【速報バックナンバー 2013年2月分】

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■2013年2月23日(土)        (今回取材分のノリクラ雪渓カレンダー  →  ウインターシーズンは雪渓カレンダーの更新はありません)
  (ご注意 :今回の記事はバックカントリー経験者を対象としたもので、ツアーコース初心者の方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします)  

@ 2013/02/23 09:25
気温マイナス10℃ − 足早に雲が流れ小雪が舞う
(ツアーコース入口)
A 2013/02/23 09:50
新雪20センチ − 全面きれいにグルーミングされる
(ツアーコース − 入口急斜面)

B 2013/02/23 11:15
木々には雪が重たそうに−上部エリアも「積もる雪質」へ変化
(ツアーコース − 5〜6番標識間)

C 2013/02/23 13:25
新雪20〜40センチ − 若干重たいけど楽しいパウダー
(屋根板上部)

画像・記事の転載・引用・リンクについて

▼ 気温はこれまでと変わらず終日マイナス10℃以下ですが、さほどの寒さを感じさせず、雪質や日差しなどは少しずつ季節が変化を始めている様子がうかがえた一日でした。

早朝7時の乗鞍高原の気温はマイナス6℃。天候は回復傾向なのか悪化傾向なのか良くわからず、白い雲間に青い部分が幾分見え隠れする状況です。南からの弱い風が絶えず吹きぬけ、その風に細かな雪が流れている様子が見られます。日の出の時間も刻々と早くなり、6時30分ごろには周囲ははっきりと明るくなり、7時の時点ではしっかりとした朝日が昇りはじめます。昨晩からの降雪は30センチほどあって、乗鞍高原周辺は柔らかな乾いたこの時期らしい新雪に包まれています。

8時を過ぎる頃になると、風の吹き方が強くなってきて、ゲレンデ周辺は地吹雪の様相を見せ始めます。それでも、力強い太陽が燦々と降り注ぐようになると、それほどの寒さを感じさせない状況に気付きます。もっとも、暖かさを感じるというほどの力強さはなく、寒いことには変わりありません。

9時のツアーコース入口の気温はマイナス10℃。リフト営業開始と同時に今日もたくさんのスキーヤー・ボーダーの方々が集まってきます。今日はどちらかというと登山の方のほうが多く、9時前後で30名ほどの方がお越しになっていて、最終的に50名程度の方が入山されたようです。厳冬期にこれほど多くの方がお越しになることは、よほど天候が良いか、三連休などの特別なことがない限りはあまり多く見受けられません。

ツアーコース入口急斜面は、20センチ程度の新雪が降り積もっています。昨晩の降雪のため、シュプールやトレース跡などは一切ありません。ただ、今週は湿雪〜雨が降った日もあって、下地に硬い部分があります。それでも、登行や下山滑走に影響はありません。

入口急斜面を登り切った先も、同様に新雪が降り積もっています。10時の気温はマイナス12℃。出発時点で一時的に青空がのぞいていましたが、完全に真っ白な空になってしまい、木々がうなりをあげるほどの強風が吹きぬける瞬間も見られるようになって来ました。それでも太陽の輪郭は滲んでいるものの、はっきりとしていて、グルーミングされた雪面にしっかりと影を作っています。気温は徐々に低下を始めるものの、いつものような冷え込みは感じさせず、登行を続けていると背中に汗ばむ感覚を少し覚えるほど。太陽が暖かくなってきたのか、空気の冷え込みが穏やかになってきたのか、少し季節が次へと進んできている雰囲気を感じさせました。

正午の位ヶ原急斜面の気温はマイナス12℃。風は少し収まりを見せ、位ヶ原急斜面上端がかすかに確認できる程度の視界が確保できます。そして、ツアーコース上部は先週よりも明らかに積雪量が増加しています。周囲の木々は大きな雪の塊が重たそうに乗っていて、厳冬期の乾いた雪から春先の「積もる雪」へと変化が始まっています。そのため、常連の方の中には、「積雪量が増えて、ツアーコースの斜度が緩くなってきたように感じます。」と、おっしゃるほどです。

