ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.11(2015/07/18〜19) @

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(Update:2015/07/23)

 

この週末は、20日(月)の海の日までお休みが取れれば三連休となり、夏休みに入る学校も多かったことと思います。これからは家族連れの方々も多くなり、サマーシーズンのピークを迎える時期になります。しかし、16日〜17日に四国・中国地方を縦断した台風11号が、週末にかけてゆっくりと日本海を通過した影響が少なからず残ってしまいました。また、梅雨明けが19日に関東甲信で、20日には東海地方で発表され、取材日の18〜19日は生憎の天候だったものの、海の日の20日は梅雨明けらしい青空に恵まれました。

7月18日(土)は、朝から雨。三連休初日だというのに、観光センター前駐車場にお越しのマイカーは10台しかなく、週末とは思えないひっそりとした状況。乗鞍高原ではそれほどの悪天候ではなかったものの、位ヶ原付近からは風雨が強くなり、大雪渓付近はさらに視界も悪化。そのため、大雪渓に停車するシャトルバスは皆無で、今日の大雪渓の来場者はゼロ。午後になると風雨がさらに強くなり、天候は収まるどころか、時折、突風に近い暴風雨になります。今日は結局天候が回復しないまま、一日が終わってしましました。

7月19日(日)は、雲間に青空が広がる朝を迎えます。三連休中日とあって、観光センター前駐車場は6時の時点で125台ものマイカーがお越しになり、ほぼ満車状態。シャトルバスも久々ににぎわって、始発便3台、9時便は6台も運行され、その他の便もほぼ2台以上の運行でした。青空が多くなって天候の回復が期待されたものの、雲間に青空がのぞく状況だった大雪渓付近は9時ごろから霧雨になり、次第に濃霧と強雨へと天候悪化。大雪渓に訪れたスキーヤー・ボーダーの多くは午前中に撤退するほどひどい状況となりました。そして、剣ヶ峰登山の中継場所となっている肩の小屋では、風雨を避けるために多くの登山者が訪れていて、人の熱気で室内はムンムンとしている状態。午後になると天候はさらに悪化して、15時頃には暴風雨に近い状態になりました。乗鞍スカイラインは朝一番は自転車通行止めだったものの、7時15分には天候の回復で解除されましたが、上記のような天候悪化で12時に再び自転車通行止めにしました。

稜線付近の登山道の積雪は、先週の段階でなくなりました。また、大雪渓から肩の小屋への登山道は、下半分の区間で積雪が残っていて、上半分は登山道を歩くことができる状況になりました。ただし、今回のように悪天候の場合は、積雪区間が硬く凍っている状況で、今回もかなり慎重に歩く様子がみられました。

また、大雪渓の積雪状況は、この1週間の雪解けが少ない状況がみられ、これまで昨年より1〜2週間ほど早い雪解け状態でしたが、ほとんど場所で昨年と同じ積雪量になり、場所によっては昨年よりも多い状態に逆転しています。ただし、再氷結による氷柱が全面的にみられるようになってきましたので、ボールをセットされるグループは鍬などでのバーン整備が必要かと思います。

それでは、2日間の様子をご覧ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【7月18日(土)・19日(日)、観光センター前駐車場】       【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜三本滝ゲート)】
Page-2 : 【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 U(三本滝〜大雪渓)】       【4号カーブ雪渓でトレーニング】
Page-3 : 【大雪渓に到着】       【雪渓下部 T】
Page-4 : 【雪渓下部 U、モーグルコース】       【雪渓中段】
Page-5 : 【雪渓上部】       【雨の肩の小屋、登山客でいっぱい】
Page-6 : 【畳平、お花畑】       【昨年の今ごろは?】       <編集後記>
 
●参考資料●
(マイカー規制・シャトルバス・乗り換え駐車場) − 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報 〜2015シーズン版〜
(周辺地図) −  ノリクラ ガイドマップ (春〜夏スキー 大雪渓・山頂版) 
(各種情報) − 2015シーズンの道路交通・各施設の営業再開予定と乗鞍岳春山アクセス方法

  

 

【7月18日(土)・19日(日)、観光センター前駐車場】

7月18日(土)の観光センター前駐車場

三連休を迎えましたが、初日の7月18日(土)はとても繁忙期とは思えない閑散とした状況です。

 

雨が降り始めた

昨日、四国・中国地方に台風17号が上陸し、乗鞍高原では夕方ごろから少し風雨が強まったものの、それほど影響はなく、夜にはほとんど雨は収まりました。しかし、夜明け前から再び雨が降り始め、徐々に降り方が強くなってきました。

