ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2011/04/02) B
【ツアーコース T −入口】
かもしかゲレンデを登りきるとようやくツアーコースの入口に到達できます。スキー場が営業しているウインターシーズンであれば、ここまでリフトを乗り継いでやってくることができますので、ウインターシーズンのスタート地点は、二つの画像には写っていません、右側にあるリフト終点ということになります。
そのため、シールの装着はリフトを降りてからとなりますが、シールを貼ってからリフト乗車されようとする方が散見します。リフト降車時につまづいて転倒する危険がありますので、シール装着などの登行の準備はスタート地点に到着してからお願いいたします。
山麓の休暇村からツアーコース入口までは距離で約2km、標高差は400mほど...この付近は位ヶ原までの全行程のちょうど中間地点といえます。
そのため、ツアーコース入口付近では腰を下ろして休憩されている様子があちこちで見られます。
「リフト営業が終わって春山バスの運行が開始されるまでの間のこの時期が静かで一番いいですよ。」と、おっしゃりながらのんびり休憩されているこちらの方々。以前、お会いした時もちょうどこの時期でした。そして、そのときは摩利支天岳の東斜面を滑走されているときで、全山ハイクアップとなる時期は、摩利支天岳まで到達される方も少なく、周辺のロケーションを独り占めした感覚にさせられるものです。
そのときも今回と同様に「今日しか絶対に静かなノリクラを味わうことができない...」と、おっしゃっておられました。
さて、行程はまだ道半ば...再び登り始めます。
こちらは入口からすぐの急斜面。よく見ると筋状にラインが入っています。
圧雪車がコース整備に入った様子が見られます。これまででも急斜面の手前まで圧雪されることはあっても、急斜面まで手がつけられることはありませんでした。
圧雪は作業車両一台分の幅で急斜面を登りきる直前まで行われていています。そのため、下山の滑走はパックされた雪質に足を取られることなく、滑走がかなり容易な状況となっています。ただ、積雪が若干少なくなってしまいましたので、今後の雪解け状況により、滑走して下山できる時期が若干短くなるかもしれません。
【ツアーコース U】
入口急斜面を登りきった先もツアーコースは続きます。
休暇村を出発するときにお会いした方々が下山されてきました。「ツアーコースから位ヶ原に出るところまで行ってきましたよ。上部はさほど風は強くありません。バーンは少しパックされていますが、それほど滑りにくい状態ではありませんでした...」と、教えてくださいました。
これからの時期は、山麓では雪よりも雨の頻度が次第に多くなってきますが、標高の高いツアーコースではまだ雪であることが多く、そのため、「ツアーコースは春になっても新雪が残っている」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。確かに降雪のあった翌朝は綺麗なバーンを楽しむことができますが、強い日差しですぐにバーン状態が変化するこの時期は、新雪感を味わえる時間はあまり長くありません。
そのため、ツアーコース内での滑走を楽しみたいのであれば、比較的早い時間に滑走されることをお勧めします。午後になると、緩んだ表面が再び硬くなりはじめ、夕方にはひどいバック状態となり、滑走が困難な状態になることも珍しくありません。
こちらは1番標識付近。ツアーコース内のビューポイントの一つで、真正面にノリクラの勇姿を眺めることができます。ノリクラは23の峰々の総称で、右の画像の右側のピークが主峰の剣ヶ峰です。左に見える若干なだらかな山は高天ヶ原と呼ばれています。高天ヶ原もノリクラの山の一つではありますが、23峰には含まれていません。
ツアーコース脇をよく見ると、お越しになった方々のスキーやボードの板が立てかけられていますね〜。
今日はここにテントを張って一泊されるという方々です。ツアーコース脇は樹林帯となっていて、風を避けることができます。雪上訓練で登山のグループの方々が雪洞やテントを設営される様子は、これまでにもしばしば拝見することがありました。
今日はほとんど風もなく、柔らかな日差しもあって穏やかな雰囲気。午後ののんびりした時間を静かに楽しんでいらっしゃいます。ここにビールでもあったら最高でしょう...
こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週よりも30センチ減少して、昨年より30センチ少ない状況です。
滑走したシュープールに沿って雪がタイル状に崩れている様子が見られます。数日前に降った新雪が数センチ積もり、それが日差しで緩んだ後、再び氷結した状態です。これまでにも何度もお伝えしていますが、この状態を「雪面がパックされた」と表現します。
スキーやボードをされない方にとっては、雪面状況はさほど感心のないところですが、パックが始まるとスキー操作が困難な状態となり、さらにパックがひどくなると、とても滑走できる状態ではなく、場合によっては歩いて下山したほうが早いのではと思うこともしばしばあります。
こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より20センチ減少して、昨年より10センチ多い状況です。
午前中ははっきりとしていた峰々も、ご覧のように山頂付近には雲が湧き上がるようになって来ました。ツアーコース内は風もなく穏やかな状態ですが、山頂の様子を見ると少しずつ天候が悪化傾向を示していることがわかります。
森林限界を超えた先で天候が急変すると、ツアーコースに戻ってくることが困難なほど視界が奪われることもしばしばです。上空の雲の動きなどなどから、天候の変化のスピードを感じ取ることも重要でしょう。
5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。3月後半になるとその形状はほとんどわからないほど積雪量が増えますが、シーズン序盤の1月までは登るのにも苦労するほどの状況です。先週よりも20〜30センチほど積雪が減少しています。
そして、6番標識を過ぎれば、ツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと向かいます。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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