位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原は森林限界となるため、厳冬期はツアーコース上部エリアよりもさらに積雪量が増えません。それでも、木々が少なく目印の乏しい位ヶ原でも明らかに積雪量が増えていると一見してわかるほどで、これまで点在していたアイスバーン部分でもしっかりと着雪している様子も見られます。

13時の位ヶ原の気温はマイナス16℃。北から強風が吹き抜ける周期とほとんど無風となる周期が交互に見られ、山頂方面の様子もうっすらと確認できるほど視界が確保できるようになり、天候は回復傾向を見せてきました。そして、午後はほとんど風もなく、穏やかな状況となり、今日一日が終わって行きました

●ツアーコースは、パウダーには違いありませんが、若干重たさを感じさせる新雪が20〜40センチ積もっています。●
積雪量の増加は上部エリアで顕著で、すでに昨年のピーク量を超えている箇所もあります。そして、6番標識付近のウェーブがさらに小さくなり、まっすぐ下山滑走することができましたが、ウエーブ乗り上げ時に転倒の危険性がありますので十分注意してください。

3番標識では、先週よりも30センチ多くなり、昨年より1メートル多く、昨シーズンの4月上旬並みの積雪量。
5番標識では、先週よりも70センチ多くなり、昨年より2メートル多く、昨シーズンのピーク時(4月上中旬)の積雪量を超えています。
位ヶ原急斜面では、先週よりも1メートル多くなり、昨年より2メートル多く、昨シーズンの4月中旬並みの積雪量。
位ヶ原では、2週間前より1メートル多い積雪量です。

●ご注意 − ツアーコース入山にはしっかりとした装備と下準備を●
ここ最近、しっかりとした下調べをせず、また、ゲレンデ滑走とほとんど変わらない装備でツアーコースに入山される様子が散見されます。
ゲレンデ最上部からツアーコース入口へ容易にアクセスできることが大きな要因かと思いますが、ゲレンデ管理区域外を一歩でも外れた場合は、自己の管理下で行動することが求められます。ゲレンデ管理区域外上部は天候の変化がゲレンデ内よりも激しく、きれいなパウダーコンディションばかりではありません。湿雪やパック・クラストといったまともに滑走できないコンディションに遭遇することも珍しくなく、ゲレンデ内滑走以上に負傷する確立も高くなります。
地図などでのコース把握をしっかり整え、天候の急変によるホワイトアウトの可能性も考慮した装備と行動が必要で、一旦、事故が発生すると山岳遭難という扱いとなり、場合によっては、本格的な救助体制をとる必要があり、多額の救助費用が必要となることを十分認識して行動されるようお願いいたします。(2013/02/23 19:00更新)
 
【来シーズンの速報、及び、ノリクラ雪渓カレンダーの連載再開の予定】 
2012ノリクラ雪渓カレンダー正式版 の連載は、今週末掲載予定の ノリクラ雪渓カレンダーVol.25<最終号> をもって 今シーズンの連載を終了させていただきます。連載再開予定は以下の通りですが、変更の可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
●速報●
2012年11月はお休みさせていただく予定です。ただ、ツアーコースなどの降雪状況によっては一時的にお届けする可能性もあります。
2012年12月から2013年3月までのウインターシーズンについては、週末を中心にトップページの速報のみお届けする予定です。ただし、天候状況な どにより、掲載 を実施しない週もあります。
2013年3月下旬以降の春夏秋シーズンは、ノリクラ雪渓カレンダー(プレリリース版・正式版)の取材日に合わせて実施する予定です。
●ノリクラ雪渓カレンダー●
ノリクラ雪渓カレンダープレリリース版は2013年3月下旬頃から再開を予定し、ノリクラ雪渓カレンダー正式版は2013年5月中旬頃を予定してお ります。

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■2013年2月16日(土)        (今回取材分のノリクラ雪渓カレンダー  →  ウインターシーズンは雪渓カレンダーの更新はありません)
  (ご注意 :今回の記事はバックカントリー経験者を対象としたもので、ツアーコース初心者の方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします)  

