ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.15(2016/08/19〜20) 

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(Update:2016/08/25)

 

お盆休みが終わって、8月後半に差し掛かると、秋の気配が感じられるようになるのがノリクラです。ノリクラでは四季の中で最も短いのが夏といえるでしょう。通常、週末(土日)の取材ですが、今回は一日前倒しして8月19日(金)・20日(土)の様子をお伝えいたします。

8月19日(金)は、上空にわき始めた霧が次第に厚くなり、どんよりと低く垂れこめた朝を迎えます。しかし、雲間に青空がのぞき、上部は雲の上のようで、今朝はきれいなご来光だった模様。観光センター付近は雲の下で、休暇村付近から霧の中となり、三本滝ゲート付近は視界が50メートル程度まで悪化、7時30分頃にはややまとまった雨降りとなるものの、ヒルクライマーの多くは来週の大会に向けたトレーニングにお越しになっているとみられ、ピッチを落とさずに登って行く様子がみられました。この雲は位ヶ原に到達すると視界が抜けてきます。ただ、完全に抜けることはなく、ほぼ終日にわたって霧が立ち込めたり抜けたりを繰り返す一日でした。

8月20日(土)は、雲一つない快晴の朝を迎えます。早朝の気温は14℃とさほど低くないものの肌寒さをおぼえ、秋へと一歩近づいている感覚です。ただ、日が昇り始めると日差しは異様なほど強く、こんな日はすぐに雲が沸き出すもので、7時過ぎには山頂付近に雲が発生し、9時頃の位ヶ原山荘では急激に青空がなくなり、周辺の山も煙り始めました。そして、10時30分ごろには霧雨が始まり、正午には一時的ですが、まとまった雨脚に。肩の小屋ではちょうどお昼時と重なり、雨で逃げ込む登山客でごった返すほど。雨は30分ほどで収まったものの、その後は終始濃霧が立ち込め、それまで多く方が行き来していた山頂への登山道も人影はまばらになってしまいました。

大雪渓の積雪状態は、この後のコーナーで詳しくお伝えしますが、雪渓下部・中段、および、雪渓上部右側はすでに積雪がなくなり、現在残っているのは雪渓上部左側のみで、滑走は上級者・雪渓上部左側滑走経験者に限定されます。すでに例年よりも面積・距離が短くなり、また、例年よりも傾斜が強いことも影響して滑落者続出状態で、ヘルメットなどの保護具を着用の上、滑走されることをお勧めします。また、ソフトブーツでのハイクアップは困難になってきてますので、ボードの方はご注意ください。

それでは、二日間の様子をご覧ください。

◎ 今回の目次

Page-1 : 【8月20日(土)、朝の観光センター駐車場】       【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景T(観光センター〜三本滝ゲート)】
Page-2 : 【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景U(三本滝ゲート〜位ヶ原山荘)】       【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景V(位ヶ原山荘〜大雪渓)】
Page-3 : 【大雪渓で出会った方々】       【雪渓下部】
Page-4 : 【雪渓上部T(フリー練習・コブ)】       【雪渓上部 U(ポール練習)】       【雨に降られた肩の小屋は大忙し】
Page-5 : 【畳平お花畑】       【昨年の今ごろは?】      <編集後記>

【県道乗鞍岳線、および、乗鞍スカイラインの給水・トイレの各施設】    (Page-2)
【長野県安全登山条例について】    (Page-3)
【ヒルクライマーへのアドバイス・お願い2016年版】(レインウェアの持参、熱中症と水分補給可能場所、走行上の注意点)

●参考資料●
(周辺地図) − ノリクラガイドマップ 冬スキー 版<対象時期:12月末〜4月末>   ノリクラガイドマップ県道乗鞍岳線版  
(シャトルバス・マイカー規制) − 乗鞍岳マイカー規制・乗り換え駐車場・シャトルバス情報
(長野県安全登山条例) − 7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)。(2016/04/13)

  

 

【8月20日(土)、朝の観光センター駐車場】

8月20日(土)の観光センター前駐車場

こちらは8月20日(土)の観光センター前駐車場。

 

@ 2016/08/20 05:20
日の出前、山は茜色に染まり、満月が沈もうとしている
A 2016/08/20 05:45
真っ青な快晴へ

8月も後半に入ると、日の出時刻は5時台へと遅くなります。5時台にお届けする朝の速報のために撮影する画像も、編集の都合から5時台前半に撮影すると、左の画像のように日の出直後の山肌が茜色に染まった光景が撮影できるのがギリギリの状況(5時20分撮影)。この日は満月の一日後で、真ん丸の明るい月が日の出とともに西の空に沈もうとしていました。その後、空は急速に青さを深め、6時前には右の画像のようにくっきりとした快晴へと変化します(5時45分撮影)。

 

朝一番かラ強い日差しに − このような日は天候に要注意

5時の気温は14℃で、薄着一枚だと肌寒さを覚える感覚があり、真夏から一歩秋に近づいた雰囲気。しかし、それも太陽が姿を現すと、じりじりと肌をも焦がす勢いとなります。先週の8月14日(日)も見事な快晴の朝を迎えましたが、この時は太陽の灼熱さというもはほとんど感じず、ほぼ終日にわたって良い天候が続きました。

今日のように太陽が朝一番から強い日は、その後の天候は要注意です。夏山特有の天候へと推移する可能性がかなり高いと考えられるからです。

 

