ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.9(2016/07/08〜09) B

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(Update:2016/07/14)

  

【大雪渓に到着】

気温15℃ − 寒くなくても防寒着は忘れずに

8日(金)は、梅雨の中休みで、貴重なこの天気を生かして登山・スキーを楽しみたいもの。気温は15℃で半袖でもさほど寒くはありません。ただ、毎回申し上げておりますが、乗鞍高原やほおのき平など、シャトルバスに乗車する段階でどんなに暑くても、防寒着は必ず持参してください。

 

「コブ、短くなったなぁ〜、どこ滑ろう...」と、困惑気味

この1週間は雨が多かったこともあって、大雪渓は驚くほどの雪解け。すぐ目の前の雪渓下部をみて、「コブ、短くなったなぁ〜、雪渓上部のコブもほとんど消えかかっているなぁ〜、どこ滑ろう...」と、困惑気味。

 

「登山道はどこですか?」 登山道入口

そこに登山道の場所を尋ねる海外の方が...

 

登山道入口は北へ50メートル先に 大雪渓入口に設置された肩の小屋口登山口を示す看板が
混乱しやすい状況を招いている

大雪渓の登山道(肩の小屋口登山口)は、大雪渓入口から車道を北へ50メートル進んだところにありますが、海外の方でなくてもわかりにくい...また、7月からの肩の小屋口登山口を示す看板が、大雪渓入口に設置されたので、さらに混乱しやすい状況となっています。

 

【長野県安全登山条例について】
大雪渓入口に新たな看板が設置 【画像拡大:7月より登山届が義務化されました】

大雪渓入口に設置された「肩の小屋口登山口」の看板は、7月からは登山届の提出が義務化されたことを案内する内容が記されています。登山届義務化の概要については、 お知らせ −7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)(2016/04/13)。をご覧ください。

長野県は、「長野県安全登山条例」を昨年12月17日に公布・施行し、登山計画書の提出を義務付ける「指定登山道」を4月11日に決定し、昨日7月1日から登山計画書の提出を義務化しました。

条例の中では、遭難の発生のおそれが高いと認められる167の山岳と、1の景勝地を「指定山岳」として定め、指定山岳の山頂及び景勝地に至る主な登山道の起点となる122の登山口を「指定登山口」として定めます。その中で指定登山口から指定山岳の山頂及び景勝地までの区間にある登山道を「指定登山道」として定めます。

ノリクラにおいては、指定登山岳「乗鞍岳(朝日岳、摩利支天岳)」、指定登山口に「鈴蘭橋登山口、肩の小屋登山口」が指定され、指定の登山道の一部でも利用する場合は、登山届の提出が必要です。また、大雪渓でのスキー・ボードは、肩の小屋口登山道を利用しているものと解釈され、登山届の提出が必要です。

【ご注意:実際の登山道入口は大雪渓入口から車道を北へ50m先にあります】

ご注意:実際の登山道入口は車道を北へ50m先にあります

実際の肩の小屋口登山口

おそらく、この看板は設置場所の問題からここに建てられたものと思われますが、肩の小屋口登山口は大雪渓入口とは異なり、この画像より車道を北へ50メートルのところにあります。

 

【雪渓下部  T】 

大雪渓入口 先週よりも柔らかく、ピッチ・氷柱はあまり気にならない

ここからは雪渓下部の様子をお伝えします。バーン表面のコンディションは、先週よりも柔らかく、細かなピッチ・氷柱があるものの、ほとんど気にならない状況です。場所によっては、ポールをセットしたり、グループで滑走練習される場合は、鍬等で整備されたほうがよいでしょう。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月中旬)
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.15(2015/08/13〜15) B
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2016/07/02〜03) A
今回の大雪渓入口
昨年より5週間早く、例年の8月中旬並み

 雪渓下部は全体的には、昨年より5週間早い雪解けを見せ、例年の8月中旬の積雪状態です。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(距離70m)
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.15(2015/08/13〜15) B
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2016/07/02〜03) A
今回の大雪渓入口(75メートル)
昨年より5週間早く、例年の8月中旬並み

  岩の帯の先端から車道までの距離は車道からの距離は先週の65メートルから75メートルの大幅増加。今週は昨年より5週間早い雪解けを見せ、例年の8月中旬の積雪状態です。

 

