ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.9(2015/07/04〜05) E

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(Update:2015/07/09)

 

【畳平、お花畑】

ここからは畳平の様子をお伝えします。

 

そろそろ日本一周チャリダーの季節が到来

さて、日本一周を目指す荷物満載の自転車の方がやってくる季節になってきました。平湯峠から4時間もかかり、足はパンパン...「日本一周をされたほかの方々から、ノリクラはいいよ〜っていう話が多くて、自分も挑戦しようと思いました。」

 

本日45日目 − 最終的には北海道まで北上

鹿児島を出発して今日で45日目とのこと。これから松本方面に下り、その後は新潟、もしくは群馬方面へと北上し、最終目的は北海道一周とのことで、鹿児島に帰るのは11月中旬になる予定とのことでした。雨の日は一日テントの中で過ごすなどつらい経験もあったとのことですが、一般人から考えると本当にうらやましいライフスタイル。若さという特権がなせる業ですね...

 

お花畑入口付近 − ハクサンイチゲのつぼみ

それでは、いつものように畳平お花畑の様子をお伝えします。入口付近の雪解けは先週の段階でほぼ終わり、多くの箇所でハクサンイチゲのつぼみがみられるようになってきました。

 

周回コース − 奥から手前へ雪解けが進み、緑も同じように濃くなる

さて、左の画像をご覧いただくとお分かりになるかと思いますが、周回コースの奥のほうは緑が濃くなっていて、手前の部分はまだ緑が見られません。例年、お花畑の雪解けは、一番奥の西側(右の画像の右側)から始まって、東側(右の画像の左側)へと進みます。そのため、周回コースの奥のほう(西側)での高山植物の緑が濃くなっているわ毛です。

 

周回コースは全面開放

先週までは、周回コース右側に積雪が残っていたため、右半分は立入禁止となっていましたが、今週は完全に雪解けが終わって、周回できるようになりました。

 

ハクサンイチゲの見頃に加え、ミヤマキンポウゲも − 昨年より1〜2週間早い

ハクサンイチゲの見頃が続いている点は先週と変わりません。それに加えて、ミヤマキンポウゲが咲き始めました。昨年より1〜2週間早い状態です。

 

ミヤマクロユリ満開 − 昨年より2週間以上早い

そして、周回コースの奥のほうでは、先週から咲き始めたミヤマクロユリが満開状態になりました。昨年より2週間以上早い状態です。

 

その花の中をよく見ると...

 

黄色の雄しべだけの雄花 緑の雌しべもある両性花

左の画像では黄色い雄しべだけで、右は黄色い雄しべの中心に緑の雌しべがあります。多年草であるミヤマクロユリは年を重ねることに大きくなり、また、土壌の状態も影響して、雄しべと雌しべをつける両性花となるまでには長い時間が必要となります。

 

二輪もの花をつけるには長い年月が

それに加えて、二輪もの花をつけるにはかなりの年月がかかるものと考えられます。

 

早くもヨツバシオガマが − 例年より3週間も早い
=今年のお花畑はできるだけお早目にお越しください=

また、まだ一輪だけですが一番奥の場所で、ヨツバシオガマが咲き始めました。例年なら、7月下旬に咲きますので、実に3週間も早い状態です。今年の畳平お花畑は、周回コースの奥のほうではかなり早い推移を見せていますが、入口付近は例年よりやや早い程度ですので、7月中旬以降は入口付近がメインになってくるかと思います。

いずれにせよ、今年のお花畑はとにかく早く進んでいますので、お早目にお越しください。

 

【昨年の今ごろは?】

2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2014/07/05〜06)

一年の半分がもう終り、もうあと半分がこれから始まります。春の雰囲気がまだ残る6月と、本格的な夏の始まりを迎える7月では、まるで雰囲気が異なります。特にノリクラにとっては、県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が6月末で終了し、大雪渓までシャトルバスが運行されるようになると、それまでと同じ風景を見ているにもかかわらず、別のものに感じるのは不思議なもの...季節感というものは何気ない雰囲気で大きく左右されるものですね。

7月5日(土)は、雨の朝を迎えます。しかし、9時ごろになると、雨は収まって山頂方面の雲も抜けて天候が回復します。今日の大雪渓は、シャトルバスでお越しになった方よりも、マイクロバスでお越しになったグループの方々のほうが多い状態で、いつもなら賑わうモーグルコースが閑散とする中、ポールやゲートを設置するキャンプがあちらこちらで見られました。時折、青空がのぞく様子が見られる一方、濃霧で視界が妨げられるときもあり、雨は収まっても、天候が安定しているとは思えない状況。また、気温はやや低めで、本来なら寒さを感じてもおかしくないところですが、雪渓を流れる冷たい空気が気持ちよく感じられる様子には、季節が夏に移り変わっているものと実感します。

7月6日(日)は、青空の朝を迎えます。少しベールのかかったような青空で、次第に山頂付近に雲がかかり始めます。大雪渓付近は山麓から湧き上がる雲で、8時過ぎには青空から霧が立ち込める状況。その後は霧がかかったり抜けたりを繰り返します。7月4日(金)から部分開放された畳平のお花畑では、雪解けの進んだ箇所にハクサンイチゲが咲き始めるものの、全体的には例年よりも積雪が多く、除雪機を使用しないと間に合わないほど。遅れていた肩の小屋の今シーズンの営業も今日から始まり、まだバタバタとした中での準備作業が続けられていました。大雪渓はポールやゲートが林立し、これまでにないほどの賑わいです。午後になっても周期的に流れる濃霧は変わらないものの、16時ごろから周期的に雨の降り出す状況となってきました。

 

<編集後記>

そろそろ、クマにも注意が必要な季節が来ました。

7月5日(日)大雪渓付近のツキノワグマ

スキーヤーに気が付きハイマツ帯へ逃げる − こんなニアミスは結構あります

7月5日(日)の速報や今回のノリクラ雪渓カレンダーでは取り上げませんでしたが、7月5日(日)に大雪渓付近でツキノワグマが出没しました。すぐ隣では雪渓を登るスキーヤーの姿があって、それに気が付いたツキノワグマは、再びハイマツ帯のほうへもどって行きました。でも、こんなニアミスは頻繁に発生していて、人間よりもクマのほうがいち早く察知して逃げています。しかし、運悪く鉢合わせという事態になると「事件」になってしまいますので、鉢合わせにならないように対策は必要です(クマ鈴を鳴らすなど)。

先日、高山市丹生川町でクマに襲われたというニュースがありましたが、今年はどういうわけか、現時点ではノリクラ方面でのクマ目撃情報は少ない模様。昨年はかなりの出没が見られましたが、2010年と2006年にもどんぐり不足によるクマ大量出没があり、このようなケースは4年周期で起こっていると岐阜県自然環境保全課は言っています。

ただ、ノリクラの場合はどんぐりができる前のお盆あたりから出没件数が急増しますので、どんぐり豊凶に影響があるのかわかりませんが、因果関係は何かあるのかもしれません。

7月中下旬あたりから、クマ出没が増えてくる時期になりますので、クマ鈴は常に持参して行動してください。登山道だけでなく、日当たりがよく柔らかい芽が生える道路わきなどにも出没しますので、自転車のヒルクライマーも遭遇するケースがあります。自転車は歩く速度よりも早く、しかも音もなくクマに接近してしまいますから、クマ鈴を鳴らしながら走行されたほうがよいかもしれません。

 

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