ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.7(2014/06/20〜21) B

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(Update:2014/06/26)

 

【稜線へ】

それでは肩の小屋から稜線に向けて出発します。

 

ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版(別ウインドウ)

肩の小屋より稜線方面の概要は、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版 をご覧ください。なお、ツアーコースの状況については、ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 をご覧下さい。

 

大雪渓・山頂方面全景

稜線直下に向かう手前から積雪が残っている様子が見られます。また、例年、この時期になると、稜線直下の雪解けが進んできますが、今年はまだかなりの積雪量があります。そのため、稜線直下の登山道は7月以降にならないと姿をあらわさないと思います。

そのため、7月から夏山シーズンを迎えますが、しばらくは雪の上を歩くための装備が必要となることを念頭にもって行動していただく必要があります。今後の積雪状況については、今回の【編集後記】でコメントしていますので、あわせてご覧ください。

 

キバナシャクナゲが咲き始める − この場所の開花はほぼ例年並み

登山道脇を良く見ると、キバナシャクナゲが咲き始めました。本当にすぐ脇に咲いていますので、登山道の外を歩くのはご遠慮くださるようお願いいたします。キバナシャクナゲをご覧になっていた登山の方が、「かなり背の低い花なんですね...」と、おっしゃっていましたが、この付近の天候条件が厳しいため、このように低くなっています。ですから、ですから、もう少し風雪の厳しくない場所では、高さ50センチ以上まで大きくなります。

また、開花の時期は雪解けの進み具合で決まるため、この場所の開花は6月中下旬で、今年はほぼ例年並みの状況ですが、大雪渓内部の雪解けの遅いところでは、7月にならないと咲かない状態で、場所によっては8月以降にずれ込むところもあります。

 

昨年の肩の小屋〜山頂の登山道(同時期の3週間前)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2013/06/01〜02) D
先週の肩の小屋〜山頂の登山道
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) D
今週の肩の小屋〜山頂の登山道
昨年より3週間遅い雪解け

こちらは肩の小屋から稜線までのちょうど中間付近。ほとんど雪解けが完了しています。左上の画像は昨年同時期の3週間前。下の今週と同じように雪解けが完了したところです。そのため、昨年よりも3週間雪解けが遅いということになります。

 

場所によっては雪解けが急速に進んでいる

前述の岩からさらに50メートルほど登ると積雪が見られるようになります。しかし、この積雪も来週にはかなり小さくなっていると考えられます。

 

【稜線】

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。今年はまだまだびっしりと積雪が残っていますが、昨年は右側3分の1しか積雪が残っていない状況でした。

 

登山道の一部(九十九折れ箇所)が見え始める

それでも、稜線直下にはご覧のように登山道の一部が見られるようになって来ました。

 

先週の登山道部分
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) D
今週の登山道部分
あまり雪解けが進んでいない

 先週の状況と比べると、雪解け量はそれほど多くないこともわかります。

 

登山を始めてまだ数ヶ月 − 毎週どこかに登りに行く

そろそろ春スキーも終盤に差し掛かり、スキーヤー・ボーダーの方々よりも、登山でお越しの方が目立つようになって来ました。こちらのお二人は、冬場はボードに打ち込むものの、春を迎えて、さて何をしようかと考えて登山を始められたとのこと...来月は富士山にトライするため、今日は高所トレーニングを兼ねてノリクラにお越しになりました。

登山を始めてまだ数ヶ月とのことですが、ほぼ毎週どこかの山に登りに行っていらっしゃるとのことで、山歩きの魅力にどっぷりとハマッてしまったようですよ...

 

大雪渓方面 − まだ十分滑走可能(赤丸:左側のハイマツ帯の末端に注意↓)

こちらは稜線から大雪渓方面へ滑り降りる箇所。右の画像は、横幅が狭くなっている場所ですが、まだ十分は幅があって滑走には問題ありません。赤丸で表示している左側のハイマツ帯の末端部分は、滑走時には注意が必要です。(↓)

 


別角度
(下から)

左側のハイマツ帯付近(上から) 同じ場所を下から見ると−上からは見えないクレパスに注意!

