ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.4(2019/06/01) B

 

 

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(Update:2019/06/06)

 

【大雪渓から稜線へ】

稜線付近の登攀滑走ルート
岩が出始める(剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線ルート) クレパス注意(大雪渓上部〜朝日岳中腹)

上の図が登攀ルート(ピンク)と滑走ルート(青)を示しています。現時点では稜線への登攀・滑走は問題なく可能です。しかし、左下の画像のように 剣ヶ峰〜蚕玉岳からの滑走ルートでは岩が出始めています(→【剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線】で詳細)。また、右下画像のクレパス部分は先週よりもやや大きくなっていますのでご注意ください。

 

昨年はすでに幅が狭くなっていた
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) B
今年はまだ十分な幅がある

蚕玉岳〜朝日岳稜線からの滑走エリアでは、雪解けに伴って大雪渓に滑り降りる箇所が今後狭くなってきます。昨年はすでに幅15メートルとなり翌週には途切れてしまいました。今年はまだそのような傾向はなく、少なくとも2週間程度は滑走できると推測されます。

 

この景色を見ているだけで満足!

山頂まで登らなくてもこの風景を眺めているだけでもう満足!位ヶ原に広がるハイマツと残雪が織りなす唐草模様はこの時期のノリクラを象徴する景色といってもよいでしょう。

 

昨日の降雪は5センチ程度 岩場も白くなっている

稜線に近づくにつれて、足元には昨日の降雪がはっきりとわかるようになってきます。積雪は5センチ程度でしょうか?岩場付近が白くなっている様子は乗鞍高原からでも確認できました。

 

稜線付近の雪解け

稜線付近は先週あたりから岩が出始めて、今週は若干拡大しています。

 

2018年の稜線付近の岩場
(今年は例年より若干積雪が多い傾向)

こちらは昨年の様子。すでにかなり雪解けが進んでいます。また一昨年と比べると今年は3週間程早い雪解けですが、この付近は年によってばらつきがあり、2017年と2014年は積雪が多く、2018年・2016年・2015年は少な目でした。なおここ数年で比較すると今年はどちらかというと若干ですがやや多い傾向を示しています。

 

ツボ足でもシールでも登りやすいバーン状態

上空は薄いベールのような雲がかかり、今日は環水平アークに近い虹も見られました。そのため日差しも柔らかく、バーンが極端に緩むこともなく、シールでもツボ足(アイゼン)でも登りやすい状態です。昨日の降雪も溶けることなく、また、パックされることもない状態でした。

 

山頂までもう一頑張り!

もうここまで登ったら山頂まで行ったのとほぼ同じ!もう一頑張りです。

 

【蚕玉岳〜朝日岳の稜線】

蚕玉岳〜朝日岳の稜線

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。

 

2018年の権現ヶ池
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) B
今回の権現ヶ池
昨年より遅い雪解け

稜線を登り切って、反対側に見られる池は、御岳の二ノ池に次いで国内2番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)。昨年よりも遅い雪解け。

 

2018年の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) B
今回の蚕玉岳〜朝日岳稜線
昨年より1週間遅く、一昨年より1週間早い

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。こちらも昨年より1週間ほど遅い雪解けで、一昨年より1週間程早い状況。

 

2018年の朝日岳
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) B
今回の朝日岳
昨年より1週間以上遅く、一昨年より3週間早い

朝日岳も昨年より1週間以上遅い雪解けで、一昨年より3週間程早い雪解けです。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線】

剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線 蚕玉岳山頂
昨年より1週間以上遅く一昨年より2週間早い雪解け

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。昨年より1週間以上雪解けが遅く、一昨年より2週間程度早い雪解けです。

 

爽やかな風の中、まったりモード 滑るぞ〜!

稜線の気温は6℃ですが寒さはなく、爽やかな風が流れて心地よい雰囲気。厳冬期はのんびりと休むことなくパウダーを滑りまくる常連の方も、この時期になるとまったりモードに...。そして、右の方々は今シーズン最後の春山スキーに滑り出します。

 

稜線直下に雪解け箇所が − 後述の岩の雪解け時期と連動している

稜線直下では、左の画像のように一部雪解け箇所が見られるようになってきましたが、現時点では滑走に問題はありません。稜線直下の雪解けと、後述する岩の雪解けの時期がだいたい同じで、おそらくあと2週間程すると滑走できなくなると考えられます。

 

2018年の位ヶ原
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) C
今回の位ヶ原
昨年より積雪が多く一昨年並み
2018年の剣ケ峰直下の岩
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) C
今回の剣ケ峰直下の岩
昨年とほぼ同じ

上段は稜線付近から見た位ヶ原。昨年よりも積雪は多く、ほぼ一昨年並。下段の剣ヶ峰直下の岩付近は昨年とほぼ同じ状態です。

 

岩が出始める場所 − 全体の3分の1まで滑り下りた付近

さて、全体の3分の1付近まで滑り降りた付近では、雪解けとともに岩が出始めてバーンを分断します(図の「岩が出始める」の箇所)。そうなると、剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑走ができなくなります。

 

2018年の岩の頭
2018ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2018/06/02) C
今回の岩の頭
昨年と同じで一昨年より2週間早い

右の画像が今回のもので、岩の頭が出始めて来ました。昨年よりも少し遅い傾向ですが、おそらく、あと2週間ほどするとこの付近でバーンが分断されます。なお、一昨年より2週間早い状態です。

 

昨日の降雪が5センチほど積もる きれいにターン

昨日の降雪が5センチ程降り積もっていますが、板にまとわりつくことなくきれいにターンができ、楽しい春山スキーを滑りぬくことができました。

 

全景 高さ3メートル − 今年はどちらかというと多い年

そして、稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。

積雪は3メートル。2018年は2.5メートル、2017年は3.5メートル、2016年は80センチ、2015年は1.3メートル。2014年は2.9メートル、2013は2.4メートル、2012年は3.4メートル、2011年は2メートル、2010年は2.5メートルでした。今年はどちらかというと多い年と言えるでしょう。

 

<編集後記>

「冬季閉鎖中の自転車通行」

今年に限ったことではありませんが、冬季閉鎖中の県道乗鞍岳線を自転車で登ってくる方がいらっしゃいます。路面状況的には全く問題なく通行できますが、カーブミラーやガードロープなどの安全設備がまだ不十分な状態となっています。

県道乗鞍岳線は6月30日まで冬季閉鎖中で、それまでは春山バスなど特別な許可車両のみ通行でき、前述のとおり、安全設備が不十分なため、春山バス同士も上下便がすれ違う場所や危険個所などを連絡し合って運行しています。そのため、カーブミラーのないヘアピンカーブで自転車とバスが鉢合わせした場合、非常に危険な状態が考えられます。

2003年に実施されたマイカー規制後も、自転車は環境にやさしい乗り物として通行が認められている唯一の車両です。森林限界を超えた山岳道路での自転車走行は貴重な体験であり、今後、後世の人たちにもこの体験ができるようにし続けるには、7月1日までは自制した行動が必要ではないでしょうか?(一旦事故が起きると大きな問題に発展する可能性があります)


 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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