ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.4(2018/04/21) C

 

 

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(Update:2018/04/26)

 

【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

位ヶ原急斜面−この先オープンバーン

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

ここ位ヶ原山荘に向かう看板があり、「この先は今までのような道はありません。悪天候時はルートを見失いやすいです。最近、単独行の道迷い遭難が多いです。経験・自身のない方は無理せずここで引き返してください。」と、記されています。

この先は森林限界を超えてオープンバーンになりますから、今日のような視界不良時は確実に方角を見失うことになります。方角を見失ってから(迷ってから)戻ろうとしても、もうその時点では戻れませんから、この看板の位置で、この先、進んでもよいのか・撤退すべきかを判断しなければなりません。なお、この看板の上に見える急斜面上端部分が確認できるかどうかが、判断材料の一つとなります。

 

2017年の位ヶ原急斜面
2017ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.4(2017/04/22) C
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2018/04/14) C
今回の位ヶ原急斜面

位ヶ原急斜面の積雪は、先週よりも30センチ程度雪解けが進みました.先週は昨年との差が少なくなりましたが、今週は再び1メートル近い差に戻っています。

 

この辺りからもっさりとした雪質 − どうやら17日(火)は膝雪の降雪だった模様

位ヶ原急斜面より下部では、グサグサの春雪ですが、この辺りからもっさりとした雪質に変わってきていて、17日(火)の降雨はどうやらこの辺りでは湿雪になった模様です。

 

踏み跡を見ても黄砂の汚れがなく、結構積もった

足跡を見ても白さが一様で、黄砂の汚れが見られず、結構積もったものと思われます。

 

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央)

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。

 

【位ヶ原】

位ヶ原

位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原。これより森林限界となります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。

これまでは、ツアーコースから登ってきましたので、同じコースを下山すれば良かったのですが、次週以降は乗鞍岳春山バスを利用するため、登りと下りのコースが異なり、下山コースをよくご存じなくお越しの方が多くなります。そのため、天候急変時は特に注意しなければなりません。

 

2017年の位ヶ原(積雪184センチ)
2017ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.4(2017/04/22) C
先週の位ヶ原(積雪139センチ)
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2018/04/14) C
今回の位ヶ原(積雪124センチ)

今回の位ヶ原の積雪量は124センチ。先週より15センチ減少し、昨年より60センチ少ない状態です。

 

山頂まで行ってきましたよ。

「山頂まで行ってきましたよ。上の方はここよりももっとグサグサ。風もほとんどなく穏やかで、今日は「山頂日和」って感じですね。」と、おっしゃるこちらの方。「厳冬期はすべり台ばかりだったけど、今日のように山頂に行ける季節になって来たんですね。」

 

剣ヶ峰方面(山頂方面) 摩利支天岳方面

確かにすべり台方面にはトレース・シュプールはほとんどありませんが、剣ヶ峰山頂方面は無数のシュプールが刻まれています。厳冬期とは真逆の状態です。厳冬期の肩の小屋から剣ヶ峰方面はアイスバーンになっていて、アイゼンがないと登ることが困難な状況が多く、山頂付近からの滑走はとても快適ではなく、時に危険とも言える状況です。それとは逆に摩利支天岳方面は厳冬期でもパウダーであることが多く、すべり台と富士見沢は、定番のパウダーエリアでした。

剣ヶ峰方面で滑走が可能になるのは4月後半に入ってからで、また、この時期になると厳冬期にはお越しにならない春山スキーヤー・ボーダーが剣ヶ峰目的にお越しになるため、剣ヶ峰一極集中という傾向が強くなります。もちろん、摩利支天岳のすべり台や富士見沢も春になっても滑走可能な状況です。

 

ハイマツ帯には立ち入らないようにお願いします
★雷鳥の生息場所★
今日初めてのノリクラ

位ヶ原ではハイマツ帯が多くみられるようになってきました。今後、1ヶ月程度すると、山頂方面でもこのような状態があちこちで見られるようになりますが、ハイマツ帯は雷鳥生息の貴重なエリアですから、無用に立ち入らないようお願い致します。ここ数年、雷鳥の生息数が減少傾向にあるとのことですから、ぜひとも、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

