ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.1(2016/05/14〜15) E

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(Update:2016/05/19)

 

【稜線へ】

それでは肩の小屋から稜線に向けて出発します。

 

昨年の肩の小屋〜山頂の登山道
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2015/05/15〜16) B

今回肩の小屋〜山頂の登山道
この付近だけ昨年より多い、例年と同じかやや少ない

稜線に向かう登山道は、昨年と比べてかなり積雪の多い状態。ほかのエリアは昨年と比べて積雪が少ない箇所ばかりですが、この付近だけ多い状態です。ただ、例年と比べるとほぼ同じか、やや少ない状況です。

 

雪面は緩んで踏み抜く

肩の小屋まではトレースがしっかり作られていますが、肩の小屋から稜線直下まで特定のトレースはありません。日差しがあれば、雪面がかなり緩みますので、登山靴であれば問題なく登ることが可能ですが、場所によっては膝まで踏み抜く状態ですので、スパッツは必要かと思います。

 

蚕玉岳〜朝日岳稜線

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。

 

岩の頭や登山道の一部が見える
昨年並み、例年の6月中旬の積雪状況

すでに岩の頭や登山道の一部が見えています。昨年も積雪量の少ないシーズンで、ほぼ昨年と同じ状況です。ただ、例年と比べると、6月中旬頃の積雪状態です。

 

位ヶ原の唐松模様が見事!

そして、眼下に見られる位ヶ原も雪解けが進んで、沢筋の残雪とハイマツ帯の緑が織りなす唐草模様が見事!白と緑のバランスが一番良い時期です。

 

昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2015/05/15〜16) C
今回の蚕玉岳〜朝日岳稜線
昨年とほぼ同じで、例年よりやや少ない積雪状態

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年と比べるとほぼ同じ積雪状態で、例年と比べるとやや少ない状態です。

 

昨年の権現ヶ池
2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2015/05/15〜16) C
今回の権現ヶ池
昨年とほぼ同じで、例年の6月上旬の積雪状態

こちらは御岳の二ノ池に次いで国内2番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)。先ほどの稜線部分の3枚と同様に、昨年とほぼ同じで、例年の6月上旬並みの状態です。

 

昨年の朝日岳
2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2015/05/15〜16) C
今回の朝日岳
昨年とほぼ同じで、例年の6月上旬の積雪状態

朝日岳も同様に、ほぼ昨年並みの積雪状態で、例年の6月上旬並みです。

 

ノリクラは雪があって滑走できる状態だから恵まれている

「今年は本当にひどい状況ですね。GWに予定していたツアーも中止にせざるを得なかったほどです。」 確かに当地ノリクラも雪不足ですが、他のエリアはもっと深刻な状況で、例年GW最終日まで営業するスキー場も、GW終盤にはほとんど営業できなかった模様。

その状況から比べれば、まだ積雪があって問題なく滑走できる状況は恵まれているといえるでしょう。

 

誰もいない夕方 − きれいに晴れあがる 今日は位ヶ原山荘宿泊 − 時間を気にせずのんびりと

そして、誰もいなくなった夕方の稜線に登って来られたこちらの方。今日は位ヶ原山荘に宿泊するとのことで、時間を気にせずのんびりと過ごされています。

「ノリクラには年に1度しか来られないんですが、以前は日帰りで体力的にきついものがあったものの、位ヶ原山荘で宿泊するようになって、気分的にも余裕があっていいですね。」

 

登頂成功! 「もしかすると載ってるかも...」
いつも期待しながら見てます

また、こんなこともおっしゃっていました。「年に1回しか来られない状況ですが、来た日の記事を見て、『もしかすると載っているかも...』と、期待しながら、いつも見てたりするんですよ。まさかこんな夕方近くでお会いできるなんて...」

年に一度しか来られない その良き思い出に、このヒトコマが記念になれば幸いです。
ノリクラは稜線からの滑走が楽しめる春スキーの季節が終わっても、夏スキーやヒルクライム、そして、秋には見事な紅葉の季節が訪れてくれます。ぜひとも、季節を変えて、また、ノリクラにお越しくださると、違った楽しみ方ができるはずです。

 

【頂上小屋の小屋明け】

頂上小屋 4月下旬から除雪作業

こちらは剣ヶ峰直下にある頂上小屋。今年は4月下旬から除雪作業を行い、ようやく扉が3分の2程度まで見えるところまでやってきました。

 

いよいよ半年ぶりに小屋が開く

扉の下まで除雪はできましたが、扉を抑える柱は4メートルも埋まっていますので、途中をのこぎりで切断。半年ぶりに小屋の中に日差しが入ります。

 

今年は半月以上も早く、5月15日から今シーズンの営業を開始

室内は思った以上に乾燥していて、屋根からの水漏れなどもほとんどなく良好。昨年8月に建て替えたばかりで、今冬の小屋周りの積雪状況が推測できない状況でしたが、無事に小屋明けすることができました。

営業は乗鞍スカイラインのオープンする5月15日から。例年よりも半月以上も早い営業開始です。ただし、当面は天候の良い土日に限っての営業とのことだそうです。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

昨年の蚕玉岳山頂付近
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2015/05/15〜16) C
今回の蚕玉岳山頂付近
昨年より1週間早く、例年より1〜2週間早い雪解け

