ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

(2015/03/21) C

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(Update:2015/03/26)

 

【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

 

昨年の位ヶ原急斜面
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2014/03/22) C

先週の位ヶ原急斜面
(2014/03/14)
週の位ヶ原急斜面
先週より1メートル減少、昨年より1メートル多い

位ヶ原急斜面の積雪もツアーコースの3番・5番標識と全く同じ状況で、先週は1メートルも急激に増加して、今週は増加した分がそのまま雪解けしています。それでも昨年より1メートルも多い状況で、バーン内に点在していたダケカンバの枝先は先週の段階で完全になくなってしまいました。

 

健康のため、体力維持のため、できる限り通い続けます

位ヶ原急斜面の手前で休憩されていたこちらの方。シーズンを通して何度もノリクラにお越しになっていますが、「できる限り、定期的に通うように心がけています。健康のためにも体力維持のためにも、続けることが大事ですね...」と、おっしゃっていました。

ノリクラにお越しになる目的は人それぞれではありますが、「ノリクラで楽しむこと」は共通の目的かと思います。その気持ちを常に持ち続けることが大事ですね!

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷 − 位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷 − 伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラ雪渓カレンダー 冬〜春スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー 冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

伊奈川の谷 − 大きな岩場があるのが特徴

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。このページの下の【山頂・大雪渓・位ヶ原からツアーコースへの下山】のコーナーで、下山する際にどのようなルートを取ったらよいかを示しておりますので、併せてご覧ください。

 

【位ヶ原】

ツアーコースを登りきると位ヶ原 今日はのんびり休憩できるほど穏やか...

ツアーコース位ヶ原急斜面を登りきった先より、森林限界を超えて位ヶ原の台地に入ります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化しますので、視界不良で、先の木々が見えにくい状況なら、ここで撤退するようお願いいたします。

でも、今日は森林限界を超えても快晴無風が続きます。曲がりくねったダケカンバを背にのんびりと休憩される方々の様子も見られました。

 

昨年の位ヶ原
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2014/03/22) C

先週の位ヶ原
(2015/03/14)
今週の位ヶ原
先週より40センチ少なく、昨年より40センチ多い

位ヶ原の積雪量は、先週より40センチ少なく、昨年より40センチ多い状況。ツアーコースなどの山麓と異なり、森林限界を超えたエリアは、例年、これから積雪量が増える時期ですので、まだまだ、増加すると考えられます。

【位ヶ原から望む山頂方面】


中央
部分
拡大

位ヶ原から山頂方面の風景 肩の小屋と大雪渓避難小屋(どちらも冬季閉鎖中)

ご覧のように目の前には剣ヶ峰を初め、乗鞍の峰々が屏風のように展開され、初めてお越しになった方は、「日本じゃないみたい...」と、おっしゃる様子もあるほどです。大きく分けて左右に二つのピークがあって、中央の鞍部(コル)に建物が確認できますが、これが肩の小屋(冬季閉鎖中)で、手前の建物は大雪渓の避難小屋(冬季閉鎖中)です。

また、完全なオープンバーンのため、濃霧の際は東西南北の方向を失ってしまう危険性があり、先ほどの位ヶ原急斜面を登ったところで、視界不良なら引き返さないといけないわけです。

 

山頂方面の様子

さて、左右に広がるこれらの山ですが、左の画像では剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳の3つのピークが並んでいます。そして、右の画像は摩利支天岳で、その右側の部分は「通称:すべり台」と呼ばれる部分で、バックカントリースキーヤー・ボーダーの方々がよくお越しになる滑走エリアです。

なお、この時期の稜線付近はまだアイスバーンのため、山頂方面に向かうかは、5月〜6月のように稜線へ直登することは困難で、安全のため、肩の小屋経由で登ることをお勧めします。この時期はどんなに天気が高くてもアイゼン・ピッケルは必須です。

 

雪崩多発地帯には注意
ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版でご確認ください)

「すべり台」のさらに右側のこの部分も滑走したくなるような斜面ですが、こちらは雪崩多発地帯ですので、絶対に立ち入らないようお願いいたします。スキーカットによる雪崩誘発の危険性があります。ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 では、この雪崩箇所を「3号カーブ下」と呼んでいますが、夏場の県道乗鞍岳線の3号カーブがあるためです。

 

【大雪渓下部】

ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。

 

昨年の大雪渓入口
2014ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2014/03/22) C
今週の大雪渓入口
昨年より1.5メートル多い

昨年と比べると1.5メートルほど積雪量が多い状態です。大雪渓の積雪は含水量の多くなる春先から増えてきますので、まだまだ増加することが予測されます。

厳冬期は乾いた雪質のため、絶えず強風にさらされる大雪渓や位ヶ原は積雪量が増加しません。そのため、厳冬期に入っても大雪渓内には最後まで姿を見せている大岩(※)がありますが、例年なら、3月以降になって姿が見られなくなるものの、今年は2月には完全に埋没してしまいました。(※当WebSiteでは「モーグルコースの岩」と呼んでいる大岩です。)

 

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。

トイレ小屋(冬季閉鎖中) −利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。

 

無数にできた縦溝とひどいアイスバーン 

大雪渓には19日(木)の降雨が表面を流れてできた縦溝が無数にできていて、ひどいアイスバーンになっています。

 

稜線からの滑走者の中には滑落する様子も...

