ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.7(2016/04/29・30) @
いよいよゴールデンウィーク...黙っていても毎年来るわけですが、どんな計画で過ごすか、たまには完全無計画で行き当たりばったりで過ごすか、人それぞれかと思いますが、計画貫徹されるのもよし、「こんな無駄な過ごし方でよかったのか」と思うような過ごし方もよいでしょう。毎年毎年、同じスタイルで過ごさなければいけないわけではありませんから...
さて、細かく計画を立てても、そのようにうまくいかないのが天候...4月中は晴天に恵まれる日が多く、積雪は減少の一途をたどるばかりでした。ただ、天気はどこかで晴天に恵まれ、どこかで荒天となって、帳尻が合うようになっていますが、よりによってGWに荒天が巡って来なくても...この時期はメイストームと呼ばれて荒れる場合があり、今回の二日間は冷え込んでカチカチのバーンに強風・濃霧と悪条件の重なる状況となってしまいました。
なお、3月下旬からツアーコースの状況を中心に連載してきましたノリクラ雪渓カレンダープレリリース版は、今回のVol.7で終了いたします。その後は、5月中旬から開始予定の ノリクラ雪渓カレンダー正式版へとバトンタッチいたします。こちらでも、6月までは山頂方面の春スキーを中心とした内容ですが、その後は、ヒルクライム・登山・高山植物・大雪渓夏スキーなど多岐にわたってお伝えして行く予定ですので、ぜひとも、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【4月29・30日、観光センター前駐車場、水芭蕉】
4月29日(金)の観光センター前駐車場 |
早朝6時の観光センター前駐車場。ゴールデンウィーク初日ですが、今日は天気予報で荒模様と発表されていることもあって、お越しの車は少な目...
強風 | 山頂方面 − 雲が激しく流れる |
晴れてはいますが、轟々と木々がうなりを上げる強風が吹き抜け、山頂方面は絶えず雲が流れる状況で肌寒い朝です。
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ムシカリの冬芽(花芽・葉芽) ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.3(2016/04/02) @ |
花芽が咲き始めました |
ノリクラの新緑の季節はもう少し先ですが、それでも少しずつ季節の変化が始まっています。先週まではまだ固かったムシカリ(オオカメノキ)の冬芽が、ようやく開き始めました(画像右)。左の画像は1ヶ月前に撮影した同一の冬芽。葉芽が花芽を両脇から抱き抱えていますが、その違いがはっきりわかりません。しかし、開花が始まると、右の画像のとおり、花芽と葉芽の違いがはっきり分かりますね。
スモモ | もうつぼみが − 例年より2週間ほど早い |
こちらはスモモ。つぼみが大きくなり始めています。例年より2週間程度早いのではないでしょうか?今年の開山祭(すもも祭)は5月22日(日)に開催されますが、おそらく、そのころには散ってしまう可能性があります。
「すもも祭」と命名するくらいですから、5月上旬〜中旬にかけて、乗鞍高原のあちこちでスモモが咲き誇ります。おそらく、桜よりもスモモのほうが多いのではないでしょうか?乗鞍高原にスモモがたくさん分布しているのは、大樋銀山に働く人夫が食用に持ち込んだスモモの食べ残しの種から増えていったと言い伝えられています。
戦国時代に武田信玄が開発したとされる大樋銀山(おおびぎんざん)は観光センター周辺に存在し、観光センター隣にある石碑で当時の様子を垣間見ることができます(→ノリクラ 雪渓カレンダー 2012シーズン プレリリース版 Vol.6(2012/04/26〜30) @)。現在でも坑口があり、かつては案内看板がありましたが現在は撤去され、一般の方が目にすることができなくなっています。
自然保護センターの桜はまだ... | すぐそばまで桜前線はやってきている |
自然保護センターの桜は、まだつぼみはまだ...しかし、山麓の番所から楢ノ木坂付近は見頃〜散始めという状況ですから、次週末には開花を迎えると思います。
さて、こちらは翌日の4月30日(土)の模様。雲一つない快晴で、前日とは打って変わって多くの方がお越しになっています。6時の段階で40台ほどで、そのほとんどが乗鞍岳春山バスに乗車される方々です。気温はマイナス2℃まで冷え込んだ寒い朝です。
例年なら、ツアーコースの下山滑走がまだ可能な時期ですので、三本滝レストハウス前駐車場の利用が多い状況ですが、今年はすでに下山滑走が困難となり、下山も春山バスを利用するため、あえて三本滝レストハウス前駐車場まで向かう必要がなく、観光センター前駐車場を利用する方が多くなってきました。春山バスの往復料金は、三本滝も観光センター前も同一です(2016年4月時点、大人往復2500円)。
一の瀬園地 | 遊歩道は霜柱の絨毯 |
スモモ、桜...と続けば、やはり水芭蕉でしょうか。
こちらは観光センターから約2.5km南にある一の瀬園地。まいめの池に通じる遊歩道はご覧のとおり、霜柱の絨毯が敷き詰められています。先ほど申し上げたように、観光センターでマイナス2℃でしたので、一の瀬ではもう少し低かったのではないかと思います。
まいめの池 − カメラマンの姿が |
まいめの池には、咲き始めた水芭蕉を撮影しようと、すでに何人かのカメラマンが訪れています。
湖面に逆さに写るノリクラを取り込みながらの水芭蕉...例年ならゴールデンウィーク後半ぐらいに見頃を迎えますが、今年はゴールデンウィークに合わせるように咲き始めました。しばらく見頃は続きますが、開花した水芭蕉は霜枯れしやすく、花の先端が焼けてしまう現象がみられるようになります。今年のゴールデンウィーク期間中は、天候が芳しくなく、先ほどの画像のように霜柱が立つような日が続くと、あっという間に霜枯れしてしまいますので、見頃はしばらく続くものの、早めにお越しになったほうがよいでしょう。
