ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.12(2011/07/28〜29) E

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(Update:2011/08/04)

 

【畳平、お花畑】

それでは、畳平のお花畑の様子をお伝えします。7月を中心にいろいろな高山植物が見られる時期を迎え、畳平のお花畑は、ノリクラの中で気軽に訪れることができる箇所としては、もっとも大規模な高山植物のお花畑といえます。

 

入口付近 − ハクサンイチゲの群生もそろそろ終わりに

お花畑の雪解けは、このあとご案内する周回コースの奥のほう(西側)から始まり、入口方面(東側)へと順番に進んで行きます。そのため、高山植物の生育も、周回コースの奥のほうが先に進み、入口方面へと順番に進んで行きます。

こちらは階段を下りてお花畑入口付近。全体の中でもこの付近は雪解けの遅いエリアとなります。一番の見所であるハクサンイチゲの群生も、そろそろ終わりの時期を迎え始めました。

 

入口付近 − ハクサンイチゲ以外にも

ハクサンイチゲが終わりになっても、ほかの高山植物の花期が始まって来ている様子が見られます。

 

ハクサンボウフウ
ハクサンイチゲに変わる白の主役
ネバリノギラン
 

ハクサンイチゲに置き換わって白い花の主役を演じるのはハクサンボウフウ。そして、ネバリノギランもその姿を現すようになって来ました

 

ミヤマクロユリはまだ健在

ミヤマクロユリは先週と変わらない勢力を維持しています。

 

モミジカラマツも次の白の主役に

そのミヤマクロユリの間に見られる白い花。先週、つぼみの状態をお伝えしたモミジカラマツです。ご覧のように花を咲かせようとしています。こちらも前述のハクサンボウフウと同様、白い花の群生を作って行くことでしょう。

 

遊歩道分岐点

遊歩道をさらに進んで周回コースを右に回り、お花畑を奥のほうへ(西の方へ)向かいます。

 

分岐点付近

周回コースに入ってすぐの場所でも、ハクサンイチゲは終わりとなって来ました。

 

分岐点付近 − ミヤマキンポウゲ 分岐点付近 − ヨツバシオガマ

ミヤマキンポウゲとヨツバシオガマは相変わらず花期が続いています。ヨツバシオガマについては先週よりもさらに分布が多くなってきています。

 

周回コース中央付近 − こちらもハクサンボウフウが見頃

そして、分岐点以降の箇所でも全体を白く染めているのはハクサンボウフウです。

 

周回コース中央付近 − ヨツバソガマが全体的に勢力を増す

先ほど、ヨツバシオガマが勢力を増していると申し上げましたが、周回コース全体的にヨツバシオガマのピンクに包まれています。色合いも濃いものが多く、現在、一番の見頃といえるでしょう。

 

周回コース奥

そして、さらに進んで周回コースの奥のほうでは...

 

周回コース奥 − ミヤマクロユリも終わりに

ミヤマクロユリが見られますが、こちらも花期の終わりが近づいているようです。

 

周回コース奥 − ウサギギク(左)、ミヤマアキノキリンソウはまだつぼみ(右)

これまでお伝えした来たハクサンボウフウやネバリノギランなどと同様に、ウサギギクやミヤマアキノキリンソウなども見られるようなり、季節が移り行く様子がこんなところからも感じられます。

 

ハクサンイチゲが終わると、畳平のお花畑はひと段落を迎えますが、まだまだ、高山植物の季節が続いて行きます。

 

【昨年の今ごろは?】

2010ノリクラ雪渓カレンダーVol.12(2010/07/31〜08/01)

昨年も今回と同様にあまりはっきりしない天候となったようです。

7月31日(土)は濃霧に加えて小雨が降り始める天候。バーンは硬めでコース整備やエア台を作るモーグラーの方々は、若干苦労しながら作業を進める様子があります。この雨も収まりを見せて視界が開けるものの、それ以上の天候の回復は見せず、終始、ひんやりとした一日でした。

そして、8月1日(日)は、早朝は晴れた天候を見せたものの、その後は曇り空となります。全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍の開催まで一ヶ月を切り、多くの方がヒルクライムする様子があって、トレーニングに励んでいます。はっきりしない天候に、午後からは霧雨と濃霧を繰り返すようになって、この日も暑さをまったく感じさせない一日となりました。

 

<編集後記>

前回のノリクラ雪渓カレンダーVol.11(2011/07/21〜22) では記載いたしましませんでしたが、7月22日(金)の午前から夕方にかけて、不消ヶ池(きえずがいけ)で小熊(推定3歳)が出没し、22日(金)〜23日(土)の二日間にわたって、畳平お花畑周辺の入山規制が実施されました。
一昨年の人的被害を生じた事故が発生した後は、熊が出没した際に迅速な入山規制が実施される体制がとられ、昨年も畳平周辺の入山規制が数回程度ありました。

えさを探して人里に熊が出没するケースは各地で見られますが、一昨年の事件の熊は、胃の内容物などから残飯を摂取した痕跡はなく、亜高山帯〜高山帯に自生している草本類の痕跡が大半を占め、残飯を狙って畳平周辺に出没したというよりも、元来、この地域に生息している熊であることが推定されます。

農作物などへの損害を含めて、人的被害があると「害獣」として扱われてしまいますが、高山植物を壊滅的な状況にしてしまう鹿と比べると、本来、この地域に生息している熊も、同じように「害獣」として取り扱うべきものか、考えさせられます。

有害駆除によってツキノワグマが絶滅した地域もあるほどですから、もしかすると、人的被害さえければ、雷鳥と同じように、そーっとその行動を見守っていくべき対象なのかもしれませんね。

【これからノリクラデビューを検討されている方へ】

天気の良い日もあれば、悪い日もあって、一様でない状況はノリクラに限らず、各地の高山では見られます。夏山でも悪天候により低体温症で遭難するケースはあって、夏だからといって熱中症だけに注意を払っていてはいけないものです。

今回のように雨に加えて風に吹かれた場合、体感温度が低くなることは想定できます。長時間の風雨にさらされていると、合羽で防御されていても、濡れた合羽からの熱の発散は続きますので、雨の浸透がなくても熱が奪われ続けます。風雨の中で寒さを感じ始めてから、合羽の中に一枚着込むには、風雨の中で合羽を脱がなければならないということであり、避難小屋などがない限りは、現実的に無理なわけです。そのため、天候などを予測してあらかじめ対処することが必要になります。このような場合、インナーウェアには、高機能がアピールされる速乾性の化繊よりも、従来から使われている天然のウールのほうが暖かさと快適さが感じられるでしょう。

また、合羽は着ていても、グローブや靴は防水を考慮していないケースもあります。手足は体の末端ですから、冷え始めるのも早いものです。必ずしも、登山用品に限定せず、作業用のゴム手袋なども十分に利用可能です。

はじめからすべてに対応することは困難なことですが、色々な天候条件を経験されて、自分にあったものをチョイスして行くことをお勧めします。

 

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