先ほどの赤丸部分のハイマツ帯の末端箇所が左の画像です。ご覧のように特に変わった様子が見られませんが、この箇所を右へ迂回して下から見ると、右の画像のように大きなクレパスに岩が出ている様子が見られます。

その落差は2メートル近くありますので、誤って進入すると転倒の危険性があります。クレパスの谷側が融けてなくなり、開口していますので、はまり込むことはありませんが、この付近には、他にも同様のクレパスが2〜3段ありますので、1つクリアしたからといって安心せず、確実に大雪渓エリアに入るまでは、左側のハイマツ帯(岩場)と距離を取って滑走して下さい。

この付近は毎年クレパスが発生していますので、大雪渓エリアに入るまでは左側のハイマツ帯に近づきすぎないように下山滑走してください。

 

シールで登るスキーヤー

シールで登ってくる春スキーヤーが稜線に到着します。

 

「滑るには何分くらい?、登るのは何時間くらい?」
登山者から質問攻め
常連のスキーヤーと話に花を咲かせる

登山の方々からは、「滑るには何分くらい?、登るのは何時間くらい?」などと質問攻め...逆に「滑る目的がないのに登るなんて考えられない!」なんて切り返す一幕も...そこに別の常連の方も到着して、話に花が咲いてしまいます。

お話をお聞きすると、今日で今シーズン最後の春スキーとのこと...
そのため、わざわざ、都合をキャンセルしてノリクラにお越しいただきました。シーズン最後を無事に終えることができて何よりです。また、来シーズンもよろしくお願いいたします。

 

昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
先週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) D
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
例年よりも多い積雪量

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年よりも明らかに積雪量が多いことがわかります。しかし、昨年の画像と比べると、あまり雪解けが進んでいない様子も見られます。積雪の多かった2012年も、ほとんど雪解けが完了している状態で、例年よりも多い状態が続いています。

 

昨年の権現ヶ池
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
今週の権現ヶ池
例年より多い積雪量
昨年の朝日岳
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
今週の朝日岳
例年より多い積雪量

上段は御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)で下段は朝日岳です。この1週間の雪解けが少なく、上段も下段も、例年よりも多い状態となっています。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

昨年の蚕玉岳山頂付近
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
先週の蚕玉岳山頂付近
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) E
今週の蚕玉岳山頂付近

蚕玉岳周辺のこの1週間の雪解けは、実際にはあまり進んでいないですが、積雪量がすでに少なくなっているため、若干の雪解けで地面が一気に現れて、雪解けが加速したように見られます。

 

昨年の蚕玉岳山頂
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
今週の蚕玉岳山頂
稜線直下(×印)は昨年と同じだが四角部分は積雪がある

昨年と比較して稜線付近を見ると、稜線直下は昨年も今週も同じように砂地の帯がバーンを横切ってしまいました。しかし、その下の四角枠の部分(例年、最も早くバーンを分断する岩場)は、昨年はすでに分断を始めているものの、今週はまだバーンがつながっています。

稜線直下とそれより下部の積雪状況が、例年とやや異なっているようです。

 

昨年の稜線直下(×印箇所)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
今週の稜線直下(×印箇所)
昨年と同様、砂礫地が現れる
昨年の滑りはじめから3分の1地点(四角枠箇所)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
今週の滑りはじめから3分の1地点(四角枠箇所)
まだ、分断されていない

こちらも同じく、上段で稜線直下の砂礫地を、下段でバーンを分断する岩場部分を昨年と比較しています。上段の稜線直下はどちらも砂礫地が出現していますが、下段では、かなり積雪量が違っています。

ただし、上段の画像のように砂礫地がかなり広範囲になってきていますので、安全上や環境上の問題を考えると、稜線からの滑走はされないほうが良いでしょう。

 

昨年の位ヶ原
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.7(2013/06/21〜22) B
今週の位ヶ原
ほぼ例年並み

 位ヶ原の様子を昨年と今年と比べると、それほど大きな違いはない状況になって来ました。ほぼ例年並みです。

 

切り通しは2.1メートル
例年より多い積雪量

稜線から1km滑り降りると県道乗鞍岳線に到達します。この箇所の積雪量は先週から40センチ雪解けして2.1メートル。昨年は1.2メートルで、2012年は2.6メートル、2010年は1.6メートル、2009年は1.3メートル、2008年は1.5メートルでした。最終的には2012年に次いで多い状態となりました。

なお、「剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線」のコーナーは、雪解けが激しいことから、今シーズンは今回が最後となります。

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■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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