ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.9(2015/07/04〜05) @

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(Update:2015/07/09)

 

6月が終わって7月が始まりました。長野県側 県道乗鞍岳線が全線開通し、岐阜と長野が県境で通り抜けできるようになり、ノリクラの夏山シーズンが本格的に始まりました。大雪渓での夏スキー、そして、ヒルクライムのトップシーズンがやってくるとノリクラらしい雰囲気となり、あとは梅雨明けを指折り数えて待つばかりです。

7月4日(土)は、曇り空の朝を迎えますが、6時過ぎから雨となり、一時、土砂降り状態になる不安定な状況。大雪渓方面も9時前後は一時土砂降りとなるものの、その後は雨が収まって濃霧が続きますが、気候的には暑くもなく寒くもない過ごしやすい状況。県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が解除され、本格的な夏スキーのシーズンとなり、大雪渓駐車場にはスキー・ボーダーのグループのマイクロバスが所せましと並ぶ様子がみられます。もちろん、毎年お越しになる方々ばかりで、再会の挨拶を互いにかわす様子がみられます。土砂降りは10時までには小康状態となり、視界がほとんど効かない濃霧となりますが、気候的には過ごしやすく、バーンも適度な状態で、夏スキー的には問題ない状態だったと思います。午後にはほとんど雨は収まったものの、14時30分ごろから再び雨となり、その雨は夜になるとまとまった降り方となり、翌日まで持ち越す状態となります。

7月5日(日)も、曇り空の朝を迎えます。ただ、昨日と異なって観光センター周辺の里山も雲に覆われる低い雲。この雲は三本滝から位ヶ原山荘まで覆っていて、それより上部は雲海の上となり、大雪渓から山頂方面はくっきりとした状況で、南アルプスの甲斐駒ケ岳や北岳などが頭の先端をなんとか突き出すことができる重厚な雲海です。もちろん、山麓からは想像できない見事なコンディションに訪れたスキーヤー・ボーダーもテンションが上がります。しかし、次第に山麓から湧き上がる雲で大雪渓も周期的に濃霧に見舞われ、視界が奪われて行きますが、それ以上の天候の悪化はなく、日差しがなくて過ごしやすいコンディションでした。

稜線方面の登山道の積雪はかなり少なくなり、先週までは積雪に埋まっていた朝日岳直下の九十九折れ箇所は、一部積雪が残るものの登山道の姿がほぼわかる状態になっています。大雪渓の積雪状況は、先週までと同様に雪解けスピードが例年よりも遅い状態が続き、5〜6月に見られた急速な雪解けから、現時点は昨年よりも1週間程度早い状態にとどまっています。そのため、夏スキーのメインステージである大雪渓においては、例年と遜色ない積雪量と考えて差し支えないレベルに落ち着いて来たといってよいでしょう。また、バーンコンディションは再氷結による氷柱がこの時期としては少ないため良好です。

それでは、2日間の様子をご覧ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月4日(土)、観光センター前駐車場】       【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜位ヶ原山荘)】
Page-2 : 【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 U(位ヶ原山荘〜大雪渓)】       【大雪渓に到着】
Page-3 : 【雪渓下部 T】       【大雪渓下部 U、大雪渓に訪れるスキーヤー・ボーダー】
Page-4 : 【雪渓上部 T】       【雪渓上部 U、基礎キャンプ】
Page-5 : 【肩の小屋、今シーズンの営業開始】     【山頂までの登山道(肩の小屋〜稜線)】
Page-6 : 【畳平、お花畑】      【昨年の今ごろは?】       <編集後記>
 
●参考資料●
(マイカー規制・シャトルバス・乗り換え駐車場) − 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 〜2015シーズン版〜
(周辺地図) −  ノリクラ ガイドマップ (春〜夏スキー 大雪渓・山頂版) 
(各種情報) − 2015シーズンの道路交通・各施設の営業再開予定と乗鞍岳春山アクセス方法

  

 

【7月4日(土)、観光センター前駐車場】

観光センター前駐車場

早朝6時の観光センター前駐車場。気温は13℃、ご覧のとおり曇り空の朝を迎えます。

 

7月から県道乗鞍岳線冬季閉鎖解除(全線開通) タクシーも営業開始

7月に入り、県道乗鞍岳線の三本滝〜県境間の冬季閉鎖が解除されて全線開通しました。ここ数年は落石の危険性から、7月1日に全線開通されず、大雪渓までの通行となっていましたが、今年は規定通り7月1日に全線開通しました。そのため、一般のバス・タクシーの通行も可能となりました。

 

常連の運転手さん 早速、お客さまを乗せて

朝一番からお越しのこちらの運転手さん。もちろんノリクラ常連のお二人で久しぶりの再会です。朝一番で出発したいお客様を乗せて、早速出発です。

 

