ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.9(2005/07/10) E

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(Update:2005/07/14)

 

【雪渓上部 つづき】

スキーキャンプ

今回は濃霧で大雪渓にはほとんど人影は見られませんが、先ほどのコブラインと、ここ雪渓上部ではエッジの音が絶え間なく響いています。そして霧の彼方から、鋭い小回りで凹凸(おうとつ)の激しいバーンをものともせずに滑り降りてくる集団がいます。

 

こちらのスキーキャンプの方々は毎年、この時期、ノリクラにお越しになり、トレーニングを重ねています。もちろんメンバーの中には毎年必ず見かける顔ぶれもいらっしゃいます。

最近はノリクラもすっかり静かなものになり、15年以上前とはかなり様相が異なります。その当時はいわゆるバブル期でスキーの人気も高く、雪渓上部は、一面、スキーメーカーの横幕が張り巡らされ、キャンプに参加している方々でいっぱいだった時もあったほどです。

ここ数年、継続してキャンプをやってらっしゃるのはこちらの方々だけになってしまったようです。

 

キャンプでは、朝から夕方近くまで、ひたすら登っては滑り降りるの繰り返しです。

 

濃霧のため、今日はこのキャンプに参加しているメンバー以外、大雪渓にはほとんど人影は見られません。そして、左右に繰り返されるターンの中から、まったく途切れを知らないスキーの音だけが、濃霧の大雪渓に響き渡ります。

 

1本1本が気が抜けません。

先生の見本の滑りを見た後では、滑りにも緊張感が走ります。もちろん、下ではメンバーの滑りを細かくチェックしています。

 

滑り終わってすぐ、細かくレクチャー

滑り終わると、細かなレクチャーを受けます。スキー場でのレッスンと異なり、同じバーンでの繰り返しのため、操作ミスも必ず同じところで現れます。それだけに操作を正確にチェックするという面ではスキー場よりもシビアかもしれません。

 

再び登っていきます。

そして、再び登っていきます。ひたすらそれの繰り返しです。レクチャーされた内容はなかなか高度なものを要求されるようで、メンバーの中には頭をひねりながら、登っていく方もいらっしゃったようです。

 

登っては滑るの繰り返しですが、黙々と鍛錬しているという雰囲気ではなく、周りの景色を眺めたり、和気藹々とノリクラの雰囲気を楽しんでいらっしゃるようです。

どうしてもスキーに真剣に取り組んでいると、「雪を見て、山を見ず」となってしまいます。それはそれでよいのですが、やはり、ノリクラにはそれだけでないものがたくさんあります。また、保護しなければいけない動植物への配慮も、スキーヤーといえども、ここにお越しになる以上は最低限必要でしょう。

 

3日間、おつかれさまでした。

そして、最後に記念撮影。3日間、おつかれさまでした。また、来年もぜひ、お会いしましょう...

今回は撮影もままならない天候ですが、このような日は逆に、足元など近場に視線が届き、いろいろなものをしっかりと見ることができます。その中で、今回、お会いしたスキーヤーの方で一生懸命、雪解けした岩場の高山植物に目を凝らして眺めている方にお会いしました。それはモーグルバーンのすぐ脇の岩場で、普段なら多くのスキーヤーがいらっしゃるところで、多くの方がそれほど見向きもしない場所だと思います。しかし、そんなところでも、実際にはたくさんの高山植物が芽吹き始めていて、高山植物に興味を示してもらえるスキーヤー・ボーダーの方々がどんどん増えていってもらいたいと思っています。

いつも、ノリクラ雪渓カレンダーでは雪の情報のほかに、必ず高山植物の様子を掲載するようにしています。それは、先ほども述べたように、スキーヤーといえども、ノリクラにお越しになる以上、最低限、その足元にいくつもの高山植物があり、保護していかなければいけないことをアピールしたいからです。

通常なら、大雪渓は立ち入り禁止になってもおかしくないエリアですが、雪で保護されているため、雪があるうちは問題になっていません。したがって、雪がなくなった岩場を歩くときでも、そのことを留意して行動しないと、今度は逆に積雪期ですら立ち入り禁止の措置になりかねません。

大雪渓付近は中部山岳国立公園の中でも もっとも規制の厳しい「特別保護地域」に指定されています。普通のスキー場ではありませんので、それぞれのスキーヤーの行動如何によっては、今後の規制強化も考えられます。「雪のないところは必ず岩の上を歩き、地面にバックなどを置かない」とか、「スノーセメントなどは絶対にまかない」など、高山では常識ともいえる、最低限のマナーは守ってもらないと、スキーすらできなくなってしまいます。

 

【昨年の今ごろは?】

date:2004/07/10

昨年はこの週を最後に県道沿いの雪渓下部での滑走ができなくなりました。今年はそれと比べて1ヶ月近い開きがあります。
今回は最後に畳平周辺の様子をお伝えします。続きはこちらから。

 

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