ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2016/06/25〜26) D

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(Update:2016/06/30)

 

【畳平、乗鞍白雲荘は本日より営業開始】

畳平、気温1.5℃ − 真冬並みの寒さ

こちらは26日(日)の畳平。ご覧のとおり、濃霧が立ち込めています。気温は1.5℃と真冬並みの寒さ。車が止まっている上に乗鞍白雲荘という山小屋があります。今日から今シーズンの営業が始まりました。

 

乗鞍白雲荘、本日6月26日から今シーズンの営業開始

こちらは乗鞍白雲荘。正式には昨日6月25日(土)が営業開始日だったのですが、昨日は乗鞍スカイラインの雨量規制通行止めのため、本日からの営業開始となりました。

 

手作りのガラス細工・木工細工の展示販売

出迎えてくださったスタッフの方に館内を案内していただきました。単なる山小屋というだけでなく、スタッフや地元の方々のガラス細工や木工細工の作品の展示販売も今年は取り組んでいらっしゃるとのこと。昨年改装した館内は真新しく、山小屋という雰囲気よりもペンションに近いといってもよいかと思います。

 

星空のコーナー − 標高2702mの美しい夜空に天体観測愛好家が連泊する

そして、こちらの一角は、星空のコーナー。標高2702メートルの澄んだ高所では都会では考えられないほどの無数の星がちりばめられ、特に畳平は周辺に市街地がないため、電灯による光害が少なく、天体観測には適しています。そのため、天体観測愛好家の方々が何日も連泊しながら観測を続けることも珍しくないとのこと。

 

手作りのパイ・紅茶にも凝ってますよ わざわざお越しになるお客様も

そして、軽食・喫茶メニューにも手を入れていて、手作りのシナモンパイとシナモンティーに、お客さまも満足の様子。「畳平ターミナルで、白雲荘のパイがいいよって聞いたもので、わざわざやってきました。」とのこと。

 

山小屋とは思えない落ち着いた雰囲気
10月15日まで連日営業

薪ストーブの揺らぎの炎を眺めていると、時の過ぎるのを忘れてしまします。乗鞍白雲荘は10月15日まで連日営業が続けられます。

 

【畳平お花畑】

畳平バスターミナル

それではここからは畳平お花畑の様子をお伝えします。

 

お花畑入口付近 − ハクサンイチゲが満開

こちらは入口付近。先週は3〜4割程度の開花しか見られなかったハクサンイチゲは、ほぼ満開状態になりました。

 

昨年より2週間ほど早く、例年の7月中旬頃の状況 ミヤマキンバイも見頃に

昨年より2週間ほど早く、例年の7月中旬頃の状況です。ミヤマキンバイもそろそろ見頃になってきましあt。

 

先週のショウジョウバカマ
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.6(2016/06/17〜18) A
今回のショウジョウバカマ
また花茎が延びた

こちらは先週もお伝えしたショウジョウバカマ。若干見頃を過ぎた感じがありますが、花茎は伸び続けています。

 

畳平のお花畑 −今年は6月4日から一般開放
=例年なら奥から入口へ順番に生育。今年はほぼ同時に=

こちらは畳平のお花畑。例年ならまだ雪の閉ざされ閉鎖されていますが、今年は雪解けが早く、6月4日(土)一般開放されました。
畳平お花畑は、例年は奥の方(西側)から入口(東側)に向かって雪解けが進み、それに伴って、高山植物の生育も進んで行きます。今年は雪解けスピードが速く、奥と入口の雪解け時期に違いは少なく、全エリアでほぼ同じように生育が進んでいます。

 

今年は全エリアで同時に満開状態

ですから、ハクサンイチゲは奥から順番に咲き始めるところが、今年は全エリアで同時に満開状態になっています。

 

気温1.5℃ − 平地で猛暑でも、畳平はでは防寒着が必須

今日は終日濃霧。気温は1.5℃と真冬の寒さ。霧の層はそれほど厚くないため、時折、雲間にしっかりと青空がのぞきます。平地では真夏のようなカンカン照りでも、畳平だけは濃霧が立ち込めて真冬並みの気候ということは決して珍しくありません。そのため、畳平にお越しの際には必ず防寒着をご持参ください。

 

こちらは一番奥の折り返し地点。

 

満開のハクサンイチゲの隙間には...

どこを見ても、満開のハクサンイチゲばかり...でも、よく注意してみると...

 

ミヤマクロユリの蕾 − 昨年とほぼ同じ、例年より2週間早い 中には開花したものも

ミヤマクロユリのつぼみが大きく膨らんでいます。中には開花したものも見られます。昨年とほぼ同じ状況で、例年より2週間程度早い状況です。

 

ショウジョウバカマ コイワカガミ

このほか、ショウジョウバカマもいたるところでみられるようになり、コイワカガミもちらほらと咲き始めました。

 

お花畑ではなく、畳平周辺道路沿いでは...
コマクサが咲き始めました − ご覧になるにはお花畑ではなく、大黒岳・富士見岳・魔王岳などへ

こちらはお花畑ではありませんが、畳平周辺ではコマクサも咲き始めました。観光客の方の中には、お花畑でコマクサを一生懸命探されていますが、お花畑のような雪田ではなく、砂礫地に自生する高山植物で、お花畑以外の畳平周辺を散策すると見つけることができます。(大黒岳・富士見岳・魔王岳など)