@ 2013/02/16 09:20
気温マイナス12℃ − 冷たい空っ風の中を出発
(ツアーコース入口)
A 2013/02/16 10:10
強風で先行者のトレースがどんどんリセットされて行く
(ツアーコース − 2番標識付近)

B 2013/02/16 11:30
新雪20センチ − 完全に乾いたさらさらの雪質
(ツアーコース − 位ヶ原急斜面)

C 2013/02/16 12:20
気温マイナス20℃ − 極寒の猛吹雪でこれより先は無理!
(ツアーコース − 位ヶ原急斜面上)

画像・記事の転載・引用・リンクについて

▼ 今日は「とにかく寒い・冷たい!」の言葉以外に何も思いつかないほど、寒さで思考回路が低下した厳しい極寒の一日でした。

早朝7時の乗鞍高原は、夜明けと同時に雲間に青空が広がり始める朝を迎えます。気温はマイナス10℃。時折、視界が妨げられるほどの地吹雪に見舞われ、周囲は乾いたさらさらの乾いた雪が絶え間なく舞い上がっています。気温としてもかなりの寒さでありますが、乗鞍高原には珍しく乾いた冷たい空気に包まれていて、いわゆる「空っ風」に匹敵する強風が吹き抜け、頭の中からキーンと電気の走る冷たさを覚えます。そのため、力強い朝日が昇ってきたものの、その暖かさはまったく感じられる状態ではなく、時間とともに強風はさらに強くなって行きます。

東の空にはしっかりとした朝日が昇って、青空もきれいに輝き始めたものの、相変わらず西の空は雲に煙っていて、ノリクラの山並みの様子は確認できません。雲は激しく北から南へと流れて行きます。9時のツアーコース入口の気温はマイナス12℃。先ほど申し上げたように、燦々と輝く太陽が高く昇って来たものの、暖かさを感じるどころか、早朝よりもさらに冷たさが増して来ました。

今週は三連休の翌週ということもあって、ツアーコースに訪れるスキーヤー・ボーダーの方は少なく、9時前後の時間帯には数名ほどしかツアーコース入口にお越しになっていません。また、午前中の入山者数も十数名ほどしかお越しになりませんでした。

ツアーコース入口急斜面は、ストックで突き刺して20〜40センチの乾いたさらさらの新雪に覆われています。先週は感じられた下地の硬い部分も今回は感じられないほど積雪があり、バーン状態は回復されています。それでも、所々にシュカブラ(風紋・雪紋)が見られることから、強風の影響を受けていることが確認できます。しかし、強風による表面のパックがありませんので、かなり気温が低く雪質がいつも以上に乾いていることも推測できます。

入口急斜面を登り切った先も、新雪の積雪量やコンディションに変化はありません。時間とともに吹き抜ける強風がさらに強さを増して行きます。この天候ですから、遠景の山並みなどはまったく確認できず、山麓の乗鞍高原すらはっきりしません。それでも、ツアーコース内の視界は数百メートルはあって、登行する分にはなんら問題ない状態です。
ただ、寒さだけは異常なほどの冷たさで、顔の感覚は低下し、指先も絶えず動かし続けていないと激痛が走り出すほどです。

入口急斜面を登り切ったあたりから吹き始めたツアーコース内の強風も、5番標識を越えたあたりからかなり強くなり、地吹雪の様相を見せ始めます。さらには降雪が始まって本当の吹雪へと天候はさらに悪化を続けます。

ツアーコース内はマイナス16℃前後を推移していたものの、ツアーコース最上部の位ヶ原急斜面から先は急激に気温が低下を始めます。そして、それまで柔らかなバーンコンディションは位ヶ原急斜面ではやや締まった状態となり、風の影響を受けていることがわかります。そして、天候はそれより下部のツアーコースとは比べ物にならないほどひどくなり、吹雪で位ヶ原急斜面の上端部分が確認できないほどの視界低下が見られます。

正午の位ヶ原急斜面上(11号カーブ付近)の気温はマイナス20℃。この付近から森林限界が始まりますが、天候はさらに悪化して、もう太陽の存在は確認できないほどの吹雪となり、とてもこれ以上先に進むことができない状態です。そして、鼻の頭やまつげが凍り付いて、皮膚感覚がほとんどなくなって行き、早く下山しないといけないほどのひどいコンディションでした。