春山バスの運行が終了し、シャトルバスが始まる
=長野県側シャトルバスも今年から雨天時にBダイヤ適用=

そして、先月まで運行されていた1日4便の乗鞍岳春山バスが終了し、今月からシャトルバスの運行が始まりました。行き先も大雪渓までではなく、県境を越えて畳平が終点です。

始発便は予定通り6時10分に出発。なお、畳平に向かうシャトルバスは1時間1便の通常時のAダイヤと、2時間1便の雨天時のBダイヤがあり、前日の14時の時点で翌日午前中の降水確率が40%以上の時にBダイヤが適用され、夕方までには発表されます。

岐阜県側の乗鞍スカイラインシャトルバスでは、これまでにもBダイヤの運用がたびたびありましたが、長野県側のシャトルバスではほとんど適用がありませんでした。しかし、今年からはBダイヤの運用の機会がみられるとのことです。ダイヤのお問い合わせはアルピコ交通新島々営業所までお電話お願いいたします(0263−92−2511)。

なお、Bダイヤが適用される場合は、自動的にご来光バスも運休となります。この点も昨年からの変更点です。

 

突然土砂降り 今日からご来光バス運行始まる
=Bダイヤ適用日はご来光バス運休=

シャトルバス始発便が出発したころから雨が降り始め、その後、急に土砂降りとなります。それと同時に観光センターに到着したのはご来光バスの下り便。「上は濃霧と風が強くて、今日はご来光は残念ながら見られませんでした。」とのこと。ご来光バスに乗務されるときは、前日から乗鞍高原に泊まり込みとのことで、ご来光バスに引き続き、日中のシャトルバスにも乗務されるとのことですから、結構ハードな日々が9月いっぱいまで続きます。(シャトルバスは10月末まで運行ですが、ご来光バスは9月末で終了です。)

 

さて、こちらは観光センター売店。

 

今日も7時からお弁当販売開始 こんな日は雨合羽が...

すでに5月から営業開始していますので、7月だからと言って特別変わったことはありません。今日もいつものようにお弁当の販売を7時から始める予定。「天空マラソンの時にたくさん出ちゃったので、補充しなきゃ...」と、棚に収めるのは雨合羽。

 

ひどい降り方 − 場所によっては冠水状態

とにかくひどい降り方...場所によっては長靴でないと歩けない冠水状態になっています。

 

テラスのビーチパラソルを傘代わりに 長靴で雨対策バッチリ!

予約の弁当を運び出す女将さんたちも、テラスに設置されるビーチパラソルを傘代わりに小走りに...「春山バスは何度も乗務してますが、シャトルバスは今日が初めてなんですよ。」という右の乗務員さん。長靴で雨対策はばっちりのようですが、「まだ、すれ違い場所をどこにしてよいのかしっかりわからなくて...」と、シャトルバス対策はまだまだの模様...

県道乗鞍岳線は完全二車線ではないため、大型バスの対向は決まった場所でないとすれ違いができません。上り・下りともに定刻通り運行していれば、毎回同じ場所ですれ違うものの、運行状況によってすれ違い場所が前後することがあるため、どこの場所で何台程度すれ違えるのか、きめ細かく知っておく必要があります。

果たして、今日の乗務はうまくいきますでしょうか...

 

【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜位ヶ原山荘)】

先週からアヤメが見頃

それでは、ここからは大雪渓に向かう沿道の様子をご覧ください(撮影日は前日の7月3日(金)です)。こちらは善五郎の滝駐車場付近のアヤメ。先週から咲き始め、今週も見ごろが続いていますが、おそらく、今週で終わってしまうことと思いますので、お早目にご覧ください。

 

休暇村 道端に咲く白い花

さらに進んで、こちらは休暇村。その道端に白い花をいくつもつけている人の背丈程度の木を見つけることができます。

 

ノイバラ 鋭い棘 − ノイバラは品種改良に重要な野生種の一つ

こちらはノイバラ(野茨、バラ科バラ属)。「茨(イバラ」とは棘のある木の総称で、古くはバラのことを指していました。どこにでも見かけるノイバラですが、バラの品種改良には重要な品種で、2万種にも及ぶ園芸種に用いられる原種は、わずか8種類しかなく、その一つがノイバラで、バラの品種改良には欠かせない野生品種です。

 

葉が白く変色している マタタビ − 「猫にマタタビ」で有名

白い花かな...と、よく見てみると、葉が白く変色しています。こちらはマタタビ(木天寥、マタタビ科マタタビ属)。「猫にマタタビ」で有名な植物です。特有な臭気が猫を恍惚とさせることで知られています。最初から白いわけではなく、花期を迎えるようになると葉が白くなるといわれています。

 