天候が良かったことから、山頂方面に向かう登山者も多かったようですが、稜線から滑走するボーダーの中には、ひどいアイスバーンで滑落する様子も見られたほどです。なお、稜線からの滑走は4月中下旬以降にならないと無理なコンディションではないかと思います。

 

【山頂・大雪渓・位ヶ原からツアーコースに戻る下山ルート】

大雪渓から下山方向を見る(大雪渓トイレ前から) しばらく進むと左前方にダケカンバの林

さて、ここからは大雪渓方面からツアーコースの位ヶ原急斜面に下山滑走するルートについて説明します。
左の画像は大雪渓のトイレ小屋付近から下山方向を見たところ。そのまままっすぐ進行方向へ進んで行くと、左前方にダケカンバの林が確認できます。

 

地形は右全貌へと緩やかな谷
(知らず知らずに谷の方向へ行ってしまう)

左方向のダケカンバの林を目指して下山滑走しなければいけないのですが、地形的には右奥へ緩い谷になっていて、自然に谷方向へと滑り降りてしまいます。

 

ツアーコースは谷を横切って左方向へ(青線)
谷に沿って行くと伊奈川の谷(赤線)
【下山ルート】ツアーコース位ヶ原急斜面にたどり着く 【間違ったルート】伊奈川の谷(過去に何度も遭難)

この二か所を拡大したものが上段の画像で、それぞれを滑り降りていった結果が下段です。つまりダケカンバの林を滑り降りて行くとツアーコースの位ヶ原急斜面に、そして、右側の緩い谷をそのまま滑り降りて行くと、遭難の危険性のある伊奈川の谷へと行ってしまいます。

そのため、この谷を乗り越えて左側のダケカンバの林に向かうようにしなけれならず、緩い谷に沿って進んでしまうとツアーコースに戻れなくなります。もう少し言うなれば、伊奈川の谷に差し掛かる前の緩い谷そのものが伊奈川の源流で、谷を確認したら、左方向へ舵を切って谷から抜けて位ヶ原急斜面に向かってください。周辺の地図はノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 をご確認ください。

 

<編集後記>

「今シーズンの冬の気候を振り返る...」

今回から春シーズンに向けたノリクラ雪渓カレンダー プレリリース版を開始しましたが、今シーズンの厳冬期の天候状況をまとめておきたいと思います。

11月はほとんど降雪に見舞われず、11月末になってもゲレンデの造雪がほとんどできない状況で、ツアーコースの積雪は例年よりもかなり少なく、入口急斜面にごく一部に雪がみられる程度でした。しかし、12月に入ると同時に連日大雪に見舞われ、オープンが絶望的と思われたMt乗鞍は、予定通り12月6日(土)より営業開始され、ツアーコースも例年に近い積雪量となり、その後も積雪量が増加し、12月中旬には1月上旬並みの積雪量となりました。

1月・2月は例年通りに寒さの厳しいため、軽い雪は積雪量増加に寄与しないのですが、今年は厳冬期でもツアーコースの積雪量の増加が目立ち、2月中旬ですでに昨年の最大積雪量を超えました。ただし、昨年2月のような交通マヒを引き起こすような大雪に見舞われる日はありませんでした。しかし、3月第2週の数日間は連日大雪に見舞われ、ツアーコースは1週間で60センチ〜1メートルも積雪量が増加する状況で、ここ数年の中で最も積雪量の多い状況となりました。また、例年なら、12月から2月までの間に1〜2回程度は雨に見舞われるものの、今年はすべて降雪でした。そのため、積雪量が多くても雪崩の発生がありませんでした。

下の表はアメダス(観測地点:奈川)の2014年12月〜2015年2月の月平均の気象統計です。

    降水量(mm) 平均気温(℃) 最高気温(℃) 最低気温(℃) 平均風速(m/s) 日照時間(時間)
12月 平年 76.8 -0.7 4.9 -5.9 1.3 106.8
昨年 56.5 -2.1 2.8 -6.8 1.7 91.6
今年 177.5 -2.6 1.3 -6.4 1.9 70
1月 平年 85.9 -3.6 1.5 -9.2 1.3 106.5
昨年 66 -4.4 1.5 -10.9 1.8 145.3
今年 102.5 -3.4 1.2 -8.4 1.7 124.9
2月 平年 99.2 -3.2 2.5 -9.1 1.3 122.8
昨年 124 -4.4 1.7 -10.4 1.7 167.2
今年 41.5 -3.2 2.4 -9.3 1.7 125.9

⇒ 今年の冬は、昨年同様に寒いシーズンだったが、降水量(降雪量)は12月・1月は平年・昨年を大きく上回り、積雪量は過去最高を記録

気温は特筆すべき点はありませんが、12月と1月の降水量は昨年の2〜3倍程度も多く、平年と比べても2倍前後です。ここでは降水量とされていますが、降雨ではなくすべて降雪で、ツアーコースでは過去最高の積雪量につながっていると思われます。ただ、2月の降水量は昨年の3分の1、平年の半分以下でした。

また、ツアーコースより上部の森林限界を超えたエリアでは、例年なら2月までは積雪量があまり増えず、特に大雪渓では2月になっても岩場の頭(モーグルコースの岩)が露出しているものの、今年は2月上旬には完全に埋没し、また、山麓のスキー場でも1月下旬には昨年の最大積雪量を超える状況から、ツアーコースのみならず、乗鞍全域で積雪量の多い厳冬期だったといえます。

 

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