ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.10(2016/07/16〜17) B

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(Update:2016/07/21)

 

【雪渓下部 T】

大雪渓入口 積雪はほとんどない

それではここから雪渓下部の様子をお伝えします。右の画像は雪渓中段から雪渓下部へと接続部分ですが、もうほとんど積雪がありません。昨年よりも5週間早い状況です。

 

7月に入って、画像右側のような看板が設置されました。

 

【長野県安全登山条例について】
大雪渓入口に新たな看板が設置 【画像拡大:7月より登山届が義務化されました】

大雪渓入口に設置された「肩の小屋口登山口」の看板は、7月からは登山届の提出が義務化されたことを案内する内容が記されています。登山届義務化の概要については、 お知らせ−7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)(2016/04/13)。をご覧ください。

長野県は、「長野県安全登山条例」を昨年12月17日に公布・施行し、登山計画書の提出を義務付ける「指定登山道」を4月11日に決定し、昨日7月1日から登山計画書の提出を義務化しました。

条例の中では、遭難の発生のおそれが高いと認められる167の山岳と、1の景勝地を「指定山岳」として定め、指定山岳の山頂及び景勝地に至る主な登山道の起点となる122の登山口を「指定登山口」として定めます。その中で指定登山口から指定山岳の山頂及び景勝地までの区間にある登山道を「指定登山道」として定めます。

ノリクラにおいては、指定登山岳「乗鞍岳(朝日岳、摩利支天岳)」、指定登山口に「鈴蘭橋登山口、肩の小屋登山口」が指定され、指定の登山道の一部でも利用する場合は、登山届の提出が必要です。また、大雪渓でのスキー・ボードは、肩の小屋口登山道を利用しているものと解釈され、登山届の提出が必要です。

【ご注意:実際の登山道入口は大雪渓入口から車道を北へ50m先にあります】

ご注意:実際の登山道入口は車道を北へ50m先にあります

実際の肩の小屋口登山口

おそらく、この看板は設置場所の問題からここに建てられたものと思われますが、肩の小屋口登山口は大雪渓入口とは異なり、この画像より車道を北へ50メートルのところにあります。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月下旬)
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.17(2015/08/28〜29) B
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2016/07/08〜09) B
今週の大雪渓入口 − 先週より雪解けが早くなる
=昨年より6週間早く、例年の8月下旬並み=

雪渓下部は全体的には、先週の「昨年より5週間早い雪解け、例年の8月中旬並み」から、「昨年より6週間早く、例年の8月下旬並み」となり、この1週間は雪解けスピードが速くなっています。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月下旬、41m×40m)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2015/08/28〜29) B
先週の雪渓下部(長さ61メートル×横幅68メートル)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2016/07/08〜09) C
今回の雪渓下部(長さ40メートル×横幅40メートル)
昨年より6週間早く、例年の8月下旬並み

雪渓下部の大きさは、長さ40メートル×横幅40メートルで、先週の「昨年より5週早い雪解けで、例年の8月上旬〜中旬並み」から、「昨年より6週間早く、例年の8月下旬並み」と、こちらでも雪解けが早い様子がわかります。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(8月下旬、車道から73m)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2015/08/28〜29) B
先週の大雪渓入口(車道から75m)
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.9(2016/07/08〜09) B
今回の大雪渓入口(車道から73m)

こちらは下端部分から車道方面を撮影したもの。車道までの距離は先週の75メートルから73メートルへ縮小しています。縮小した原因は雪渓の左端(下から見て)からの距離を測定していて、雪解けとともに測定位置が変化したためです。積雪が増えたわけではありません。昨年より6週間早く、例年の8月下旬並みの状況です。

 

登山道入口 今週の登山道入口(隙間45メートル)
昨年より6週間早く、例年の8月中下旬並み

大雪渓入口から車道を北へ50メートル進むと肩の小屋・山頂方面の登山口があります。車道と雪渓下端の間は先週の35メートルから45メートルと大幅に増加、昨年より6週間早く、例年の8月下旬並みです。

 

登山道沿いは高山植物の季節
(ミヤマダイコンソウ)
高山植物が目に留まる

大雪渓から肩の小屋までの登山道は、今がまさに高山植物の季節。すぐ目の前・足元に咲き誇り、高山植物に興味のある人はぜひともお越しいただきたお勧めの登山道です。

 

たびたび足を止めて説明

ガイドさんもたびたび足を止めては、高山植物の説明をされます。おそらく丁寧に説明したとすると、通常のコースタイムの1.5倍はかかるかと思います。

 

そんな登山道で一番人気は...

 

シナノキンバイ コバイケイソウが一株だけ咲く

シナノキンバイですが、咲き始めてから2週間が経過して、そろそろ花は終わりに近づいています。開花の始まりや終了は、昨年より2〜3週間程度早い状況です。そして、今週になって、コバイケイソウが一株だけ咲き始めました。他にも葉が大きくなっている株が多数ありますが、つぼみはなく、おそらく今年ははずれ年の模様です。

 

石碑の岩

雪渓下部の南側に位置する石碑の岩。大雪渓でモーグルコースの岩に次いで2番目に雪解けとともに現れる岩です。

 

チングルマ 風に乗って実が飛んでゆく

こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。花柱の撚りがほぐれて、完全に実の状態になりました。これから風に乗って実が飛んで行くことと思われ、昨年より3週間早い状態です。ただ、こちらのチングルマは進捗が他より早く、大部分のチングルマはちょうど見ごろを迎えています(↓)

 

大雪渓〜肩の小屋登山道

こちらは先ほどの大雪渓〜肩の小屋登山道。

 

チングルマの群生 チングルマに止まるハナアブ

いたるところでチングルマの群落がみられます。同じエリアのチングルマであっても、雪解け状況によって、その生育は大きく異なります。そして、チングルマに止まる虫はハナアブ...先週お伝えしたノイバラに止まっていたマルハナバチのような花粉団子はありませんね。

 

雪渓上部下端へ 雪渓上部下端
昨年より11週間早く、例年の8月下旬並み

大雪渓全体で特に雪解けが激しいのが雪渓上部と雪渓下部をつなぐ部分で、昨年より11週間も早く、例年の8月下旬並みの状況になっています。

 

今回と同じ積雪量の昨年画像(畳の岩、10月上旬)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.22(2015/10/03〜04) B
先週の雪渓上部右側の下端部分(畳の岩)
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2016/07/08〜09) C
今回の雪渓上部右側の下端部分(畳の岩)

畳の岩付近の積雪状況から、昨年よりも11週間早い雪解けで、例年の8月中下旬から9月中下旬の状況。

 

2012年の雪渓上部下端の畳の岩(8月下旬)
ノリクラ雪渓カレンダー Vol.16(2012/08/24〜25) C
2013の雪渓上部下端(9月中下旬)
ノリクラ雪渓カレンダー Vol.20(2013/09/21〜22) B
=雪渓上部下端付近は、年によって雪解け状況が大きく異なる=

この付近は年によって積雪状況が大きく変化する場所で、2012年の8月中下旬と2013年の9月中下旬がほぼ同じ状態で、1ヶ月もの開きがあります。他のエリアでは年によってここまで変化することはありません。

この付近は雪渓上部からの雪解け水が集中する場所ですので、その流量等で雪解け状況が左右されるのかもしれません。

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