【三本滝レストハウス前駐車場】
=ツアーコース下山滑走困難になり、観光センター乗車が増えた= |
観光センターから7km先の三本滝レストハウス前駐車場。上段は4月29日(金)で、7時時点で10台ほど、下段は4月30日(土)で、7時時点で30台ほどです。例年ならかなりの混雑がみられますが、今年は全く混雑がありません。駐車場後方に見られるかもしかゲレンデに全く積雪がなく、その上部のツアーコースも滑走困難な状況のため、ここまで下山滑走できない状況になってしまい、多くのスキーヤー・ボーダーの方は、始発の観光センターから乗車されています。
【7月から指定登山岳・指定登山道は登山届が必要です】
岐阜県に引き続き、長野県も登山届の提出を義務づける登山安全条例が昨年12月に可決しました(施行は今年7月)。三本滝レストハウス入口に登山届のポストがあるのをご存知でしょうか?近年はインターネットでの登山届ができるようになりましたので、事前に届けることも可能です。
なお、ポストには用紙が備え付けてありませんので、ご自身で事前に用意する必要があります。
お知らせ− 7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)(2016/04/13)で、お伝えしたように、4月11日に指定登山岳・指定登山道が公表され、山頂方面に向かう登山道(夏道)も指定されました。ツアーコース入山の場合も条例の主旨をかんがみて、提出されるようお願いいたします。
早朝パトロール | 乗車券の販売 |
乗鞍岳春山バスは、冬季閉鎖中の道路で運行しているため、毎朝、早朝パトロールを行った結果、その日の運行可否を判断しています。今日もバス会社の方が位ヶ原山荘までの道路状況を確認し、始発便からの運行開始が決まりました。運行開始が決まったのちに、乗車券の販売が始まります。乗車券販売時には係員がツアーコース下山滑走困難の旨をお伝えしているようですが、全体の3分の1が片道券で、3分の2が往復券でした。
なお、乗車券はできる限り早めに購入されることをお勧めします。販売枚数で乗車人員をカウントし、バスの配車台数を算出します。購入が遅くなると始発便に乗車できず、次便になる可能性もあります。
駐車場内 − 出発準備 |
春山バス始発便は8時45分(観光センターは8時30分)。8時過ぎになると、出発準備であわただしくなってきます。
かつては夜間凍結で始発便の運休が相次ぎましたが、2014年より運行初日〜5月上旬までの始発便を1時間遅らせる措置をとっていますので、始発便の運休が少なくなりました。今年は5月8日(日)までは三本滝発が8時45分で、位ヶ原山荘に到着するのは9時07分となります。
春のノリクラは初めて(夏スキーヤー) | これどうやって使うの??(スノーシュー) |
この時期は初めてという夏スキーヤーの方。例年ならゴールデンウィークでも滑走できるスキー場がありますが、今年は雪不足で壊滅状態。そのため、滑走できる場所を求めると、ノリクラしかないという結論になり、お越しになった模様。
「これってどうやって使うの?」と、初めて使うスノーシューは取扱い方がわかりません。ゲレンデスキーの場合は、基本的にブーツ・スキー板・ビンディング・ストックが扱えれば滑走可能ですが、バックカントリースキーになると、雪山を歩く道具だけでも、シール・スノーシュー・アイゼンがあり、さらには雪崩対策にビーコン・スコップ・プローブも所持しなければならず、装備を使いこなすのはなかなか大変です。
停留所 | 今日は下見だから状況がわかれば... |
8時過ぎには停留所に人々が集まり始めます。「今日は下見なんです。」というこちらの方。晴れてはいるものの、冷たい風が絶えず吹き抜けています。三本滝レストハウス前駐車場からは、山頂方面は確認できませんが、この状況だと、バーンは緩んでいないと想像できます。
「別に山頂までいけなくても、今日は様子がわかれば...」 春山バスに乗車のスキーヤー・ボーダーの大半が山頂・稜線からの滑走が目的ですが、その時の状況に応じて、判断することが大切。厳冬期なら山頂方面にいけない日のほうが多いくらいですから...
春山バス始発便到着 | トランク搬入は板のみ(ストック・ザックは車内に) |
そして、春山バス始発便が到着。スキー板はご覧のようにトランクに搬入しますが、ストックは破損の懸念がありますので、車内に持ち込んでください。特に始発便はスキーヤー・ボーダーが大半を占めるため、トランクは満積状態になりますので、登山用ザックも車内に持ち込んでください。
ほぼ満積状態 − 傷を気にされる方はケース利用を |
こちらがトランクに積込んだ状態でほぼ満積。乗客は補助席まで使用して定員乗車です。ほぼ満席ですが、それでも少し余裕があるのは、板を持たない登山者の割合が多かったこと、テレマークの板が多く、ビンディングがかさばらなかったためでしょうか?
また、ご覧のとおり、乱雑に搬入しますので、傷等を気にされる場合は、スキーケースを利用することをお勧めします。なお、スキー・ボードの持ち込み料金はありません。
「位ヶ原山荘は氷点下です、厚手の服を...」 | 位ヶ原山荘に向けて出発 |
「春山バスが到着する位ヶ原山荘は、氷点下になっています。厚手の服を用意してください。」との説明があります。スキーヤー・ボーダーであれば、至極当然のことと思われますが、最近は一般観光客の方も増えてきていますので、このような配慮が必要です。
また、春山バスには先頭車両に乗務員1名が添乗しますが、今年から最前列に着席乗車することとなったとのアナウンスがありました。
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■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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