ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.14(2016/08/13〜15) E

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(Update:2016/08/18)

 

【最高標高地点の県境、畳平お花畑】

この先を左に曲がると

大雪渓からさらに登ること約1.5km、目の前に見えるのは大黒岳。県道乗鞍岳線は大黒岳の手前を左にカーブすると...

 

県道乗鞍岳線終点(県境) − 国内自動車道最高標高地点 標高2715メートル

長野県と岐阜県の県境が県道乗鞍岳線の終点です。こちらの標高は約2715メートル。国内の自動車道としては最も標高の高い場所です。一般的にはこの先にある畳平の標高2702メートルが最も高い場所とされていますが、実際にはこちらの県境が最高標高地点となります。

 

畳平 − 真夏でも長袖が必要

先ほどの県境を超えてしばらく行くと畳平にたどり着きます。この日の気温は15℃、日差しがあっても20℃に達しないことの方が多いため、真夏でも長袖が必要です。

 

シャトルバス下り便を待つ行列

こちらはシャトルバス乗場。時刻は11時前で、下山のバスに乗車される方の列がみられます。午前中でこの状態ですから、午後になるとかなりの行列になります。それでも乗車できないということはまず見られませんが、できる限り早めに並ばれたほうが確実です。

 

畳平お花畑 階段付近 − ハクサンイチゲがまだ咲いている

それでは、いつものようにお花畑の様子をお伝えします。こちらは入口の階段付近。この一角だけ、ご覧のようにハクサンイチゲが咲いてきます。実はこの付近は積雪が多く、いつもシーズン遅くまで積雪が残る場所です。そのため、雪解けも遅くなり、ハクサンイチゲの開花もかなり遅い状況で、今年は7月中下旬開花しています。

畳平でのハクサンイチゲは例年6月下旬から〜7月上旬の開花ですから、一ヶ月以上遅い状況といえます。特に雪田の高山植物は季節ではなく、雪解けに大きく左右されることもわかります。

 

葉に色合いの変化が

ぱっと見て、葉の色合いに変化がみられます。

 

黄色くなってきた − モミジカラマツの葉 まだ緑 − ハクサンイチゲの葉

画像では少しわかりにくいところですが、左は少し色合いが変化し始めていてモミジカラマツの葉。右はハクサンイチゲの葉です。形はよく似ていて、これまではほとんど見分けがつきませんでしたが、ちょっとした変化により、わかるようになってきました。

 

ミヤマキンバイの葉 − 紅葉が始まる

こちらは二枚ともミヤマキンバイの葉。すでに紅葉が始まっていて、草紅葉の季節が近づきつつあります。

 

チングルマの綿毛 − 2どめの開花 イワギキョウはそろそろ終盤

チングルマは完全に花の時期を終えて綿毛となり、まるで花が咲いたような光景は「2度目の開花」です。そして、イワギキョウもそろそろ終盤です。

 

そんな状況ですが、お花畑はまだまだ楽しめます。

 

ミヤマアキノキリンソウは状態がよい ヨツバシオガマは実の時期に

今週、最も状態の良いのはミヤマアキノキリンソウで、ヨツバシオガマは花が終わって実の時期になってきましたが、ぱっと見てあまり変化がなく、まだ咲いているようにも見えます。

 

カメラを構えて コウメバチソウとイワギキョウ − 可憐なコンビ

お盆休みとあって、観光客の方が多く、咲いている花を見つけては写真に収める様子があちこちで見られます。コウメバチソウとイワギキョウのコンビは可憐な高山植物を演出するにはピッタリ!

 

ミヤマクロスゲ − 今後草紅葉の代表格へ

先ほど、草紅葉についてふれましたが、草紅葉の代表格は何と言ってもミヤマクロスゲ。一見、単なる雑草のように見えますが、これが枯れてくると小麦色に輝き、なかなか見ごたえのある存在となります。すでに黄色に変化し始めていている様子がうかがえます。

 

これから咲く高山植物も

秋目前のお花畑ですが、これから咲く高山植物もあります。

 

トウヤクリンドウが咲く − 季節は秋へ

それはトウヤクリンドウ...実はトウヤクリンドウが咲くと、季節が秋へと移り変わっていくサインです。ですから、先ほどの草紅葉の始まりに見られるように、夏が終わりに近づきつつあることを教えてくれます。

 

お盆が終わるとノリクラの夏は終わる

スカッと晴れた青空を見ると夏そのものですが、お盆が過ぎるともう夏が終わるのがノリクラです。

 

【昨年の今ごろは?】

2015ノリクラ 雪渓カレンダーVol.15(2015/08/13〜15) @

先週までの天気予報では、お盆休みの連休中は良い天気との発表がありましたが、台風13号から変わった熱帯低気圧が日本列島に近づき、13日(木)・14日(金)は、ぐずついた状況になりました。それでも15日(土)・16日(日)の連休後半は天候が回復し、まずまずのお盆休みだったのではないでしょうか?