ツアーコースを下山滑走すると日差しが戻ってきて、上部よりも穏やかな様相を見せますが、その後も天候は好転する様子はなく、終日にわたって極寒の一日でした。
明日は天候が回復する天気予報が出ていますので、穏やかなツアーコースが楽しめるかもしれません。ただし、早朝の冷え込みはかなり厳しいものとなりそうですから、防寒対策は今日以上に整えたほうが良いでしょう。

●ツアーコースは、全エリアに渡って乾いたさらさらの新雪が20〜40センチ積もっています。所々、シュカブラがあったり、雪質の変化が見られますので、滑走には足を取られないように注意が必要ですまた、上部エリアの積雪量が一気に増加して、6番標識付近のウェーブが小さくなり、まっすぐ下山滑走することができましたが、ウエーブ乗り上げ時に転倒の危険性がありますので十分注意してください。●
3番標識では、先週よりも20センチ多くなり、昨年より60センチ多く、昨シーズンの3月下旬〜4月上旬並みの積雪量。
5番標識では、先週よりも20センチ多くなり、昨年より1.5メートル多く、昨シーズンの3月下旬〜4月上旬並みの積雪量。
位ヶ原急斜面では、先週よりも50センチ多くなり、昨年より2メートル多く、昨シーズンの3月下旬〜4月上旬並みの積雪量です。

●ご注意 − ツアーコース入山にはしっかりとした装備と下準備を●
ここ最近、しっかりとした下調べをせず、また、ゲレンデ滑走とほとんど変わらない装備でツアーコースに入山される様子が散見されます。
ゲレンデ最上部からツアーコース入口へ容易にアクセスできることが大きな要因かと思いますが、ゲレンデ管理区域外を一歩でも外れた場合は、自己の管理下で行動することが求められます。ゲレンデ管理区域外上部は天候の変化がゲレンデ内よりも激しく、きれいなパウダーコンディションばかりではありません。湿雪やパック・クラストといったまともに滑走できないコンディションに遭遇することも珍しくなく、ゲレンデ内滑走以上に負傷する確立も高くなります。
地図などでのコース把握をしっかり整え、天候の急変によるホワイトアウトの可能性も考慮した装備と行動が必要で、一旦、事故が発生すると山岳遭難という扱いとなり、場合によっては、本格的な救助体制をとる必要があり、多額の救助費用が必要となることを十分認識して行動されるようお願いいたします。(2013/02/16 16:10更新)
 
【来シーズンの速報、及び、ノリクラ雪渓カレンダーの連載再開の予定】 
2012ノリクラ雪渓カレンダー正式版 の連載は、今週末掲載予定の ノリクラ雪渓カレンダーVol.25<最終号> をもって 今シーズンの連載を終了させていただきます。連載再開予定は以下の通りですが、変更の可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
●速報●
2012年11月はお休みさせていただく予定です。ただ、ツアーコースなどの降雪状況によっては一時的にお届けする可能性もあります。
2012年12月から2013年3月までのウインターシーズンについては、週末を中心にトップページの速報のみお届けする予定です。ただし、天候状況な どにより、掲載 を実施しない週もあります。
2013年3月下旬以降の春夏秋シーズンは、ノリクラ雪渓カレンダー(プレリリース版・正式版)の取材日に合わせて実施する予定です。
●ノリクラ雪渓カレンダー●
ノリクラ雪渓カレンダープレリリース版は2013年3月下旬頃から再開を予定し、ノリクラ雪渓カレンダー正式版は2013年5月中旬頃を予定してお ります。

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■2013年2月9日(土)        (今回取材分のノリクラ雪渓カレンダー  →  ウインターシーズンは雪渓カレンダーの更新はありません)
  (ご注意 :今回の記事はバックカントリー経験者を対象としたもので、ツアーコース初心者の方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします)  

