ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.10(2016/07/16〜17) @
今回は月曜日が海の日にあたり三連休を迎えます。梅雨明けの平年値が7月21日で、海の日前後はまだ梅雨の時期。せっかくの三連休ですが、天候に左右されるノリクラにおいて、天気予報で事前に晴れるとわかれば、どーっと人が押し寄せるものの、少しでも雨のマークがみられると、平日並みの人出しか期待できない状況です。海のものとも山のものと見分けがつかないこの時期の天候ですが、最終日の「海の日」だけは見事な夏空となりました。
7月16日(土)は、曇り空の朝を迎えます。気温は15℃、暑さしらずの程よい状況。今日からご来光バスの運行が始まりますが、この天候では日の出は無理ではないかと思ったところ、山頂方面は晴れていて、日の出は雲の間からのだったようですが、まずまずだった模様。実際に乗鞍高原から大雪渓に向かってみると、摩利支天付近から霧の中に入り始め、冷泉小屋から位ヶ原山荘は完全に濃霧の中、しかし、その先の位ヶ原11号カーブから一気に霧が抜けて見事な晴天。大雪渓はほぼ終日青空に恵まれました。また、ヒルクライマーも夕方までに120名もお越しになり、爽やかな風が抜きぬけるヒルクライムはこの上なく心地よいもの。ようやく自転車の季節がやって来たという雰囲気を感じます。
7月17日(日)は、昨日から一転して濃霧・強風・横殴りの雨でした。朝一番は雲間に青空がのぞき、天気予報で言われているほど天気は悪くないのではと思ったものの、7時ぐらいからしっかりとした雨降りに。そして、大雪渓方面は濃霧と雨が10時30分ごろから激しい降り方となり、訪れていたスキーヤー・ボーダーの方々は午前中で撤退となりました。結局、この日は夕方まで雨が続き、天候が回復したのは日が落ち、煌々と真ん丸の月が頭上に上がったころでした。
7月18日(月)は、連休最終日。取材日ではなかったため記事掲載はありませんが、若干筋状の雲がたなびくきれいな夏の青空が広がり、観光センター前駐車場は8時30分ごろには満車状態。シャトルバスも賑わいがみられ、自転車は146台と今季一番の状況となりました。また、この日の午前中に九州から東海まで梅雨明けしたとみられると気象庁から発表があり、名実とも本格的な夏へと突入しました。
大雪渓の積雪状態は、この後のコーナーで詳しくお伝えしますが、さらに雪解けスピードが速まり、8月下旬頃の状況で、場所によっては9月下旬に匹敵するほど。車道沿いの雪渓下部は滑走不能となり、雪渓上部右側・左側のみ滑走可能状態です。ただ、こちらも例年よりも面積・距離が短く、雪渓上部右側ではポールが林立する状態です。必要以上の面積確保をせず、融通しあって練習していただくようお願いいたします。
それでは、二日間の様子をご覧ください。
【7月16日(土)、観光センター駐車場】
観光センター前 |
早朝、6時の観光センター前駐車場。三連休初日の朝です。
雲が低く垂れ込める | 始発便に行列 − 今シーズンは初めてのこと |
気温は16℃、ご覧のように天候は曇。ただ、山頂方面は雲が抜けて晴れているとのこと。ちょっと想像できませんが、山頂方面はこの雲の上に突き抜けているようです。右の画像はシャトルバス始発便を待つ方々の列。7月からシャトルバスの運行がはじまっていますが、天候が芳しくない状況が続いていたため、これまで人出が少ない状況が続いていました。始発便で列ができるのは初めてのこと...
始発便到着 =今日からご来光バス運行開始= |
例年、7月上旬にご来光バスの運行が始まりますが、今年は三連休初日の今日からの運行開始に変更されました。また、岐阜側のシャトルバスは、今日から繁忙期のAダイヤ(ほおのき発は30分に1便)の適応が開始されます。
始発便は2台運行 | 大きな荷物とともに降りてきた |
今日の始発便は2台が運行されました。乗鞍高原からのシャトルバスは基本的に観光センターと畳平を往復する運行ですが、始発便に限っては、新島々から乗鞍高原までの運行便が、そのままシャトルバスに変更して運行されるため、新島々方面から乗車され観光センターで下車される乗客の方がいらっしゃる場合もあり、下車確認後、シャトルバスに変更となります。
今回はトランクから大きな荷物を持って、下車された方がいらっしゃいました...
