とされ、バス・タクシーや自転車など限られた車両のみの通行となります。

平湯峠まではマイカーの走行は可能ですが、ここにはシャトルバスのバス停はありません。畳平へ向かうにはほおのき平駐車場に戻る必要があります。

 

平湯峠のT時交差点(左:乗鞍スカイライン、中央:ほおのき平方面、右:平湯温泉方面)

さて、この2枚は平湯峠付近のT字交差点の様子で、ちょうどパノラマ画像に近い状態に2枚を並べてみますが、左に進むと上の画像の乗鞍スカイラインゲートに向かいます。左の画像の奥に進む道はほおのき平駐車場からの道路で、シャトルバスはここを右折して乗鞍スカイラインに進みます。また、右の画像の道は平湯温泉からの道路です。現在の国道158号線はこの下の平湯トンネルを通っていますが、トンネルができる前は、こちらの平湯峠が国道でした。

さて、このT字交差点の角に石碑があるのがお分かりでしょうか?(赤丸部分)

 

若山牧水の歌碑

こちらは若山牧水の歌碑。「のぼり来て 平湯峠ゆ見はるかす ひだの平に 雪こごりたり  牧水」 おそらく、シャトルバスの車内放送でお聞きなった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

若山牧水は全国をめぐり生前に詠んだ歌は9000首にも及び、文学に詳しくなくともその名は誰しもが知っている歌人です。大正10年の秋、白骨温泉から上高地、焼岳、平湯温泉を巡り、高山に抜けるために立ち寄る平湯峠で詠んだ歌です。

若山牧水の歌碑は全国に建立され、平湯峠の歌碑は昭和38年10月5日に除幕され、昨年9月には土台部分が新しく建て直されています。なお、先に立ち寄った白骨温泉にも若山牧水の歌碑があります。

 

新緑風景

それでは、いつものように乗鞍スカイラインの様子をご覧ください。

 

1kmポスト工事個所 昨年よりも崩落部分が広がる

平湯峠のゲートから約1km地点のところに工事区間があって、信号による片側交互通行が続いています。昨年お盆の大雨では、高山市内など各地で洪水などの被害がありましたが、乗鞍スカイラインでも道路上部の法面が崩れたためのご覧の措置が今なお取られています。はがれた部分が以前より増えている様子がみられますので、これから本格的な雨の季節を迎えて若干心配です。

 

展望台

夫婦松を通過して、4kmポスト手前の展望台。

 

案内図と照らし合わせて 焼岳とアカンダナ山が雲に見え隠れ

展望はご覧のとおり全く望めない状態ですが、新しく設置された案内図と照らし合わせてみると、簡単に山の名前を憶えられたりするものです。この画像の奥には穂高がありますがその姿は確認できず、今日はその手前の焼岳が何とか見られる状況で、山間に雲を挟んでその手前がアカンダナ山です。

昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.7(2014/06/20〜21) @
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2015/06/13〜14) B
今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近)
昨年よりやや雪解けが遅い

夫婦松駐車場を1kmほど進んだ4kmポスト付近の様子。このカーブの部分は完全に積雪がなくなりました。しかし、カーブの先にはまだ積雪が残っていていますので、昨年よりも雪解けが遅い様子がみられます。

 

6kmポスト付近 − 憩橋

さらに登って6kmポスト付近。画像右側にご覧のような橋があります。憩橋と呼ばれますが、おそらく、乗鞍スカイラインで最上部の橋です。

 

傍らに咲くのはコイワカガミ

その付近をよく見ると、小さな高山植物たちが花をつけています。ピンクに輝くのはコイワカガミ。「岩の傍らに花が頭を下げてかがんでいるように見えるからイワカガミ(岩屈み)」なんて言ったら、もっともらしく聞こえてしまいますが、光沢を持つ葉が鏡のように輝く様子からこのように呼ばれています(岩鏡)。

 

昨年の猫の小屋跡地
2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2014/06/20〜21) @
先週の猫の小屋跡地
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2015/06/13〜14) B
今週の猫の小屋跡地
昨年より1週間早い雪解け

さらに進んで、こちらは標高2200m付近の猫の小屋跡地。積雪は先週の段階で完全になくなり、昨年は今週になって完全になくなりましたので、昨年よりも1週間程度早い雪解けという事になります。

 

森林限界

8kmポスト付近を通過すると森林限界に差し掛かってきます。今日は森林限界以降は完全に濃霧に包まれてしまいました。

 

先週の四ッ岳カーブ
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2015/06/13〜14) B
今週の四ッ岳カーブ
先週・昨年とほぼ同じ積雪状態

乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブで11kmポスト付近の様子。左は先週の画像で、右は今週のもの。先ほど申し上げたように午前中は濃霧がひどく、夕方撮り直したものです。先週と比較すると今週はほとんど雪解けが進んでいないことがわかり、また、先週は昨年より1週間早い雪解けでしたので、今週は昨年と同じ状況という事になります。なお、昨年の画像は濃霧のためありません。

 

視界50〜100メートル − 自転車通行は終日不可

四ッ岳カーブ以外は夕方になっても天候の回復はなく、視界は50〜100メートルほど。この状態で自転車通行はかなり危険です。そのため、今日は終日自転車通行不可となりました。この場合は、平湯ゲートにて足止めとなります。

 

鶴ヶ池雪渓は6月21日(日)まで滑走可能

畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。

昨年と比べてやや早い雪解けですが、週を追うごとに雪解けスピードが遅くなっています。そのため、6月21日(日)まで滑走可能となりました。当初は例年よりも1ヶ月近い雪解けで、6月に入ると滑走できなくなるのではないかと危惧されましたが、最終的には例年よりも1週間早い状況に落ち着きました。

 

畳平に到着

鶴ヶ池雪渓を過ぎると、乗鞍スカイライン終点の畳平に到着です。

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