こちらは蚕玉岳山頂付近の様子。昨年より1週間程度早い雪解けで、例年と比べても1〜2週間早い状況です。

横幅は100メートル以上

横幅は100メートル以上ありますが、すでに一部で岩の頭が見え隠れしています。

 

昨年の位ヶ原
2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2015/05/15〜16) C
今回の位ヶ原
昨年より1週間早い雪解け、例年の6月上旬の積雪状態
昨年の剣ヶ峰直下の岩
2015ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2015/05/15〜16) C
今回の剣ヶ峰直下の岩
昨年より1週間早い雪解け、例年の6月上旬の積雪状態

上段は稜線付近からの位ヶ原。昨年より1週間程度早いで、例年の6月上旬並みの積雪状態。下段は剣ヶ峰直下の岩付近で、こちらも昨年より1週間程度早いで、例年の6月上旬並みの積雪状態です。

 

バーンコンディションはきれいな春雪(ザラメ)

バーンコンディションはきれいな春雪(ザラメ)。4月までだと、午後になって冷え込んで表面がパックされて滑りにくい状態に見舞われることがあり、6月以降の梅雨の時期は、雨水が夜間の再氷結でタケノコ状の氷柱が発生し、また、流れる雨水で表面に縦溝が発生します。

そのため、冷え込みも緩み雨も少ない5月が、もっともバーンコンディションがよい時期です。

 

最も狭いところで横幅37メートル − おそらく1〜2週間で岩の頭が出始める

稜線から県道乗鞍岳線までの区間の約3分の1程度まで滑り降りたところで、バーンが細くなる箇所があります(赤丸部分)。現在横幅は37メートルで、滑走に問題ありませんが、おそらく、あと1〜2週間で岩の頭が出始めて、その後、バーンが分断されます。そうなると、稜線からの滑走は困難いなります。

また、現時点はこの箇所から大雪渓方面へトラバースして下山滑走可能ですが、次週末には大雪渓方面への滑り込みはできなくなると考えられます。

 

稜線から約1km − 道路除雪が始まっている

稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。先週はこの地点まで除雪は実施されていませんでした。除雪の先端はこの先数十メートルのところまで達しています。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2015/05/15〜16) @

毎年5月15日は、岐阜県側の乗鞍スカイライン開通日。終点の標高2702メートルの畳平は国内自動車道の最高標高地点で、除雪された道路以外は一面銀世界が広がる山岳地帯でありながら、バス・タクシーで気軽に訪れることができる観光地でもあります。

毎年、乗鞍スカイライン開通初日は、登山バス出発式、および、乗鞍山開き祭が開催されますが、このような行事を一つ一つ執り行うことで、ノリクラの本格的な登山シーズンに向けて動き始めるものと感じられます。2003年のマイカー規制が始まってから今年で13年目を迎えます。規制前と比べると来場者数は激減していますが、来場者の適正数は各方面によって異なると思います。観光面から考えると「激減」でしょうし、環境面から考えると「適正」なのかもしれません。ただ、ノリクラの自然環境があってこその観光であることは忘れてはならないと思います。

今回は15日の乗鞍スカイライン初日の様子とそれに続く週末と合わせた3日間の様子をお伝えします。
5月15日(金)は、早朝は雲間に青空がのぞく状態でしたが、森林限界を超えたあたりから濃霧に包まれ、乗鞍岳山開き祭が行われる畳平は視界50メートル以下の濃霧。神事は乗鞍本宮、樽開きは畳平バスターミナルで行われました。濃霧はほぼ終日続き、夕方になってようやく抜けました。

5月16日(土)は、朝からあいにくの雨、早朝はまとまった降り方を見せたものの、お昼前には雨は収まります。ただ、山頂方面は濃霧と強風が続き、バーンは固くシールの効きにくい状態。やはり今日も夕方近くになって視界が回復する状態でした。

5月17日(日)は、前2日間を取り戻すような快晴の朝を迎えます。晴れあがった朝は冷え込みも強く、畳平ではマイナス4℃まで低下しました。乗鞍スカイラインは通行止めとはならなかったものの、長野県側県道乗鞍岳線(現在冬季閉鎖中)は夜間凍結がみられ、乗鞍岳春山バスは始発便が運休し、2便目からの運行となりました。一日中、きれいな青空に恵まれ、爽やかな空気に包まれて、稜線付近も穏やかな春スキー日和の一日でした。

それでは3日間の様子をご覧ください。なお、ツアーコースでの下山滑走は困難な状態となっていますので、下山は乗鞍岳春山バスをご利用ください。

 

<編集後記>

「今シーズンのノリクラ雪渓カレンダー」

毎年、この時期がやってくると、「また長い一年が始まった」と、感じます。毎週を25回繰り返すことは大変なことなんですが、一週間のサイクルが決まっているため、その型に合わせてやっていくと、10月末の段階になると、あっという間に25週間が過ぎてしまったといつも感じます。

おそらく、現在の運営形態からそれ以上のことも、それ以下のこともできないのだろうと思います。ただ、ニーズに合わせた進化は必要です。その分の努力はしていかなければいけないと、毎年思います。

さて、皆様にノリクラの様子が本当にお届けできているか...常にそれを感じながら、毎週・毎年を今後も繰り返していきたいと思います。

 

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