ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.16(2015/08/22〜23) E

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(Update:2015/08/27)

 

【肩の小屋、剣ヶ峰登山、雷鳥の親子】

肩の小屋

大雪渓の北端にある肩の小屋。剣ヶ峰(乗鞍岳山頂)への登山の中継場所にあって、今日も登山客の方の姿が絶えることなく続きます。

 

もちろん宿泊もOK

山小屋ですから、もちろん宿泊もOKです。旅館と全く一緒とまでは行きませんが、寝具は完備され寝袋などの持参は不要です。また、夏季の水量の多い場合は入浴も可能で、自家発電のため、夜間は非常照明になります。

 

少し落ち着き、スキー練習を再開

「お盆が終わって、少し落ち着いてきました。ようやくスキー練習を再開することができるようになりましたよ。」と、ちょっとうれしそう...

 

山頂への登山道 − ゆっくりのぼって約1時間

さて、肩の小屋から山頂方面の登山道の様子をご覧ください。乗鞍岳主峰の剣ヶ峰(標高3026メートル)までゆっくり登って約1時間。肩の小屋や登山道の道中から、剣ヶ峰は残念ながら見えません。途中まではご覧のように岩と土が混在する路面で、浮石などに足を取られないようご注意ください。

 

「上から目線」で雲を眺める

今日は雲の流れに支配された一日。モクモクと湧き上がる雲を、上から眺める体験はなかなかできないもの。岩と土の路面は九十九折れの部分からは完全に岩場。浮石はほとんどありませんが、多くの方がお越しになっているため、岩の表面が磨かれて滑りやすいところがあります。

 

稜線直下 − あそこが頂上かしら
=あれは蚕玉岳、剣ヶ峰はさらに先です=

この先、目の前に稜線が見えて来ました。「あのテッペンが頂上かしら...」 頂上といえば確かに頂上で間違いありませんが、剣ヶ峰の手前にある蚕玉岳(こだまだけ、2979メートル)の頂上です。剣ヶ峰山頂はさらに先です。時間的にあと30分もしないうちに剣ヶ峰山頂に到着できるはずです。

 

蚕玉岳 − その奥に見えるのが主峰剣ヶ峰(乗鞍岳山頂) 権現ヶ池(火口湖) − 蚕玉岳や剣ヶ峰は外輪山

先ほど見えていたテッペンがこちらの蚕玉岳山頂。その奥が目指す剣ヶ峰です。右の画像は権現ヶ池、乗鞍(権現ヶ池、高天ヶ原火山体)の火口です。蚕玉岳から反時計回りで、朝日岳→水分岳→雪山岳→薬師岳→屏風岳→大日岳、そして、主峰剣ヶ峰が権現ヶ池をぐるっと一周取り囲んでいて、これら8つの頂が権現ヶ池の外輪山となります。

 

登山道 − 通るのは人間だけじゃない

登山道は人間が登るためだけではなさそうです...

 

雷鳥の親子 奥:メス親  手前:雛
=雷鳥には「イクメン」はいません=

今日は雷鳥の親子が散策を楽しんでいました。メス親が雛を引き連れています。雷鳥の世界には「イクメン」は存在しない模様...

 

だいぶ大きくなってきた(左:雛、右:メス親) 高山植物をついばむ

雛はだいぶ大きくなったものの、まだ、親子の区別がつきます。冬が始まる頃には毛の色や大きさなど、親とほとんど同じくらいに成長します。

 

雛にはまだ足環がない 親には足環がある
=冬までには足環をつけ個体識別 − 雷鳥保護・増殖活動には欠かせない=

そして、もっと大きな違いは、足環の有無...ノリクラでは全頭個体識別が行われていて、足環の色で区別されています。今年生まれた雛には足環がまだありません。これから冬が始まるまでに、雛の全頭に足環をつける作業が実施されます。

このような地道な研究・調査によって、雷鳥の増減・分布が把握され、ノリクラ以外の生息域も含めて、雷鳥保護・増殖活動につながって行きます。

 

【昨年の今ごろは?】

2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.16(2014/08/23〜24)

お盆の連休が終わった翌週ということもあるのでしょうか? 天気予報で週末の天候が芳しくないと発表されていたせいでしょうか?今回は比較的良い天候に恵まれたにもかかわらず、人出の少ない静かな週末でした。

