ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.8(2016/07/02〜03) D

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(Update:2016/07/07)

 

【雪渓上部 U、モーグルコース】

雪渓上部左側 − 上級者限定

こちらは雪渓上部左側。大雪渓の中でも急斜面のバーンが広がり、シーズン終盤まで積雪の残るエリアですが、入口から最も遠く急斜面であるため、他のエリアが滑走できなくなる8月上旬以降にならないと、こちらで滑走するモーグラーはいません。今年は早々にコブ管理人がモーグルコースを作成し、滑走可能な状態に仕上げています。

現時点では、雪渓下部のモーグルコースがまだ滑走可能ですが、今後、他のエリアが滑走できなくなって、こちらのバーンしか滑走できなくなるころにはバーンが冷え込んで固くなり、急斜面を滑落の危険性があるため、初心者の方の滑走は困難ですのでご承知ください。

 

モーグルコース

先週は全く訪れるモーグラーがいませんでしたが、今週は賑わっています。

 

長さは22コブ×83メートル(ピッチ:3.7メートル)

長さは22コブ×83メートル(ピッチ:3.7メートル)

 

上端より下端の雪解けが早く、傾斜がつよい

今年は上端より下端の雪解けが早いため、例年よりも斜度があると推測されます。

 

雪質はご覧のように柔らかめ。

 

作業が終わり一休み...

コブ管理人は午前中の整備が終わり、今日の作業はほぼ終了なんですが、それがそういうわけにはいきません。

 

若手の育成 「このラインを通ってみて〜」

スコップを持ち出して、また整備がはじまるかと思いきや、コブの上にラインを引いて「このラインを通ってみて〜」と、若手の育成にも力が入ります。

 

伸びしろが大きいから楽しい

ちょっとアドバイスするだけで、滑りの方向性がガラッと変わったりする瞬間があり、伸びしろの大きさっていうものを実感します。

 

おどけて見せたりする瞬間

厳しい指導の中でも、茶目っ気たっぷり...マンツーマンの指導はまだまだ続きますよ〜

 

【畳平のお花畑】 

畳平 − 濃霧・強風・横殴りの雨 ターミナル内 − 待機する人々

こちらは畳平。二日目の7月3日(日)は、濃霧・強風・横殴りの雨で、登山に出発できる状況ではなく、ターミナル内には待機する人々の様子もありました。

 

お花畑入口付近 ハクサンイチゲが全面満開 − 例年より2週間早い

さて、畳平のお花畑ですが、ハクサンイチゲが全面満開となっています。昨年とほぼ同じですが、例年と比べると2週間早い状況です。

 

コイワカガミ ミヤマキンバイ

そのほか、コイワカガミが綺麗に咲きそろい、ミヤマキンバイの開花が始まっています。

 

ハクサンイチゲが咲いていない一角 そこにはミヤマクロユリがびっしり群生
昨年より2〜3週間早く、例年の7月中下旬並み

ハクサンイチゲが咲き乱れる中、一角だけ花がみられない場所があります、よく見るとミヤマクロユリがびっしり群生しています。一部開花したものも見られますが、大半がまだつぼみです。昨年より2〜3週間早く、例年の7月中下旬並みです。

 

先週のショウジョウバカマ
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.7(2016/06/25〜26) D
今週のショウジョウバカマ
花茎は全体的に伸びている
(中間のハカマの間隔に注目)

いつもお伝えしているショウジョウバカマ。先週と比べて、花茎がまた伸びています。中間のハカマの部分の間隔が先週と比べて開いていますので、下から伸びあがってくるのではなく、全体的に長くなっていることがわかります。

そのほか、左上にあるハクサンイチゲのつぼみが開花し、右下のミヤマキンバイも開花するなど、1週間の経過がよくわかります。

 

遊歩道分岐点

今年は全体的に同じ水準で成長が進行していますので、遊歩道をさらに進んでもほとんど同じ状況です。

 

晴れていれば見ごたえあるはず

全面満開のハクサンイチゲは晴れていれば、なかなかの見ごたえがあるはず...例年なら奥から順番に咲きますので、全面満開は今年しか見られません。

 

そして、折り返し地点に差し掛かると...

