ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2007/06/02〜03) G
【雪渓下部 U】
クレパス大小2本 |
雪渓下部の中でも下から見て右寄り(北寄り)の箇所にクレパスが走り始めています。1本は魔利支天岳方面に、そして、細いほうは、画面の上に少し黒いものが見えると思いますが、7月にできるモーグルコースのスタート付近にできる岩です。
幅30〜50センチ |
モーグルコースができるあたりを走っている |
太いほうのクレパスは幅が30〜50センチ。ちょうどモーグルコースができるあたりを斜めに走っています。
モーグルコーススタート付近の岩 − 昨年より1週間早い雪解け |
こちらはモーグルコーススタート付近の岩。雪渓下部エリアの中で、もっとも早く頭を出す岩です。昨年は大雪渓エリアの中でも雪渓下部の積雪量が多かったこともありますが、昨年より1週間ほど早い雪解けです。
【雪渓上部】
雪渓上部全景 |
雪渓下部と異なり、この付近まで上がってくると積雪量が増え、昨年の5月中旬並みになってきます。
山頂付近 | 雪渓上部右側 − 細かなクレパスが走る |
雪渓下部と同様、雪渓上部右側を中心に細かなクレパスが走るようになってきました。
こちらはその一つ。位置としては、7月に雪渓上部右側にポールが林立します。ちょうどその一番肩の小屋寄りの箇所で、右の画像付近からポールをフォールライン上に立てると、おそらく、リフトの支柱のすぐ南側を通過すると思います。
まだまだ、細いものばかりですが、これからどんどん間口を広げていくことは間違いないと思います。
【大雪渓から畳平へ戻る県道乗鞍岳線】
富士見岳付近(鶴ヶ沢) | この急斜面のトラバースはアイゼンでも容易ではない |
取材に訪れた6月3日(日)は、県道乗鞍岳線の除雪は大雪渓駐車場どまりで、そこから先は除雪作業は行われていますが、富士見岳の鶴ヶ沢以降は全く手付かずの状態です。特に鶴ヶ沢の斜面は傾斜が急なため、ここをほぼ真横にトラバースすることはアイゼン装着でも容易ではありません。
鶴ヶ沢を過ぎても同様のトラバースが必要 | トラバースは県境まで続いています |
何とか鶴ヶ沢をトラバースできても、ご覧のように県境まで同じような状態が続きます。ご覧の画像にスキーで斜滑降した跡がありますが、これは畳平方面から滑り降りてきた跡のようです。スキーブーツでも真横のトラバースは結構大変で、まっすぐ上に登ってそこからスキーを装着して斜滑降を繰り返せば、アプローチすることは可能ですが、右の画像のようにルートは全体的に登り方向なので、かなりの回数の登りと斜滑降を繰り返すことになります。
したがって、除雪が進むまでは当分の間、大雪渓からコロナ観測所・肩の小屋の専用道まで登り返し、専用道から富士見岳の裏、不消ヶ池方面から畳平へ戻ったほうが時間的にも体力的にもよいかと思います。実際、時間がかなりかかって最終バスに間に合わなかった方もいたほどです。
【昨年の今ごろは?】
昨年は県道乗鞍岳線の積雪量が多かったため、位ヶ原山荘行きの春スキーバスは6月1日(木)から運行が開始されました。この日は運行開始から最初の週末ということと、終日快晴に恵まれて、たくさんの方が稜線目指して登ってゆきました。そんな快晴の6月3日ですが、気象庁から東海地方の梅雨入りが発表されました。平年と同日、前年より3日早い梅雨入りでした。6月4日(日)は乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムが開催され、前年よりも4分も早いタイムでトップ選手がゴールしました。
<編集後記>
今回は、今年初めて、バスによる現地入りを行いました。標高3000メートル級の山に、気軽に足を踏み入れられる事がノリクラの大きな特徴ですが、やはり山麓の亜高山帯から森林限界を抜けて高山帯に入っていく場面などは、やはり歩いて徐々に風景が変化していく楽しみが、歩きでないと味わえないことを感じました。特にバスなど密閉された乗り物では、風景が変わっていくことは感じ取れても、空気が変わっていくことを感じることはなかなか難しいものです。
この時期のシャトルバスは、スキーヤー・ボーダーの方や登山の方が多いのですが、中には観光を目的とした方もいらっしゃいます。畳平にはいくつかの売店があり、みやげものなどを販売していますが、唯一、販売していないものがあるようです。それはタバコだそうです。
畳平のバスターミナル内は全面禁煙で、喫煙できるのは限られた箇所に指定されています。一部の売店には観光客からタバコの販売を求める声があるようですが、畳平周辺では、心ない一部の喫煙者が隠れたところに吸殻を放置しているのが現状です。したがって、単に観光客のニーズを満たすためにタバコの販売を考えるのではなく、畳平周辺がどのような地域であるかということを念頭に置いた活動が、逆に観光客への自然保護に対する意識惹起につながるのではないかと思うのです。
高山の観光地では、全ての面を観光化して、都会並みの利便性を確保する必要はありません。国立公園の中でも特に保護対策が求められる特別保護地区に囲まれている畳平は、観光地でありながら、より環境保護に重点を置いた活動が必要ではないかと思うのです。
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