ノリクラ 雪渓カレンダー<最終号>

Vol.25(2016/10/29〜30)  B

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(Update:2016/11/03)

 

【雪渓下部・上部 − 「20世紀の雪」はかろうじて残る】

雪渓下部 今年は7月最終週に消滅

それではここからは雪渓の様子をお伝えします。こちらは車道沿いの雪渓下部ですが雪はありません。今年は7月最終週(第5週)に雪解けが完了しました。2015年は9月第3週、2014年は9月第2週、、2013年10月第1週、2012年・2011年・2010年は9月第2週、2009年は9月第1週に雪解けが完了しました。2004年・2005年は2年連続して雪解けが早かったですが、それでも、8月第2週・8月第3週で、7月中に完了するのは2000年以降初めてのことです。

 

【長野県安全登山条例について】
大雪渓入口に新たな看板が設置 【画像拡大:7月より登山届が義務化されました】

大雪渓入口に設置された「肩の小屋口登山口」の看板は、7月からは登山届の提出が義務化されたことを案内する内容が記されています。登山届義務化の概要については、 お知らせ−7月1日より長野県側登山道は登山届が必要です(長野県安全登山条例、指定登山道)(2016/04/13)。をご覧ください。

長野県は、「長野県安全登山条例」を昨年12月17日に公布・施行し、登山計画書の提出を義務付ける「指定登山道」を4月11日に決定し、昨日7月1日から登山計画書の提出を義務化しました。

条例の中では、遭難の発生のおそれが高いと認められる167の山岳と、1の景勝地を「指定山岳」として定め、指定山岳の山頂及び景勝地に至る主な登山道の起点となる122の登山口を「指定登山口」として定めます。その中で指定登山口から指定山岳の山頂及び景勝地までの区間にある登山道を「指定登山道」として定めます。

ノリクラにおいては、指定登山岳「乗鞍岳(朝日岳、摩利支天岳)」、指定登山口に「鈴蘭橋登山口、肩の小屋登山口」が指定され、指定の登山道の一部でも利用する場合は、登山届の提出が必要です。また、大雪渓でのスキー・ボードは、肩の小屋口登山道を利用しているものと解釈され、登山届の提出が必要です。

【ご注意:実際の登山道入口は大雪渓入口から車道を北へ50m先にあります】

ご注意:実際の登山道入口は車道を北へ50m先にあります

実際の肩の小屋口登山口

おそらく、この看板は設置場所の問題からここに建てられたものと思われますが、肩の小屋口登山口は大雪渓入口とは異なり、この画像より車道を北へ50メートルのところにあります。

 

避難小屋(左)、トイレ(右) − ともに冬季は閉鎖、来年は5月下旬〜6月上旬より利用可

さて、大雪渓駐車場にある避難小屋とトイレ。こちらも10月31日をもって閉鎖されます。冬季は利用できません。来年は乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬から利用可能となります。

 

石碑の岩 レリーフが埋め込まれる

そして、いつもお伝えしている石碑の岩。岩の頭頂部にレリーフが埋め込まれていることから、そのように呼ばれています。

 

中日新聞社の取材機「若鷹号」墜落のレリーフ 当時の墜落現場画像
(昭和31年3月)

そのレリーフには、「昭和31年3月23日南極観測隊耐寒訓練取材の中日機「若鷹」号乗員4名ここに霊をとどむ」と記されています。右は当時の昭和31年3月の墜落現場写真です。

もう60年も前のことになりますが、いまだに献花があって、訪れる方がいらっしゃるようです。

 

雪渓上部全景 雪渓上部左側

現在、積雪が残っているのは、雪渓上部左側のみ。

4週間前まではかろうじて滑走可能な状態でしたが、もう滑走できる状態ではありません。この画像からは積雪が残っているようには見えません。

 

先々週の雪渓上部左側 − 縦18〜4メートル×横26メートル
ノリクラ 雪渓カレンダーVol.23(2016/10/15〜16) B
先週の雪渓上部左側 − 縦14メートル×横6メートル
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.24(2016/10/22〜23) B
今週の雪渓上部左側(赤丸部分)

先々週・先週に続き、今週の画像をご覧いただくと、この2週間で劇的に積雪が少なくなっている様子がわかります。今週はこちらの拡大画像ですらわからないほどです。

 

雪渓上部左側全景 雪渓下端(落書きの岩から170m)

さて、現場に出向いてみると、わずかに残っていることがわかります。落書きの岩からの距離は170メートルです。

 

先週の雪渓上部左側全景
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.23(2016/10/15〜16) B
先週の雪渓上部左側全景
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.24(2016/10/22〜23) B
今回の雪渓上部左側全景
縦10メートル×横6メート

数十メートルまで近づいて、ようやく残っていることがわかる状態。いくつかに分かれていますが、残っている部分の全体の大きさは縦10メートル×横6メートル。

 

もっとも大きなもの − 縦4メートル×横2メートル

その中で最も大きなものでも、縦4メートル×横2メートルで四畳程度の大きさ。

 

拡大

土砂に覆われている部分をよく見ると... 表面の柔らかい部分がなくな、その下には凍結部分が
=今後は融けずにこのまま越冬へ=

よく見ると、上部から落ちてくる土砂に覆われていて、土砂を取り除くと、下には凍った部分が現れます。つまり見えている部分よりも土砂に覆われて凍った部分の方が多く、これまでは柔らかい積雪部分が激しく融けていたものの、今後は融けやすい積雪部分がなくなり、気温も急激に低下してきていることから、大きさがごくわずかになってしまったものの、このまま越冬するものと考えられ、「20世紀の雪」は何とか継続できる状況となりました。

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