 

花弁が落ち始めている

一部のハクサンイチゲは花弁を落とし始めています。

 

ミヤマキンポウゲ ミヤマクロユリは半数程度が開花

それに代わるようにミヤマキンポウゲの開花が始まり、ミヤマクロユリも半数程度が開花状況です。ミヤマクロユリの開花はほぼ昨年並みで、例年と比べると2週間以上早い状況です。

ハクサンイチゲの全面満開は、なかなか見られない現象ですので、ぜひとも、お早目にお越しになってご覧になれば幸いです。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2015/07/04〜05) @

6月が終わって7月が始まりました。長野県側 県道乗鞍岳線が全線開通し、岐阜と長野が県境で通り抜けできるようになり、ノリクラの夏山シーズンが本格的に始まりました。大雪渓での夏スキー、そして、ヒルクライムのトップシーズンがやってくるとノリクラらしい雰囲気となり、あとは梅雨明けを指折り数えて待つばかりです。

7月4日(土)は、曇り空の朝を迎えますが、6時過ぎから雨となり、一時、土砂降り状態になる不安定な状況。大雪渓方面も9時前後は一時土砂降りとなるものの、その後は雨が収まって濃霧が続きますが、気候的には暑くもなく寒くもない過ごしやすい状況。県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が解除され、本格的な夏スキーのシーズンとなり、大雪渓駐車場にはスキー・ボーダーのグループのマイクロバスが所せましと並ぶ様子がみられます。もちろん、毎年お越しになる方々ばかりで、再会の挨拶を互いにかわす様子がみられます。土砂降りは10時までには小康状態となり、視界がほとんど効かない濃霧となりますが、気候的には過ごしやすく、バーンも適度な状態で、夏スキー的には問題ない状態だったと思います。午後にはほとんど雨は収まったものの、14時30分ごろから再び雨となり、その雨は夜になるとまとまった降り方となり、翌日まで持ち越す状態となります。

7月5日(日)も、曇り空の朝を迎えます。ただ、昨日と異なって観光センター周辺の里山も雲に覆われる低い雲。この雲は三本滝から位ヶ原山荘まで覆っていて、それより上部は雲海の上となり、大雪渓から山頂方面はくっきりとした状況で、南アルプスの甲斐駒ケ岳や北岳などが頭の先端をなんとか突き出すことができる重厚な雲海です。もちろん、山麓からは想像できない見事なコンディションに訪れたスキーヤー・ボーダーもテンションが上がります。しかし、次第に山麓から湧き上がる雲で大雪渓も周期的に濃霧に見舞われ、視界が奪われて行きますが、それ以上の天候の悪化はなく、日差しがなくて過ごしやすいコンディションでした。

稜線方面の登山道の積雪はかなり少なくなり、先週までは積雪に埋まっていた朝日岳直下の九十九折れ箇所は、一部積雪が残るものの登山道の姿がほぼわかる状態になっています。大雪渓の積雪状況は、先週までと同様に雪解けスピードが例年よりも遅い状態が続き、5〜6月に見られた急速な雪解けから、現時点は昨年よりも1週間程度早い状態にとどまっています。そのため、夏スキーのメインステージである大雪渓においては、例年と遜色ない積雪量と考えて差し支えないレベルに落ち着いて来たといってよいでしょう。また、バーンコンディションは再氷結による氷柱がこの時期としては少ないため良好です。

 

<編集後記>

「今年の天候は1988年とよく似ていて、大雪渓は1999年以来の完全消滅かも...」

今年は暖冬をもたらしたエルニーニョ現象が春先に終息すると同時に、猛暑の原因となるラニーニャ現象が発生し、例年にない異常気象となっていると報じられています。1998年も今年と同じようにエルニーニョ現象が春先まで続き、その後、ラニーニャ現象が発生したため、7〜10月まで高温傾向が続き、暑く長い夏となりました。また、台風発生も第一号が7月9日と遅く、今年も7月3日にようやく発生しております。

さて、1998年の夏の大雪渓はどうだったかというと、当WebSiteは2001年開設ですので、それ以前の画像はありませんが、この年の大雪渓は異様に暑かった記憶が残っています。そして、7月中に雪渓下部の積雪がなくなり、最終的には雪渓上部左側の雪渓もほぼ消滅してしまった記憶があります。(確か畳一枚分程度しか残っていなかったと思います。)

そんなに暑い年ならば、梅雨明けも早かったのかと思いたくなりますが、1998年の東海地方の梅雨明けは7月30日、関東甲信は8月2日で、東海・関東甲信の梅雨明け平年日の7月21日より大幅に遅れました。今年の梅雨明けは東北北部で長くなるほかは平年並みとされていますがどうなるでしょうか?

今年の大雪渓の積雪状態は、現段階では1998年に似た状態になっています。大雪渓の積雪は雪渓上部左側の一部が融けずに越冬する状態が2000年以降続いておりますが、このままの融け方をすれば、1999年以来の完全消滅となる可能性も考えられます。

 

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