 

風向きも北風だったり南風だったりめまぐるしく

それと同時に風もやや強くなり、北風が吹いていたかと思うと、南風に変わったり、めまぐるしく風向きの変わる状況。気温は17℃とこの時期としては平均的な朝の気温で、長袖が必要な状況です。

 

シャトルバス案内所 − ホワイトボードには畳平の天候を表示

シャトルバス案内所では、朝の畳平の天候がホワイトボードで掲示されていて、「濃霧・強風、気温8℃、風速11〜12m」と記載されています。この天候状況から、乗鞍スカイラインはバス・タクシーは通行可能なものの、自転車は通行止めとなっています。

乗鞍スカイラインの通行規制は、雨量と風速で規定値が設けられていて、このほか積雪凍結も規制対象とされています。また、自転車に関しては、それに加えて、風速や視界などを考慮して通行可否が判断されます。

 

シャトルバス始発便 − 今日はAダイヤ

昨日の段階で本日の降水確率は40%以上でしたが今日はAダイヤ運行。このあたりはおそらく人出の多くなる週末の利便性を考慮しての判断だと考えられます。こちらの皆さん、バス会社の方々ですが、夏服あり・冬服あり、さらには、防寒着まで着用の方など様々...

 

「その格好で寒くないんですか?」 「松本は暑かったので...」

「その格好で寒くないんですか?」と、投げかけられるのは、新島々から乗務されてきた運転手さん。「松本は暑かったので...」と、若干寒そうな様子。さらには、防寒着を着ている中央の方は「今日、来るとき、ズボンの下ももう一枚履こうかと思ってたくらいですよ。」
真夏でも天候の悪い日は朝晩を中心に冷え込みますので、長袖・防寒着は必ず持参してください。

晴れた日の日中はそれほど違いはないのですが、朝晩に関しては松本や新島々と乗鞍では、季節が異なるといってもよいくらいの違いがあります。松本も新島々も乗鞍もすべて「松本市」なんですが、乗鞍で松本と言ったら「松本市街地」のことを指します。ほおのき平のある丹生川で「高山」と言うパターンと同じですね。

7月19日(日)の観光センター前駐車場

そして、こちらは三連休中日の7月19日(日)。朝の観光センター前の様子。天候が回復し、三連休らしい賑わいです。

早朝5時30分の観光センター前駐車場。昨日は終日雨の一日でしたが、今日はご覧のように青空が広がってきました。駐車場は5時の時点で105台、6時には125台で、ほぼ満車に近い状態になってきました。

 

乗車券売場・停留所には長い列が − 連休らしい賑わい

三連休中日とあって、朝一番から始発便に乗車しようとされる方がシャトルバス案内所(乗車券売場)や停留所に列を作り始めています。なお、この週末あたりから夏休みに入るご家庭も多いかと思いますが、ノリクラのシャトルバスは夏休みに入ると週末を中心に賑わいを見せるようになってきます。

 

乗車人数のカウント フェンスで仕切り − 前が1号車・後ろが2号車

係員の方が乗車人数のカウントを行い、バス1台分の人数に達したところで、乗客通路と車道部分とを分離していたフェンスで仕切ります。このフェンスの前が1号車、後ろが2号車という事になります。なお、よほどのことがない限りは、補助席は使用しないようにされています。また、一般路線の乗合バスでよく見られる立席乗車は、急峻な山岳路線のためありません。

 

すでに仕切られているので、到着と同時にすべてのバスで乗車が開始

そして、シャトルバス始発便が到着。すでにどのバスに乗車いただくのかは、先ほどのフェンスで区分けしてありますので、1台目から順番ではなく、すべてのバスで同時に乗車が始まります。これが1台目から順番の乗車となれば、乗車時間が台数分かかることになり、運行ダイヤの遅れとなります。

 

今日の始発便は3台運行 − 先頭車両に掲示

今日の始発便は3台運行。これを先頭車両のバスのフロントガラスに掲示します。対向車両が一目でわかるための対応で、一般の貸切バスが連行する場合、号数を降順で運行するのと同じ考えですね。

 

フェンスの活用法は運行担当の方の発案

後は仕切ったフェンスをもとに戻すだけ...
このフェンスの活用方法は、ノリクラのシャトルバスの運行を長年担当されている方の発案で、さらにはフェンスは手作りとのことです。乗客と車道との分離柵と兼用されている点もいいですね。今日は各便とも複数台での運行で、最も混雑する9時便は6台も運行されました。