@ 2013/02/09 09:15
快晴無風の穏やかな天候 − 三連休初日はたくさんの方が
(ツアーコース入口)
A 2013/02/09 11:15
冷たい空気と力強い太陽の日差しがほどよく調和
(ツアーコース − 5〜6番標識間)

B 2013/02/09 11:25
上部エリアの一気に積雪が増える − ウェーブが小さくなる
(ツアーコース −6番付近ウェーブ)

C 2013/02/09 13:15
遠景の山並みがくっきり − 終日よい天候でした
(屋根板上部)

画像・記事の転載・引用・リンクについて

▼ 芳しくない天候が連続した週末ばかりでしたが、今日はようやくきれいな快晴に恵まれ、冷たい空気に包まれていたものの、終日穏やかな天候の一日を送ることができました。

早朝7時の乗鞍高原は、ようやく朝日が昇りはじめて、それと同時に空の青さがくっきりと冴え渡るようになってきます。気温はマイナス13℃。ピーンと張り詰めた冷たい空気に包まれています。それでも朝一番から力強い太陽の輝きがあるだけで、寒さが和らぐような雰囲気があります。昨晩の降雪はほとんどなく、真新しい新雪は2〜3センチほどの状態です。

今日から三連休が始まり、スキー場にとってウインターシーズンの中でもっとも賑わう3日間です。そのため、いつもの週末ならのんびりとした雰囲気が流れているものの、今日だけは朝から続々と駐車場にマイカーがやってきて、スキー場の中でもっとも大きな第3駐車場は、お昼前には満車状態となってしまいました。

日の出前後の時間帯では、上空に薄い雲がうっすらとかかっていたものの、8時過ぎには完全にきれいな快晴となります。日差しの暖かさも感じられるようになり、三連休スタートには持ってこのコンディションとなってきました。そして、ゲレンデもきれいに圧雪整備が施され、ツアーコースに入山する前に、きれいなゲレンデをかっ飛ばすほうに夢中になってしまうバックカントリースキーヤーもいらっしゃった程です。

9時のツアーコース入口付近の気温はマイナス6℃。リフト営業開始とともにツアーコースに訪れたスキーヤー・ボーダーの続々と集まります。この時間帯ともなると、日差しの暖かさは十二分に感じられる状態で、シールやスノーシューの準備に取り掛かる前に、アウターをザックに押し込むところから出発の準備が始まるほどです。そして、リフト営業開始から30分程度の間に20名ほどの方がお越しになり、その後もツアーコースにお越しになる方が続き、夕方までに50名以上の方がツアーコースに入山され、久しぶりに賑やかな雰囲気となりました。

ツアーコース入口急斜面は、10センチ程度のやや締まった新雪が降り積もり、ストックで突き刺すとその下地にコツコツと硬いアイスバーンの存在が感じられ、雪着きの悪いところでは、アイスバーンがむき出しとなり、シールでの登行はやや苦労した箇所がありました。最初の入山者が訪れる前のツアーコースには昨日までのトレースはまったくありませんでしたので、昨日の強風でバーンがリセットされ、雪着きの悪いところはアイスバーンがむき出しになったと推測されます。

入口急斜面を登った先もバーン状況に大きな変化はありません。また、天候も快晴無風の状態が続きます。
11時の5番標識付近の気温はマイナス4℃。この付近から下地の硬さは感じられなくなり、おそらく、先週から周期的に雨に見舞われましたが、この付近から乾いた雪だったことが推測され、冷え込んでも凍結する湿雪でなかったため、アイスバーンとならなかったと考えられます。
時折、そよ風程度の空気の流れは感じるものの、快晴無風は相変わらず続き、アウターなしでの登行がちょうど良い状態。それでも流れる空気の冷たさは朝と変わらず、少し休憩していると一気に冷え込んでくる感覚を覚えるものです。

正午の位ヶ原急斜面の気温はマイナス4℃。この付近のバーンコンディションもストックで20センチ程度の締まった新雪を感じるだけですが、積雪量は先週と比べて一気に増加しています。また、6番標識付近では地形がウェーブ状になっていて、登行も滑走もウェーブを迂回しながらトレースする必要がありましたが、積雪量の増加でストレートにトレースすることができるようになりました。ただ、ウェーブ形状が完全になくなったわけではありませんので、下山滑走には十分注意してください。そして、その先の森林限界を超えた位ヶ原ではツアーコース内以上に大幅に積雪量が多くなり、厳冬期とは逆の推移を見せています。

