ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.5(2016/06/11〜12) @
6月4日(土)に東海地方(岐阜県)が梅雨入りし、6月5日(日)に関東甲信地方(長野県)が梅雨入りし、岐阜・長野の両県にまたがるノリクラは雨の季節を迎えました。ただ、梅雨に入ったからといって、常に雨ばかりの天候ではなく、今回のように梅雨の貴重な晴れ間に恵まれることもよく見られます。タイミングを見計らって、お越しいただくのが良いのではないかと思います。
6月11日(土)は、梅雨の晴れ間のまさに五月晴れの朝を迎えます。新緑が濃くなってきて初夏に近い雰囲気になり、日が高くなって暑くなってきたと思ったときにエゾハルゼミの涼しげな鳴き声に癒されます。そんな状態ですから、見るものすべてが初夏の雰囲気に感じられます。春山バス始発便が大雪渓に到着したころはまだひんやりとした状態ですが、9時ごろから山麓より雲が湧き上がるようになり、次第に曇り空へ。このような天候の推移を見ても、もう夏山だなと思ってしまうもの。ただ、気温は10〜12℃と過ごしやすく、雨に降られることなく穏やかな一日でした。また、頂上小屋では一冬寝かせた越冬酒の蔵出し作業が行われ、雪の登山道を背負子に乗せて運ぶ作業が行われました。
6月12日(日)は、ほぼ終日曇天で薄日が若干さす程度でした。風には冷たさがあっても、風が収まると蒸し暑さが感じられ、9時過ぎには山麓から周期的に雲が流れ、昨日と同じような状態になりました。大雪渓では夏スキーは雪渓下部がまだメインステージなんですが、早くも雪渓上部でコブが作成され、また、畳平のお花畑はハクサンイチゲが1ヶ月近くも早く咲き始め、ありとあらゆるものが加速度的に進行し、取材が追い付かない勢いです。
それでは、二日間の様子をご覧ください。
【6月11日(土)、観光センター前駐車場】
早朝6時の観光センター前駐車場。
観光センター前駐車場 − 五月晴れ |
ご覧のとおり、雲一つない快晴の朝を迎えました。気温は10℃で、少しひんやりとした感覚です。今日のような快晴の空を「五月晴れ(さつきばれ)」といいます。6月なのに「五月晴れ」なんです...
五月晴れは梅雨の晴れ間のことを差し、梅雨以外の時期に見事な快晴になったとしても五月晴れにはならないのです。ただ、最近は梅雨入り前の5月のきれいな晴天を差すこともしばしばあるようです。やはり、イメージとしてはそちらの方がしっくりくるのでしょうか...
山頂方面が気になる | 蚕玉岳からの滑走ルート − かろうじてつながっている |
さて、山頂方面に目を向けて一番気になるのが、稜線からの滑走ルートで雪がつながっているかという点。蚕玉岳からの滑走ルートは先週の段階でかなり細くなっていました。今週はもうだめかと思ったものの、かろうじてつながっています。後ほど、稜線方面の積雪状況をお伝えしますが、今週の稜線方面は雪解けスピードが遅かった模様です。
観光センター前のレンゲツツジ |
乗鞍高原ではレンゲツツジが満開となり、中にはピークが終わっているエリアも見られます。観光センター付近はまだ見頃が続いています。
フランスギクも満開に | アヤメも咲き始めた |
この時期は色々は花が一斉に咲き出します。先週までは全く見られなかったフランス菊、アヤメが咲き始めました。フランスギクが咲いていたところには先週までアマドコロが咲いていて、一週間であっという間に目まぐるしく変化します。
一の瀬つつじ園 | レンゲツツジは蕾の者が多い − 今年は少し遅め |
そして、気になるのが一の瀬のレンゲツツジ。どうやら今年は少し遅い模様。ご覧のとおり、しっかり開花しているものがかなり少ない状況。
残雪のノリクラとレンゲツツジ |
それでも何とか撮影できるポイントは抑えることができます。それぞれの花を見ると、すでに枯れてしまったものから、つぼみの固いものまであって、今年は進み具合に違いがみられるようです。この状況ですと、来週も楽しめそうな状況です。
春山バス乗り場の列 | 始発便は3台運行 |
そして、観光センターに戻ると、いつものように春山バスに乗車される方が列をなしています。7時を回ると日差しが強く、暑さを覚えるようになりますが、それと同時にエゾハルゼミが涼しげに鳴きはじめ、夏の高原を演出してくれます。今日の春山バスは3台が運行され、ほぼいつも通りの賑わいでした。
なお、来週の6月19日(日)は乗鞍天空マラソン開催のため、春山バスは終日運休となります(全4便とも運休)。また、前日の6月18日(土)は、観光センターが大会会場となるため、春山バス乗り場が利用できません。そのため、車道沿いの路線バスの停留所からの発着となりますので、あらかじめご承知ください。
天空マラソン開催に伴通行規制・駐車規制に関しては、お知らせ−6月19日開催の第10回乗鞍天空マラソンに伴う通行規制<春山バス・県道乗鞍岳線・観光センター・三本滝> をご覧ください。
【観光センターから大雪渓へ −車窓の風景】
新緑から鬱蒼とした森へ |
それでは、いつものように大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。観光センターから三本滝、そして、三本滝から位ヶ原山荘へと登るにつれて、風景が変化して行きますが、新緑の雰囲気から鬱蒼とした森へと変わりつつあり、初夏を感じ始めています。
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先週の29号カーブ上 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.4(2016/06/04〜05) @ |
今回の29号カーブ上 前方の山肌にも芽吹きが始まる |
こちらの画像では先週とあまり変化がないように見られるものの、前方の山肌の彩の変化にお気づきでしょうか?沿道の新緑だけでなく、標高の高いところにも芽吹きがみられるようになってきました。
淡い緑が美しい |
山麓では生い茂るほどの勢いで緑が濃くなっていましたが、森林限界間際ではこれからが新緑の季節。淡い緑が美しく感じられます。
位ヶ原山荘 | この付近の芽吹きはまだ... |
そして、標高2350メートルの位ヶ原山荘。この付近はまだ芽吹きが感じられません。
森林限界以下では淡い緑に包まれる |
森林限界付近から山麓を俯瞰すると、森林限界の少し下あたりから一斉に芽吹き始めた様子がみられ、先週は見られなかった淡い緑に包まれています。
ダケカンバの花(雄花) − 森林限界以降もこれから新緑の季節へ |
こちらは芽吹きの始まった森林限界のダケカンバ。シラカバ・ダケカンバは若葉よりも開花のほうが先に進むため、ウラジロナナカマドよりも新緑がちょっと遅い目です。でも、ご覧のように大きく垂れさがる雄花のすぐ後ろには若葉が開き始め、森林限界以降も新緑の季節となって行くと思います。
11号カーブ − 左下はウラジロナナカマド | 秋のような青空 |
実際、11号カーブのウラジロナナカマドは、しっかりとした緑に包まれています。先ほどの快晴から筋状の雲がひろがり秋を思わせるような雰囲気に...
雪壁 | 高さ最大5.2メートル − 昨年より若干高い |
そして、最も高いのは大雪渓から数百メートル手前にある4号カーブ。現時点で高さは最大5.2メートルあって、昨年の5メートルよりも若干高い状態です。今年は雪不足でしたが、何とか来週の天空マラソンまでは雪壁を残すことができそうです。ここを通過すると終点の大雪渓は間もなくです。
なお、県道乗鞍岳線のカーブ番号の位置は、ノリクラガイドマップ 県道乗鞍岳線のカーブ番号版 をご覧ください。
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