 

【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜三本滝ゲート)】

それでは、ここからは大雪渓に向かう沿道の様子をご覧ください。

 

アヤメからウツボグサへ交代 下から順番に咲く

先週はアヤメ一辺倒だった善五郎の滝駐車場付近ですが、今週は別の山野草に交代しています。こちらはウツボグサ(靫草、シソ科ウツボグサ属)、花穂が弓矢の矢を入れる靫(うつぼ)に似ていることから命名されています。下から上へと順番に咲くものが多いようです。

 

ヤナギランも下から上へと アヤメはもう実ができています

さらにはヤナギランの姿も見られるようになってきました。こちらもやはり下から順番に...さて、先週のアヤメはどこに行ったか?すでに花は終わって実ができています。変化の早いことには驚かされます。

 

目線より少し高い場所に ノリウツギ

目線よりも少し高いところにあって、ガクアジサイのような花を見つけることができます。ノリウツギ(糊空木、ユキノシタ科アジサイ属)。樹皮から製紙用の糊が作られ、空木のように茎が中空であることから命名されています。

 

4枚の花弁は装飾花 − 本物の花は中心の小さな部分

4枚の大きな花弁は装飾花で受精能力はありません。その中心の小さな部分に両性花があります。装飾花は虫をおびき寄せるための機能とされていて、構造的には花弁ではなく、萼(ガク)です。そのため、花が終わっても長く残っていて、外見的には「まだ咲いている」と錯覚させられます。萼が長持ちするといってもイメージがわかないかと思いますが、花の時期には「萼(ガク)」と呼ばれますが、実ができるようになると、今度は「蔕(ヘタ)」と呼ばれるようになり、最後まで残っていることが理解できることと思います。

 

休暇村 その隣に休暇村ゲレンデ − 草むらが部分的に揺れる

そして、観光センターから2km先の休暇村。すぐ隣に休暇村ゲレンデがありますが、よく見ていると、草むらが部分的にユラユラと揺れている様子に気づきます。

 

クマ!...じゃなくてカモシカ カモシカは牛の仲間
=よって雌雄ともにツノがある=

そこに現れたのはカモシカ。一瞬、ツキノワグマかとびっくりしますが、ツキノワグマよりも一回り小さいため、この程度の草むらだと全身が隠れてしまい、見えないことのほうが多いかもしれません。シカの仲間では角(ツノ)があるのはオスだけですが、カモシカは「シカ」といいながらも「ウシ」の仲間で、オス・メスともにツノがあって、外見上の見分けは困難です。

 

休暇村ゲート − 雨量規制はここから県境まで

さて、さらに県道乗鞍岳線を進みます。こちらは休暇村ゲート。ゲート手前に雨量規制を示す標識があり、ここから県境までが規制区間です。マイカー規制区間の三本滝〜県境よりも規制区間が休暇村まで広くなっていて、場合によっては、三本滝レストハウスに車を止めていたら雨量規制で出られなくなる事態も発生しますのでご注意ください。

規制値は連続雨量80mm、時間雨量、20mm、15分雨量10mmで、ヒトもクルマも自転車も規制基準値は同じです。岐阜県側の乗鞍スカイラインは24時間雨量70mm、時間雨量30mm、風速20mが通行止の基準ですが、自転車の場合は、濃霧(視界)と風速からより安全を考慮した規制が実施されます。また、両路線とも雨量のほか積雪凍結による通行止めがあります。

 

道端にピンクの花を見つけることができます。

 

ヤマホタルブクロ 萼が反り返っていない

ヤマホタルブクロ(山蛍袋、キキョウ科ホタルブクロ属)。セイヨウタンポポとミヤマタンポポの違いのように、萼が反り返っているものはホタルブクロ、反り返っていないものがヤマホタルブクロです。

 

葉が白と赤の二色

先週は、白から赤に花の色が変化するニシキウツギ(二色空木)をご紹介いたしましたが、こちらも葉が白と赤の二色に変化していますね。

 

ミヤママタタビ − 花が咲く頃、白化部分が赤く変色

こちらのミヤママタタビ。花が咲く時期になると、白化した部分がピンクに変化するところがマタタビとの大きな違いです。また、ミヤママタタビは、マタタビのような猫の特異的反応はないとされています。

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