13時の位ヶ原の気温はマイナス13℃。やや雲が多くなってきたものの、ほとんど風のない状態が続き、今日は大半の方が富士見沢や摩利支天岳方面に向かったようです。富士見沢に向かったスキーヤーの話ではかなり良いコンディションだったのことですが、摩利支天岳付近は締まった雪質に足を取られるスキーヤーの姿が多く、足裏感覚で雪質を探りながら慎重に滑走する必要がありました。

その後も良い天候は続き、久しぶりに青空の下でのバックカントリースキーを楽しむことができた一日でした。

●ツアーコースは、やや締まった新雪が10〜20センチ程度積もって、若干滑走しにくい状態です。また、上部エリアの積雪量が一気に増加して、6番標識付近のウェーブが小さくなり、まっすぐ下山滑走することができましたが、ウエーブ乗り上げ時に転倒の危険性がありますので十分注意してください。●
3番標識では、先週よりも20センチ多くなり、昨年より60センチ多く、昨シーズンの3月下旬並みの積雪量。
5番標識では、先週よりも30センチ多くなり、昨年より1.5メートル多く、昨シーズンの3月下旬並みの積雪量。
位ヶ原急斜面では、先週よりも1メートル多くなり、昨年より2メートル多く、昨シーズンの3月下旬〜4月上旬並みの積雪量。
位ヶ原では、先週よりも60センチ多くなっています。

●ご注意 − ツアーコース入山にはしっかりとした装備と下準備を●
ここ最近、しっかりとした下調べをせず、また、ゲレンデ滑走とほとんど変わらない装備でツアーコースに入山される様子が散見されます。
ゲレンデ最上部からツアーコース入口へ容易にアクセスできることが大きな要因かと思いますが、ゲレンデ管理区域外を一歩でも外れた場合は、自己の管理下で行動することが求められます。ゲレンデ管理区域外上部は天候の変化がゲレンデ内よりも激しく、きれいなパウダーコンディションばかりではありません。湿雪やパック・クラストといったまともに滑走できないコンディションに遭遇することも珍しくなく、ゲレンデ内滑走以上に負傷する確立も高くなります。
地図などでのコース把握をしっかり整え、天候の急変によるホワイトアウトの可能性も考慮した装備と行動が必要で、一旦、事故が発生すると山岳遭難という扱いとなり、場合によっては、本格的な救助体制をとる必要があり、多額の救助費用が必要となることを十分認識して行動されるようお願いいたします。(2013/02/02 17:35更新)
 
【来シーズンの速報、及び、ノリクラ雪渓カレンダーの連載再開の予定】 
2012ノリクラ雪渓カレンダー正式版 の連載は、今週末掲載予定の ノリクラ雪渓カレンダーVol.25<最終号> をもって 今シーズンの連載を終了させていただきます。連載再開予定は以下の通りですが、変更の可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
●速報●
2012年11月はお休みさせていただく予定です。ただ、ツアーコースなどの降雪状況によっては一時的にお届けする可能性もあります。
2012年12月から2013年3月までのウインターシーズンについては、週末を中心にトップページの速報のみお届けする予定です。ただし、天候状況な どにより、掲載 を実施しない週もあります。
2013年3月下旬以降の春夏秋シーズンは、ノリクラ雪渓カレンダー(プレリリース版・正式版)の取材日に合わせて実施する予定です。
●ノリクラ雪渓カレンダー●
ノリクラ雪渓カレンダープレリリース版は2013年3月下旬頃から再開を予定し、ノリクラ雪渓カレンダー正式版は2013年5月中旬頃を予定してお ります。

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■2013年2月2日(土)       (今回取材分のノリクラ雪渓カレンダー  →  ウインターシーズンは雪渓カレンダーの更新はありません)
  (ご注意 :今回の記事はバックカントリー経験者を対象としたもので、ツアーコース初心者の方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします)  