8月23日(土)は、天気予報通りの雨の朝を迎えます。時折、まとまった降り方を見せて、今日は一日ダメか...と思っても仕方ない雨模様です。しかし、シャトルバス始発便が出発した後、急激に天候は回復して上空は青空が広がります。この青空が一瞬のことなのか、本当に天候が回復するのか半信半疑だったものの、ほぼ完全に快晴になって行きます。そのため、濃霧強風により早朝から自転車通行止めとなっていた乗鞍スカイラインは、天候回復と共8時には規制が解除されました。そして、乾いた感覚の空気に入れ替わってきて、風に吹かれる感覚に心地よさを覚え、秋を感じさせる雰囲気になります。また、ここ数日は熊の目撃が多く、大雪渓〜肩の小屋への登山道は昨日から入山規制の措置が取られ、今日も高山植物を食む熊が登山道付近までゆっくりと歩いています。入山規制はその後解除され、午後も雲が多くなるものの、穏やかな状況の一日が続きました。

8月24日(日)は、昨日以上にめまぐるしく天候が変化した一日でした。夜明けごろは曇り空で雲間に青空見られる状況でしたが、7時ごろから雨が降り始め、8時前からひどい土砂降りに...出発したヒルクライマーも急いで引き返します。しかし、9時ごろには雨は収まり、その後は綺麗な青空が広がり、その青空に雲の絵筆が見事に才能を発揮します。この晴天に誘われるように一斉にヒルクライマーがスタートし、青空に向かって駆け上がります。午後になると再び曇り空となってしまいます。また、大雪渓は気温14℃で暑くもなく寒くもない状況が続き、お昼休みがそのまま昼寝タイムになってしまうスキーヤーもいるほどの心地よさ。しかし、夕方には再び雨が降り始め、今度は気温が10℃まで冷え込み、変化の激しい一日でした。

 

<編集後記>

ノリクラの夏スキーヤーのシーズン終わりは、何パターンかあって、一般的は7月中で終了するケースが多く見られます。さらにそれを過ぎるとお盆ごろまでお越しになるのですが、ちょうどそのころは、バーン状態が7月よりも良いため、「もう少し通ってみようかなぁ〜」と、8月いっぱいくらいまで引き続きお越しになります。そのころになると、雪渓上部左側しか滑走できなくなってきます。

滑走場所が雪渓上部左側のみとなった時点が一つの区切りで、それまで柔らかく滑走しやすかったバーンは、9月に入ると冷え込んで硬くなり、さらにはうねりもひどくなります。バーン整備も容易でなくなるため、フラットバーンでの滑走はグループ総出でバーン整備しないと手に負えなくなりますので、個人でのフリー滑走はかなり無理があります。また、モーグルはラインが決まっているので、バーン整備が比較的実施しやすいく、真夏と変わらない状況での滑走が可能ですが、雪渓上部左側は急斜面のため、それなりの技術が必要で、9月以降まで滑走できるモーグラーはある程度の技術レベルの方ばかりです。

もう9月まで滑り続ければ、やってくる方々は完全に顔見知りばかりとなります。話題もスキー場のシーズン券の購入など次のウインターシーズンのことになり、ノリクラシーズン終了へのウントダウンが始まります。そして、9月下旬になると、大雪渓周辺では緑の絨毯が広がるハイマツの沢筋をウラジロナナカマドの紅葉が赤く縁どり、それは見事な紅葉となりますが、そんな光景を俯瞰しながらの秋スキーは、この時期まで通い続けた常連たちだけの特権。そして、10月三連休には多くの常連がノリクラシーズン終了を迎えます。

ウインターシーズン以外は、ほとんどすべてノリクラで過ごすという夏スキーヤー・ボーダーが存在し、そんな1年の繰り返しを毎年毎年続ける人々が存在します。それだけノリクラにはスキーヤーを引き付ける大きな魅力があるわけです。

毎週ノリクラにお越しになっているにも関わらず、まだ山頂に行ったことがないスキーヤーもいらっしゃり、もう少し幅広くノリクラのことを知ろうとしたらと思うものの、夏スキー以外には目もくれないというノリクラスタイルもあるということを、どこかに記しておきたいと思って、今回は編集後記に掲載いたしました。

 

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