さて、今日初めてノリクラにお越しになったというこちらの方。この景色をご覧になり、今日はもう大満足の様子。春山スキーのシーズンはこれからが本番!足しげくノリクラにお越しくださいますようお願いいたします。

 

【大雪渓下部】

2017年の大雪渓入口
2017ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.4(2017/04/22) C
先週の大雪渓入口
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2018/04/14) C
今回の大雪渓入口
例年より積雪量は多いのはここだけ

大雪渓入口の積雪量は先週より7センチ少ない程度にとどまり、昨年より10センチ多い状態で、他のエリアが昨年より積雪量が少ない中、唯一多い箇所です。

 

トイレ・避難小屋方面 周辺の駐車スペースでは
岩やガードロープの支柱が見え始める

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。周辺の駐車スペースでは岩の頭やガードロープの支柱が見え始めています。

 

トイレ小屋(冬季閉鎖中)
利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

避難小屋・トイレは冬季閉鎖中で、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬に利用可能になります。トイレ小屋・避難小屋周辺の積雪量は昨年並みです。

 

山頂方面

さて、山頂方面を拡大してみると...

剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線
★無数のシュプール★
蚕玉岳〜朝日岳稜線
★岩の頭がいくつも見られる★

今日は無数のシュプールができています。右の蚕玉岳〜朝日岳稜線直下では、岩の頭がいくつも見られ、例年より積雪量が少ない状況がわかります。例年、積雪が増加するのはゴールデンウィーク直前ぐらいまでですから、残り一週間ということになりますが、もう一降り欲しいところです。

 

 【県道乗鞍岳線の除雪状況】

除雪先頭は20日(金)に位ヶ原山荘に到達

さて、乗鞍岳春山バスの運行を控え、県道乗鞍岳線の除雪作業が進められています。20日(金)に除雪の先端が位ヶ原山荘に到達しました。除雪日程としては例年並みです。

 

除雪は位ヶ原山荘300メートル手前まで進む 除雪箇所(17号カーブ)

除雪は先頭のドーザーがルートをつけたあと、バックホーとロータリー車で実際の除雪を行います。翌日21日(土)は、位ヶ原山荘の300メートル手前にある17号カーブで作業が行われてました。ロータリー車での除雪が終わるとアスファルトが出ますので、クルマの走行ができる状態になります。

位ヶ原山荘まであとわずかですが、28日(土)には、乗鞍岳春山バス運行開始が予定され、試運転などの安全確認作業などの日程などを考えると、間に合うかどうかギリギリの状態です。

 

<編集後記>

「乗鞍岳と乗鞍高原」

「上(乗鞍岳)に行くお客さんが増えても、下(乗鞍高原)に寄ってくれないからなぁ」という声を耳にすることがあります。

確かに山スキーやヒルクライムなどにお越しの方は、朝早くに観光センターから山頂方面を出発し、夕方に観光センターに下山したのち、帰路に就くというパターンが多いのも事実です。ノリクラに毎週のように来ても、どんな花が咲いているのか?何が有名なのか?ということを全く知らない人もいることは事実です。

その様な人たちにとって、山麓の乗鞍高原は単なる通過地点に過ぎないのが現状ですが、そういう人たちへの「興味の開拓」というアプローチも必要なんだと思います。

当WebSiteでは、水芭蕉・レンゲツツジ・紅葉など季節の折には、乗鞍高原や一の瀬などを紹介しており、ご覧になったスキーヤーの中には「こんなにきれいな場所があったんですね」と、ノリクラを再発見する人もいらっしゃいます。

通過していってしまう人たちは、「立ち寄る価値がない」と思っているよりも、「何があるのか知らない」という人が多いはず..どのように誘導するのか考える必要があるでしょう。


 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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