@ 2013/02/02 09:45
気温0℃ − 霙交じりの雨の中を出発!
(ツアーコース入口)
A 2013/02/02 11:20
ツアーコースは全山湿雪に覆われる − 春先の雪質
(ツアーコース − 4〜5番標識間)

B 2013/02/02 13:15
強風にさらされ1ヶ月で40センチしか積雪が増えない
(位ヶ原 − 宝徳霊神バス停)

C 2013/02/02 14:00
薪ストーブを囲んで − 本日より冬季営業開始
(位ヶ原山荘)

画像・記事の転載・引用・リンクについて

▼ この一週間は連日快晴に恵まれましたが、そんな天候とは裏腹に今日は春先のような霙交じりの雨の一日で、バーンは完全に春先の湿雪となってしまいました。

早朝7時の乗鞍高原は、昨晩から降り始めた雨がさらにまとまった雨脚を見せるようになって来ました。気温は0℃。積雪の残る路面に否応なく降る雨は、雪に阻まれて行き場を失って大きな水溜りがあちこちに見られます。まるで春先のような雪解け時期の様相です。高めの気温のため、この時期らしからぬ暖かい朝は、カレンダーを1ヶ月分余計にめくってしまった状況ともいえます。

この雨のため、スキー場にお越しになる方も少なめで、8時30分のリフト営業が開始されても、リフト搬器は人を乗せることなく空車で周り続けています。
9時30分のツアーコース入口の気温は0℃。雨の降り方にはあまり変化はないものの、この付近からは雨と霙が周期的に変化する状況が見られるようになって来ました。ゲレンデにお越しになるスキーヤー・ボーダーの方もほとんど確認できない状況ですから、ツアーコースに向かう方はさらに少なく、ようやくお越しになったのは3名のスキーヤーのみ。「この天気ですから、行けるところまでしか行かないと思います。」と、言い残して出発します。

ツアーコース入口急斜面もゲレンデ同様に湿雪で、ストックで突き刺して10センチほどの積雪です。さらに高めの気温のため、厳冬期のウェアーでは服の内側が蒸し風呂のような状態となってしまいます。それでも、霙交じりの雨の中では、アウターを脱ぐわけには行かず、できるだけ発汗しないようにペースを調節して登行します。
昨晩からの雨はかなりまとまった降り方だったようで、入口急斜面のバーン表面にはいたるところに雨水が流れてできた縦溝が走っています。それでも、この縦溝も入口急斜面を登り切った先からはほとんどなくなり、昨晩はこの付近から雪に変わったことが想像できます。

11時の3番標識付近の気温は0℃。気温はツアーコース入口と変わりありませんが、1番標識付近からは完全に雪となってきました。それでも高めの気温のため、ウェアーに着雪するとすぐに融けて、雨とほとんど変わらない状況。バーン表面の湿雪状態も入口急斜面よりも水分がやや減少した感じがあっても、乾いた冬の雪質からは相当かけ離れた状態となっています。

正午の位ヶ原急斜面の気温は0℃。視界は100メートルを切るほどで、位ヶ原急斜面下端からは上端の様子がほとんどわからないほどです。ここでも雪質はあまり変わらず、今日のツアーコースは全山湿雪でした。ツアーコース中盤ではストックで20センチほどの積雪を感じましたが、位ヶ原急斜面では積雪はほとんどなく、やや締まった雪質でした。風も若干あって、先行者のトレースはすぐになくなってしまいます。

そして、森林限界を超えたその先の位ヶ原は、視界が50メートルとほとんどホワイトアウトに近い状態で、普段から地形などをしっかり把握していないと歩けない状況。ダケカンバの枝先にはびっしりと霧氷が着雪し、気温はマイナス2℃と低下します。そして、バーンのコンディションも乾いてきて、ここだけは厳冬期の状況が残っています。ただ、山麓の湿雪を歩いてきて水分をたっぷり含んだシールは、気温の低下とともに凍り始め、シール表面は団子状態に着雪してしまい、掻き落としながら登行することを強いられる状況でした。