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2015/06/26〜27) @

6月最後のノリクラ雪渓カレンダーをお届けします。どうやら、先週あたりから、週末になると天候が悪い周期が訪れてしまい、今回も北上した梅雨前線の影響から、ぐずついた天候に見舞われてしまいました。

6月27日(土)は、昨晩の雨が止んで雲間に青空がのぞく朝を迎えましたが、それも束の間で、春山バス始発便が到着した8時の大雪渓は濃霧で肌寒い状況に見舞われます。天候は回復するどころか、9時ごろから雨となり、肩の小屋付近ではお昼近くになって暴風雨に近い状態まで悪化します。気温は6℃前後ですがこの天候ですから、気温以上の冷え込みを感じ、厚手のグローブがちょうどよい状況。肩の小屋周辺でもかなりの天候と感じましたが、さらに登って稜線に到達すると、猛烈な突風で立っているのもやっとという状況で、今日は久々に荒れた一日となりました。

6月28日(日)は、昨日以上に荒れた天候。8時の畳平は濃霧・暴風雨で気温は1℃と低く、厳冬期以上に寒さを感じる状況で、風に向かって歩くと息ができないほど。乗鞍岳春山バスは冷泉小屋付近の倒木の影響から、始発便は運休となり2便目から運行が開始されました。大雪渓付近は畳平ほどではないものの、荒れた天候に見舞われています。それでも春山バス2便は3台も運行され、大雪渓には数多くのスキーヤー・ボーダーの方々がお越しにありました。午後から天候は幾分回復傾向を見せるものの、ほぼ終日濃霧と荒れた天候が続き、16時ごろになって、それまでの天気がうそだったかのように見事に晴れ上がりました。畳平お花畑は、ハクサンイチゲが満開を迎え、クロユリが見頃を迎えています。例年よりも2週間ほど早い状況です。

稜線・大雪渓の積雪状況は、ここ数週間は同じような傾向が続いていますが、全体的に雪解けスピードが遅くなっています。唯一稜線方面からの滑走が可能だった朝日岳直下も今週から滑走不能となりました。しかし、朝日岳直下の登山道には約70メートルの積雪区間が残っていますのでご注意ください。大雪渓付近の積雪状況は、昨年より1週間程度早い程度にとどまっていて、モーグルコースの岩付近は、昨年よりも多い様子を見せるほどです。そのため、夏スキーのメインステージである大雪渓においては、例年と遜色ない積雪量と考えて差し支えないレベルに落ち着いて来たといってよいでしょう。

 

<編集後記>

「一年を通して見た大雪渓の雪質の推移...」

これまでにも断片的にお伝えしておりますが、季節が変わるごとに大雪渓の雪質も変化しています。

厳冬期はバックカントリースキーの季節ということもあって、パウダーが楽しめます。もっともよい時期は1月から2月。ただ、これも日によって大きく変化し、森林限界を超えた位ヶ原以降では、摩利支天岳の東斜面にある「通称:すべり台」と呼ばれるエリアや屋根板以外は、エッジの効かないハードバーンになることもしばしばあります。また、雪崩にも注意が必要な時期です。3月になると日中の日差しで雪が緩み、午後の冷え込みでパックされ、下山のツアーコースはまともに滑走できない状態になり、バックカントリーの手ごわさを思い知らされます。それも4月の後半になると、午後の冷え込みがなくなって、終日緩んだ状態となり、春スキーの季節となります。ただ、5月上旬までは稜線・山頂方面はアイゼンがないと登れない日がまだあります。

春スキーが最もおいしいのは5月から6月上旬まで。つまり梅雨入りまでです。この時期はバーン表面にギャップ・凹凸がなくて柔らかく、どんな滑り方でも楽しく滑走でき、「滑りに酔いしれる」楽ししさを味わえます。そして、雨量が多くなってくると、雪面を雨水が走るようになって縦溝が発生し、まともに滑走できない状態になります。まさに今がその時期です。

縦溝は雨水が走ってできますので、必然的に上部よりも下部で深くなります。ですから、雪渓上部よりも下部のほうがひどく、フリー滑走される方は、できるだけ、雪渓上部での滑走がおすすめです。梅雨も中盤から後半に差し掛かると、水を含んだ雪渓が夜間の冷え込みで再氷結し、タケノコのような氷柱が発生します。まさに「雨後の筍」です。これは6月下旬から7月にかけて多発し、ちょうど夏スキーの最盛期にあたりますので、スキーキャンプに訪れたグループは、鍬で一斉に「タケノコ堀」を行わないとまともに滑走でません。

7月後半の梅雨明けを迎えると、タケノコの発生も抑えられ、かなり緩んだバーン状態になります。多少の氷結部分があっても、ボードのソフトブーツでさえ問題なく登ることができるほど緩みます。そのため、初めてノリクラにお越しになる方は、梅雨明けからお盆にかけての時期をお勧めしております。

ただ、夏のノリクラはここまでで、お盆過ぎからはバーンが急激に冷え込んで硬くなり、春の縦溝とはやや異なりますが、畑の畝のようなうねりが発生します。雪渓上部左側の急斜面ではソフトブーツでは登ることが困難になり、10月になると、スキーのアルペンブーツですら登ることが困難な日が発生するようになり、9月下旬から10月上旬にかけて初雪を迎え、次のシーズンへと深い眠りにつきます。

 

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