先週の三本滝ゲート
=冬季閉鎖中 − 先週までは春山バス通過時のみ開門=
今週の三本滝ゲート
=冬季閉鎖解除され、ゲートは常時開放=

観光センターから7km先の三本滝ゲート。先週までは冬季閉鎖だったため、春山バスの通行時のみ、バス会社の方が開閉していましたが、7月1日より開通して、ご覧のようにゲートは常時開放されました。

 

三本滝ゲートには警備員の方
=いつもWebSiteは参考にさせてもらってますよ=
新人警備員の方 − 朝のパトロール、すごい濃霧でびっくり

三本滝ゲートから先は冬季閉鎖が終わった後も、マイカー規制が実施されているため、一般のマイカーの通行はできません。そのため、ゲート前には警備の方が常駐して通行車両をチェックしています。左の方は毎年この任務に携わっていらっしゃり、久しぶりの再会です。「いつもWebSiteは参考にさせてもらってます。」と、おっしゃってくださいました。

そして、右の方は今年初めてこの任務に就きました。「今日初めて、朝のパトロールに行きましたが、濃霧でヘッドライトが反射して真っ白で何にも見えない...」。足元の白線だけが頼りというひどい濃霧もよくあり、おそらく、山道の多い県内でもこれほどひどいところは めったにないはずです。

 

三本滝ゲートを過ぎてかもしかゲレンデ周辺も数々の山野草に出会うことができます。

 

ヤマオダマキ 後ろに突き出た「距」が特徴

変わった形のこちらの花は、ヤマオダマキ(山苧環、キンポウゲ科 オダマキ属)。苧環(おだまき−紡いだ麻糸を管状の巻き上げたもの)に、形状が似ているところからこのように呼ばれています。後ろに突き出した部分は花ではなく萼(がく)です。萼はつぼみの段階では花全体を包む外皮のような役割をしています。実際の花はその内部の釣鐘型をした部分です。

器官の一部が管状になったものを「距(きょ)」と呼びますが、ヤマオダマキは、萼片にそれぞれ長い管状の距があり、特徴的な形状を見せてくれます。ヤマオダマキの開花は昨年よりも1週間ほど早い状態です。

 

早くもニッコウキスゲが − 昨年より1週間早い

そして、ニッコウキスゲ。昨年はこの場所に咲いていた記憶がありませんが、ゲレンデ内の昨年のニッコウキスゲの開花は、7月第2週目でしたので、やはりこちらも1週間早い状況。ニッコウキスゲは1日花(1日で枯れてしまう花)ですが、その後ろにはいくつおのつぼみが控えています。

 

摩利支天バス停付近

 さて、三本滝から3kmほど進んだ摩利支天。6月までの乗鞍岳春山バスの時は、こちらには停留所はありませんでしたが、7月からのシャトルバスではこちらで乗降することが可能です。

 

道端に咲くのはマツトリソウ

その道端をよく見ると、白い可憐な花がいくつも咲いています。こちらはツマトリソウ(褄取草、サクラソウ科ツマトリソウ属)。褄とは着物の裾の左右の両端で、「褄」を取ってその裏地が赤く見える様子を指していますが、ツマトリソウは葉や花の縁が赤くなることもあって、それが命名の由来とされています。

画像では8枚の花弁が見られますが、一つの花びらが深く切れ込んだ合弁花です。

 

マイズルソウ − 小さな花が鶴が舞う姿に似ている

摩利支天周辺では、探すといろいろな花に巡り合えます。こちらはマイズルソウ(舞鶴草、ユリ科マイズルソウ属)。小さな花をよく見ると鶴が舞うようなイメージがあって、それが命名の由来。しかし、一つ一つの花は1センチにも満たない小ささで、その中から、鶴が舞う様子を想像したという事ですから、昔の人はよほど目が良かったものと思われます。

 

ハクサンチドリ − こちらもチドリが飛ぶ姿から

まだ、山野草・高山植物の種類が少ない中、最もよく目立つのはハクサンチドリ。こちらも鳥が飛んでいる姿から「...チドリ」」という名がついています。

 

ハクサンチドリ ノビネチドリ

例年なら、この付近ではハクサンチドリが開花した後で、ノビネチドリが咲きますが、今年は両方が同時に咲いています。

 

道端の山野草

摩利支天から先に登ります。特別何も変化がないように感じられますが...

 

山野草の開花は昨年より1週間早い(左:カラマツソウ、右:ミヤマキンポウゲ)

色々は山野草が咲き誇っています。例年なら7月上旬は高山植物がまだ数少ない状態ですが、今年は完全に見頃を迎えていて、昨年と比べて1週間程度早いと見込まれます。

 

「今年の高山植物は本当に早いですね〜〜」
=高山植物散策はお早目にお越しください=

そんな中 やってきたのは、高山植物について話し始めたら止まらない植物好きの運転手さん。「今年の高山植物は本当に早いですね〜〜。8月まで花が保てるか微妙ですね。」高山植物の散策にお越しの方は、是非とも早めにお越しください。

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