普段から吹きさらし状態で積雪が増えにくい位ヶ原では、宝徳霊神のバス停標識は1ヶ月前よりも40センチ程度しか埋まっていません。この付近では厳冬期の乾いた降雪では積雪増加につながらず春先の湿雪が大きく影響し、山麓で積雪量の減少する春先になって増加して行きます。(参考 : 1ヶ月前の宝徳霊神バス停付近 → 速報 2013/01/05

午後になるとほとんど雪は止んで来ました。また、年末年始営業終了から一旦休止していた位ヶ原山荘は、今日から冬季営業が始まりました。これからは連日続けられる営業が10月末のグリーンシーズン終了まで行われます。

●ツアーコースは、全山湿雪となり、今後の冷え込みでアイスバーンになったり、また、雪崩の危険性が増える時期を迎え始めました。●
3番標識では、先週よりも15センチ少なく、昨年より80センチ多く、昨シーズンの3月下旬並みの積雪量。
5番標識では、先週よりも20センチ少なく、昨年より1.5メートル多く、昨シーズンの3月下旬並みの積雪量。
位ヶ原急斜面では、先週とほぼ同じで、昨年より1.7メートル多く、昨シーズンの3月下旬並みの積雪量です。

●ご注意 − ツアーコース入山にはしっかりとした装備と下準備を●
ここ最近、しっかりとした下調べをせず、また、ゲレンデ滑走とほとんど変わらない装備でツアーコースに入山される様子が散見されます。
ゲレンデ最上部からツアーコース入口へ容易にアクセスできることが大きな要因かと思いますが、ゲレンデ管理区域外を一歩でも外れた場合は、自己の管理下で行動することが求められます。ゲレンデ管理区域外上部は天候の変化がゲレンデ内よりも激しく、きれいなパウダーコンディションばかりではありません。湿雪やパック・クラストといったまともに滑走できないコンディションに遭遇することも珍しくなく、ゲレンデ内滑走以上に負傷する確立も高くなります。
地図などでのコース把握をしっかり整え、天候の急変によるホワイトアウトの可能性も考慮した装備と行動が必要で、一旦、事故が発生すると山岳遭難という扱いとなり、場合によっては、本格的な救助体制をとる必要があり、多額の救助費用が必要となることを十分認識して行動されるようお願いいたします。(2013/02/02 18:10更新)
 
【来シーズンの速報、及び、ノリクラ雪渓カレンダーの連載再開の予定】 
2012ノリクラ雪渓カレンダー正式版 の連載は、今週末掲載予定の ノリクラ雪渓カレンダーVol.25<最終号> をもって 今シーズンの連載を終了させていただきます。連載再開予定は以下の通りですが、変更の可能性もありますので、あらかじめご了承ください。
●速報●
2012年11月はお休みさせていただく予定です。ただ、ツアーコースなどの降雪状況によっては一時的にお届けする可能性もあります。
2012年12月から2013年3月までのウインターシーズンについては、週末を中心にトップページの速報のみお届けする予定です。ただし、天候状況な どにより、掲載を実施しない週もあります。
2013年3月下旬以降の春夏秋シーズンは、ノリクラ雪渓カレンダー(プレリリース版・正式版)の取材日に合わせて実施する予定です。
●ノリクラ雪渓カレンダー●
ノリクラ雪渓カレンダープレリリース版は2013年3月下旬頃から再開を予定し、ノリクラ雪渓カレンダー正式版は2013年5月中旬頃を予定してお ります。

【おまけ − 今週4日間続いた快晴の乗鞍】

@ 2013/01/29 11:30
快晴の乗鞍 − 青と白のコントラストが冴え渡る
(一の瀬園地)

▼ 週末ごとに天候が悪化する周期を見せていて、ここ最近は良い天候のノリクラをご紹介することができません。
今週はこの時期としては珍しく、4日間連続で快晴が続きました。したがって、今回は4日間続いた快晴の初日(1月29日(火))の様子をご覧ください。
速報でお伝えしている悪天候のノリクラもあれば、このようなまたとない絶好のノリクラもあります。こんな光景にめぐり合えるよう、足しげくノリクラに通ってみてください。

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