荷物の中身は自転車 − これからヒルクライム | 大学の自転車サークル−「ノリクラはあこがれだったんですよ」 |
荷物の中身は自転車...自転車サークルの大学生の方々。「ノリクラはあこがれだったんですよ〜一度来てみたかった! 畳平まで走れるかどうかちょっと不安です。観光センターの売店って7時に開くって聞いたんですが...道中でおにぎりとか買えなかったので。」
売店でおにぎり購入 − 「道中で買えなかったんですよ「」 |
...と、今日は売店が早々にオープンして早速購入。「上の方って、晴れているんですか〜」と、半信半疑で出発の準備をされていました。確かにこの曇天で山頂方面が晴れているとは想像しにくいところ。でも、夏のノリクラにはよく見られる現象ですので、それを信じて出発しましょう!
【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜三本滝ゲート)】
山頂方面 − 雲が低い |
それでは、いつものように大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。雲がかなり低いところまで垂れ込めている様子がうかがえます。おそらく、スキー場のトップくらいから先は雲に覆われている模様。
ウツボグサが目立ってきた |
先週と比べてかなり目立つようになってきたのがウツボグサ。紫色が濃いのでシャトルバスの車窓からでも確認できるはずです。
ゲンノショウコ | オオバコ |
=どちらも薬草です= |
沿道は草刈りがされてしまい、山野草がすべてなくなってしまいましたが、そんな中に草刈りを免れた花が残っていました。こちらはゲンノショウコ(現の証拠、フウロソウ科フウロソウ属)。何とも変わった名前なんですが「胃腸によく効く証拠」という意味で、地上部分の全草が下痢止めとしての効果があり、現在でも生薬として取り扱われています。それじゃ〜見つけて薬草にしたいt思われるかもしれませんが、いかんせん、小さすぎてなかなか見つけにく...花が咲いていてもほとんど気づかれることがないのではと思うほどです。
人などの踏みつけに強く、日当たりのよいところに自生するオオバコ(大葉子、オオバコ科オオバコ属)。道端でよく見かけるため、別名「車前草(しゃぜんそう)」と呼ばれ、古くから漢方薬の原料としても用いられています。どちらもひっそり目立たなくても役に立つ薬用の山野草です。
目の高さよりちょっと高いところに | ノリウツギ |
少し目線よりも高い位置にあるのがノリウツギ(糊空木、ユキノシタ科アジサイ属)。樹皮から製紙用の糊が作られ、空木のように茎が中空であることから命名されています。
4枚の大きな花弁は装飾花で受精能力はありません。その中心の小さな部分に両性花があります。装飾花は虫をおびき寄せるための機能とされていて、構造的には花弁ではなく、萼(ガク)です。そのため、花が終わっても長く残っていて、外見的には「まだ咲いている」と錯覚させられます。萼が長持ちするといってもイメージがわかないかと思いますが、花の時期には「萼(ガク)」と呼ばれますが、実ができるようになると、今度は「蔕(ヘタ)」と呼ばれるようになり、最後まで残っていることが理解できることと思います。
三本滝ゲート − この先マイカー規制 |
観光センターから7km先の三本滝ゲート、7月から冬季閉鎖が解除されましたが、ここからマイカー規制が始まり、バス・タクシー・自転車のみ通行可能です。
三本滝上の工事箇所 − 自転車も信号で止まってね | 現場は自動車が1台分しか通れない |
三本滝ゲートから数百メートル登ったところで、土砂崩れによる道路崩落場所があって、先週から工事が始まりました。それに伴い、信号による片側交互通行規制が実施されています。工事箇所は自動車が何とか1台通過できる幅しかありませんので、自転車といえども、必ず信号表示に従って通行してください。
かもしかゲレンデ | ヤナギラン − 例年より2週間程度早い |
さらに登って、かもしかゲレンデ。先週あたりから咲き始め、例年より2週間程度早い状況。
マルバタケブキ | クガイソウ |
=例年より1週間程度早い= |
そして、マルバタケブキ、クガイソウも咲き始めました。こちらは例年より1週間程度早い状況です。山野草・高山植物は全体的に例年より早い傾向がみられます。後ほど、大雪渓や畳平お花畑の高山植物開花状況をおつたえしますが、例年より2週間程度早い状況で、大雪渓は今がちょうど見ごろを迎えていますので、高山植物の観賞には早めにお越しくださった方がよいでしょう。
■ 次のページは >> Page2 【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 U(三本滝ゲート〜大雪渓)】 ■
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|