「天気を見ていたら、ノリクラがよさそうだったので来ました。」
=どんなに天気が良くてもウインドブレーカー・レインウェアーは必ず持参を=

8月中のヒルクライムは日中の気温上昇を避け、また、2ラウンド・3ラウンドと繰り返される方も多いため、朝早くから出発される方が多い状況。こちらの方々は、今回初めてノリクラにお越しになった模様で、「天気予報を見ていたら、ノリクラがよさそうだったので来ました。」とのこと。この日は関東方面では大雨に見舞われた地域もあり、また、台風・熱帯性低気圧が複数発生しました。

また、ノリクラのような長いヒルクライムは初めてとおっしゃり、少しでも軽量化を図ろうと荷物は持たない予定のご様子。
これだけ天気が良ければ、天候急変するなんて予想にもないのはもっともなことですが、今日のように朝一番から天候が良く、なおかつ、強い日差しにより急激に気温が上昇する様子が見られれば、標高差のある山岳地帯では、天候が急変する要素が整っていると考えられます。

途中の天候急変はもちろんのこと、どんな天候が良くても下山は寒さを感じるものですから、必ずウインドブレーカー・レインウェアーは持参しましょう!(→【ヒルクライマーへのアドバイス・お願い 2016年版】(レインウェアの持参、熱中症と水分補給可能場所、走行上の注意点)

 

観光センター売店

さて、いつもの観光センター売店も7時前に営業開始。

 

番所きゅうり −ノリクラでしか取れない伝統野菜

観光センター売店には乗鞍で採れた夏野菜が並びます。この時期だと、ご覧の番所きゅうり(ばんどころきゅうり・ばんどこきゅうり)や、ズッキーニ、モロッコインゲン、トウモロコシなどが採れますが、いずれも販売ルートを確立できるほどの生産量がなく、多くは地元内で消費される状況で、旅館・民宿でお客様の食事に提供できるレベルにとどまっています。そのため、ご覧のように観光客の目に触れる機会が少なく、もし店頭に並んでいたらかなりラッキーですので、ぜひお買い求めください。(収穫時期:7月下旬〜8月)

特に番所きゅうりは、長野県が保存と継承を図るために支援する「信州の伝統野菜」に認定されていて、そのみずみずしさは、一度、口にしてもらえると、普通のきゅうりとの違いは一目瞭然です。地元では「番所うり」ともいわれ、近くで普通のきゅうりを栽培してしまうと、交配してしまうため、種の保存にも取り組み始めているとのことです。

 

観光センター前駐車場 − 来週は大会開催のため駐車禁止

さて、観光センター駐車場にはご覧のような看板が設置されました。毎年8月最終日曜日に実施される「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」は、国内有数の自転車ヒルクライムレースで、観光センター駐車場はその大会会場となります。今年は来週の土日、8月27日(土曜日、大会受付)・28日(日曜日、レース)の両日が大会期間となり、駐車場はその前日の26日(金)16時から駐車禁止の措置が取られます。

また、28日(日)は観光センター〜県境間が大会コースとなるため午前中通行止めとなり、当日のご来光バスと午前中のシャトルバスが運休になります。詳細については、お知らせ − 8月28日開催の全日本マウンテンサイクリングin乗鞍2016に伴う通行規制・シャトルバス運休 をご覧ください。

なお、岐阜県側の乗鞍スカイラインは通常通りですので、山頂・大雪渓方面にお越しの方は、岐阜県側から入山されることをお勧めします。

 

【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景T(観光センター〜三本滝ゲート)】

雲一つない快晴も、すぐに雲がわき始めた

それではいつものように大雪渓に向かう道中の様子をお伝えします。雲一つない快晴が続きますが、右の画像のように7時過ぎには、山頂方面にうっすらと雲がかかり始めました。少しの変化でも見逃さないことが肝心です。

 

前日の沿道の様子 − 右の葉の様子、少し黄色くなる

「もうこんなに天気が崩れてしまったのか!」と、思ってしまいますが、ご安心ください..こちらは前日8月19日(金)の様子。この日はどんよりとした雲が低く垂れこめて、周辺に霧が立ち込め、山頂方面は雲の上に抜けるという状況でした。

あえて曇空の画像をご覧いただくにはわけがあります。右側の木々の葉に少し変化がみられるのがお判りでしょうか?やや黄色味がかっています。

 

ブドウの葉の紅葉 ヤマウルシの紅葉が始まる
=今年は例年よりも早い=

さらにその周辺をよく見ると、部分的ではありますが、紅葉が始まっています。左はブドウの葉。右はヤマウルシの葉です。どちらも例年よりもやや早め。そして、先ほどのように木々全体で緑の色合いが薄くなり黄色っぽくなるのは、例年9月に入ってからのことです。

本格的な紅葉シーズンは、大雪渓・位ヶ原エリアでは9月中下旬からスタートしますが、今年は早い段階からその状況を注視しなければならないかもしれません。

 

鬱蒼とした森の中へ

観光センターを出発して2km程先の休暇村を通過すると、鬱蒼とした森の中へと入って行きます。

 

木漏れの中、走り抜けるシルエットに拍動を感じる

綺麗な木漏れ日のシルエットが美しい回廊です。朝の強い日差しを避けながらの森林ヒルクライム。森林限界を超えた先の山岳風景とはまた違った美しさ・楽しさがあり、走り抜けるシルエットにペダルを回す拍動をそのまま写しているように感じます。

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