先週の登山道入口
今週の登山道入口(隙間35メートル)
昨年より6〜7週間早く、例年の8月中下旬並み

こちらは肩の小屋・山頂方面への登山道入口。車道との間の隙間は先週の9メートルから35メートルと大幅に増加、昨年より6〜7週間早く、例年の8月中下旬並みです。

 

登山道脇の高山植物 シナノキンバイ

先週から咲き始めたシナノキンバイ。開花してから1〜2週間程度は目を楽しませてくれます。

 

花弁に見えるのがガク、本当の花弁は雄しべの外側に 花の裏にあるべきガクがない

さて、1ページ目の大雪渓まで沿道の様子で、ヤマオダマキを紹介しました。後ろに伸びる特徴的な花弁のようなものが萼であって、本当の花はその中に咲いていると申し上げましたが、こちらのシナノキンバイは、大きな5枚の花弁が実は萼、本当の花は雄しべのすぐ外側にオレンジ色が少し強いものがありますが、それが花弁です。全く目立たない花弁です。その証拠の花の裏側を見ると、本来あるはずの緑色のガクがないことに気づきます。

 

先週の登山道 − まだ積雪が残る
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2016/07/02〜03) A
今週の登山道 − 完全に積雪はなくなる
昨年より4週間早い雪解け、例年の7月下旬〜8月上旬並み

先週までは登山道の一部に積雪が残っていましたが、今週は完全になくなり、大雪渓〜肩の小屋登山道は完全に積雪がなくなりました。昨年より4週間早い雪解けで、例年の7月下旬〜8月上旬並みの状況です。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月上旬)
2015ノリクラ雪渓カレンダーVol.14(2015/08/08〜09) B
先週のモーグルコースの岩
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2016/07/02〜03) A
今回のモーグルコースの岩
昨年より4週間早く、例年の8月下旬並み

岩場がゴツゴツとしている大雪渓も、厳冬期以降はすべてのものが雪に閉ざされてしまいます。春になって雪解けが進んで最初に姿をあらわすのが画像の中央に写るモーグルコースの岩です。そのためモーグルコースの岩は、大雪渓の積雪量・雪解け状況を最も早く観測できるバロメーターとなります。7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。

昨年より4週間早く、8月下旬並みです。周囲の積雪がほとんどなくなってきましたので、モーグルコースの岩周辺の状況は今回で終了させていただきます。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月上旬)
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.13(2015/08/01〜02) B
先週の石碑の岩
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.8(2016/07/02〜03) A
今回の石碑の岩
昨年より3週間早く、例年の8月上旬並み

そして、モーグルコースの岩から南へ約100mほどのところに、大雪渓で二番目に姿をあらわす岩があります(石碑の岩)。昨年より3週間早い状況で、例年の8月上旬並みです。

 

チングルマ − 花柱の撚りがはっきりと、昨年より3週間早い状況

こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。先週とほぼ同じ状態ですが、花柱の撚りがはっきりとしてきて、これからチングルマの由来通りの風車様に膨らんでくるはずで、昨年より3週間程度早い状況です。なお、この周辺のチングルマはちょうど今が見頃の状態で、定点のチングルマは周囲よりも進捗が早い傾向です。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月下旬)
2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.16(2015/08/22〜23) B
今回の雪渓上部下端

大雪渓全体で特に雪解けが激しいのが雪渓上部と雪渓下部をつなぐ部分で、昨年より6週間も早く、例年の8月下旬並みの状況になっています。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月中旬)
ノリクラ 雪渓カレンダー  Vol.15(2014/08/13〜16) C
今回の雪渓上部下端部分
昨年よりも6週間早い雪解け、例年の8月中旬並み

こちらは雪渓上部の下端部分です。昨年画像でちょうど同じ状態のものがありませんでしたので、一昨年の画像を掲載いたしますが、下端部分の位置から判断すると、昨年よりも6週間早い雪解けで、例年の8月中旬並みの状況です。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(畳の岩、9月下旬)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.21(2015/09/26〜27) C
今回の雪渓上部右側の下端部分(畳の岩)
昨年より11週間早い雪解け、例年の8月下旬〜9月上中旬

また、下端部分から10メートルほど上にある畳の岩(畳の残骸が貼りついている岩)での積雪状況では、昨年よりも11週間早い雪解けで、例年の8月下旬から9月上中旬の状況です。大雪渓全体の中で、こちらの雪渓上部と雪渓下部の中間付近がもっとも雪解けの早い状況がみられます。

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