8月13日(木)は、5時30分ごろから雨が降り始め、一時土砂降りに近い状態。普段の週末以下の人出で、シャトルバスは全便ほぼ1台運行。10時近くから小降りになるものの、完全に収まることはなく、それでも、40台ものヒルクライマーがお越しになっていて、皆さんびしょ濡れで登って行かれました。14時ごろに一旦青空がのぞく状況となったものの、その後は再び濃霧と雨に逆戻りしてしまいました。

8月14日(金)は、天気予報では曇のはずでしたが、5時に雷鳴とともに雨が降り始めます。6時には収まり、山頂方面も確認できるようになりますが、大雪渓付近は濃霧と霧雨...最終的には14時に完全に回復となり、きれいな青空にモクモクと雲が浮かぶ夏空らしい天候になりました。

8月15日(土)は、お盆休みで最も混雑した一日で、昨日・一昨日の状況を払拭するかのごとく、雲一つない快晴の朝を迎えました。気温は12℃と長袖でも寒さを感じるほど。そして、観光センター前駐車場は早朝5時には満車で、シャトルバスも9時便が8台も運行されるほどの賑わい。最終的に1601名と今季一番の乗客数となりました。もちろん、ヒルクライマーもかなり多く、296名とこちらは8月9日(日)に次いで過去二番目の状況。9時過ぎから快晴の空に夏雲が広がるものの、それ以上の天候変化はなく、お昼の大雪渓は16℃とひんやりとした空気に秋を感じさせる状況でした。

お盆最終日の8月16日(日)は、6時30分の時点で観光センター前駐車場は155台で、7時には満車となりました。筋状の高い雲がたなびく晴天から9時過ぎには雲量がかなり多くなります。大雪渓の気温は16℃、雪解けに伴い、スキーヤーの大半は雪渓上部に移動するようになって来ました。ヒルクライマーは138台と最終日にしてはまずまずの人出。ただ、この日は転倒事故、接触事故が2件発生していて、自転車の方々には下山走行における安全運転・防衛運転により一層心がけてもらいたいところです。
なお、自転車事故多発箇所について、2ページ目に【自転車事故多発地帯 − ここは気を付けて】    (Page-2)を掲載しましたので、ヒルクライマーの方はぜひともご覧ください。

大雪渓は、全体的には雪解けがさらに遅くなって、昨年よりも積雪が多い状況になってきました。
雪渓上部の上端では昨年より1〜2週間早い雪解けですが、雪渓上部の下端付近の雪解けが遅く、昨年よりも滑走距離が長く取れる状態。雪渓中段・下部も昨年並みかやや遅い状況です。また、雪渓中段は上半分がなくなり、上部から下部への下山滑走ができなくなりました。雪渓下部のモーグルバーンは、滑走距離が短くなってきたもののまだ滑走可能ですが、あと1週間程度が限界かと思われ、メインは雪渓上部左側のモーグルバーンとなりました。

 

<編集後記>

「積雪の少ないシーズンは2年連続で続く...」

すでに今年の雪少なさは何度もお伝えしている通りです。1ヶ月予報では8月中旬は平年よりも気温が高いとされる確率が70%と高く、3ヶ月予報で、この先10月まで平年よりも高い状況が続くようです。

ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2016/07/02〜03) <速報後記>「今年の天候は1988年とよく似ていて、大雪渓は1999年以来の完全消滅かも...」  で申し上げたように、今年の積雪状況は1998年と似ています。そして、翌年の1999年はそれほどの雪不足ではありませんでしたが、雪渓が完全消滅し2年連続で雪不足となりました。

近年ではここまで少ない年はありませんが、2004年・2005年もその前後の年と比べると、積雪量が少ない状態でした。この状況から2年連続で積雪量の少ない状態が続くと仮定すれば、来年2017年も雪不足となるかもしれません。また、昨年の2015年も春先は極端に雪が少なかったので、2015・2016年のくくりという見方もできますが、2015年は最終的には積雪が極端に少ない状況ではありませんでした。

気象庁から10月〜2月の寒候期予報が発表されるのは9月25日頃とされていますので、その発表を待ちたいと思います。

 

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